SDGsは、世界が抱える貧困や紛争・インフラの未整備・水や食料の供給・教育や医療など、さまざまな問題の解決を目指しています。そこで目標17は、個人・企業問わずにパートナーシップを結び、それぞれの強みを生かして課題の解決を目指すことを掲げています。
例えば、貧困の解決が期待される技術を開発したものの、途上国に届ける手段を持たない企業があるとします。この場合、世界中に情報網を持つ個人や他の企業と協力することで、より効率的に技術を提供できるようになるでしょう。
このように、一人の力ではどうすることもできない問題を、みんなが協力することで、解決へのスピードが加速するのです。
実際にSDGsの採択後、さまざまな企業が手を組んで課題に立ち向かっている事例を目にする機会が増えました。
その一方で、行政や企業同士のパートナーシップの重要さばかりが目立ち、個人で取り組めることがあまり伝わっていないのも目標17の現状。そこで今回は、目標17のために個人ができることを5つ紹介します!

目次
【小さな額が大きな力へ】国際NGO団体やSDGsに取り組む企業に募金をする
SDGsに取り組む団体や企業がパートナーシップを強化し、継続的に支援を行うためには、少しでも多くの資金が必要です。そこで個人として募金を行うことで、取り組みをサポートすることができます。
募金を受けつけている団体・企業
SDGsに取り組んでいる企業・団体は多数ありますが、その中でも個人からの募金を受け付けている団体を紹介します。
JICA
「JICA(Japan International Cooperation Agency)」は、発展途上国の人々がより良い生活を送れるよう、国際協力に取り組む機関です。日本の技術を途上国の人々に伝える「技術協力」や、国づくりに必要な資金を提供する「資金協力」を行ってきました。
支援を続けていくため「世界の人々のためのJICA基金」を募集しており、集まった募金は、途上国での、
- 教育
- 貧困削減
- 生活向上
のための支援に使われます。
ユニセフ協会
ニューヨークに本部を置く「ユニセフ協会(UNICEF:国連児童基金)」は、一度は耳にしたことがある有名な支援団体ですが、活動資金はすべて個人や企業・団体からの募金や任意拠出金で賄われています。
募金は公式サイトで募集されており、
- 毎月募金をする「マンスリーサポートプログラム」
- 遺産を寄付する「遺産寄付プログラム」
など、さまざまな方法で寄付できます。
日本赤十字社
「日本赤十字社」は、、災害救護をはじめとし、献血ルームの運営の他、防災活動や人材育成、国際活動など、苦しむ人々を救うために幅広い活動を展開しています。
災害時の救助活動やボランティアの育成などは、個人や団体からの支援によって継続されます。募集している寄付の種類には、
- 赤十字活動へのご寄付
- 国内災害義援金
- 海外救援金
- 遺贈、相続財産などのご寄付
などがあります。
個人からの募金がパートナーシップをより強くする
「実際にお金がどこでどのように使われているか分からず、不安。」
という思いから、募金をすることに抵抗のある人もいるかもしれません。実際に、日本ファンドレイジング協会「寄付白書」によると、日本の募金は一世帯アメリカやイギリスと比較し、少ないのが現状です。
しかし、支援団体は活動内容を明らかにしているケースが多く、募金したお金がどのように使われたかが分かるようになっています。次に、報告書をもとに、実際に募金によって行われた支援の例を紹介します。
JICAは、「世界の人々のためのJICA基金」で集まった基金によって、2019年に7か国で8案件を開始し、4案件が完了しました。
そのなかの1つを取り上げると、ネパール大震災によって被災した地域で、
- 農地の借り上げ
- ビニルハウス設置
- 収穫
- 販売
を展開。
収穫した野菜は村の学校へ提供され、子どもたちの健やかな成長に繋がっています。さらには、学校の衛生環境改善にも寄付金が使われました。
また、ユニセフは、個人からの募金によって、どのような支援物資を調達できるかを紹介しています。
- 381円→子ども用の鉛筆10本とノート10冊
- 1,144円→クレヨン8色入り10箱とスケッチブック10冊
- 368円→縄跳びの縄10本
- 1,284円→HIV/エイズ簡易診断キット10回分
このように、私たちにとって小さな額でも、途上国の子ども達の教育や医療に大きく貢献することができます。募金に不安がある方はまずは支援団体のHPを覗いてみてはいかがでしょうか。
どのようにSDGsの達成につながるのか
国際機関やNGO団体に募金をすることは、
17.1 税金・その他の歳入を徴収する国内の能力を向上させるため、開発途上国への国際支援などを通じて、国内の資金調達を強化する。
17.3 複数の財源から、開発途上国のための資金をもっと集める。
17.9 SDGsにかかげられたすべてのことを実施するための国の計画を支援するために、南北協力や南南協力、三角協力などを通じて、開発途上国において、効果的で的をしぼった形で能力を高めていけるように、国際的な支援を強化する。
などに貢献します。また、その団体の活動を間接的にサポートすることになり、SDGsのあらゆる目標につながります。
【輪を広げよう!】SDGsに関連したイベントに参加する
個人ができることに、SDGsに関連したイベントに参加してみることも挙げられます。
- そもそもSDGsとはどんなものなのか
- 目標17達成のために自分たちに何ができるのか
など、イベントの運営者や他の参加者と意見を交わすことで、よりSDGsへの理解が深まります。
また、このようなイベントから輪を広げ、新たなパートナーシップが生まれることも少なくありません。実際に、Spaceship Earthの編集者も、イベントに参加したことで学校関係者とのつながりができ、教員向けの講習会を行うきっかけとなり、SDGsの認知を広げることにつながりました。
おすすめのSDGs関連イベント
個人で参加できるSDGs関連イベントには、下のようなものがあります。
【イマココラボ主催】【10/6午後開催】自分を、そして世界をアップデートする ~SDGsという問い~
社会システムの変革に貢献する「イマココラボ」は、定期的にSDGsに関するイベントを開催しています。2021年10月6日開催のイベントでは、カードゲームを用いて、SDGsを「体験する」ことを目的としました。他の参加者と対話をし、意見を交換し合うことで新たなパートナーシップを築くことができるかもしれません。
直接はちょっと…という人はキャンペーンに参加!
イベントに参加してみたくても、直接足を運ぶのに勇気がいる人もいると思います。そんなときは、支援団体などがオンラインで開催するキャンペーンに参加するのもおすすめです。
おにぎりアクション
「おにぎりアクション」は、特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」が展開するキャンペーンです。SNSで「#OnigiriAction」をつけて投稿すると、賛同企業・団体による費用負担で、アフリカやアジアの子どもたちに給食が届けられます。2021年は10月5日から開始予定です。
どのようにSDGsの達成につながるのか
SDGsに関わるイベントに参加することは、市民社会のパートナーシップ推進するため、、
17.16 全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
に貢献します。
【より良い世界への投資】ESG投資を始める
「ESG投資」は、投資をしている、もしくは投資を検討している人におすすめの取り組みです。
SDGsと投資の関係がいまいちピンとこない人も多いと思うので、ESG投資の仕組みを説明します。
ESG投資とは?
ESGとは、「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(企業統治)」から成り立ちます。これらの3つの視点を考慮し投資を行うことを、ESG投資と言います。
例えば、売上など数字を元にしたデータに加え、
- 地球環境に配慮した事業を行っているか
- 過度な労働や給与未払いなどが行われていないか
- 違法な取引を行なっていないか
なども重要して投資先を選ぶのです。
その背景には、経済の成長に伴い、
- 温室効果ガスの排出による地球温暖化
- 工業廃水による水質汚染
- 長時間労働
- 賃金格差
など、環境や社会の問題が表面化したことがあります。これらを解決するために議論が重ねられ、これからはESGの観点を重視することで、企業・投資家ともにメリットがあり、地球を持続可能なものにできると考えられたのです。
ESG投資が、SDGs目標達成の後押しをする
GSIA(Global Sustainable Investment Association)の統計によると、まだ日本ではESG投資市場は小さいものの、2016年から2018年の2年で規模は4倍以上になり、今後さらに注目されていくと予想されています。
ぜひ投資を検討する際は、ESGの観点から企業を選択してみてはいかがでしょうか。
どのようにSDGsの達成につながるのか
SDGsに取り組む企業に投資することは、公平な取引を行うことを後押しし、
17.10ドーハ・ラウンド(ドーハ開発アジェンダ=DDA)の交渉結果などを通じ、世界貿易機関(WTO)のもと、普遍的でルールにもとづいた、オープンで差別的でない、公平な多角的貿易体制を推進する。
17.13 政策協調や首尾一貫した政策などを通じて、世界的なマクロ経済の安定性を高める。
につながります。
【国際社会に優しい買い物を!】フェアトレード製品の購入
普段の買い物からフェアトレード製品を選ぶことで、途上国の生産者とパートナーシップを結ぶことができます。
私たちがフェアトレードが行われている製品を購入することで、生産者の支援につながります。
とはいえ「フェアトレード製品は身近に売ってないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、最近ではコンビニやスーパーでもみつけられるようになりました。そこで、次ではフェアトレード製品の見分け方を紹介します。
フェアトレード製品の見分け方
フェアトレード製品を探す最も簡単な方法は、上記画像の国際フェアトレード認証マークが貼られたモノをみつけることです。。これは社会的・環境的・経済的基準を満たした商品にのみつけられるマークで、生産者にとってフェアな価格で貿易を行われていることを意味します。
チョコレートやバナナなど、さまざまな商品に貼られているのでぜひ探してみてはいかがでしょうか。
とはいえ認証マークの付いていない物も
とはいえ、なかにはマークのついていないフェアトレード製品もあります。その理由に、認証料が挙げられます。メリットがあると分かっていても、認証料を支払う余裕がなく、登録を諦めてしまう生産者もいるのです。
そのため、フェアトレード製品専門のマルシェやお店でお買い物したり、商品を扱う企業のHPをチェックするのもおすすめです。フェアトレード製品を取り扱うお店を集めたホームページもあるので、興味のある方は目を通してみてください。
SDGsのあらゆる目標に関わるフェアトレード
フェアトレードの推進は、パートナーシップを強化し目標17の達成に貢献するだけでなく、他のさまざまな目標達成につながります。
- 適切な価格で取引を行うことで、生産者に対等な対価が支払われ、目標1「貧困をなくそう」や目標2「飢餓をゼロに」の解決につながる
- 環境に配慮した生産の推進により、目標13「気候変動に長期的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の解決につながる
このように、フェアトレード製品を購入することで、多くの目標の達成が近づきます。
【まずはリツイート&シェアから】SNSで情報発信しよう!
最後に紹介するのはSNSでの情報発信です。
総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要」によると、20代でTwitterやInstagramを利用している割合は、全体の半数以上を超えています。これらのSNSを使用し発信することで、多くの人に情報を届けることができるのです。
なぜ情報発信が大切なの?
電通Team SDGs・電通マクロミルインサイトが2021年1月に実施した調査によると、SDGs認知率は54.2%。前回の調査と比べ増加傾向にあるものの、「内容まで含めて知っている」と答えた人は全体のわずか20.5%でした。
この現状を変えるためには、多くの人が利用するSNSで情報を発信することが大切です。また、インターネットを通じて発信をすることで、遠い場所に住んでいても同じ意思を持つパートナーとつながることができ、考えを深めることができるでしょう。
まずフォローしたいおすすめアカウント
SDGsについて発信するためには、最新で有益な情報を知ることが重要です。ぜひフォローしたい、おすすめのアカウントを紹介します。
外務省xSDGs
「外務省xSDGs」は、外務省地球規模課題総括課の公式アカウントです。SDGsの基礎知識ツイートから、地球規模課題への取り組みについて発信しています。クイズ形式の投稿もあるので、楽しくSDGsについて学べます。
ハフポストSDGs / 仕事に役立つSDGsニュース
「ハフポストSDGs/仕事に役立つSDGsニュース」は、SDGsに関する記事を投稿しているアカウントです。教育・社会・環境などさまざまな内容をツイートしており、「メディアが出演者の男女比率を気にした方がいいのはなぜ?」など、じっくりと記事まで読みたくなる投稿が見られます。
石野拓弥@SDGs社長【エレビスタ株式会社】
「石野拓弥@SDGs社長【エレビスタ株式会社】」は、環境問題を中心に、SDGsに関するツイートをしています。また、サステナブルの商品や、ソーシャルグッドな企業の紹介をしており、普段の生活の中でできるSDGsへの取り組みを知ることができます。
友人や家族にどう思われるかが心配で情報発信が苦手!という人は、まずはリツイートやシェアから始めてみましょう。
どのようにSDGsの達成につながるのか
SNSで情報発信をすることは、協働できるパートナーとつながることができ、
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
に貢献します。個人間のパートナーシップを強めることは、グローバルパートナーシップを活性化させる第一歩なのです。
まとめ
この記事では、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に向けて、個人ができることを紹介しました。
SDGsへの取り組みを加速させためには国や企業、支援団体はもちろん、市民とのパートナーシップも欠かせません。
とはいえ、SDGsを知らない人がまだまだいるのも事実です。世界が抱える課題を解決するためにも、ひとりでも多くの人がSDGsを知り、手を取り合うことが今後は求められるでしょう。
この記事をきっかけに自分にできることがないか考え、少しずつ実践してみませんか?