【私たちにできること】食品ロスの削減に向けて皮ごと食べてみよう

いつも料理をするとき、最初に野菜・果物の皮をむいていませんか?

しかし実は、多くの野菜や果物は、皮ごと食べられます。

さらに皮ごといただくことで、食品ロスの課題解決への貢献にもつながります。

そこで今回は、野菜や果物を丸ごと食べるメリットや方法・おすすめのレシピといったアイディアを紹介します!

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

皮ごと食べるメリット

知らず知らずのうちに捨ててしまいがちな皮の部分ですが、実は丸ごと食べることで以下のようなメリットがあります。

  • ゴミの削減
  • 皮に含まれた栄養も摂れる

では2つのメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

ゴミの削減になる

野菜や果物を皮ごといただくことで、ゴミの削減に大きく貢献できます。

ゴミの回収・処理には、私たちの税金が使われています。

そのため、ゴミの量が増えれば増えるほど、ゴミ事業にお金を使わなければなりません。

またゴミの焼却によって二酸化炭素の排出量が増え、環境への負担も大きくなってしまいます。

ここで、農林水産省・環境省が2018年に行った「日本の年間食品ロス」の内容を見てみましょう。

引用元:環境省

日本で出た食品廃棄物のうち、食品ロスの全体量は600万トン

そのうち、家庭から出た食品ロスは276万トンでした。

さらに、家庭の食品ロスは3つのジャンルに分類できます。

  • 食べ残し
  • 直接廃棄
  • 過剰除去

3つ目の「過剰除去」は、食べられるはずの野菜・果実の皮をむきすぎている、ということをあらわしています。

総務省自治行政局住民制度課が発表している「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和2年1月1日現在)」によると日本の世帯数は、およそ5,900万世帯です。つまり、1世帯につき年間10㎏もの過剰除去を出している計算になるのです。

ひとりひとりが意識して、食べられる皮や根・葉のような部位も残さないようにするだけで、この「過剰除去」はぐっと少なくなります。

栄養がたくさん詰まっている

皮や茎・根といった部分には、さまざまな栄養分が詰まっています。

京都府立大学や女子栄養大学をはじめ、複数の機関による研究では、野菜・果物の食べられる皮や芯を一緒に食べた方が、より多くの栄養を摂取できるという結果が報告されています。(※1)

たとえば、大根やにんじんのような根菜類は、水分が外へ逃げないように、皮へ栄養を集めてブロックしているのだとか。

また、キャベツ・白菜といった葉物野菜は、外側の葉が最も光合成をおこないやすく、そのぶん中身よりも多く栄養素を含んでいます。

そのため、皮や外側の葉を取り除くことは、多くの栄養素を捨ててしまうことになるのです。

次では皮にどのような栄養素が含まれているのかを具体的に見ていきたいと思います。

どんな栄養が含まれてるの?

今回は皮に含まれる栄養素として、4つの成分をピックアップしました。

ポリフェノール

悪玉コレステロールを抑え、抗酸化作用に効果があることで知られるポリフェノール。

お茶や赤ワインのような飲料だけでなく、ぶどう・ブルーベリーといった果物の皮にも多く含まれています。

お茶・コーヒーに含まれるカフェインが苦手な人や、アルコールを摂取したくない人も、果物を皮ごといただけば、手軽にポリフェノールを摂取可能です。

βカロチン

抗酸化作用を高める役割を持つβカロチンは、かぼちゃの皮やワタのほか、ニンジンの皮に多く含まれます。

βカロチンが体内に入るとビタミンAに変化し、皮膚や体の粘膜を強化。

肌トラブルや最近の感染を防いでくれ、頼もしい働きを果たす栄養分のひとつです。

ビタミン

種類によって、さまざまな形で私たちの身体を助けてくれるビタミン。

特に、私たちの身体に最も必要とされているのが、ビタミンCです。(※2)

骨をはじめ、身体の部位をつくるために使われるほか、皮膚のメラニン生成の抑制・病気への抵抗力を高める効果もあります。(※3)

ビタミンCは加熱すると分解されてしまうため、大根を皮ごとすりおろしたり、りんごを皮付きのまま生で食べるのがおすすめです。

食物繊維

食物繊維は、多くの野菜・果物の皮に含まれています。

整腸作用やコレステロール値の抑制だけでなく、繊維が水分を含んで満腹感を得られるため、ダイエットの強い味方です。

皮ごとよく噛んで食べれば、子供の顎の発達にも良い影響を与えてくれる一面も。

子どもから大人まで、ぜひ積極的に取り入れたい栄養素です。

皮ごと食べる際の注意点

皮ごと食べることはたくさんのメリットがありますが、気を付けたい点もあります。

それは、

  • 栽培方法のチェック
  • 調理前の工夫

です。

【栽培方法のチェック】オーガニック・無農薬の野菜を選ぶ

皮ごとおいしくいただくために、できるだけ農薬・化学肥料を使用しないオーガニックか無農薬の作物を選ぶようにしましょう。

日本の市場に出回る生鮮食品の多くは、農薬や肥料を使用して育てられています。

農林水産省のウェブサイトによると、栽培時に使用した農薬や化学肥料が作物に残る「残留農薬」が見られる場合があるとのこと。

特に皮や外側の葉には、かかった農薬がそのまま付着している可能性大です。

表面に残った残留農薬の数値は厳しく検査され、基準値を超えなければ、人がその農薬を生涯にわたって毎日摂り続けても問題ないとされていますが、一方で科学的な実証はまだありません。(※4)

野菜や果実を丸ごと食べたい場合、以下のような方法で食品を選ぶのがおすすめです。

  • 有機JASマークの付いた商品を選ぶ
  • 自分が住んでいる地域の有機・無農薬農家さんから直接購入する
  • 自宅の庭やプランターで、化学肥料を使わずに育てる

毎日身体に取り入れるものだからこそ、自分にとってベストな選択をしたいですね。

【調理前の工夫】汚れをよく落としてから調理

野菜や果実を丸ごと食べるときは、きちんと水でよく洗い、汚れを落とすことも大切なポイントです。

「オーガニックだから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、ほとんどの作物は出荷までに、どうしても土埃や汚れがついてしまいます。

特に葉物野菜は、水で洗ってしまうと鮮度が失われてしまうため、洗わずに出荷するのが普通です。

やわらかいレタスや桃のようなものは手でやさしく、じゃがいも・かぶといった野菜はブラシを使って汚れを落としてから食べるようにしましょう。

皮ごと食べるためのレシピ5選

ではここで、野菜や果物を丸ごとおいしく食べられるアイディアを紹介します。

今回はできるだけ手間が少なく、誰でも簡単につくれるレシピをピックアップしたので、是非みなさんもチャレンジしてみてください。

シンプルにおいしく!蒸し野菜

じゃがいもやかぶ・かぼちゃといった野菜は、シンプルに蒸して食べるのがおすすめです。

ゆでると栄養分が水で流れてしまうこともありますが、蒸し野菜なら野菜のうまみやエネルギーをぎゅっと閉じ込め、野菜が持つ本来の甘さを引き出すことができます。

<材料>
  • お好みの野菜(じゃがいも・かぶ・にんじん・かぼちゃ・大根など、季節の旬にあわせて)
<つくり方>

1.蒸し器を準備します。もし蒸し器がない場合は、深さのある鍋に少量の水を入れ、蒸し煮にするのもOKです。

2.野菜はお好みの大きさにカットします。大きめにすると食感を楽しめますし、小さめにすれば火が早く通るため時間短縮に。

3.水が沸騰したら、蒸し器に野菜を入れます。野菜の種類によって蒸し時間が変わりますので、10分おきに竹串をさして固さをチェックしましょう。中まで竹串がすっと通る程度になったら火を止めて、蒸し器から取り出します。

※途中で水がなくなりそうなときは、適宜足してください。

4.器に盛り、塩を振りかけたら完成。お好みでハーブを足すのもおすすめです。

オーブンに入れるだけ!簡単グリル野菜

筆者提供

もうひとつ簡単でおすすめなのが、野菜のオーブン焼きです。

野菜を切ってオーブンにセットするだけで出来るため、料理する気力がないときに最適。見た目が華やかな野菜を使うと、食卓をカラフルに彩ります。

(写真は、オーブンで焼いたなすや菊芋・スイートポテトなど)

<材料>
  • 好みの野菜(根菜やブロッコリー・ズッキーニなど)
  • オリーブオイル
<つくり方>

1.野菜を食べやすい大きさに切り、天板に並べる。上からオリーブオイルをひと回しかけ、好みで塩をふる。

2.200度で予熱したオーブンに入れ、およそ15分焼く。

3.焼き色が付いたら取り出して器に並べる。

上からチーズを乗せたり、あらかじめスパイスを和えて下味をつけると、また違ったおいしさを楽しめます。

揚げたてがおいしい!皮ごと野菜&果実の天ぷら

筆者提供

いも類やにんじんはもちろん、皮ごとスライスしたりんごやいちじくを揚げると、甘味がギュッと詰まった逸品に早変わりです。

(写真は、畑で採れたじゃがいも&リトアニアの森で摘んだこごみの天ぷらです)

<材料>
  • お好みの野菜(じゃがいもやさつまいも・にんじんなど)
  • お好みの果物(りんごやいちじく・バナナなど)
  • 小麦粉
  • 揚げ油
<つくり方>

1.野菜や果物は、皮ごと1~2cmほどのスライスにします。

2.衣をつくります。ボウルに小麦粉を入れ、少しずつ水を加えながら好みの固さにします。あまり柔らかすぎると、衣が落ちやすいので注意。

3.野菜・果物に衣をつけ、高温にあたためた油へ入れて揚げます。水分の多いバナナやいちじくは、衣を厚めにするのがおすすめです。

4.きつね色に揚がったら取り出します。好みで塩をつけていただきます。

ちなみに、里芋の皮や根菜の根っこ・葉っぱも、天ぷらもしくは衣を付けずに素揚げすると、おいしく食べられますよ。

根菜の葉っぱを活用!シンプルふりかけ

大根やかぶ・にんじんの葉っぱは、濃い目に味つけをしてふりかけにすれば、ごはんのお供にぴったりです。

<材料>
  • 根菜類の葉っぱ
  • ごま油(なたね油でもOK)
  • 醤油
  • みりん
  • 煎りごま
<つくり方>

1.根菜類の葉っぱは、細かく刻みます。

2.フライパンを火にかけ、油を広げたら葉っぱを炒めます。

3.ある程度火が通ったら、醤油とみりんを少しずつ加えて味を調節します。

4.火からおろし、好みで煎りごまを振りかけたら完成です。

冷蔵庫で保存すれば、1週間ほど日持ちします。醤油を味噌に変えてもおいしいですよ。

干し野菜&果物で、手軽に栄養を取り入れよう

筆者提供

切り干し大根や干し柿に代表されるように、干し野菜・果物は古く伝わる保存食です。

日光にさらして干すと、うまみが凝縮されてもっとおいしくなりますよ。

(写真は、筆者が干したいちじくです)

<材料>
  • 好みの野菜(大根・にんじんなど)
  • 好みの果物(りんごや柿・レモンなど)
<つくり方>

1.野菜・果物を切ります。形はお好みですが、薄くスライスすると水分が抜けやすくなります。

2.重ならないように注意しながらザルに並べ、数日間干します。

3.水分が抜けきったら、保存容器に入れて完成です。

干している際のごみ・ほこりが気になる場合は、野菜干し用のネットを使用するとよいでしょう。

たとえば、つきじ常陸屋では、竹ざるとネットのセット販売を行なっています。

どうしても捨ててしまう場合は?

できるだけ余すことなく取り入れたい野菜や果物の皮ですが、中には食べられないものもありますよね。

しかし、だからといってゴミ箱に捨てるのはやめましょう。

ちょっと見方を変えれば、食べられない皮も暮らしの中で上手に活用できますよ。

今回は、3つのポイントをご紹介します。

ベジブロスで野菜のうまみを頂こう

ベジブロスとは、野菜のうまみを凝縮したスープストック(出汁)です。

玉ねぎの皮のように固くて食べられないものや根菜の芯・キャベツの固い外側の葉っぱにも、栄養分とうまみが詰まっています。

そこで、冷凍して溜めておき、一定量集まったら水と一緒に煮込んでベジブロスを作ってみましょう。

いつもの料理で、水の代わりにベジブロスを加えれば、おいしさがぐっとアップします。

コンポスト

ベジブロスで使用した皮や葉っぱは、食べることができないため残ってしまいますよね。

ほかにも、どうしても食べきれなかった部位もあるでしょう。

そんなとき、家庭に必ずひとつは持っていたいアイテムが、コンポストです。

コンポストとは、土の常在菌や微生物によって食べ残しを分解するシステムのこと。

自然界では、落ち葉や生き物の死骸を、土に住む虫・微生物が食べてい、生態系システムのひとつです。

同じように、自宅でも土があれば、野菜・果物の皮を微生物が分解してくれるのです。

コンポストは生ごみの嫌なにおいがなく、ゴミの削減にもつながります。

誰でもできる!自宅で簡単コンポストのつくり方

もし自宅に庭があれば、一画に穴を掘り、皮や葉っぱを入れて混ぜるだけでも簡単にコンポストが可能です。

しかしそうでない場合、大きめのプランターや木箱に土を入れるだけで、気軽にコンポストをはじめられます。

ちなみに下の写真は、筆者が実際に室内で使用しているコンポストボックスです。

筆者提供

木箱以外はありあわせの材料を使っていますが、あまり場所を取らずに済みますし、何より自分で生ごみを土に還せると、とても気持ちがすっきりします。

<用意するもの>
  • 大きめのプランターか段ボール・木箱などの入れ物
  • 土(なんでも大丈夫ですが、有機土がおすすめです)
  • 土台(いらない段ボールなど。水が床に溜まるのを防ぐため)
  • 入れ物をカバーするもの(紙・布など、虫を防ぎ空気を通すもの)
  • スコップ
  • 生ごみを溜める蓋つき容器
<つくり方>

1.入れ物に、土を8割ほど入れます。

2.土台を用意します。筆者はいらない段ボールを丸めて厚みを出し、容器の両端にセットしました。念のため床に紙を敷くとよいでしょう。

3.生ゴミはできるだけ小さく刻んでおき、ある程度溜まったらコンポストに入れます。適当な箇所に溝を作り、生ゴミを入れます。土が全体的に湿るくらいの水を足し、空気を含むようにスコップでよく混ぜます。

4.夏なら数日間、冬なら2週間程度でほとんど分解します。たまねぎの皮や卵の殻・かんきつ類は時間がかかるようです。

土の環境や入れる生ゴミの種類によって、分解しやすいもの・しにくいものがあります。

ほとんど土の量が増えることはないため、植物を育てていない人にとっても扱いやすい点がメリットですが、コンポストの土は栄養たっぷり。自家栽培の肥料として活用すると、植物がぐんぐん育ちますよ。

コンポストは毎日のお世話も必要なく、簡単に生ゴミの削減ができるため、心からおすすめします。

かんきつ類は、お茶・掃除に大活用

みかんやレモン・すだちなどかんきつ類の皮は、古くからお茶として親しまれてきました。

特にみかんの皮は、漢方薬の世界で「陳皮」と呼ばれ、風邪や便秘によいとされています。

天日干しにした皮を急須に入れ、お湯で数分蒸らすだけで、お茶として楽しめるばかりでなく、身体にうれしい効果を秘めているのです。

またかんきつ類の皮の白い部分にはクエン酸が含まれているため、台所シンクの掃除や茶渋とりに活躍します。

化学成分の入った洗剤を使わなくても、身近な材料で暮らしはぐっと便利にできるのです。

まとめ

食品ロスは、日本で大きな問題のひとつです。

しかし、ひとりひとりが意識と行動を変えるだけで、ポジティブな変化をもたらすことができます。

野菜や果物を丸ごといただくことでゴミが減り、身体にもよい影響があるなら、実践して損はないはず。

食事は生きるために大切な習慣だからこそ、工夫してむだなく楽しく続けることが大切なのです。

参考文献
※1 JAグループ福岡「野菜は皮に栄養があるの?」
※2 国立循環器病研究センター病イオン「栄養に関する基礎知識」
※3 公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
※4 農林水産省「農薬の基礎知識詳細」