通信教育とは?取得できる資格や選び方、おすすめも

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本業の基礎学力をきちんとつけたい学生、学校で学べないことを学びたい人、習いたかったことがあったけど忙しくてできなかったなどの想いを心に持つ中高年の方、そんな方がたくさんいるのではないでしょうか。

通信教育は、誰でも始められる教育制度です。近年は実に多種多様な講座・コースが学習者を待っています。人生100年時代、いつからでも遅くありません。後半はおすすめ講座も挙げていますので、学びたいこと、学びたかったことを見つけてみませんか。

通信教育とは

通信教育とは、印刷物やテレビ、ラジオ、インターネットなどを使って、離れた場所から提供される教育のことです。

学校通信教育と社会通信教育

文部科学省は、通信教育を2つの区分に分けています。

  • 学校通信教育学校の教育課程として行われる
  • 社会通信教育学校通信教育を除くもの。主に青少年・成人を対象とする。

内容は下表のようになっています。

区  分内   容基準法律
学校通信教育・大学・短期大学通信教育
・高等学校通信教育
・中等学校後期課程通信教育
・特別支援学校高等部通信教育
学校教育法
社会通信教育・文部科学省認定社会通信教育 社会通信教育規定・基準に基づいて101課程  (2025年現在)
・一般の社会通信教育(認定社会通信教育以外のもの)
社会教育法

通信教育の分野

社会通信教育事務系・技術系・生活教養系など非常に幅広く、学校での学習の他に利用する児童・生徒のための通信教育なども含まれます。講座数は文部科学省の認定課程だけでも101、一般のものを含めると数百〜千を超えると言われています。

下のグラフに見られるように、「語学・学術系」「ビジネス系」などを学ぶ人が多くなっています。

<利用したことがある通信教育の分野>

通信教育の方法

通信教育には大きく分けて3つのスタイルがあります。

  1. 郵便で学ぶ
  2. オンラインで学ぶ( e-ラーニング:electolonic learning )
  3. 教室で学ぶ

通常は郵便またはオンラインで学習し、一定期間スクーリングに参加するといった、この3つのスタイルを適宜使い分けて行っている課程が多くなっています。近年は 学生・社会人とも e-ラーニングを利用する学習者が増え、特にコロナ禍以降その傾向は強くなってきています。

なぜ通信教育は必要なのか

2024年の調査では、

  • 高校通信教育利用者:約29万人
  • 大学通信教育利用者:約18.5万人
  • 文部科学省の認定社会通信教育利用者:約4.5万人

という結果が出ており、一般社会通信教育を含めると全体で数十万人から百万人以上の人が利用してると推定されています。なぜ多くの人が通信教育を必要としているのか考えていきましょう。

通信教育の始まり

日本では、すでに江戸時代において寺子屋の普及を基盤に、識字率の高さ飛脚制度の普及によって、遠隔地に居る者同士が「手紙のやりとり」という形で通信教育を行っていました。一度出会った師匠にその後も手紙で手ほどきを受け続けたり、質問をしたりなどの事例が残っています。

明治以降は、東京で学べない地方の若者勤労学生に教育の機会を与える施策として、通信教育が行われました。女子も家庭にいながら学力をつけられる形態として宣伝されました。

特に貧しくて高等教育を受けられない人々には急速に活用されていきました。

遠隔地にいる者、また働いていて通常の形態で教育を受けられない者でも、学ぶことができる「教育の機会均等」を具現化した形が通信教育であり、通学・下宿が軽減できる点は、経費上も大きなメリットのある教育形態と言えます。

社会通信教育の現状

現代でも社会人の利用者がとても多くなっています。実態調査によると「会社員」が最も多く、次に「主婦」そして「アルバイト・パート・フリーター」が続いています。「仕事に生かす」ために活用している人が多くなっていますが、生涯学習で充実したシニアライフを送りたいと考えて活用している方も少なくありません。

<通信教育を利用した主な目的>

学校通信教育の現状

地理的・時間的制約を受けない誰もが利用できる学習システムの通信教育ですが、学校通信教育の現状を見ると、学区内に住み仕事に従事していない生徒の利用が増えています。これは、不登校の広がりが背景にあります。

文部科学省の調査によると、通信制高校を利用している高校生が、2025年度にはすでに30万人を超え、その割合は高校生全体の9.6%、約1割を占めています。不登校になる原因は様々です。近年は自殺者も増加しており、集団教育になじめない生徒にも学習の機会を提供できる場として、メンタルケアを含めた学校通信教育が求められています。

通信教育で取得できる資格例

通信教育で取得できる資格は非常に多く、1000を超えると言われています。

学校通信教育では多くは卒業資格を得ることができますし、社会通信教育でも民間課程を含めると、課程修了後は資格を取得できるかなり多くの道が開かれています。

主な資格の例

前章で、通信教育で多く利用される分野を、「仕事に生かす・仕事を得るために」系と「趣味・教養」系の2つに大別しました。2つの分野の代表的なものをご紹介しましょう。

領  域資  格  例




仕 事 系
医療・福祉社会福祉士、看護師、臨床心理士、介護職員初任者研修 など
教育各学校教員免許、特別支援学校教諭、司書、学芸員 など
ビジネスITパスポート、簿記、宅地建物取引士、行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー など
建築・デザイン建築士、インテリアコーディネーター など
趣味・教養系食品アドバイザー、終活アドバイザー、など

分野・内容の代表的なものをご紹介しましたが、資格そのものにも種類があります。資格によっては認定試験の難易度に大きな差も生じます。どのような種類の資格があるのか、見ていきます。

資格の種類

まずその種類を整理しておきましょう。資格は次の3種類に分類されます。

資 格特    徴
国家資格・国が法律に基づいて認定する資格。医師や弁護士などは国家資格を持っていなければ業務を行うことができません。
・社会的信頼度は高く、その分試験の難易度は高い。
公的資格・政府関連機関や自治体、公益法人が認定する資格。国家資格ほど法的拘束力はない。
<例>商工会議所が実施する「簿記検定」、地方自治体が認定する「観光案内士」など
民間資格・民間機関や団体が認定する資格。
・国家資格や公的資格より比較的短期間に取得できるものが多い。

どの資格も非常に多岐にわたる種類があり、課程も様々です。特に公的資格や民間資格を得られる課程は、社会の要望によって変わります。

国家資格については「国の資格制度一覧」、文部科学省認定社会通信講座については「文部科学省認定社会通信教育一覧」で詳細をご覧になれます。

通信教育の選び方

では、実際に通信教育を活用していくにはどのような手順を踏めばよいでしょう。ポイントを解説しまとめていきます。

➀目的を絞る:キャリア?趣味?

まずは「仕事に必要」や「今後仕事に活かしたい」といったキャリア形成が目的なのか、人生をより豊かに過ごすための趣味・教養を身につけたいのか、のどちらなのかが最初の選択肢です。

前者でしたら、学校通信通信教育や文部科学省認定社会通信で資格を得る選択が近道です。後者は、資格を取れるものも取れないものもあり、地域や社会のトレンドにより実に様々な選択肢があります。概ね後者はゆったりと自分のペースで学習を進めることができます。

②資格を絞る:認定試験の有無

キャリアのためはもちろん、趣味・教養であっても、何らかの資格を得たいと考える場合は、認定試験について知っておくことが必要です。

ほとんどの講習では、修了時に学んだことが身に着いたかどうかのテストが実施されます。

それが

  • 簡単な確認テストなのか
  • 法に基づいて厳正な基準の基づいて公的機関が実施する易度の高いものなのか
  • そのようなテストは無く<修了=資格取得>となるのか

などによって負担も違ってきます。

認定試験を受けるための受験資格も、実務経験が必要とされるものや知識だけで受験できるものがあります。また国家資格でも、「食品衛生管理者」や「防火管理者」など出席や確認テストで得ることができる資格もあります。

通信教育の主催者は、修了後の見通しについても情報を提供し、サポートしてくれます。受講を希望する通信教育の詳細を把握し、修了時の対応なども考慮して選ぶことをお勧めします。

③学習スタイルを把握する:通学負担の多寡

すべてオンラインで完結する過程もあれば、実技を伴う資格取得にはスクーリングが科される場合が多くなっています。その場合、どこにどの程度の頻度で通うことになるのか、チェックしておきましょう。修了まで通学できるかどうかは、重要なチェック・ポイントです。

④その他:費用や取得後の活用など

費用もチェック項目です。

通信教育は、ほとんどが「教室に通う通常の教育スタイル」より安価です。しかし講座によっては、材料費・保険料・見学参加費用などがかかる場合があります。

条件を満たせば、学費や生活費の支援を受けられる制度もあるので、利用可能かどうかも把握してくとよいでしょう。

給付金制度については教育訓練給付金|厚生労働省

また、修了後アフターケアを受けられるかどうかも大切です。特に資格を取った後、国家試験などに対応するサポートは受けられるのか、資格はどの位有効期間があり更新手続きについてサポートしてもらえるかなどです。

講座の案内書をよく理解し、必要な場合は担当者に尋ねるなどして、情報を整理しておきましょう。

学生向け!おすすめ通信教育5選

ここからは、現行のおすすめ通信教育を学校段階別にご紹介しましょう。児童・生徒向けのものから順にご覧ください。次章の最後には、「おすすめ講座」の詳細を調べるためのリンク先も一覧にしてあります。

小学生向け:進研ゼミの「赤ペン先生」

中高年の方にはなつかしい響きのある「赤ペン先生」です。オンライン・スタイルが普及する前からある通信教育です。進研ゼミによる担任制・能力別コース選択制・きめ細かな添削がセールスポイントです。

集団教育では得られにくい、自分だけに向けた評価・励ましを「赤ペン」というツールで可視化している点が、小学生にとって大きな魅力と言えるでしょう。通信教育のロングセラーです。

費用は学年・コースによって異なります。詳しくは上記出典元のページで調べられます。

中学生向け:Z-KAIの通信教育

中学生の1番の関心事は高校受験ではないでしょうか。そこで「補習」型ではなく「進学」に焦点を絞った通信教育をご紹介します。

「増進会」からスタートしたZ-KAI(Z会)も大手通信教育の1つです。他社と同様にタブレット学習に力を入れていて、<高校受験向け><中高一貫校向け>など受験用コースが家庭や本人のニーズに細かく対応されています。

難関校向け>コースはやはり難易度が高く、費用もやや高めになっています。キャンペーンなども展開しているので、入会時期やコースの絞り方に留意するとよいでしょう。

(コースや費用の詳細はこちら

高校生向け:トライの不登校サポート

多くの高校生が通信教育に求めることは、中学生以上の受験サポートでしょう。そのための通信教育は、すでにご紹介した進研ゼミやZ会のほか、スマイル河合塾など多くの企業が対応しています。英検対策なども強化されています。

しかし、通信教育は不登校対策としても期待されていることをお話ししました。そこで、ここでは不登校サポートコースを展開しているトライをご紹介します。

集団が苦手、発達障害があるなど、様々な理由からくる悩みに答え、不登校解決をサポートしてくれる通信教育です。本人もその親も相談することができます。

大学生向け

ここでは、大学生向けの通信教育を紹介します。

大学生を目指す人向け

大学生を目指す人には通信制大学もお勧めです。多くの大学には通信制コースがあり、大学卒業資格を得ることができます。

国立の通信制大学はありませんが、通信制で受けられる講座はあり社会人も活用しています。私立大学には協会に登録している大学だけでも36校、このほかに通信制短大もあります。コースの種類や内容、学費など詳しくは各大学のホームページで調べることができます。

<通信教育課程のある私立大学>

卒業資格+αを求める大学生向け:DMM WEBCAMP

大学入学後は、全課程を修了すれば卒業資格を得ることができます。しかし、科学技術の進化や社会情勢の変化は加速しています。AIに関する知識プログラミングのスキルなどは、文系学部の学生でも身につけおく必要に迫られています。本来の学業を行いながら学ぶには、通信教育はまさにお勧めの学習法です。

DMM WEBCAMPの通信講座は3か月コースからあり、

  • 教育支援金制度を利用できる
  • 就職サポートが充実

という利点があります。

出典:DMM WEBCAMP

大人向け!おすすめ通信教育2選

次は、大人にお勧めしたい通信制講座です。ユーキャンなど多くの窓口があり、様々な講座・コースを見つけることができます。年齢や生活スタイルに合わせて選択していただくのがベストですが、ここでは人気を誇る放送大学趣味・教養講座をご紹介します。

放送大学:誰でもいつでも

放送大学は1983年創立の通信制大学です。私立大学ですが、文部科学省・総務省によって準国立大学的な管轄を受けています。全国にサテライト・キャンパスもあり、授業はインターネット配信されます。

おすすめの理由は次の3つです。

  1. 入学試験がない:入学の機会は4月・10月の年2回
  2. インターネット配信なので時間・場所を問わずに学べる
  3. 様々な資格取得が可能:大学卒業資格を目指すコースでは高校卒業資格が必要

学ぶ意欲があれば、何歳からでも何度でも学び続けることができるので、人気が高いのもうなづけます。

趣味・教養講座:ユーキャン;人気講座1位は?

ユーキャン(U-CAN)通信業界の老舗ともいえる教育・出版会社です。

ウェブサイトやパンフレットの申込用紙などから、ジャンルを絞り講座を申し込むことができます。趣味・教養のジャンルなので1つに絞り込むことは控え、毎年ユーキャンから発表される「人気講座」を下に挙げました。

<2025年下記半期人気講座>

講座名学習スタイル標準期間費用取得資格など
実用ボールペン字印刷物4か月約3万円検定合格を目指せる
宅地建物取引士印刷物スマホ学習6か月約5.5万円宅地建物取引士給付制度対象
医療事務印刷物スマホ学習4か月約5万円医療事務認定実務者給付制度対象

<おすすめ通信教育講座の詳細リンク先一覧>

対象おすすめリンク先
小学生進研ゼミ進研ゼミ小学講座 :チャレンジ・チャレンジタッチ | 
中学生Z-KAIZ会の通信教育 中学生向けコース
高校生トライ不登校サポートコース | トライのオンライン個別指導塾
大学生私立大学通信教育私立大学通信教育協会
DMM WEBCAMPDMM WEBCAMP
社会人放送大学放送大学
ユーキャン通信講座 全一覧-ユーキャンの通信講座【ユーキャン】

通信教育とSDGs

最後に通信教育とSDGsとの関わりをお話しします。

最も関わりの深いのは、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」です。

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」との関わり

この目標のゴールは「すべての人々に、だれもが受けられる公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことです。には

この目標には10のターゲットが挙げられています。その内の1つ<ターゲット4.a>には、

だれもが利用できる効果的な学習環境を提供する」ことが挙げられています。

日本では生涯学習政策を強化しています。その随身の一環として文部科学省が通信教育の充実を図り、厚生労働省は教育訓練給付制度で、経済産業省は高度なスキルを身につけるための独自の講座を設け、優秀者を表彰したりしています。

生徒・学生はもちろんのこと、社会人でも学びたい人が容易に学べるような制度が通信教育です。「生涯学習の機会を促進する」という目標の達成に直結する制度です。

>>SDGsに関する詳しい記事はこちらから

まとめ

通信教育について、必要とされる理由と各種の得られる資格、選び方を解説してきました。事例も代表的なものを各年代別に挙げてきました。

周りを見回すと、リタイヤした方だけでなく、在職者でもスキルアップを目指して学び、新たな資格を手にしたり、今までの資格のグレードを上げたりしている方が少なくありません。

そんな周囲に触発され、筆者も通信教育で資格取得に挑戦しました。近年の通信教育は、オンラインコースが充実し、一人でやり遂げなくてはならない孤独感もかなり解消されています。学費のかかるものもありましたが、資格を取って仕事を得、その後の収入に結びついたので、かかった費用は「投資」の形とすることができました。自己管理能力も少しアップしたように感じます。

終身雇用や年功序列は過去のものになりつつあります。そして人生100年時代と言われてもいます。学びたいこと・学びたかったことを通信教育で実現させてみませんか。

<参考資料・文献>
*1) 通信教育とは
文科省認定社会通信教育 – 一般財団法人社会通信教育協会
eラーニング – Wikipedia
社会通信教育に関する実態調査 報告書
通信教育およびeラーニングの活用実態調査
*2) なぜ通信教育は必要なのか
社会通信教育の振興:文部科学省
日本で通信教育が始まったのはいつ頃か。当時の状況を知りたい。 | レファレンス協同データベース
社会通信教育に関する実態調査 報告書
*3) 通信教育で取得できる資格例
国の資格制度一覧
文部科学省認定社会通信教育一覧
国家資格・公的資格・民間資格の違いとは | 資格検定百科
*4) 通信教育の選び方
教育訓練給付金|厚生労働省
*5) 学生向け!おすすめ通信教育4選 *6) 大人向けおすすめ通信教育3選
公式 | 進研ゼミ小学講座 :チャレンジ・チャレンジタッチ | 小学生向け通信教育
【2025最新】全国で人気の高校生向け通信教育・オンライン学習ランキングベスト10|口コミ・ランキングで比較【塾ナビ】
学習タブレッド&アプリ(小学生コース) – 人気の家庭学習NAVI
Z会の通信教育 中学生向けコース
不登校サポートコース | トライのオンライン個別指導塾
私立大学通信教育協会
DMM WEBCAMP
放送大学教養学部案内
放送大学
通信講座 全一覧-ユーキャンの通信講座【ユーキャン】
*7) 通信教育とSDGs 
SDGs:蟹江憲史(中公新書)

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この記事を書いた人

くりきんとん ライター

教師・介護士を経た、古希間近のバァちゃん新米ライターです。大好きなのはお酒と旅。いくつになっても視野を広めていきたいです。

教師・介護士を経た、古希間近のバァちゃん新米ライターです。大好きなのはお酒と旅。いくつになっても視野を広めていきたいです。

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