※プライバシー保護のため、インタビュイーには仮名を使用しています。
体験者の方のプロフィール
- お名前:サトシさん(仮名)
- 年代:30代後半
- 職業:個人事業主(ネットショップ・物販・せどり)10年以上
- 月収:約30万円前後
- 家族:独身・一人暮らし
- 体験の種類:PayPayカード・楽天カードで延滞→ブラックリスト→自己破産を避けながら返済継続中
- 過去の経験:20代で一度自己破産を経験し立て直した
「個人事業主が借金返せなくなるのは、一つの原因じゃないんですよ」——サトシさん(仮名・30代後半)はそう語ります。
ネットショップ・物販歴10年以上のベテラン個人事業主が、コロナ後の資金繰り悪化・体調不良・プライベートの支出増という3つの要因が重なった末、PayPayカードと楽天カードで延滞状態に追い込まれるまで。20代で一度自己破産を経験しているにも関わらず「今回は自己破産は避けたい」という葛藤と、AIを相談相手にしながら返済計画を立て直す今を、リアルな言葉で語っていただきました。
サトシさんのプロフィール——ネットショップ10年目の個人事業主
サトシさんは現在30代後半。10年以上前から一人でネットショップと物販・せどりを運営してきた個人事業主です。外注を使うこともありますが基本的に一人経営で、月収は約30万円前後。独身で一人暮らしをしています。
若い頃に就職経験はあったものの、すぐに合わずに自営の道へ。20代のころに一度借金が膨らんで自己破産を経験しましたが、そこから立て直し、10年以上ネットショップを続けてきました。「あの時の経験があったから今がある」と話す一方で、再び借金返済できない状況に追い込まれるとは思っていなかったといいます。
3つの要因が重なった——個人事業主が借金返せなくなるまで
クレジットカードの支払いが厳しくなったのは約1〜2年前のこと。サトシさんは「これと言った一つの原因ではなく、複合的な原因です」と語ります。
① ネットショップの資金繰り悪化
「コロナで需要が増えた部分もあって、売上が増えたはいいんですけど、仕入れが追いつかなくて逆に資金繰りが苦しくなった。個人事業主はやっぱり仕入れが先にお金が出るので、売れればいいって問題じゃないんですよね」
── サトシさん(仮名)
さらにコロナ禍以降、悪質な購入者による返品要求や不良在庫が増加。「詐欺師みたいに1年前の商品を返せと言ってくるような悪質な購入者が増えた」といい、在庫管理が限界を迎えたことも資金繰りを悪化させました。チャレンジできない・投資できないという状況が続き、カードに頼らざるを得なくなっていきました。
② 体調不良による収入半減
「体調を崩して、やっぱりそういう時って働く気力がなくなるんですよ。収入が半減してしまって、それが本当にきつかったです」
── サトシさん(仮名)
体調不良は医者に行くほどではなかったものの、うつ様の症状(意欲の低下・気力のなさ)が現れ、仕事に集中できない期間が続きました。独身で年齢を重ね、相談できる友人も徐々に減っていたことで孤独感も増し、精神的な苦しさにもつながっていたといいます。個人事業主は体調不良がそのまま収入減に直結する——そのリスクを身をもって実感した体験でした。
③ プライベートの支出増加
体調を回復させようと、海外のサプリメントや健康グッズへの支出が増えました。「効果があると感じているものの、継続的な出費になってしまっている」とサトシさんは話します。一度購入し始めると継続的な支出になる健康商品の特性が、月々の支出をじわじわと圧迫し続けました。
PayPayカード・楽天カードへの延滞——追い詰められた個人事業主の判断
3つの要因が重なった結果、当時使用していた4〜5枚のカードの支払いが追いつかなくなりました。そのとき、サトシさんが取った判断が「延滞を2枚に集中させる」というものでした。
「全部のカードに延滞すると、全部から督促が来て延滞料も全部かかってしまう。やむを得ず延滞するなら、1社か2社に集中させた方が実害は少ないというのが正直なところでした」
── サトシさん(仮名)
延滞を集中させたのはPayPayカード(JCBカード)と楽天カードの2枚。PayPayカードは3〜4ヶ月、楽天カードは半年ほどの延滞が続きました。その間、カード会社からは毎日のように督促の電話がかかってきたといいます。
最終的に両カードは解約となり、ブラックリストに記録されることになりました。20代のころに一度ブラックリストを経験していたサトシさんは、「PayPayカードが3〜4ヶ月の延滞でやってしまったな、という認識はありました」と話します。
PayPayカードの利用条件や返済・キャッシング枠については公式サイトで確認できます。

\サトシさんがキャッシングに使用した/

この記事に出てきた言葉の解説
ブラックリスト(信用情報への記録)とは
クレジットカードの支払いを長期間滞納したり、債務整理をしたりすると「信用情報機関」というデータベースに記録が残ります。この状態を俗に「ブラックリストに載る」と言います。この期間中は新しいクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが難しくなります。延滞の場合は解消後から約5年が目安です。
20代の自己破産経験と「今回は避けたい」という葛藤
サトシさんは20代のころ、別の借金問題で一度自己破産を経験しています。その時は信用情報機関に自分で開示請求をして、ブラックリストに載っていることを客観的に確認しました。「知り合いのアドバイスで、そういうのは客観的に見ておいた方がいいと言われて。お金を払って開示請求したら、ブラックに乗ってますねと言われた」といいます。
その経験があるからこそ、今回の状況でもブラックリストへの記録は覚悟の上でした。しかし自己破産については、一度経験した身として複雑な気持ちがあります。
「具体的に立ち直る術が見えているわけではないんですけど、自己破産まではプライドというか意地みたいなものがあって。もう少し自分を信じたいという気持ちがあるんです」
── サトシさん(仮名)
現在はお金が足りなくなった時は隙間バイトや資金調達で凌ぎ、どうしても無理な場合は残っているカードのリボ払いやキャッシング枠を使うという生活が続いています。返済額は直近数ヶ月で緩やかに減少傾向にあるものの、まだ苦しい時期が続いているといいます。
この記事に出てきた言葉の解説
信用情報機関とは
クレジットカードやローンの利用履歴・返済状況を管理しているデータベースのことです。日本にはCIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターなど複数の機関があります。自分の情報は一定の手数料を払えば自分で開示請求して確認することができます。
信用情報の開示請求とは
自分の信用情報がどのような状態にあるかを、信用情報機関に直接問い合わせて確認することです。ブラックリストに載っているかどうかや、どのような記録が残っているかを客観的に把握するために行います。オンラインや郵送で手続きでき、数百円〜千円程度の手数料がかかります。
AIを返済計画の相談相手に——個人事業主が実践する数値管理
苦しい状況の中でサトシさんが頼りにしているのが、AIを使った返済計画の数値管理です。個人情報はプライバシー保護の設定を行った上で、返済計画をAIに入力して分析させています。
「AIって数字に関してはめちゃめちゃ強いんですよ。この返済計画は絶対破綻しますとか、成功確率何%ですかって数字で出させると、冷静に判断できるんです。ポジティブなことを言ってくれても、じゃあ成功確率は?って聞くと、230%で厳しいですみたいに出てきて。そういうところで相談相手になってくれている」
── サトシさん(仮名)
物販・ネットショップを長年運営する中でSEOや検索キーワードに精通しているサトシさんは、情報収集にも独自のアプローチを取っています。「一般の人が1〜2回検索してあきらめてしまうようなキーワードでも、どこまで掘り下げれば必要な情報にたどり着けるかが分かる」といいます。現在はネット検索に加えてSNSも活用して情報収集を行っています。
サトシさんから同じ状況の個人事業主へ——5つのアドバイス
インタビューの最後に、個人事業主として借金返せない状況に追い込まれている方へ向けて、サトシさんから具体的なアドバイスをいただきました。
アドバイス①:まず「現状把握」から始めよ
「残高、動かせるお金、毎月の支出、返済額、利子——まずここを数字で整理することが何よりも大事です。人に相談する時も、そこが分からないとアドバイスしようがない。お医者さんみたいなもので、いくら残ってるのって、結局そこから始まるんです」
── サトシさん(仮名)
残高や支出を見るのが怖い・見たくないという気持ちはよく分かる、とサトシさんは言います。それでも、現状を把握しなければ次の一手が打てない。まず数字と向き合うことがすべての出発点だと話してくれました。
アドバイス②:「返済を減らす」より「お金を増やす」で検索せよ
「返済とかそういうキーワードで検索すると、結局出てくる選択肢は自己破産か弁護士相談かに限られてしまって、精神的にも不安になる。だから私は『お金を増やす』『資金管理』で検索するようにしています。余力のある資金を作る方法に焦点を当てた方が、メンタルも保てるし前向きな情報にたどり着きやすい」
── サトシさん(仮名)
情報収集の「検索キーワードの切り口」を変えるだけで、たどり着く情報も心境も変わってくる——物販・SEOで培ったサトシさんならではの実践的な視点です。
アドバイス③:やむを得ず延滞するなら1社に集中させよ
延滞を勧めるわけではありませんが、どうしても支払いが追いつかない状況が迫った時のリアルな知見として、サトシさんはこう話します。
「複数社に分散して延滞すると、全社から督促が来て、延滞料も全部かかる。どうしても無理な場合は、1社か2社に集中させた方が実害が少ないというのが経験上の話です。とはいえ、そうならないに越したことはないので、まず支払い期日前に相談窓口に連絡を入れることが先決です」
── サトシさん(仮名)
アドバイス④:「債権者は自己破産されると困る」という視点を持て
「督促電話はすごく怖いですよね。でも、債権者の本音は返済してもらうこと。自己破産されるとお金が回収できないから困る。生かさず殺さずが基本なんです。命まで取られないというか、むしろ体をボロボロにされたら返済できないから、それは避けたいのが向こうの本音。そう分かると少し精神的な余裕が生まれました」
── サトシさん(仮名)
この視点は、かつてネット上のブログ記事で目にして「目から鱗が落ちた」と感じたものだと言います。督促の電話や通知に追い詰められている方にとって、冷静に状況を見直す一つのヒントになるかもしれません。
アドバイス⑤:SNSの情報より「地味だけど本質的な情報」を探せ
「SNSには信頼性が担保されない情報が溢れています。本当に役立つのって、①自分の現状把握の方法、②気軽に無料で相談できる場所、③返済計画の立て方——こういう地味な情報なんですよ。みんな興味ないから埋もれてしまうんですけど、そこにこそ必要な答えがある」
── サトシさん(仮名)
バズを狙った情報や商業的なコンテンツが目立つ中で、地味だけど本質的な情報にたどり着くことの重要性——10年以上ネット上で情報収集を続けてきたサトシさんだからこそ言える言葉です。
サトシさん(仮名)からのアドバイスまとめ
- ① まず残高・支出・返済額・利子を数字で整理する(現状把握がすべての出発点)
- ② 「返済を減らす」より「お金を増やす・資金管理」で検索する
- ③ やむを得ず延滞するなら複数社に分散させず1社に集中させる
- ④ 債権者は自己破産されると困る——「生かさず殺さず」を知ると精神的余裕が生まれる
- ⑤ SNSより「地味だが本質的な情報」(現状把握・相談場所・返済計画)を探す
編集部コメント
Sustainable Finance Lab 編集部より
「個人事業主が借金返せない」状況は、会社員とは異なる複雑さがあります。仕入れ先行の資金繰り・売上の波・体調不良がそのまま収入減に直結するリスク——これらが重なった時、どれだけの個人事業主が同じ状況に追い込まれているか、想像するだけで胸が痛くなります。
それでもサトシさんが語ってくれた5つのアドバイスは、感情論ではなく数字と経験に裏打ちされた言葉でした。特に「まず現状把握」「返済より増やすを検索する」「債権者の本音を知る」という視点は、今まさに苦しんでいる方の心をほんの少し軽くしてくれるのではないでしょうか。一人で抱え込まず、まず自分の数字と向き合うことから始めてみてください。


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