
家計が毎月のように赤字になるという悩みを抱えている人はかなりの数にのぼります。
毎月赤字になってしまう時はどういった方法で解消するべきなのでしょうか?ボーナスで補填すればなんとかなるのでしょうか?
毎月赤字になる理由を紹介すると共に、赤字によって蓄積しているストレスを改善するための方法を解説します。
毎月赤字になる原因が気になっている人からの質問もあわせてご覧ください。
目次
まずは赤字が一時的なものか慢性的なものか見極めよう
赤字を解消するには、赤字が一時的なものなのか、それとも慢性的なものなのかを見極めることが大切です。
赤字になる主な事例をチェックし、自分の現状の赤字が一時的か慢性的かを確認しましょう。
一時的な赤字の例
毎月赤字だと慢性的な赤字だと認識しやすいのですが、よくよく原因を見ると一時的な赤字であるケースが多いです。
一時的な赤字の代表的な例を見ていきましょう。
怪我や病気の医療費
収入が少ない場合、旅行やイベントは参加を控えるなどで出費を抑えられますが、怪我・病気はタイミングを選べないので医療費がかかります。
医療保険などに加入していれば出費をかなり減らせますが、医療保険が適用されない病気や怪我などは健康保険に加入していてもかなりの出費になることが多いです。
事故で怪我をした場合、自損事故だと医療費以外の費用も発生するので、一時的な赤字とはいえ年間の収支で見てもかなりの痛手になります。
治癒するのに時間がかかる病気に罹患した場合、医療費がかかると同時に仕事を休職・退職したり時短にすることが多いので、一時的とは思えない赤字になることもあります。
冠婚葬祭の費用
冠婚葬祭の出費も、近い親族の冠婚葬祭だとかなりの出費になります。結婚式の場合にはお祝い金が10万円単位になることもあり、葬式だと100万円単位のお金が出ていくケースも多いからです。
子供が産まれた場合にもお祝い金がかかります。こちらも、近い親族だと10万円前後の出費になる可能性が高いです。
友人や会社の同僚が対象の冠婚葬祭費用や出産のお祝い金などなら数万円単位で済みますが、複数重なれば赤字につながります。
赤字にしないためには、突然冠婚葬祭の費用が必要になった時に家計に響かないよう、万が一の時に使える貯金を積み立てておくことをおすすめします。
車や家電といった大きな買い物
車や大型家電を購入する場合も、一時的な赤字につながりやすいです。
数十万から数百万円の車を購入する時には基本的にローンを組みますが、ローンが数ヶ月から数年間続くので、一時的とは思えない額の出費になることもあります。
エアコンや洗濯機や電子レンジなどは故障したからといって放置できる種類の家電ではないため、修理するか買い替えなければなりません。その費用も小さからぬ痛手を家計に及ぼします。
教育費がピーク
成長期の子供がいる家庭だと、子供数人の進学が重複した時期や高校・大学に入学する時に教育費がピークに達します。
小学校に進学する場合には教材やランドセルや体操着など、中学・高校では教材・制服などの支出がありますが、最もお金がかかるのは大学に進学したときです。
国立の大学なら私立より学費が安くなりますが、それでも4年生大学を卒業するまでに200万円前後の教育費が発生するからです。私立だとその2倍から10倍の教育費がかかります。
専門学校は大学よりも入学金や授業料が安いのが一般的ですが、専門分野によっては国立大学よりも高い出費になるケースがあります。
また、大学より出費が少ない小・中・高校でも私立なら教育費が高くなりますし、2人から3人同時に進学すると出費が2倍から3倍に膨れ上がるので、一時的な赤字とは言え家計に与える打撃はかなりのものです。
学資保険に加入する・積み立てNISAなどを利用する・幼少期から積み立てておくなどの対策で赤字状態にならないようにしましょう。
一時的な赤字への対処方法
一時的な赤字対策の一部は前述したとおりですが、基本的に一時的な赤字は、ある程度割り切り、年間で収支を見ることが大事です。
年間収支が大きな赤字にならないようにするため、一時的な赤字の対処方法をおさえておきましょう。
ボーナス払いを活用する
一時的な出費を補う場合におすすめなのはボーナス払いです。ボーナスは年に1回から2回支給されるので、そのタイミングと合わせられるならボーナス払いがベストなのです。
ただし、ボーナスの支給額が流動的だったり、個人や会社の業績などによって支給されないことがあったりする会社に勤めている人にはあまりおすすめできません。
勤務先のボーナス支給率と支給額が安定している場合や、今後もボーナスに頼り続けるのではなく、あくまで急場しのぎという形で活用するなら有益な手段です。
貯金を切り崩す
赤字が一時的なものなら、貯金を切り崩して補填する手段も推奨します。
貯金というのは欲しいものを買う・旅行資金を貯めるといった目的以外に、困ったことがあった時に対処するために貯めるという側面もあるからです。
欲しいものがある・旅行したいという目的で貯めたお金を赤字の補填に使うのに抵抗がある人も少なくありませんが、赤字状態が続いて心身にストレスが溜まっている状態を放置するのは望ましくありません。
現在赤字状態ではない人も、いざという時に使えるように貯金をしておくことをおすすめします。
一時的な赤字ならカードローンの借入もおすすめ
一時的な赤字の解消なら、カードローンで借り入れるのもおすすめです。
カードローン・借金に抵抗がある人が多いのですが、借りる額が百万単位とかでなければ返済もそれほど難しくないため、信用情報機関のブラックリスト入りになることはありません。
また、1ヶ月以内で返済できるなど、短期間の借り入れなら無利息で利用できるサービスを実施している消費者金融が増えています。
30日間だけ無利息で借りられるサービスを利用して期間内に返済すれば、消費者金融でよく指摘されているような多重債務などのリスクを避けられます。
また、銀行のカードローンは金利が安いので、信用情報機関でブラック扱いになっていなければ銀行のカードローンの利用がベストです。
また、学校関連の赤字なら学資保険や教育ローンを利用できる可能性が高く、決まった目的のために利用するための用途限定ローンもあります。
このように、赤字の理由によっては便利に活用できるローンがあるので、ネットなどで詳細を調べてみましょう。
毎月赤字の要因を特定しよう
なぜ毎月赤字になるのかを確認しておくのが赤字の解決策なので、赤字になる要因を特定するのは非常に重要です。
以下で紹介する条件に該当していないかチェックしてみましょう。
収入が少ない
赤字になる2大原因は、収入が少ないことと支出が多いことです。
まず、収入が少ない理由を確認することで、収入が少ないという問題を解決できるか考えてみましょう。
雇用形態によって給与が低くなっている
雇用形態による給与の違いも収入に大きく影響されます。代表的な雇用形態と給料の差は以下の通りです。
雇用形態 | 特徴 | 給与タイプ |
---|---|---|
正社員 | 基本的に無期限の契約 | ・月給制でボーナスが出る ・年収アップの機会がある |
契約社員 | 期間限定の契約 | ・月給制または時給制でボーナスが出ることもある ・昇給の機会が少ない |
派遣社員 | 派遣会社を通じて一定期間勤務 | ・時給制でボーナスは基本的にない・ 昇給の機会は少なめ |
パート・アルバイト | 短時間勤務がメイン | ・時給制が主体でボーナスは基本的になし ・昇給しても昇給幅は少ない |
最も安定していて収入も多いのは正社員で、福利厚生が充実していれば給料以外の給付金も獲得できるので、収入が少ない場合には正社員を目指しましょう。
業界平均に比べて勤務先の給与が低い
給料の額や支給が最も安定しているのは正社員ですが、業界や企業によっては給与が低かったり待遇が悪かったりする場合もあり、契約社員・派遣社員・アルバイトの方が収入が多くなるというパターンも少なくありません。
どの勤務形態でも、自分の勤務先から支給される給与が少ないと感じた場合には、属している業界の給与の相場や同業他社の給与をチェックしてみましょう。
明らかに自分の勤務先の給与が同業他社の水準よりも低いと感じたら、転職した方が赤字解消に近づく可能性が高いです。
産休・育休・時短勤務中
夫婦で働いて生計を立てている場合、妻が産休を取ったり夫婦で育休を取ったりした時には当然収入が減少します。
健康上の理由あるいは家族の看病といった事情で時短勤務をしている場合も同様です。
しかし、産休や育休や時短勤務はあくまでも一時的な収入減なので、収入が少ないことを悲観せず、「現状では収入が少なくても仕方ない」と割り切ることが大事です。
毎月赤字が続くという状態は自分にも家庭の経済状況を把握している家族にも多大なストレスになるので、そのストレスを解消するために割り切るのがベストだからです。
支出が多い
収入が少ない理由や解決法を考えると共に、支出が多くなる原因を解明して解決策を練りましょう。
支出が多くなる代表的な要因をご確認ください。
固定費が多い
家計における固定費とは、毎月あるいは毎年一定の金額を支払う生活費のことです。
固定費にどれだけ消費しているかも大事なチェックポイントです。主な固定費は以下の通りです。
- 住居費:家賃・住宅ローンなど
- 公共料金:水道・電気・ガス料金など
- 保険料:健康保険・生命保険・火災保険など
- 通信費:インターネット回線・固定電話・スマホ料金など
- 固定資産税:土地・家屋を所有すると発生する税金
- 自動車関係の費用:車検代・ガソリン代・駐車場代など
- 教育費:学校給食・授業料・入学金・塾・習い事など
完全に削るのが難しい項目が多いのが固定費ですが、内容を吟味して支出を減らすことが可能です。
変動費が多い
固定費の確認が済んだら変動費もチェックしてみましょう。
家計における変動費とは、支払う額がその月やその年によって変わる生活費のことです。主な変動費をご覧ください。
- 食費:自宅での食事・外食など
- 医療費:病気・怪我の治療費など
- 日用品:毎日使う消耗品など
- 衣服費:普段の衣類や制服など
- 交通費:通勤・通学費など
- 交際費:親戚・友人・会社の同僚などとの交流費
- 美容費:美容院・理容院や化粧品代など
- 冠婚葬祭費:結婚式・葬式など
変動費は固定費よりも削減しやすいので、不要と感じた変動費を削るまたは減らすことで支出を抑えましょう。
毎月赤字のストレス脱却に向けた行動案
毎月の収支を確認したら、次は毎月の赤字ストレスを脱却するための行動に移りましょう。
特に効果的なストレス脱却の行動案をご覧ください。
家計簿をつけて現状の収支を正確に把握する
毎月の収支を見える化することは、赤字解消に大きな効果を発揮します。
最も手軽なのは、PCやスマホなどで自分が使いやすい家計簿ソフトや家計簿アプリをダウンロードして現状の収支を記録することです。
家計簿をつける習慣がない人にとっては敷居が高い方法ですが、使い勝手が良いと評判のソフト・アプリを使うことで、飽きずに家計簿をつけられるようになります。
家計簿をつける習慣がついてから収支の項目を細分化し、より正確に収支を把握できるようにするのが最適な方法です。
無料でFPに相談する
お金の最良な使い方や節約方法がピンとこないという人は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのがおすすめです。
FPに相談できる代表的な項目は以下の6点です。
- 家計(資金計画やライフプランニング)
- リスク管理(生命保険・火災保険など)
- 税金関連
- 資産運用(貯蓄や投資)
- 不動産関連(住宅ローンや住宅・土地の売買)
- 相続や事業承継関連
毎月赤字の解決に際しては、どの項目も相談したいところですが、相談項目が多いと無料相談できないことが多いため、ここでは家計に絞って相談してみましょう。
「無料のFPは怪しい」という声もありますが、口コミ評価が高いFPを選べば大丈夫です。
固定費を見直す
固定費の見直しも非常に有効な赤字解決策です。見直しやすい固定費は以下の通りです。
- 住居費(家賃・住宅ローンなど)
- 水道光熱費(水道・電気・ガス料金など)
- 保険料
- 通信費(ネット回線・スマホ料金など)
住居費は月々の収入に対して20%台に収めるのがベストです。30%台になると家計がかなり逼迫するからです。住宅ローンの場合には借換えなどで毎月の支払額を減らすことが可能です。
光熱費は生活に必須の固定費ですが、こちらも水道・電気・ガスの使い方を変えたり、契約している会社の料金を他社と比べて安い会社に切り替えたりすることで節約できます。
保険の削減はもしもの時に莫大な支出につながるケースがあるので、健康保険・生命保険・火災保険などの必要最小限な保険を維持しつつ、不要な保険を削りましょう。
通信費も、使い方や契約する通信会社を見直すことで出費を削減できます。
変動費を見直す
固定費を見直すと同時に変動費の見直しも行いましょう。以下が見直しやすい変動費です。
- 食費
- 日用品
- 衣服費
- 交際費
- 美容費
食費は生命と健康を維持するために必須なので0にすることは不可能ですが、外食を減らす・間食を減らす・安い食材を選ぶなどで大幅に削減できる項目です。
日用品は、たとえばボディシャンプー・ハンドソープを固形石鹸に切り替えるといった地味な変更でも年間を通じてみると少なくない額を節約できます。
衣服費のうち、学校や職場の制服は減らせませんが、普段着や外出着などの支出はアウトレットや古着屋などを活用することでかなりの出費を減らせます。
交際費は、外で会うのではなく自分の家に招待するなどで飲食費を節約可能です。外食する場合には店のランクを1つ落とすだけでも支出を削減できます。
美容費も、通う美容院や理容院のランクを下げたり、化粧品をデパコスからプチプラに切り替えるなどの工夫で高い支出削減効果があります。
転職する
支出の内容を見直す一方で、収入の内容も見直しましょう。
自分の勤務先が同業の他社と比べて給与を含む諸条件が悪い場合には、より多くの収入が期待できる会社に転職することで収入の問題を解決できます。
転職によって現状よりも給与が下がる場合や雇用条件が悪くなる場合には転職しない方が無難ですが、高評価を受けている転職エージェントなどを利用することでリスクを回避できます。
必要な資格を取得しておくとより良い条件で転職できるので、転職の準備段階で資格を取得することを推奨します。
毎月赤字が気になる人のよくある質問
家計が毎月赤字になる人、ならないために気を配っている人がネット掲示板やSNSに投稿している質問を紹介します。回答とあわせてご確認ください。
世帯収入が赤字だった人の割合は?
連合総研(公益財団法人・連合総合生活開発研究所)が2025年5月に発表した調査結果によると、「過去1年間世帯収入が赤字だった」と認識している人は25.4%に上っています。前年の調査では25.8%でした。
世帯収支が赤字になる確率が高いのは非正社員で、特に男性非正社員の赤字が前年の調査結果33.3%から37.8%に増加しています。
女性非正社員の赤字率のみ前年の43.3%から38.3%に減少していますが、全体的に正社員よりも非正社員の方が赤字率が高いです。
赤字になりがちな家計の特徴は?
赤字にならないためには家計をしっかり管理することが重要ですが、以下のような特徴があると家計が赤字になりやすい傾向があるのでご注意ください。
- 使途不明金が多い
- 住居費(家賃・住宅ローンなど)が家計の3割以上
- 食費が家計の2割近くを占めている
使途不明金が数百円から数千円単位なら問題ではありませんが、1万円台以上になると赤字家計になりやすくなります。
家賃や住宅ローンの支払額が家計の30%以上の場合にも赤字家計につながりやすいので、住居費は多くても20%台に抑えましょう。
また、外食が多い・食材を買いすぎるなどで食費が家計の20%台に乗るのも、赤字家計の特徴です。
上記3点が該当した場合には要注意ですが、絞りやすい部分でもあるので、この3点に該当しないように出費を調節しましょう。
赤字が理由で借金している人の割合は?
赤字解消のために借金している人の具体的な数字は公表されていませんが、借金をしている人の割合は公開されています。
金融広報中央委員会が、2024年6月21日から7月3日までに全国の単身世帯2,500世帯と2人以上の世帯5,000世帯を対象に調査した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、借入金がある世帯は、単身世帯で13.8%、2人以上の世帯で19.5%という結果でした。
借入金の内訳は住宅ローンなども含まれるので、借金の理由は赤字とは限りませんが、2人以上の世帯の方が借金をしている可能性が高いことがわかります。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査2024年」
毎月の赤字をボーナスで補填しても大丈夫?
一時的な赤字をボーナスで補うのは問題ありませんが、毎月赤字が続いているケースではボーナスでの補填はおすすめできません。
勤務先が必ずボーナスをくれる場合や、年間の収支を見て全体的に黒字の場合ならボーナスで補填しても大丈夫ですが、業績や社員の成績によってボーナスがなしになったり大幅に減額されたりする勤務先ならボーナスでの補填は要注意です。
赤字が継続しているのにボーナスがない場合、赤字がかさんでしまうからです。
「赤字をボーナスで補填したい」と考えている人は、年間の収支及び勤務先のボーナスの支給条件を再確認しましょう。
赤字を黒字にする方法はある?
赤字を黒字に変えたい人は、記事中で紹介した「赤字ストレス脱却のための行動案」である「収支の把握」「FPに相談」「固定費と変動費の見直し」「転職」などを実行するほか、収入を見込んで出費を増やさないよう心がけましょう。
収入が増えたり臨時収入が入ったりした時に入ってきたお金をすぐ使ってしまうタイプの人は、計画的にお金を使うというライフスタイルに切り替えることをおすすめします。
余分なお金は「あぶく銭」として放出してしまう人が多いのですが、それではお金がいつまでも貯まりません。
予定外の収入は貯金するという習慣をつければ、赤字家計を黒字家計に変えられます。
まとめ
毎月赤字状態というのは自分にとっても同居している家族にとっても心身共にかなりのストレスですが、解消する方法はあります。
まず、家計簿をつける習慣をつけると共に、支出を減らし、収入を増やせるようにライフスタイルの見直しや改善を行いましょう。
また、収支を月間ではなく年間を通して確認するなど、毎日赤字から脱出するために行動することをおすすめします。
この記事を書いた人
fuyuhome ライター