スウェーデンのフードロス問題を考えるアプリ【TooGoodToGo】は食品廃棄物を減らす救世主になりうるのか?

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フードロスは、今や世界的な問題として認識されています。北欧の方々と話をしていると、食べものの話題になることもよくありますが、環境のためにヴィーガンになった、週に数回はベジタリアン食にすることを決めているなど、食に対する環境意識の高い人が多いことに驚かされます。

フードロスと聞くと、先進国だけの問題のように捉えられがちですが、実は途上国と先進国、どちらの国でも起こりうる問題でもあります。世界のそれぞれの国で、食品ロスの起こる原因が異なるだけで、結果的に世界中で生産されている食料品の、約4割が破棄されているのが現状です

環境問題に真剣に取り組むため、スウェーデンの人たちにはどのような生活を心がけているのでしょうか。

2025年時点では、フードロス削減アプリ「Too Good To Go」が欧州・北米を中心に展開し、世界規模で2000万人以上が利用するサービスに成長しています。2026年1月には、ついに日本にも正式に上陸。ローンチから1週間で登録ユーザー数が25万人を突破し、App Store総合ランキング1位を記録したほど、世界的に注目されているアプリです。

今回は、デンマークとスウェーデンの2カ国で実際にToo Good To Goを使い、その使い勝手や使用感から、フードロス問題について考えてみました。

一般財団法人Ideas for Good「北欧発、食ロス削減アプリ『Too Good To Go』が日本上陸」(2026年3月2日)
Too Good To Go Japan PR Times「I世界No.1 北欧発フードロス削減アプリ『Too Good To Go』日本正式ローンチ」(2026年2月3日)
Zenbird「IGlobal food waste app Too Good To Go enters Japan as first Asian market」(2026年3月4日)

スウェーデンの食品ロス問題の現状

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高福祉や社会補書の充実などと共に、環境意識が高いといわれているスウェーデン。実際には、個人や企業でどのような取り組みが行われているのでしょうか。身近に存在している、食品ロス問題にアプローチしている対策について、取り上げていきましょう。

食品ロスが増えるとどんな問題が起こるのか

フードロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品廃棄物を指します。一般家庭内でも、年間をとおして多くの食品が実際に破棄されています。実生活において、気に留めている生活をしている人も多くいます。

食品の値段が大幅に値上げされているこの頃は、食品ロスがさらに身近になり、多くの一般消費者にとっても気になる問題となっています。

「食品ロスは環境に悪い」というのが、スウェーデンでの一般認識です。スウェーデンのような先進国では、特に野菜や果物などの生鮮食品は、基本的には見た目重視で卸されるのが通常です。

スウェーデンでは日本ほど「見た目が均等に揃った野菜や果物」がスーパーに並ぶわけではありませんが、それでも箱入りトマトの中にひとつ傷んだものがあれば、大手のスーパーには卸されないことがあります。

食品廃棄物は基本的に、ゴミとして焼却処理されるので、二酸化炭素排出量が多くなります。スウェーデン人が最も気にする環境負荷のひとつである、温室効果ガスです。つまり、フードロスは気候変動の要因の一貫となっていると考えられています。

スウェーデンでは、フードロス対策として、食品廃棄物の再利用が注目されています。たとえば、家庭で出た生ゴミをバイオマスエネルギーとし、都市バスを走らせる燃料として使われている事例は、広く知られています。

大手スーパーで行われているフードロス対策

フードロス対策として、大手のスーパーマーケットが独自に行なっている対策があります。私の家の近くでは、ドイツ系企業シュワルツ・グループのスーパーマーケット、リドル(Lidl)がよい例です。

リドルのレジを通った先や、入り口を入ってすぐのパンコーナーなどでは、前日の売れ残りのパンが大量に袋詰にされ、1袋10クローナ(約130円)で売られています。また、大きめの紙袋に、フルーツや野菜など、期限間近になりつつある生鮮食品をまとめ、やはり10クローナで誰もが手に取れるようにおいてあります。

見ていると、何が入っているのか興味を持って袋の中を覗いていく人、実際に手に取って買って行く人などさまざまです。夕方にはほぼ売り切れているので、需要があることがわかります。

フードバンクやフードレスキューサービスも盛ん

食品のアップサイクルの場として、スウェーデンで最初のフードレスキュー・ケータリングサービスを行っているのが、マルメ市のRude Food(ルード・フード)です。

広義でフードロスといえど、実際には食品がどの時点で廃棄物となっているかは、さまざまです。ルード・フードでは、食品の生産者・流通業者・販売者のそれぞれと協力し合い、食品が廃棄される段階を見極め、再循環させるサービスをおこなっています。

それぞれの段階で廃棄に回される食品のうち、60%は食糧難の人々のために使われます。残りの40%分はケータリングサービスやポップアップイベントを通じ、新たにファンシーな外食産業の一環を担う役割を持ち、生まれ変わっているのです。

フードバンクは、商業的価値を持たないけれども、消費するのに何ら問題がない食品を無駄にしないよう、必要な人々へ分け与えられています。たとえば養護施設、孤児院、リハビリテーションセンターや移民支援団体、一般の食堂や教会などにも配布されています。

環境を想い、地球を救おうとする気持ちは、未来や希望をも養うことと考え、新しい組織や若い支援団体も次々に誕生しています。

RudeFood

環境を考えてヴィーガンになる人が急上昇中!?

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もともとベジタリアンの多いスウェーデンですが、食肉問題や環境を考えて、ヴィーガンになる人が増えています。

現地の方と結婚され、長くスウェーデンやデンマークで暮らしている日本人の方とお話をする機会がありますが、「うちの息子はヴィーガンなのよ」「私はベジタリアン」といった話もよく耳にします。

スウェーデンやデンマークでは、このように主に30代以降の人たちが、自分自身の選択でベジタリアンやヴィーガン思考になっているという印象が強くあります。また、多くの方々が環境のためと口を揃えます。

畜産、特に牛のゲップ問題や糞尿問題が、環境負荷になると取り沙汰されています。畜産が環境にダメージを与えるというおもな原因は、飼料の生産や放牧地確保のための森林減少、土壌汚染、水質汚染、メタンガスの放出などです。とくに牛や羊肉の生産から消費が、温室効果ガスを多く発生させるとされています。

環境への関心は、美容への関心のように、ティーンエージャーを始めとする若い世代にも広がっています。たとえるならば、「ティーンの娘が健康や美容を気にしてサラダをばかりを食べる」のようなイメージに近く、若い世代にとっても身近な問題として捉えられています。

若い世代が、美容を気にする年代になるとともに野菜やチキン、魚食を選びはじめ、肉(牛や豚、羊など)を口にしない選択をしています。スウェーデンでは鶏肉や魚類は「肉類」ではなく別カテゴリーなため、ベジタリアンといってもチキンや魚を食べる人の割合は多くいます。

このように、ベジタリアンになるという選択をした若い世代が、のちに環境に対しての関心を深め、ヴィーガンの選択へ移行する例も多くあります。

駅のゴミ箱から食料を拾って食べる人々

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実は北欧の国では、駅や町中のゴミ箱からものを拾い集めている人を見る機会がたびたびあります。多くの場合は、パントラベル(空き缶などを収集所へ持っていくとデポジットが返金されるシステム)を目的に、パントラベル付きのペットボトルやアルミ缶を収集する人たちです。

社会保障が充実しているスウェーデンでは、国民登録番号(正式な手続きで滞在許可があればスウェーデン人・外国人問わず発行されるID・政府関係者などでは例外もあり)さえあれば、生活保護を受けるのは「国民の権利」と認識されています。

つまり、IDさえあればホームレスにはなりえません。空き缶などを集めている人々も、生活の足しにはしているでしょうが、ホームレスではなく、家や家族のある一般人が多い印象です。

ごく稀にですが、駅のホームなどでゴミ箱に捨てられている食品を拾って、口に運ぶ人を見かけることがあります。ゴミ箱に手を入れて、捨てられているホットドッグをそのまま口に運ぶ若い男性を見たときも衝撃的でしたが、一口ほどしか食べていないホットドッグが、まるまる捨てられているというのも、同じくらいの衝撃です。

男性は20代くらいと若く見えましたし、着ている服装も有名ブランドのパーカーにジーパンといった、北欧の若者が好んで着そうな、ごく一般的な格好でした。

その若者と直接話をしたわけではありませんが、ホームレスというよりは、フードロスに反対をするために、そのような生活をしているのではないかとふと頭をよぎり、印象に残りました。

スウェーデンの食品ロス対策とToo Good To Goの関係

スウェーデンでは、食品ロスが深刻な問題として捉えられています。

また、スウェーデンの飲食店では、残り物を容器に持ち帰ることを強く推奨しています。

さらに、スウェーデンのスーパーマーケットでは、食品の期限表示が厳しく、期限切れが近いと商品が大幅に値下げされ、消費者が買い取ることで、廃棄を減らす取り組みが行われています。

こうした背景の中で、Too Good To Goは、スウェーデンの食品ロス対策を支える「デジタルツール」として位置づけられています。

スウェーデン政府や地方自治体は、食品ロス削減のためにToo Good To Goの活用を推奨しており、市民もアプリを日常的に利用することで、環境意識の高さを示しています。

食品ロス削減のために開発されたアプリ【TooGoodToGo】とは?

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出典:Spaceship Earth

Too Good To Goは、世界規模のフードロス削減アプリ

企業の食品ロス削減のために、デンマークやスウェーデンで広く使われている携帯アプリがTo Good To Go(トゥグッドトゥゴー)です。その日のうちに廃棄になる食品を、安価に消費者に買い取ってもらうのが目的です

Too Good To Goの仕組みと特徴

2025年時点では、Too Good To Goは欧州・北米を中心に21カ国以上で展開し、1億2000万人を超えるユーザーが登録しています。パートナーとなるスーパー・カフェ・ベーカリーなどは18万店舗以上に拡大しており、世界最大のフードロス専門マーケットプレイスとして定着しています。2026年1月には、日本でも公式サービスがスタートし、アジア初の展開を果たしました。

アプリをインストールして、取り扱い食品のカテゴリーや好きな店舗を選び、欲しい店の商品を予約し買い取るシステムです。人気のあるお店のものは売り切れるのも早く、毎日商品のある店もあれば、残り物が出た日だけ登録している店舗もあります

消費者は欲しい商品を選んだあと、商品の予約をしてカードで事前に支払いを済ませます。店舗によって、品物を引き取りに行ける時間帯には制約があり、スーパーマーケット系では日中から閉店までと比較的長く、カフェなどでは閉店間際の15分間のみという場合もあります。

今回は実際にアプリをインストールし、デンマークとスウェーデンで中身をチェックし、使い勝手やお得感の違い、使用感などを比べてみました。

アプリで検索できる店舗の種類

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To Good To Goは、スーパーやベーカリー、カフェなどがフードロス削減のため、企業各自が登録するシステムです。スウェーデンではどのような企業が多いのかを見てみましょう。

①大手企業が多い

スウェーデンの登録企業を見ると、大手のガソリンスタンドや、スウェーデン最大のフランチャイズカフェであるエスプレッソハウス、スウェーデン系スーパーのICA(イカ)などが見つかります。全体的に、大企業の加盟が多い傾向にあります。

とくにエスプレッソハウスやガソリンスタンドは、ひとつの街に数店舗もあるため、それぞれの店舗ごとに登録されています。自分の住んでいる地域の最寄りを探せるのが利点です。

②フードロス問題に関心のあるエコ系レストランが多い

大手企業以外には、エコ系のレストランやベジタリアンフードレストランなど、環境への取り組みをしている店舗が多く見られます。フードロス問題を始め、環境問題に関心のある経営者がいる証ということでしょう。

③ベーカリー系が多い

フランチャイズ、個人店を問わず、ベーカリー系の登録が多く見られます。スウェーデンのベーカリーは、通常パンを個別に袋詰めしていません。空気の乾燥しているスウェーデンでは、売れ残ったパンはすぐに固くなってしまうため、早めの消費が望ましいところでしょう。

また、ケーキ類は売れ残ったものをその日に破棄することは、ほとんどありません。多くの日持ちする焼き菓子などは、数日の間は店内で売られているのが現状です。スウェーデンでは日本のケーキ屋さんと比べると、長期間同じ商品が置かれているのが一般的。

しかし、クリーム系の生菓子など、日持ちしないものもあります。そのような洋菓子を扱う店舗やベーカリーも、数多く登録しています。

Too Good To Goは北欧シェア率ナンバーワンのアプリ

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出典:Spaceship Earth

Too Good To Goは、カフェやベーカリーを始め、スーパーマーケットなどが過剰食品を割引価格で販売し、食品ロスを削減しようとするアプリです。実際に利用している人も多く、食品ロスを減らせるだけでなく、一般消費者は経済的にも助かるという点で人気が出ています。

Too Good To Goの特質や、仕組みなどについてご紹介しましょう。

Too Good To Goは北欧の環境意識と食品ロス問題を背景に成長したアプリ

Too Good To Goは、北欧においてシェア率ナンバーワンのアプリとして知られています

その理由は、北欧の消費者が環境意識が高いことと、食品ロス問題が社会的に広く認識されているからです。

Too Good To Goの世界規模への展開

2025年時点では、Too Good To Goは欧州・北米を中心に21カ国以上で展開し、1億2000万人を超えるユーザーが登録しています。パートナーとなるスーパー・カフェ・ベーカリーなどは18万店舗以上に拡大しており、世界最大のフードロス専門マーケットプレイスとして定着しています。

2026年1月には、日本でも公式サービスがスタートし、アジア初の展開を果たしています。

①範囲指定で販売店が探せる

Too Good To Goのアプリを使うと、たとえば自分の住んでいる地域の最寄り店を検索できたり、旅先の宿泊先の近辺で加盟店が探せたりと、範囲指定ができます。旅行中にも利用できるのが便利です。

②店側の貢献度や取り組み期間が分かる

自分の興味のある加盟店を検索すると、その店舗がどれくらいの期間、フードロスに貢献しているか(アプリ加盟期間)が表示されます。また、その期間中にいくつの食品を救済したのかが表示されます。それによって、各企業のフードロスへの貢献度や取り組み期間が分かります。

人気度や利用者の素直な評価も、星の数で表示されるので、実際に購入店を選ぶ場合の基準になります。

③その日の環境への貢献度が数値でわかる

アプリを使って買い物をすると、その日の自分の買い物の内容によって、どれだけ環境に貢献したのがが数値でわかる仕組みです。

たとえば、電気でいえば何kw、携帯電話をフルチャージしたら何個分、ホットコーヒーなら何杯分という感じで、生活に密着した数値で表示されます。感覚的にも分かりやすいのが楽しいですね。

Too Good To Go Japan PR Times「世界No.1 北欧発フードロス削減アプリ『Too Good To Go』日本正式ローンチ」(2026年2月3日)
Wikipedia「Too Good To Go」(2025年1月時点の国・ユーザー数データ)

TooGoodToGoの使い勝手を実際に検証!

マジックバッグには何が入っているのか
出典:Spaceship Earth

実際にToo Good To Goのアプリをデンマークとスウェーデンの両国で利用し、その使い勝手を体験してみました。使いやすさのほか、国によっての金額や商品内容の違いなども明らかになり、興味深い結果となっています。

アプリの使用感や商品の対価などを調べてみると、デンマークとスウェーデン間の違いもはっきりわかります。

Too Good To Goの実体験でわかった体験のポイント

デンマークとスウェーデンでは、「サプライズバッグ」の内容が国ごとに違い、店舗の種類や価格帯が大きく変化します。

2025年には、Too Good To Goの各国で「サプライズバッグ」を通じて数百万食以上が救済され、2024年比で二桁の伸びが見られるなど、食品ロス対策としての実績が積み上がっています。

特にイタリアでは、2025年だけで約780万食が救済され、累計で3000万食以上を記録するなど、環境負荷の削減に大きく貢献しているとされています

①アプリの登録はとても簡潔

Too Good To Goのアプリは登録に必要なのはメールアドレスのみという簡潔さ。そのほか、Apple IDやFACEBOOKとも紐付けできます。

携帯アプリに慣れていない年齢層の方々やお年寄り、スウェーデンに移住して間もない人々、言葉のわからない外国人など、いろいろな境遇の人が使うにも利用しやすい仕様となっています。

②スウェーデンでの平均金額は49スウェーデンクローナから

スウェーデンでTo Good To Goアプリに掲載されている商品は、スーパーやカフェなど相場はおおよそ49クローナ(約600円)前後です。通常販売で150クローナ(約1,900円)相当の商品が、3分の1の値段で購入できるのは、金額だけ見ればかなり安くなっている気がしますね。

【ICA スーパーの商品の場合】

今回は、スウェーデン系の大手スーパーICAで取り扱い商品を購入してみました。内容は下記のような感じでした。

ICAmatkassa
出典:Spaceship Earth
  • 低脂肪タイプのヨーグルト 1Lパック(ブルーベリー&バニラ味)1本
  • チキン入りパスタサラダ(カレー風味) 2パック
  • オーガニックの生クリーム 250mパック 1本
  • ベアネーゼソース 1本
  • パン 6個

内容を見ての感想は、正直期待外れでがっかり度合いが高いものでした。普段できあいのパスタサラダを食べない場合には、同じ味のパスタサラダが2つも入っていると、消費が大変です。また、この分量的に一人暮らしには多く、子供を抱える家族には不足しています。

ベアネーゼソースは、北欧では一般的に肉料理に使われる、少し酸味のある卵の入ったソースです。マヨネーズほどのパンチがなく、ぼんやりとした味のものです。日本人には、慣れないと物足りないと感じる味で、こちらも好みが分かれるでしょう。

6個のパンも、やはり家族の人数や家庭でのパンの消費量にもよるでしょうが、多すぎる印象です。冷凍して食べる場合はよいかもしれません。ヨーグルトなど食べ慣れた食品や、生クリームなど料理に使える食材が入っているのは助かりますが、アレルギーのある場合には困りますね。

pastasallad
出典:Spaceship Earth

また、ICAで購入したTo Good To Goの商品はすべてが「品質保持期限(消費におすすめの日時)切れ」のものでした。フードロス対策のための商品ですから当然という感覚を持つのか、2日前に期限の切れたサラダを気にするかどうかは、購入者の気持ち次第といえるでしょう。

スーパーのよい点は、12時から21までの好きな時間に取りにいけるところです。営業時間が長いため、自分の都合に合わせて好きな時間に行けるのは、消費者にとってのメリットですね。

※購入日時は2023年1月30日。パスタサラダの品質保持期限は1月28日でした。

【カフェ・エスプレッソハウスの商品の場合】

一方こちらは、スウェーデン最大手のフランチャイズカフェ・エスプレッソハウスのものです。エスプレッソハウスでは商品を取りにいける時間帯が、閉店間際の15分間だけとかなり短いので、時間の余裕のある場合や、家の近くに店舗がある場合に向いています。

内容は以下のとおりです。

Macka3
出典:Spaceship Earth
  • クロワッサンのサンドイッチ 1個
  • バゲットのサンドイッチ 2個
  • チョコチップクッキー 1枚

購入前は葉物などの野菜がしなびた状態の、いかにもな売れ残りが入っていると想像していました。しかし、実際には冷蔵庫に保管すれば次の日でも問題がなさそうな商品でした。

バゲットの方は具も多く、チーズ・フリルレタス・アルファルファ・ハム・キュウリ・トマトが入っていました。こちらは、通常朝食メニューで出しているサンドイッチです。クロワッサンの方は、モッツァレッラとトマト、ルッコラ入り。バジルのペストソースが効いています。

チョコチップクッキーなど、カフェのスイーツ系は値段もはるので、入っているとうれしいですね。ほかにも、チーズケーキが入っている場合などがあるようです。

カフェの店員に話を聞いてみたところ、1日に出る袋の数は3つから5つくらいで、日によって異なるけれど、ほぼ毎日きちんと売り切れるのだそうです。今回の合計金額は49クローナ(約600円)ですが、エスプレッソハウスの商品は通常どれも割高のため、お得感があります。

ただし、今回行った店舗では事前に商品を用意しておらず、取りに行ってから奥の冷蔵庫から商品を選んで出していたため、内容は当日のスタッフ任せのところがあると感じました。

③デンマークでの平均金額は30デンマーククローネから

次にデンマークでの商品です。今回は、大手のCOOP系のスーパーマーケットと、ベーカリーの商品を購入してみました。デンマークのアプリで見ると、多くの商品は30デンマーククローナ前後(約600円)の設定です。

デンマークはスウェーデンよりも物価が高いのですが、平均して両国とも同じくらいの金額となっているようです。同じアプリを使っているというのも関係しているのでしょう。

【大手スーパー COOP365】

こちらは、コープ系のスーパーの商品です。日によって異なりますが、野菜や果物の入ったいわゆる食材系。このような食材系のフードバッグは人気も高く、売り切れるのも早いので、アプリで見つかったらラッキー。内容は、以下のとおりです。

Coop365のバッグ中身
出典:Spaceship Earth
  • グリーンキーウィー 1パック8個入り
  • 白ぶどう 1パック 500g
  • 洋梨 1パック6個入り(品種・コンフェレンス)
  • 洋梨 1パック6個入り(品種・ルーカス)
  • バナナ 1房5本
  • ポメロ 1個
  • ライム 1袋
  • きゅうり 1本
  • ネギ 1束
  • サラダ菜 1束
  • オーガニックのじゃがいも 1袋1kg
  • オーガニックの人参 1袋 1kg

600円で、これだけの量が入っているのは驚きです。しかも、オーガニックの食材やフルーツも豊富。普段買わないような食材でも、フルーツならば気軽に挑戦ができる点もよいですね。

フルーツを食べない家庭には量が多いと感じるかもしれませんが、スムージーなどに入れて使い切れそうなものが多く入っています。

食材系は料理に使えるうえ、悪くなる前に使い切ればよい(賞味期限が設定されていない)ため、多少量があっても喜ばれそうです。また、じゃがいもや人参などの常備野菜があるのもうれしいですね。

しかし、食材系も日によっては当たり外れがあります。場合によってはきゅうり5本、パプリカ6個、芽キャベツ3袋ということもあるようです。同じものが大量に入っていると、はずれ感があるうえ、消費にも困ってしまいそうです。

【ベーカリー】

次に、デンマークのベーカリーです。デンマークはパンがおいしいため、ベーカリーも多くあります。

Copy of デンマークベーカリー系
出典:Spaceship Earth
  • 黒パン 2本
  • ナッツ入りのパン 2本
  • ミニサイズのバゲット 2個
  • 朝食用パン 1個
  • 焼き菓子 7個
  • デニッシュペストリー 4種類

30クローネでこれだけの量はすごいですね。ただし、2023年現在は物価の上昇もあり、店によっては上記写真の半分近くまで量が減ってしまっているという現状も。また、焼き菓子系は数日持ちますが、ペストリーは日持ちがしないので、すぐに食べきる必要があります。

北欧で一般的に朝や昼に食べられる、サワードウ系のパンや黒パンは冷凍も可能なので、パンをよく食べる家庭や家族の人数が多い場合にはかなりのお得感です。

④スウェーデンとデンマークの両国間でフードバッグの内容がかなり異なる

今回、スウェーデンとデンマークの両国を比べてみて、特に違いが明らかになったのは内容量でした。両国間で1袋あたりの金額に差はありませんが、デンマークの量の多さは一目瞭然です。このあたりは、デンマーク人の国民性も関係しているでしょう。

デンマーク人はよくいえばおおらかですので、フードロス問題ひとつを取っても、社会貢献をしているという意識が高いと感じられます。

対してスウェーデン人は、普段の消費を見ていても財布の紐が硬い傾向があり、堅実です。まだ通常の値段でも売れるものを、わざわざ安く出す必要がないと考えるのかもしれません。

⑤Too Good To Goに見える食品ロスの問題点

ロスになる前提の食品を安価で引き取るわけですから、当然ですが、必ずしも消費者好みの商品が購入できるわけではありません。たとえば、このような買い方は食べ物の好き嫌いの多い人には確実に向いていないともいえます。

家族の人数にもよりますが、ひとつの種類の商品が多すぎる点も、消費者的には困る場合があります。第一に購入した商品が食べきれないのは大きな問題です。

スーパーや店舗内では、一見して廃棄直前の商品が店頭からなくなるように見えます。しかし、それは一時的なものです。一般家庭に渡った時点で食べきれなかったり、好みではなかったりすることにより、結局は家庭で破棄されてしまい、食品ロスが加速します。

店頭でのフードロスが減っても、家庭でのロスが増えるのでは、本末転倒です。

Too Good To Goを実際に使ってみて感じたこと

Espressohouse2
出典:Spaceship Earth

(閉店間際のカフェに残された商品。生野菜を使用しないものや焼き菓子など廃棄されないものは次の日に提供される)

今回、北欧で注目されているフードロス削減のために開発されたアプリ、To Good To Goを体験してみて、さまざまなことを感じました。そして、このアプリが本当にフードロスに貢献しているのかどうかという、新たな疑問がわきました。

①家族の多い家では食費の節約ができる

食べざかりの子供のいる家や、大家族の場合は大量の食材がかなり割安で購入でき、家計を助けるでしょう。とくに、スーパーで食材系のフードバッグに当たった場合は、節約になるに違いありません。

しかし、スーパー系は品数が多いために、商品の当たり外れも多いといえます。商品内容が明らかになっていないためギャンブル的であり、消費できない食品が入っている可能性も高くなります。

②一人暮らしには量的に多すぎる

逆に、一人暮らしの場合にはスーパー系のフードバッグは敷居の高いものになります。量が多いので、食べきれない場合には結局食品ロスが増える結果を招きます。

アプリで安く購入できることだけに注目せず、本当に食べきれるかどうかを考える必要がありますね。

③カフェ系は好きなお店の場合は満足度が高い

カフェ系の場合、閉店間際にしか商品を受け取れないのが不便です。しかし、仕事終わりなどに店舗に立ち寄れる場合にはよさそうです。

生野菜を使ったサンドイッチ系など、日持ちしない商品が中心になります。軽いものが多いので、次の日の朝食・ランチなどで消費が可能です。

好きな店舗を選べば、普段の1個分のサンドイッチの値段で複数購入できるため、お得感もあります。金額と比較すると、満足度の高い結果に。

④消費者意識にも相違がある

購入した商品を家の冷蔵庫に入れておいたら、うっかり賞味期限が過ぎてしまった場合と、店頭ですでに賞味期限が過ぎてしまった商品を購入するのでは、気持ちが違います。結果的には同じことなのですが、消費者の意識は明らかに異なると気づきました。

このあたりの心情には個人差もあるでしょうが、店頭ですでに期限が切れたものを購入する場合、乳製品やなまものなど、未開封でも抵抗を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

また、今回の加工済みサラダのように、外から見ただけでは状態がわからないこともあります。すでにソースで和えられているため味の変質や劣化もあり、生野菜の場合は栄養価も落ちている可能性が高いでしょう。

Cibuslink「Too Good To Go Expects Double-Digit Growth and 7,8 Million Meals Saved in 2025」(2026年2月1日)
Packaging Speaks Green 「Too Good To Go grows at double digits」

まとめ

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フードロス削減のために、さまざまなアプローチがなされ、企業も一般消費者も努力をしていることがうかがえる結果となりました。同時に、これらの努力が本当にフードロスを削減しているのかどうかという疑問もわきました。

本来の北欧人の消費意識は「欲しいかどうか」ではなく「必要かどうか」で商品を購入することが多いのが事実です。そのような中で、必要ではないのにも関わらず、フードロス削減のために、食べない可能性のある食品をわざわざ購入するのが、よい選択とも思えません。

Too Good To Goとフードロス削減の未来

2025年には、Too Good To Goの各市場で「サプライズバッグ」を通して数百万食以上が救済され、CO₂排出量の削減や水資源の節約にもつながっていると報告されています。単に「安くてお得」な買い物というだけでなく、フードロス削減の実績を裏付けた取り組みとして、社会的・環境的な影響が広がっています。

また、アプリがはやっているから、安価だからという理由で購入するのも、賢い選択ではないでしょう。人気のアプリを導入し、買い物をすることがフードロス削減につながるわけではありません。

私たち一般消費者は、実際どの段階でフードロスが起こっているかという現状を把握する必要があります。そして、私たちができるもっとも簡単なことは、不要なものを買わないことです

いからと大量購入をするよりも、実際に消費できる分量をこまめに買い、きちんと使い切る。一見して当たり前に見えることが、フードロスのために誰もができる一番小さな対策で、もっとも基本的なことではないでしょうか。

Cibuslink 「Too Good To Go Expects Double-Digit Growth and 7,8 Million Meals Saved in 2025」(2026年2月1日)
Packaging Speaks Green「Too Good To Go grows at double digits」(2025年)

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