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プラスチックフリーとは?生活でできる取り組み事例やおすすめ商品を紹介

安くて軽く、便利なプラスチックですが、環境破壊の原因の1つと言われています。その中で2022年7月にはレジ袋の有料化も開始され、日本全体で取り組まなければならない問題となっています。そのプラスチック問題の解決策として、新たに注目されている取り組みが「プラスチックフリー」です。

本記事では、プラスチックフリーの具体的な取り組みや、世界全体で行われている運動「プラスチックフリージュライ」についてまとめました。まずは、プラスチックフリーとはどのような取り組みかを見ていきましょう。

プラスチックフリーとは

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プラスチックフリー(Plastic Free)とは、「プラスチック(Plastic)」と「Free of=~がない、~を含まない」のFreeを合わせた言葉です。「プラスチック製品ではなく、別素材で作られた代替え品を選択しましょう」という意味になり、別名「脱プラ(脱プラスチック)」や「ノープラ(ノープラスチック)」とも呼ばれています。

SDGsやサステナブルへの注目により加速

近年、世界全体でSDGs・サステナブルに対する注目の高まりや、UNEP(国連環境計画)が2018年に発表した報告書の中で、「1人あたりのプラスチック廃棄量が2番目に多い国」として日本の名前を挙げたこともあり、プラスチックフリーへの取り組みが加速しています。

とくに、世界的なプラスチックフリーの取り組みである「プラスチックフリージュライ」への参加者は、年々増加傾向にあります。

毎年7月はプラスチックフリージュライ

プラスチックフリージュライとは、オーストラリアの慈善団体「Plastic Free Foundation 」が2011年から始めた、「使い捨てプラスチック製品の使用をやめて、環境に配慮した暮らしを意識しましょう」という運動です。

毎年7月の1カ月間開催されていますが、プラスチックフリージュライの期間終了後も続ける人が多く、関心が高まるきっかけになっています。また、公式サイトにてプラスチックフリージュライへの参加登録をすると、毎週メールでプラスチックフリーを行うコツやヒントが届きます。

Plastic Free Foundationが発表した「2021年 年次報告書」によると、これまで190ヶ国に暮らす3億1,300万人がプラスチックフリージュライを行っており、2021年には1億4,000万人が参加したと報告されています。

誰でも参加できるプラスチックフリージュライ

プラスチックフリージュライに参加する人が増えている理由として、「取り組みやすさ」や「誰でも気軽に参加できる」などが挙げられます。

参加方法も簡単で、

  1. プラスチックフリージュライ公式サイトにアクセス
  2. 画像左下の「Yes!Iwill take the challenge!」のボタンをクリックし、名前やプラスチックフリージュライに参加する場所などの必要事項を記入。
    参加期間も、「1日」「1週間」「1ヶ月」「これから先」と自由に選ぶことができ、期間内にどの程度プラスチックフリーに挑戦するかも自分で決められます。

上記のステップを完了すると、プラスチックフリージュライへの参加表明をしたことになります。

参加表明後、「具体的に何をすれば良いのだろう?」と思った時は、公式サイトInstagramを覗いてみましょう。公式サイトでは、場所や用途別にできるプラスチックフリーの取り組みも紹介しています。

このようにプラスチックフリージュライは、自由度が高いうえに団体からのフォローも手厚いため、誰でも気軽に参加できるのです。

プラスチックフリー生活のメリット

ここからは、プラスチックフリーな生活を送るメリットを見ていきましょう。

自然環境に優しい生活を送れる

プラスチックフリーは、気軽にできる自然環境に優しい取り組みです。自分のペースで無理なく行えるため、「自然環境に優しいことをしたいけれど、忙しくてなかなか行動に移せない」という人にも、挑戦しやすいものだと言えるでしょう。

無駄な出費が少なくなる

プラスチック製品は安価な物が多く、「早急に必要な物ではないけれど、安いから買っておこう」とつい手を伸ばしてしまう人もいるでしょう。しかし、プラスチックフリーの生活では「本当に必要な物か?」を意識するようになり、プラスチック製品は勿論、「安いから」という理由で物を購入しにくくなります。その結果、無駄な出費も少なくなります。

プラスチックによる負のループを解消できる

プラスチックの種類の1つに、「マイクロプラスチック」があります。マイクロプラスチックは洋服の繊維や歯磨き粉に含まれており、洗濯や歯磨きなどをきっかけに外へ流出すると、やがて海へ辿り着きます。海に流れ出たマイクロプラスチックは回収が困難で、さらに魚がエサだと思い食べてしまうのです。

食べたマイクロプラスチックは、体外へ排出されずに蓄積されます。その魚が捕まえられて市場で販売されれば、最終的に人間が食べてしまう可能性もあるのです。プラスチックフリーの生活を意識すると、このような負のループを解消できます。

ここまでは、プラスチックフリーの生活に対するメリットをお伝えしました。続いては、実際にどのような取り組みがあるのか詳しく見ていきましょう。

通学・通勤時にできるプラスチックフリーの取り組み

まずは、通学・通勤時にできるプラスチックフリーの取り組みを紹介します。

テイクアウトはマイボトルで

通学や通勤前にカフェに寄り、飲み物を購入する人も多いと思います。この時、テイクアウト用のコーヒーカップではなく、マイボトルを持参しましょう。カフェによっては、マイボトルを持参すると値引きをしてくれる所もあります。

例えば、スターバックスコーヒーでは、マイタンブラーまたはマグカップを持参すると飲み物が22円引きに。タリーズコーヒーでは飲み物が30円引きになります。環境だけではなく、お財布にも優しい取り組みと言えるでしょう。

プラスチック製の容器に入っていない日焼け止めを使う

通勤・通学中の日焼けを防ぐために、日焼け止めを愛用している人も多いでしょう。なかには、一年中使用している人もいます。日焼け止めはプラスチック容器に入っているものが多く、塗る頻度が多い程、容器の廃棄量も増えていきます

そこで、缶に入ったバームタイプの日焼け止めや、瓶に入った日焼けを抑える植物オイルなどのプラスチック以外の容器のものを選択してみてはいかがでしょうか。

折り畳み傘を持ち歩く

日本のビニール傘消費量は年間8,000万本。突然の雨でもコンビニなどに売っていて、なおかつ安価なビニール傘は大変便利です。しかし、雨が上がると置き忘れたりその場に放置したりする人がいることも事実です。また、お店に設置されている、傘の水滴が落ちないようにする雨カバーもプラスチックでできています。

ビニール傘の購入や雨カバーを利用しないためにも、折り畳み傘を持ち歩きましょう。折り畳み傘であれば、置き忘れや邪魔になることもありません。ビニール傘のために払っていたお金も、他の買い物に使えます。

キッチンでできるプラスチックフリーの取り組みとおすすめ商品

ここからは、実際にプラスチックフリーの取り組みをシーン別に見ていきます。まずは、キッチンでできるプラスチックフリーの取り組みです。

ラップやスポンジなどの消耗品に注目

キッチンは、プラスチックの使用頻度が高い場所の1つです。そのため、最初に普段どのようなプラスチック製品を使用しているかを挙げ、その中でも特に使用頻度が高い、または取り換える回数が多い消耗品に注目しましょう。

例えば、

  • ラップは繰り返し使用できる素材を選択する
  • 洗い物用のスポンジは天然繊維のものを使用する
  • 洗剤を液体から固形のプラスチックフリーのものにする
  • 保存容器は陶器やガラス製を選ぶ
  • ジップロックの代わりにシリコン製の保存バッグを使用する
  • 三角コーナーの生ごみは新聞紙で作った袋に入れる

などが挙げられます。

繰り返し使えるおすすめ商品「みつろうラップ」と「セルローススポンジ」を紹介します。

【株式会社KAWAGUCHI】みつろうラップセット

みつろうラップとは、ミツバチから取れる「天然のろう」を布に染みこませたラップです。気温の低い場所では硬くなり、高い場所では柔らかくなるみつろうの特性を活かした製品となっています。そのため、蓋をする際は、手で器のふちを温めながら形をつけていきます

また、みつろうラップは、水洗いすることによって繰り返し使用できるとてもエコな製品です。雑貨屋さんやデパートでも購入できますが、株式会社KAWAGUCHIでは、みつろうラップを手作りできるセットも販売しています。使わなくなった衣服や小物の布を活用できるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか

みつろうと布がセットになっており、生地も柄がプリントされたものとオーガニックから選べます。好きな生地で作りたい方は、みつろうのみの購入がおすすめです。

公式サイト:株式会社KAWAGUCHI

【スピカココ】セルローススポンジ

セルロースとは、天然の植物性繊維です。水に溶けない「不溶性食物繊維」に分類され、ごぼうや大豆などに多く含まれています。天然の植物性繊維のため、廃棄すると分解され最後は土に還ります。

スピカココの「天然生まれのキッチンスポンジ」は、セルロースを100%使用し、洗剤の馴染みも良く洗い物もスムーズに行えます。熱湯消毒も可能で雑菌が繁殖しにくい性質のため、衛生面の心配もありません。

公式サイト:スピカココ

掃除・洗濯でできるプラスチックフリーの取り組み

続いては、掃除・洗濯に関するプラスチックフリーの取り組みを見ていきます。

長く使えるプラスチック以外の素材に切り替える

プラスチック製品のデメリットの1つに、「壊れやすい」ことがあります。洗濯や掃除は、ほぼ毎日行うため、使用頻度が高くなるとそれだけ劣化も早くなり、取り換える回数も増えてしまうでしょう。

そのため、

  • ハンガーや洗濯ばさみをステンレス製や木製に変える
  • 紙のパッケージに入った洗濯用粉石けんを使用する
  • ソープナッツ※で洗濯する
  • 洗濯用ネットはコットン生地の巾着袋やマイクロプラスチックを流さないネットを使用する
  • 掃除機ではなく、天然素材で出来たほうきを使用する
  • 部屋の消臭剤を重曹または炭に変える

など、プラスチックフリーの製品の使用をおすすめします。

ソープナッツ

「リタ」というムクロジ科の植物の実。昔から服や髪を洗う時に使われていた。

今回は、「高田耕造商店の棕櫚(しゅろ)のほうき」と「Patagoniaの洗濯ネット」を紹介します。

【高田耕造商店】棕櫚(しゅろ)のほうき

ヤシ科の樹木である「棕櫚(しゅろ」は、繊維が細かくしなやかさが特徴だと言われています。ホコリを舞い上げることなく掃除でき、ほうきの先で床を傷つける心配もありません。軽くて作業も楽に行えることもポイントです。職人の手によって1つずつ丁寧に作られており、値段が1本1万円以上とお高めですが、使い方次第では10〜20年もつとしています。

新しくまだ繊維が硬い状態の時は室内用として、少しすり減ってきたら玄関用に、そして最後は庭ぼうきとして使用できます。掃除機やプラスチック製のほうきを10〜20年の間に何回も変えるより、お財布や環境に優しいほうきだと言えるでしょう。

公式サイト:高田耕造商店

【Patagonia】グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ

Patagoniaの「グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ」は、マイクロプラスチックの流出を防ぐフィルターがついた特殊な洗濯ネットです。洗濯ネットと周囲の水の動きによってマイクロファイバーの形状が変化し、ネットの穴を通過できない仕組みになっています

本当に効果があるのか調べるために、科学機関や大学などに協力をお願いし、3年にわたりテストも行いました。売り上げの一部は、マイクロプラスチックに関する知識や危険性を広める団体「特定非営利活動法人STOP!」に寄付されます。

お風呂でできるプラスチックフリーの取り組み

プラスチックは耐水性に優れているため、キッチンと同様にお風呂でも見かけることの多い素材です。主に、シャンプーボトルや洗顔用の泡立てネット、洗面器、歯ブラシなどが挙げられます。ボディソープやシャンプーなどの詰め替え用の容器も、使用頻度が高いため捨てる回数が多いものの1つです。

お風呂のアイテムをプラスチック製以外の素材に入れ替える

プラスチック製品の代替品を選ぶ場合、お風呂で使用することが前提のため水に濡れても大丈夫な素材を選ばなければいけません。

例えば、

  • プラスチック製の洗面器や椅子をステンレス製や木製に変える
  • 液体シャンプーやボディソープではなく、シャンプーバーや固形石鹸を使用する
  • プラスチック繊維ではなく天然繊維のタオル、海綿※スポンジやヘチマなどに変える
  • お風呂の蓋を木製に変える
  • 浴室掃除は麻や綿など天然繊維の布とたわしを使用する

などが挙げられます。

急にすべてのプラスチック製品を変えることは難しいため、少しずつ変えていきましょう。

海綿

潮間帯〜深海の底に広く分布する無脊椎動物の一種。化粧品やお風呂用品に用いられることが多い。

お風呂場のおすすめ商品として紹介したいものが「海綿家の海綿スポンジ」と「turalist(美らりすと)の歯ブラシ」です。

【海綿屋】海綿スポンジ

海綿スポンジは泡立ちと肌触りが良く、汚れもきれいに落としてくれます。また、人間の皮膚に近い繊維状たんぱく質(アミノ酸)で構成されており、化学繊維のタオルより低刺激なところも特徴です。肌を傷つけずに優しく洗い流してくれるため、赤ちゃんの肌にも使えます。

海綿は700種類ほどありますが、全身用は「ハニコム種」、洗顔や子ども用は「ソフトシルク種」が良いそうです。海綿屋もこの2種類を取り扱っており、全身用〜洗顔・化粧用、子ども用まで揃っています。

公式サイト:海綿屋

【Nhes.】turalist(美らりすと)

turalist(美らりすと)は、天然木と天然毛で作られた日本製の歯ブラシです。持ち手は家具を製造する際に出るブナの端材を使用し、ブラシの部分には食肉用の豚や牛の毛を活用しました。すべて天然素材で作られており、最後は土に還ります。

プラスチック製の歯ブラシより柔らかく、歯や歯茎にも優しいところも特徴です。オシャレなガラス瓶に入っているため、プレゼントにもおすすめです。

公式サイト:turalist

まとめ

以前より環境配慮が意識されるようになり、少しずつプラスチックフリーな生活に取り組む人が増えてきました。プラスチック製品は、私たちの生活のあらゆる所に存在します。そのため、急にプラスチック製品を減らすのではなく、少しずつ減らしていきましょう。

マイバッグを持ち歩いたり、みつろうラップを使ってみたりと、自分のできる範囲で少しずつ変えていけば良いのです。美しい地球を守るためにも、できることから始めましょう。

〈参考文献〉
PLASTIC FREE JULY|Plastic Free Foundation
日本のプラごみ廃棄量は世界2位。世界の「脱プラスチック」の動き|日本財団ジャーナル
2021年年次報告書|プラスチック廃棄物削減|Plastic Free Foundation
タンブラーを楽しむ|スターバックスコーヒージャパン
タンブラー/マグ割引|タリーズコーヒー
ミツロウとは|山田養蜂場のみつばち健康科学研究所
天然海綿とは?|海綿屋
turalist自然に環る歯ブラシ|株式会社プラス
アウトドアウェア|パタゴニア
肌に優しい洗剤・全身シャンプー|スピカココ・オフィシャルサイト
【公式】高田耕造商店|高田耕造商店
布でつくるみつろうラップ|株式会社KAWAGUCHI
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