#インタビュー

ジュエリーブランド GYPPHY|美しくて環境に優しいジュエリーを

ジュエリーブランド GYPPHY 滝川譲さん インタビュー

滝川譲

アメリカ生まれの沖縄育ち。

高校は沖縄県立普天間高校に通い、途中2年間アメリカのコロラド州に留学。卒業後上京し都内の大学に通い、1年はオーストラリアの大学にてマーケティングの修士号を取る。半導体製造に必要な精密研磨機器や産業用の人工ダイヤモンドなどの消耗材を販売する外資系企業に就職しながらグロービス経営大学院にてMBAを取得。その途中にモアサナイトと出会いGYPPHYを立ち上げる。昨年バンタンデザイン研究所にて1年間グラフィックデザインを学ぶ。

Introduction

サステナブルかつおしゃれなジュエリーブランド「GYPPHY(ジプフィー)」。生活の中にさりげなくサステナブルを取り入れられる商品として注目を集めています。

今回、「GYPPHY(ジプフィー)」を運営する滝川さんに、ジュエリーを通した社会課題の解決やブランドの在り方を伺いました。

お洒落もサステナブルも両方叶えるブランドに

–まず最初に事業内容を教えてください。

滝川さん:

デザイン性の高さと環境への貢献を同時に叶えるジュエリーブランド「GYPPHY(ジプフィー)」を運営しています。古代建築や身の回りの幾何学模様から得たインスピレーションと、環境に優しい合成石モアサナイトや金、シルバーの掛け合わせで、「みんながHappyになる」ジュエリーを製造・販売しています。

–サイトを拝見しましたが、素敵な商品が揃っていますね!まずデザイン面ではどのような工夫をされていますか?

滝川さん:

誰でも、どんなシチュエーションにでも使える定番ものと、身につけられる方の個性を引き出す独創的なデザインの2種類を提供しています。定番ものに関しては、一人でも多くの方に手に取っていただけるよう、シンプルで馴染みやすいものに仕上げています。一方で、常識に囚われず、自由でワクワクするような独創的なデザインのジュエリーも制作し、その方の個性を表現するお手伝いをしています。

独創的
定番

–独創的なデザインはどのようにして生まれるのでしょうか?

滝川さん:

デザイナーを探すところから始めることもありますね。クリエイティブ畑で活躍されていながら、ジュエリー業界に携わったことのないような方にもお願いすることもあります。固定概念がないので、新しい視点で独創的なものが出来上がることがあるので。

社会貢献も同時に目指して

–GYPPHYは社会問題にも配慮した活動をされていると伺いました。具体的な取り組みを教えてください。

滝川さん:

当社では、危険な労働によって採掘された素材の使用はしておりません。ジュエリーは基本的に金やダイヤモンドを使うものが多いのですが、鉱山によっては幼い子どもを厳しい労働環境で働かせる「児童労働」の問題があります。主にアフリカでは、違法で掘り起こされた鉱山が多かったり、正式な鉱山であっても、健康を害する水銀を使った精錬法が使われたりすることが多いんです。

安全な装備をせずに被ばくをしてしまうと、寿命が縮んだり、妊婦が流産することもあります。

–美しいジュエリーの裏側には過酷な現状があるんですね。

滝川さん:

はい。そのため私たちは、これらの問題を少しでも解決できるよう、フェアマインドゴールド/シルバーを商品の一部に使用しています。フェアマインドゴールド/シルバーとは、採掘時の有害物質の低減や労働環境の改善、またフェアトレード基準などをクリアした素材のことで、国際非営利組織ARMが運営しています。フェアマインドゴールド/シルバーを購入することで、生産者側の金銭的支援や教育支援ができるようになるんです。

–仕入れの段階から社会課題の解決に貢献されているのですね。

滝川さん:

はい。またユニセフの募金プログラム「ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム スクール・フォー・アフリカ」への寄付も行っています。アフリカの子どもたちに教育機会を提供できればと思っています。

–寄付も行っているんですね。

滝川さん:

寄付を始めた理由として、実はエシカルジュエリーということに対して違和感といいますか、矛盾が生まれてしまうという葛藤がありました。GYPPHYでは主に“人”に対してエシカルでありたいというブランドです。しかし例えば仮に、全ての金やダイヤモンドがいわゆるしっかりと管理された鉱山で取引された場合、児童労働のある鉱山での取引が激減するかゼロになってしまうということになります。これにより、そこで働いている人の家族や子供は路頭に迷ってしまうというトレードオフの関係に当たってしまうんです。

それは私の考えている理念には反しますし、今やっていることはただの綺麗事になってしまうという矛盾に葛藤しているという状況です。ただ、そんな中でも今GYPPHYで何ができるのかと考えた時、特に大きなことはまだできないからこの寄付プログラムに参加していたという背景があります。

– 一方が良くなれば他方に影響が出るかもしれないトレードオフの関係についても配慮されているんですね。

滝川さん:

さらに、私たちが使う石にもこだわりがあります。一般的なジュエリーに使用される金やダイヤモンドではなく合成石のモアサナイトを使っているんです。

–それはなぜですか?

滝川さん:

まずは、ダイヤモンドを採掘する際の問題点をお話しますね。ダイヤモンドを採掘するには、大きな機械を使って大量の土を掘り起こす必要があり、そのためには多くの電気も使います。また深い穴となるので、子どもが落ちてしまうなど危険と隣り合わせなのです。一方モアサナイトは合成石なので、このような鉱山での採掘やそれに伴う問題と関わりはありません。※1

–ダイヤモンドと比べたジュエリーとしての性能はいかがですか?

滝川さん:

モアサナイトは光を強く分散し、その量はダイヤモンドの2.5倍※2とも言われています。虹色に輝く綺麗な光で、お客様からもご満足いただけていると感じています。

–モアサナイトは、安全かつ手に届きやすい価格でジュエリーとしての魅力にあふれる素材と言えますね。

※滝川さん補足
※1:ダイヤモンド鉱山全てが悪い訳ではなく、一部はしっかりと環境問題を管理しているところもあり、必ずしも人工石が全て正義というわけではありません。
※2:モアサナイト、ダイヤモンドどちらの輝きが綺麗かという良し悪しを比較するものではありません。

梱包材もエシカルに

–梱包材にもこだわっていらっしゃると伺いました。

滝川さん:

ジュエリーボックスから保証書まで、FSC認証を得たものを使用しています。過剰包装を避けつつ、大切な商品をしっかりと保護できるよう工夫を凝らしています。

FSC認証とは

環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組み”(FSC国際事務局ホームページより)

–素材から梱包材まで徹底したエシカル活動で素晴らしいと感じました。このような活動を広く伝えるために行っていることはありますか?

滝川さん:

私たちの製品を購入してくださったことで、環境保護や児童労働の改善に繋がっているということが分かるメッセージカードを購入者の方にお送りしています。実際にこのカードを見て、「このような取り組みを初めて知りました!少しでも地球に優しい行動が出来て良かったです」と連絡を頂く時もあります。その時は本当にこのブランドに対する「やりがい」を感じますね。

他にも、メッセージカードにQRコードを付けています。コードを読み取ると、弊社のデザイナーからのメッセージ動画を見ることができ、モノのストーリーも知れるようにしています。

サステナブルブランドとしての「在り方」

–最後に今後の展望について教えてください。

滝川さん:

サステナブルな取り組みについて色々とお話しましたが、実はそれ自体を全面的に押し出すことには違和感を感じています。

エシカルなことや社会課題の解決は企業として当たり前のことであり、それよりも製品でどれだけお客様を喜ばせることができるかが大事だと考えているからです。そのためにも、これからもファッション性を追求しつつ、環境保護や児童労働の問題を伝え続けられるようなジュエリーブランドとして成長させていきたいです。

–ありがとうございました。

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