石器時代とは?年表をもとに特徴をわかりやすく解説!

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石器時代の人々は、自然と共に生きる「理想的な暮らし」を送っていた――。そう思っていませんか。確かに彼らは、石の道具を使い、狩猟や採集によって必要な分だけの資源を得て生活していました。

しかし一方で、狩猟技術の発達が動物の大量捕獲を招き、過剰狩猟によって生態系に影響を与えた可能性も指摘されています。人類が自然と向き合い、その利用と破壊の境界に立たされたのは、実は石器時代からだったのです。

この記事では、石器時代の区分や年表、生活の特徴を整理しながら、当時の人々の営みをSDGsの視点で捉え直します。はるか昔の歴史から、現代社会が学べることとは何なのでしょうか。

石器時代とは

石器時代は石器を主な道具として利用した時代のことで、銅や青銅、鉄といった金属器が使用される以前の時代の呼び名です。デンマークの考古学者であるトムセンが提唱しました。トムセンは、文献資料が乏しい先史時代を以下の3つに区分します。*1)

【トムセンによる先史時代の区分】

時代区分利器(使用した主な道具)
石器時代石器(打製石器・磨製石器)を使用
青銅器時代銅と錫(すず)の合金である青銅を使用
鉄器時代鉄を使用

次に、石器時代のより詳細な区分を見てみましょう。

石器時代の区分

石器時代は3つの区分に細分されます。

時代区分期間日本の時代区分
旧石器時代石器時代前期旧石器時代
中石器時代石器時代中期諸説あり
新石器時代石器時代後期縄文時代

石器時代の前半にあたる旧石器時代では、石を打ち欠いて作った打製石器など、比較的シンプルな道具が使われていました。その後、石器の加工技術が発達し、細石器と呼ばれる小型で使いやすい石器が作られるようになります。この細石器が使われていた時代は、中石器時代と呼ばれています。

さらに石器時代の後半になると、石を磨いて作る磨製石器が登場し、道具の精度が大きく向上しました。この頃には、狩猟や採集、漁労に加えて、農業や牧畜、織物の生産も始まり、人々は次第に定住生活を送るようになります。日本では、この新石器時代にあたる時期を縄文時代と呼びます。*2)*3)*4)

旧石器時代との違い

石器時代と旧石器時代の違いは、指している範囲の広さにあります。石器時代とは、人類が石器を使って生活していた時代全体をまとめた呼び名で、旧石器時代・中石器時代・新石器時代を含みます。

一方、旧石器時代は石器時代の中でも前半にあたる時期で、石を打ち欠いて作る打製石器が使われていた時代を指します。つまり、旧石器時代は石器時代の一部であり、石器時代全体を表す言葉ではありません。

石器時代の出来事を年表で確認

石器時代は人類の歴史で最も長い時代区分です。ここでは、石器時代の主な出来事を年表形式で解説します。

年代時代区分できごと
500万~20万年前旧石器時代(前期)直立二足歩行初期の打製石器狩猟・採集、漁労を行う火の使用
20~4万年前旧石器時代(中期)火の使用ハンドアックスの使用死者の埋葬が始まる衣服の着用
4~1万年前旧石器時代(後期)骨角器の登場装身具の使用洞穴絵画女性の裸像
1万~9000年前中石器時代細石器の使用弓矢の登場ナイフ型石器
9000~4000年前新石器時代農耕・牧畜の本格化
磨製石器の使用土器の普及織物の始まり

石器時代は、人類が石で作った道具を使いながら生活していた時代で、非常に長い期間にわたって続きました。中でも旧石器時代は最も長く、人々の暮らしは時間をかけて少しずつ変化していきました。その後、中石器時代に入ると生活や技術の変化が次第に速まり、新石器時代には農耕や牧畜が本格的に行われるようになります。これにより人々は定住生活を始め、社会の仕組みが整い、やがて各地で国家が誕生する基盤が築かれていきました。

石器時代の生活の特徴①:食べ物の獲得方法

石器時代の人々は、どのようにして食べ物を手に入れていたのでしょうか。実は時代が進むにつれ、その方法は大きく変化しています。ここでは、狩猟・採集から漁労、農耕・牧畜へと移り変わる食生活の特徴を見ていきます。

狩猟・採集

石器時代の食生活は、「狩って、拾って、生きる」ことから始まりました。人々は自然の中に入り込み、動物や植物を見極めながら食料を確保していたのです。

【狩猟・採集で得た食べ物】

  • シカやイノシシなどの動物を狩って得る肉
  • クリやクルミ、トチの実などの木の実
  • ヤマノイモなどの地下茎植物

土器がまだなかった時代には、焼いた石の熱を使う「石蒸し料理」で調理していました。身近な自然を余すことなく利用する知恵こそが、狩猟・採集生活を支えていたのです。*5)

漁労

石器時代の人々は、森だけでなく、川や海からも食べ物を得ていました。その証拠が、各地で見つかる貝塚など石器時代の遺跡です。それらの遺跡からは以下のようなものが見つかっています。

  • ハマグリやシジミ、カキなどの貝類
  • 魚や海藻といった水辺の恵み

新石器時代にあたる縄文時代には、土器を使って貝を煮込み、うまみたっぷりのスープが作られていました。自然のだしを生かした調理法は、現代の食文化にも通じるものがあります。水辺の資源を上手に活用する漁労は、食生活をより豊かにしました。*5)

農耕・牧畜

新石器時代になると、農耕や牧畜が本格化します。これまでは、狩猟や採集、漁労といった自然の恵みを採取することが基本でしたが、農耕や牧畜を始めることで、自分たちで食べ物を育てるという行動が見られるようになったのです。

日本の縄文時代では、本格的な稲作はまだ行われていませんでしたが、マメ類や木の実を計画的に利用・管理していた痕跡が見つかっています。また、トチの実のアク抜きのように、手間をかけて保存性や食べやすさを高める工夫も行われていました。*5)

牧畜は地域差が大きいものの、人が自然に手を加え、安定した食料を確保しようとする意識が芽生えた点は共通しています。

石器時代の生活の特徴②:住居

石器時代の人々は、どのような場所で暮らしていたのでしょうか。実は、住居の形は時代とともに大きく変化しています。洞窟や簡易な住まいから、定住を可能にした住居へ。人類の暮らしを変えた住居の進化を見ていきましょう。

旧石器時代の住居

旧石器時代の人々は、洞窟や岩陰を利用したり、簡単なテントを作ったりして暮らしていました。この時代の人々は、狩猟や採集のために食べ物を求めて移動する生活をしており、同じ場所に長く住む必要がなかったからです。

雨や風を防ぐために洞窟や岩陰を住居として使ったほか、木の枝や動物の皮を組み合わせて、すぐに組み立てたり片づけたりできる簡易なテント状の住まいも作られていました。旧石器時代の住居は、移動生活に合った、自然を生かしたシンプルな住まいだったのです。

新石器時代の住居

新石器時代の人々は、竪穴住居と呼ばれる住まいに住み、同じ場所で暮らすようになりました。農耕や牧畜が始まり、食べ物を自分たちで育てられるようになったため、移動せずに定住する必要が生まれたからです。

竪穴住居は地面を掘り下げて床を作り、柱を立てて屋根をかけた構造をしています。地面の下に床があることで、夏は涼しく冬は暖かく、長く住むのに適した住居でした。また、集落として家が集まるようになったのもこの時代の特徴です。

具体例として三内丸山遺跡を紹介します。三内丸山遺跡は、青森県にある新石器時代(縄文時代前期〜中期)の大規模な集落跡です。この遺跡では、多数の竪穴住居が見つかっており、人々が同じ場所に長く定住して暮らしていたことが分かっています。

住居の近くからは、食べ物を保存した穴や作業場の跡も発見されており、生活の場が計画的に作られていました。また、柱を高く組んだ大型建物の跡も見つかっており、集会や倉庫など、特別な目的で使われていたと考えられています。

石器時代の生活の特徴③:道具

石器時代の道具は狩りや調理、衣服づくりなど、目的に応じて形や使い方が工夫されていました。特に旧石器時代と新石器時代では、道具の種類や役割に大きな違いが見られます。ここでは、両時代の石器を比較しながら、その特徴を整理します。

【旧石器時代と新石器時代の道具の比較】

項目旧石器時代新石器時代
石器の種類打製石器磨製石器
主な用途狩猟解体皮なめし旧石器時代の用途農作業木材加工など
主な道具ナイフ形石器尖頭器握槌(ハンドアックス)石斧石鏃すり石網のおもり

旧石器時代の道具は、主に狩りや獲物の解体、動物の皮を加工するために使われていました。石を打ち欠いて作った打製石器が中心で、目的に応じて形を変えながら使い分けていたことが分かっています。

一方、新石器時代になると、石を磨いて作る磨製石器が登場し、道具はより丈夫で使いやすくなりました。木を切る石斧や、食べ物を加工するすり石などが使われるようになり、狩猟だけでなく農耕や調理にも道具が活用されます。

こうした道具の変化は、人々が移動生活から定住生活へと移り、暮らし方が大きく変わったことを表しています。*7)*8)*9)

石器時代の生活の特徴④:文化

石器時代には、道具や暮らしだけでなく、人々の心や考え方を表す文化も生まれました。死者を弔う習慣や芸術表現、土器の制作などは、人類が社会的・精神的な存在へと成長していったことを示しています。

埋葬の始まり

石器時代の人々が埋葬を始めたのは、約12万〜5万年前ごろです。この時代、中東のレバント地方では、現生人類とネアンデルタール人の両方が、亡くなった仲間を意図的に埋葬していたことが分かっています。遺体はそのまま放置されるのではなく、穴を掘って埋められ、決まった姿勢で葬られていました。

埋葬された場所からは、動物の骨や角、石器、貝殻、赤い顔料などが見つかることがあります。これらは、死者を大切に思う気持ちや、死後の世界を意識していた可能性を示しています。また、同じ場所が何度も埋葬に使われていた例もあり、その土地が仲間の大切な場所として考えられていたことも分かります。*10)

このように、埋葬の始まりは、石器時代の人々が命や仲間を深く意識し、文化的な行動をとるようになったことを示す大切な出来事だったのです。

洞窟絵画の登場

石器時代には、洞窟の壁に絵を描く洞窟壁画が登場しました。その代表例が、フランス南西部にあるラスコー洞窟です。ラスコー洞窟では、ウマやバイソン、シカ、すでに絶滅した動物など、100点以上の動物が大きく生き生きと描かれています。これらの壁画は、当時の人々が動物に強く依存した生活を送っていたことを示しています。

また、絵を描く行為には、狩りの成功を願う祈りや、仲間と考えを共有する意味があったと考えられています。洞窟壁画の登場は、石器時代の人々が高い表現力と精神文化を持っていたことを示す重要な証拠です。*11)

石器時代とSDGs

石器時代の人々の暮らしは、現代のSDGsとも深くつながっています。自然の恵みに依存しながら生活していた石器時代を振り返ることで、「陸の豊かさを守る」ことの大切さが見えてきます。

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」との関わり

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」は、森林や動物、生態系を守りながら、自然と共に生きていくことを目指す目標です。この考え方は、石器時代の人々の暮らしとも深く関わっています。

石器時代の人々は、狩猟や採集によって自然の恵みを受け取りながら生活していましたが、狩猟技術が進歩すると、特定の動物を多く捕らえすぎてしまうこともあったと考えられています。

こうした過剰狩猟は、一部の大型動物の減少や絶滅を招き、生態系に影響を与えました。自然を利用するだけでなく、守る視点を持つことの大切さは、すでに石器時代から人類に突きつけられていた課題だったのです。

>>SDGsに関する詳しい記事はこちらから

まとめ

今回は石器時代について解説しました。石器時代は、人類が石器を使いながら自然と関わり、暮らしを少しずつ発展させてきた非常に長い時代です。狩猟・採集から農耕・牧畜へと食生活が変化し、住居や道具が進化し、埋葬や洞窟壁画といった文化も生まれました。

一方で、過剰狩猟の可能性が示すように、自然との向き合い方が課題となる場面もありました。石器時代の人々の営みを振り返ることは、自然を利用しながら守るという現代のSDGsの考え方を理解する手がかりとなります。

参考
*1)日本大百科全書(ニッポニカ)「石器時代
*2)山川 世界史小辞典 改定新版「旧石器時代
*3)山川 世界史小辞典 改定新版「中石器時代
*4)山川 世界史小辞典 改定新版「新石器時代
*5)学研キッズネット「旧石器・縄文・弥生時代には何を食べていた?
*6)共同通信ニュース用語解説「三内丸山遺跡
*7)九州歴史資料館展示解説シート「石の道具
*8)日本旧石器学会「石器時代の教科書
*9)国土交通省「史跡 大船遺跡
*10)ナショナルジオグラフィック日本版「ネアンデルタール人と現生人類はなぜ同時期に埋葬を始めたのか
*11)日本大百科全書(ニッポニカ)「ラスコー洞窟

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この記事を書いた人

馬場正裕 ライター

元学習塾、予備校講師。FP2級資格をもち、金融・経済・教育関連の記事や地理学・地学の観点からSDGsに関する記事を執筆しています。

元学習塾、予備校講師。FP2級資格をもち、金融・経済・教育関連の記事や地理学・地学の観点からSDGsに関する記事を執筆しています。

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