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野生動物を絶滅から救うために作られたNATIONAL THREATENED SPECIES DAYとは?WWF AUSTRALIAが行うエコ活動についても徹底解説!

エコ大国であるオーストラリアでは、NATIONAL THREATENED SPECIES DAYと呼ばれる絶滅危惧種について考える日を設けています。

サスティナブルな未来をつくるためには、野生動物と上手く共存していくことが必要不可欠です。

今回は、NATIONAL THREATENED SPECIES DAYの詳細や野生動物保護に力を入れているWWF AUSTRALIAの取り組みについてご紹介していきます。

オーストラリアの絶滅危惧種に関する現状

ほかの大陸から分断しているオーストラリアは、独自の生態系や野生動植物を持つ国です。

しかし、1788年のヨーロッパ人による植民地化以降、外来種や人間の活動によって多くの動植物が絶滅しました。

100種類以上が野生下で姿を消しており、現在は動物園や自然公園でのみ姿を見られる動植物も数多く存在しています。

また、2019年から2020年にかけて発生した大規模森林火災においては、30億匹の野生動物が命を落としました。

2022年に行われたリサーチによると、オーストラリアは世界で8番目に絶滅危惧種の多い国としてランクインしており、日本の612位と比較しても非常に深刻な状況であることが分かります。

オーストラリア政府や各種団体も固有種の保全に努めているものの、2024年時点で約1,800の動植物が絶滅の危機に瀕している状態です。

その中にはコアラやタスマニアデビルをはじめとするオーストラリアを象徴する野生動物も含まれており、オーストラリアでは政府、各種団体、一般市民が積極的に保全活動に取り組むことが大切だと考えています。

NATIONAL THREATENED SPECIES DAYの詳細

1996年以降、オーストラリア国内では毎年9月7日をNATIONAL THREATENED SPECIES DAYとしています。

直訳すると「国家の絶滅危惧種の日」という意味で、WWFオーストラリアとオーストラリア政府によって設立された絶滅危惧種ネットワーク(Threatened Species Network)によって制定されました。

絶滅の危機に晒されているオーストラリアの固有種にスポットライトを当てる日として制定されており、各地で啓発イベントなどが開催されています。

9月7日が選ばれた理由

1996年に始まったNATIONAL THREATENED SPECIES DAYですが、9月7日という日が選ばれたのには理由があります。

1936年9月7日、タスマニア州のホバート動物園で飼育されていた世界最後の個体であるタスマニアタイガーが死亡しました。

世界最後の個体が死亡したということは、世界から完全にタスマニアタイガーが消失してしまったということを意味します。

オーストラリアにとって非常に苦い経験となったことから、60年後の1996年に絶滅危惧種ネットワークは9月7日を国家の絶滅危惧種について考える日として制定しました。

タスマニアタイガーのように絶滅する固有種を少しでも減らしたいという想いが込められており、野生動物はもちろん、オーストラリアの全ての植物に対しても焦点を当てています。

WWF AUSTRALIAが行うエコ活動とは?

オーストラリアの動植物や生態系を守るためには、一般市民の理解が必要不可欠です。

WWF AUSTRALIAは国全体の保全意識改善を実現すべく、一般市民が手軽に使えるツールや実践しやすいエコ活動を取り入れています。

以下では、各活動の詳細について具体的に解説していきます。

Scat Chat with WWF-Australia

WWF-Australiaでは、動物の糞に関するトークをポッドキャストの「Scat Chat with WWF-Australia」で提供しています。

コアラ、ウォンバット、ワラビー、クジラといったさまざまな野生動物の糞をテーマにしているほか、糞の中に含まれているプラスチックについて取り上げているエピソードもあり、野生動物だけでなく環境問題と交えながら学べるツールです。

実際にポッドキャストを利用している人々からは「散歩中に野生動物の糞に注目する機会が多くなった」「以前よりも野生動物を身近に感じている」という意見も多く、野生動物に対して興味を持つきっかけとして役立てられています。

My Backyard tool

My Backyard toolは、各エリアの絶滅危惧種の情報を提供するためのオンラインツールです。

オーストラリア全土のマップにA~Fまでランク付けされ、絶滅の危険性が少ないエリアをA、危惧種が多い地域をFとして6段階に分類しています。

オーストラリア国内では野生の動植物を保護するための回復活動やマネジメントが行われており、AやBなどの安全圏は保全活動が上手くいっていることを意味します。

一方でEやFでは保全活動が進んでおらず、さらなる改善やマネジメントの見直しが必要だと可視化できる点がポイントです。

尚、My Backyard toolでは一般市民が政府に対して措置を希望するメールを送信できる仕組みになっており、手軽に参加可能な署名活動としての役割も果たしています。

水を設置する

オーストラリアは乾燥している地域が多く、降雨量が減る季節には干ばつも頻発しています。

飲み水へアクセスできなくなる野生動物も増えることから、WWF AUSTRALIAでは家の外に野生動物用の飲み水の設置を推奨しています。

また、水を入れる容器についても解説しており、さまざま野生動物にとって最も飲みやすいとされる容器として挙げられているのが浅いボウルです。

深いボウルだと小さな野生動物が溺れる危険性が高く、もし深いボウルを使う場合は中に足場となる小さなレンガや石を置くように解説しています。

さらに、野鳥が多いエリアでは高い位置に水の容器を設置することで、陸上動物だけでなく鳥類の保全に繋がる点もポイントです。

ペットの管理

オーストラリアで絶滅が危惧されている野生動物の中には、犬や猫による攻撃によって個体数が減少しているケースもたくさんあります。

特に放し飼いにされている猫が野生動物を襲うパターンが多く、オーストラリア国内の飼い猫によって命を落とす野生動物の数は実に1日150万頭です。

WWF AUSTRALIAではペットと野生動物が上手く共存できる環境を実現するため、猫を室内飼い、もしくは庭の外に出ないように工夫するよう飼い主に訴えています。

また、犬に関しても放し飼いにせず、散歩中は必ずリードを付けるように指導しています。

庭に自生植物を置く

一般市民が身近にできるエコ活動のひとつに、庭に自生植物を植えることが挙げられます。

絶滅危惧種の大半が都市部に生息しているため、生息地や餌となる森林が慢性的に不足している状態です。

もし人々が自宅に自生植物を設置すると、鳥類や小動物に必要な住みかを提供できるのはもちろん、昆虫や鳥類が花粉を媒介する機会も増えます。

新たな自生植物を植えることで植物の多様性を広めることにも繋がるため、植物の遺伝子多様性の観点から見ても大きなメリットとなります。

結果としてオーストラリアの生態系の改善にも役立ち、持続可能性の高い環境づくりにも貢献できる取り組みです。

運転中に注意を払う

エコ大国として知られるオーストラリアですが、スピードの出し過ぎによるロードキルが多発している国でもあります。

2024年に発表されたデータによると、1年間に約1,000万匹の在来種の哺乳類、爬虫類、鳥類がロードキルで命を落としています。

オーストラリアは森林や山を開拓して道を作っている箇所もたくさんあり、生息地を分断された野生動物も少なくありません。

特にオーストラリアには夕方から朝方にかけて活発的になる薄明薄暮性の野生動物が多く、視界の悪さから道路に佇む野生動物の存在に気付きにくい傾向にあります。

道を渡ってユーカリの葉を調達するコアラや水源に向かうワラビーなど、さまざまな野生動物が車に撥ねられていることから、WWF AUSTRALIAではドライバーに対して減速して運転するように訴えています。

まとめ

タスマニアタイガーを絶滅させた苦い経験を持つオーストラリアでは、同じ過ちを繰り返さないためにさまざまな取り組みを行っています。

地球上から野生動物をこれ以上消失させないためにも、自分たちにできる環境保全にひとつずつ挑戦していくことが大切ですね。