みなさんは、働きがいを感じていますか。
そして、それが経済にどう貢献しているか意識したことがあるでしょうか。
世界にはさまざまな背景を持つ方がいて、置かれている環境や住んでいる場所、持っている可能性も違います。
すべての人がこの地球上で生きがいを感じるためにも、働く喜びをみつけることはひとつの手段なのではないでしょうか。
そこで今回は目標8「働きがいも経済成長も」に貢献している企業を5つご紹介します!
目次
多様性という名の働きがいを「UNROOF」

「障がいがあっても自分の可能性を信じられる社会を目指したい」
そんな思いを大切に、障がいを持っている人が一流の革職人を目指せる環境を整え、経済発展を進めているのが「UNROOF」です。
UNROOFが目指す平等な社会
雇用の不平等といえば、男性と女性の収入の違いとイメージされる場合が多いでしょう。それは間違ってはおらず、日本の社会はまだまだ男女で収入の差や雇用の差は存在しています。
しかし、障がいを持っている方もまた、社会の中では限られた選択肢の中で働いている状況にあることを忘れてはなりません。
UNROOFが目指す平等な社会は、
- 障がいがあっても自分の可能性を信じられる社会
- 障がい者と健常者の線引きのない社会
です。
UNROOFが貢献するSDGs

UNROOFはSDGs目標8において下記のターゲットに貢献しています。
8.5 2030年までに、若者や障がい者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的な雇用およびディーセント・ワーク、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
他にも目標10「人や国の不平等をなくそう」にあてはまる取り組みです。
障がいを持っている方の雇用を促進するメリット
革職人育成工場で働く障害者の雇用を促進することで、次の社会貢献が実現してゆくとUNROOFは考えています。
- 安定した収入を得られる障がいを持つメンバーが増える
- 働く中で給与アップ、任される仕事内容がどんどん増えていく
- 障がいを持つメンバーが働く姿を社会に発信して多くの方に希望を持ってもらえる
- 障がいを持つ方への社会の意識が変わってゆく
- 働く当事者たちの働きがい、生きがいにつながる
障がいを持つ方の雇用状況
近年ではUNROOFのような取り組みを進める企業が増えており、障害者の雇用状況は年々伸びている傾向にあります。
UNROOFのように、積極的に障がいを持っている方の雇用を促進することで、その姿自体が社会の意識を変え、不平等な社会を変革させていくでしょう。
UNROOFで販売する革製品はおしゃれで上質
UNROOFが注目される理由は、雇用環境の安定だけではありません。職人たちが作り上げる革製品のクオリティが高く評価されているからです。
他の革製品販売店と異なるところは、人々が日常で求める「かゆいところに目が届く」製品が多い点です。

例えば、「ありそうでなかった 仕分けができる名刺入れ」。
最大75枚まで収納できるのに、内側で乱雑にならないように本革仕切りで整理整頓ができる仕組みになっています。
製品はどれもギフトラッピング用にもオーダーでき、大切な方へのプレゼントやお祝いの品としてもおすすめです。
人生は何度だってやり直せる。元受刑者の雇用を実現した「AYUMI」

エクアドルの元女性受刑者の社会復帰をサポートしているのが、AYUMIです。
「何が起こっても私は大丈夫」創始者が事業を始めたきっかけ
AYUMIの創始者である宮浦歩美さんは、生まれつき心臓に穴が空いた状態で生まれてきて、わずか9ヶ月という月齢で手術をし乗り越えました。
この大きな出来事が彼女のベースとなり、「何が起こっても私は大丈夫」と強い意志に変わっていったと言います。
その後、大学3年のときにエクアドルにNPOとしてボランティアに出向き、女性刑務所で託児スタッフとして働きました。
その際に、
- 出所する元受刑者に雇用機会が待っていない
- 元受刑者が母親の場合、収入が不安定のため、その子どもたちが学校へ通わせる余裕がない
- 刑務所に入る理由のひとつに貧困問題やジェンダー問題が隠れていた
そのような現実を知り、元受刑者の女性が社会復帰を目指せる社会をつくろうと決意しました。
AYUMIがエクアドルの元受刑者向けに作り上げた雇用
AYUMIが手掛ける事業は、洗顔石鹸の製造、販売です。
製造販売に関わるスタッフは一般雇用者もいますが、元受刑者を積極採用しています。
AYUMIが貢献するSDGs

AYUMIが貢献するSDGsの目標は、1「貧困をなくそう」、4「質の高い教育をみんなに」、8「働きがいも経済成長も」です。目標8についてさらに踏み込むと、下記のターゲットに通じています。
8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
エクアドルの女性たちが犯罪に手を染めてしまった理由のひとつに貧困が挙げられます。
出所後、安定した職に就くことで貧困の悪循環を断ち切るきっかけとなり、子どもたちにも教育を受ける機会を与えることができるとは考えます。
日本の出所者の雇用事情
AYUMIのように、元受刑者の方を積極採用する企業は日本には多くあります。
北海道にある建設会社「北洋建設株式会社」は先代社長の頃から元受刑者を積極採用。
現社長の小澤 輝真さんは難病を発症しており余命を宣告されているにもかかわらず、全国の刑務所に足を運び、雇用の面接を行なっています。
「もっといろんな会社が出所者雇用に取り組むために社会を変えていってもらいたい。」刑務所を回る中でそう話しています。
AYUMIや北洋建設株式会社の取り組みに共通していることは、誰ひとり取り残さない社会づくりでしょう。経済成長の大前提は、ひとりひとりが働きがいを感じることなのだと理解できます。
働く喜びをすべての人に。全国初の福祉チョコレート工房を全国に躍進し続ける「ショコラボ」

チョコレートというスイーツで働く全ての人に喜びを届けたい。「ショコラボ」が考える正常な社会とは、健常者と障がい者が現実的なマーケット分野でフェアに共働するということ。
ショコラボの企業理念は、
あらゆる人々を平等に尊重し、障がい者・健常者・高齢者が共生するコミュニティを作り、関与する全ての人々が物心両面の豊かさを感じられる仕組み作りで社会に貢献すること。
ショコラボ
です。
ショコラボが貢献するSDGs

ショコラボはSDGs目標8の下記のターゲットに貢献しています。
8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的な雇用およびディーセント・ワーク、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
ひとつひとつ違っていい。チョコレート商品に込めた思い
ショコラボが販売するチョコレートはすべて手作業で作られます。
そして、
第一の商品: 健常者のみがつくる商品
第二の商品: 障がい者のみがつくる商品
ショコラボ
と位置づけ、ショコラボでは、
第三の商品: 現実マーケットを意識しつつ、健常者と障がい者が共生・共働してつくる商品
ショコラボ
とし、機械では作ることができない手作業の魅力を商品として多くのお客様に伝えているのです。
何をするかより、誰とやるか。繋がりが未来の起業家をつくる「株式会社 Hub Tokyo」

「働きがい」は明確な定義がなく、人それぞれの価値観で形成されるもので、いつどこで生まれるかはわからないものです。
かくいう筆者は人と人とのコミュニケーションを通じて働くことに「働きがい」を感じており、そのきっかけとなったのが「Impact HUB Tokyo」です。Impact HUB Tokyoは、東京都目黒区にあるコミュニティスペースで、株式会社Hub Tokyoが運営しています。
こちらのスペースでは人と人とのつながりから生まれるシナジー効果を大切にしています。
つまり、異なる事業を行う者同士が、互いの強み出し合うことで最高のパフォーマンスを発揮することが可能である、ということです。
「何をするかより、誰とやるか」
筆者がHub Tokyoを訪れた理由としては、仕事をする上で大切にしている考え「誰と」というパートナーシップを重要としていたからです。
自分とは異なる価値観に触ることで、常に自身をアップデートしていきたいと考えるもいらっしゃるでしょう。
先述したように働きがいをどのタイミングで感じるかは人それぞれですが、おそらく人と人との価値観の共有がアイデアとなり、働くという枠を越えて「生きがい」につながるのではないかと考えます。そのような意味でも、コミュニティスペースというものは実に面白く、良い意味で自分の凝り固まった考えを丁寧に壊してくれる場所なのではないでしょうか。
さまざまなプログラムを展開するHub Tokyo
Hub Tokyoでは、利用するメンバー向けに体験型のプログラムを提供しています。
例えば、地域で持続的なビジネスモデル確立に挑戦する起業家向けの「スナバ・ビジネスモデル・ブートキャンプ」は長野県塩尻市で開催され、仲間づくりを目的としたプログラムです。
Hub Tokyoが貢献するSDGs

Hub Tokyoは目標8において下記のターゲットに貢献しています。
8.9 2030年までに、雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
プログラムは全国各地の施設が利用されるため、各地域の販促促進にも繋がると予想されます。
「日本にきてよかった」技能実習生の語学教育が経済成長を加速させる「むすびば」

母国を離れ、日本で働く技能実習生が日本語教育を受け、働きがいを感じられる社会づくりを目指すのが「むすびば」の取り組みです。
どんな問題を解決する取り組みなのか
安定した収入を得て家族を養うため、毎年日本には外国人技能実習生が働きに来ています。
その中で
- 日本語が話せない
- 文字が読めないため仕事に影響が出て収入があがりにくい
- 知り合いがいないため孤立しがち
- 突然失踪してしまう
- 日本の生活に馴染めなくなる
といった問題が起きています。
企業向けの語学教室
このような問題を受けて、むすびばでは外国人技能実習生を採用する企業向けにオンライン日本語教室を作りました。
語学が上達することで、
- 働き先で的確な判断ができるようになる
- 指示を出す側との意思疎通ができるようになる
- 働くことが楽しくなる
- 社外でも知り合いを作りやすくなる
- 日本の生活に馴染みやすくなる
など、生活しやすい環境が調います。
特に大きな特徴としては、実習生が直接申し込むのではなく、採用している企業向けにサービスを販売している点です。
むすびばの目的は、実習生が負担なく働きやすい環境をつくることです。
むすびばが貢献するSDGs

むすびばは、SDGs目標8において下記のターゲットに貢献しています。
8.6 2020年までに、就労、就学、職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
実際に導入した企業の声
実際にサービスを導入した企業の声をご紹介します。
- 「最初は義務感があったように見えた実習生が、語学を学んだことにより社内でコミュニケーションを楽しめるようになっていた」
- 「実習期間を終えたあとでも実習生の将来の選択肢がひろがる」
- 「仕事上のトラブルが減って作業がスムーズに進むようになった」
実習先だけでなく、日常へのメリット、また将来にも役立つサービスであることがわかります。
サービス内容を知りたい企業様がいらしたらぜひ公式サイトをのぞいてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回ご紹介した企業の取り組みを見ていると、経済成長とは、ひとりひとりの働きがいが影響してくることが理解できます。
一言で働きがいといっても、置かれている環境や理想とする未来が異なるため、感じ方もそれぞれでしょう。
働きがいとは何か、働きやすい環境とは何かを、企業の取り組みを通して改めて見つめ直し、自社の事業に活かすきっかけとなれば幸いです。