ひとりの力には限界があります。地域の人や専門家の人、企業、政府などが一体となって協力することで、簡単には実現できない未来へと近づくことができるのです。また、複数のパートナーが協力することで相乗効果が生まれ、さらなる発展も期待できるでしょう!
持続可能な開発目標を実現させるためには、協力が必要不可欠です。目標17では、1〜16の目標を達成するための「実施手段の強化」と「パートナーシップの活性化」に注目した目標を掲げています。
目次
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは?
まずはSDGs17について解説します。
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」を簡単に
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の目標は、資金・技術・能力構築・貿易・政策や制度的・パートナーシップ・モニタリングのジャンルに分けられています。
これらは、世界の協力をより強固なものにするための内容となっています。技術や知識などを途上国に伝え、現地の人々の能力を開発することで、世界では、持続可能な開発を実現しようと試みているのです。
まずはイメージ画像でポイントを簡単に押さえよう
この記事はボリュームが大きいので、まずは気になるポイントだけ詳しく押さえて詳しく抑えてみてもいいかもしれません。
パートナーシップについて詳しく知りたい方はこちらから
③ESG投資について知りたい方はこちらをクリックしてください。
④日本企業の取り組みについて知りたい方はこちら。世界の企業はこちら
⑤私たちにできることを知りたい方はこちら
それでは、具体的な目標を確認してみましょう!
目標17を構成する19個のターゲット
資金
17.1 | 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。 |
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17.2 | 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。 |
17.3 | 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。 |
17.4 | 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。 |
17.5 | 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。 |
技術
17.6 | 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。 |
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17.7 | 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。 |
17.8 | 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。 |
能力構築
17.9 | すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。 |
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貿易
17.10 | ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。 |
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17.11 | 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。 |
17.12 | 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。 |
体制面
政策・制度的整合性
17.13 | 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。 |
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17.14 | 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。 |
17.15 | 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。 |
マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16 | すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。 |
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17.17 | さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。 |
データ、モニタリング、説明責任
17.18 | 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。 |
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17.19 | 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。 |
ジャンル別の内容
簡単にそれぞれのジャンルについて押さえておきましょう。(少し難しい内容になっているため、ここは一旦読み飛ばしても構いません。)
資金
資金は、途上国の発展には必要不可欠。そのために十分な資金を確保する必要があります。新しい税制度などを作り、国内の資金調達を向上させるために、途上国への支援を行うほか、途上国の債務リスクを減らし、長期的な債務を実現すべく目標が立てられています。
技術
技術も同様に途上国の発展には必要なものです。先進国は、その技術を共有し発展に助力しつつ、環境問題にも配慮していかなければなりません。先進国・途上国両方がふりにならないよう考え、協力していくことが必要です。
能力構築
途上国同士で技術をシェアしたり、先進国から教えてもらったり、専門家などの第3者から知恵を借りたりと、発展に必要な技術や能力を築き上げていくために必要な目標です。
貿易
どちらか一方が不利益になる貿易ではなく、公平かつ途上国を支援するような貿易関係を整えていくことを目標にしています。もちろん先進国も有益であるように調整をしていかなければいけません。良い道を探りWin-winな関係を作っていけるよう考えられています。
システム上の課題 政策・制度的整合性
持続可能な開発を進めるためには、政策や制度に一貫性が必要です。世界全体の経済安定を目指し、それぞれの国のリーダーシップを尊重し、進めていくための目標です。
マルチステークホルダー・パートナーシップ
課題解決のために知識や技術を持つ組織や個人を”ステークホルダー”と言います。
「マルチステークホルダー」は、多種多様なステークホルダーが対等な立場で参加し、課題解決を計る枠組みです。持続可能な開発目標に向かってパートナーシップを強めていきます。
データ、モニタリング、説明責任
後発開発途上国や小島嶼開発途上国などに必要なものはなんなのか?それを知るための統計資料などが全くない地域があります。
まずは、各地域の課題を洗い出すためにも、正確なデータを知る必要があるのです。現地の人たちにもデーター収集を担ってもらうための目標です。
目標17は、互いに利益を得て発展するための目標です。途上国にとって不利益な貿易や、先進国の目標未達成などに目を向けているのです。
では、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」がなぜ必要となるのか、その理由について考えてみましょう。
なぜ、SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」が必要なのか?〜現状や課題〜
持続可能な開発目標SDGsでは、貧困をなくし、地球を守りすべての人が平和と豊かさを得る社会を目指しています。途上国の発展なくしては実現できません。
SDGsは、「社会」「経済」「環境」の三側面から目標が設定されており、SDGsでは1〜16まで様々な問題を提示しています。
それらの課題解決を進めるために、目標17で世界への協力を求めているのです。
大まかにわけると、
- 社会
目標1〜6 - 経済
目標7〜12 - 環境
目標13〜15
となり、目標16と17がパートナーシップが主な内容となっています。これだけ多岐に渡る目標内容が掲げられているため、「1つの国だけ」「1つの企業だけ」「1人の個人」だけがそれぞれ頑張ったとしても世界が抱える問題は解決されないでしょう。
そこで、すべての人たちが必要な場面で連携を取り、取り組みを進めていくことが不可欠です。そのための具体的な方針となる目標がこの17「パートナーシップで目標を実現しよう」ということになります。
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」が必要な理由
もう少し踏み込んで、目標17が必要な理由を見ていきましょう!
途上国への支援資金の不足
SDGsの達成のためには、途上国の発展が欠かせません。そのためにはインフラ整備などに多くの資金が必要となります。
国際連合広報センターの2019年の報告によると、2018年には政府開発援助(ODA)の世界総額が1,490億ドルまでのぼりましたが、前年比では2.7%の減少。主に、難民の受け入れをしているヨーロッパなどからの援助が少なくなったのが原因とされています。国の負担が増え、途上国への資金を賄うことができなかったのです。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も大きく、国際連合広報センターから、2019年から2020年には1,090億ドルの減少する見込みがあると報告がされています。
日本の状況も確認しましょう。図が表す通り、日本の政府開発援助(ODA)予算は、2003年から増加傾向にあるものの、1997年のピーク時の半分以下になっていると外務省が発表しています。
途上国の開発には、資金が欠かせません。国際開発支援などを通じて、国内の資金調達を強化していく必要があるのです!
先進国と途上国の技術格差
世界には、未だにライフラインが整っていない地域もあります。先進国と途上国の格差は大きく、産業と技術革新を進める目標9とも関わりのある問題です。
先進国と途上国の技術格差の例として、国際連合広報センターでは、インターネットの普及率を上げています。
日本では、ほぼ当たり前になってきているインターネットですが、途上国での普及率は低く、開発途上国が45%、後発開発途上国ではわずか20%となります。
さらに、固定ブロードバンドの回線加入者には、約3倍もの差があります。途上国の技術を底上げするためにも、先進国が持つ技術をシェアしていくことを考えていかなければならないのです。
また、現地での能力構築も必要となります。技術を渡すだけでは、使えるようになりません。現地の人たちが新しい技術を学び、運用していけるよう必要な知識・技術を身につける国際的な支援には、各国の協力が重要な鍵となるのです。
とはいえ、先進国の技術が必ずしも途上国にフィットするとは限りません。
そこで次の能力構築とも関連する内容になりますが、各国の状況に応じて柔軟に協力体制を構築することが求められています。
能力構築の必要性
能力構築でのキーワードは、以下の3点です。
- 南北協力
- 南南協力
- 三角協力
1つずつ簡単に説明します。
①南北協力とは
途上国の発展のために、先進国が持つ技術や資金を提供することです。
②南南協力とは
とある分野で成果を出している途上国が、同じような課題を抱える途上国に技術を提供することです。境遇が似ていることにより、先進国の技術よりもフィットする可能性があります。
③三角協力とは
南南協力の際、途上国同士であれば資金面で難航するケースがあります。そこで先進国が間に入って資金面での支援を行います。
このように、それぞれの状況を勘案しながら協力体制を整えていくことで、課題解決が加速していくと考えられています。
不平等な貿易
途上国は長い間、不平等な貿易を強いられてきていました。世界では、公平な貿易を試みようと国際フェアトレード基準を見直したり、世界貿易機構(WTO)が問題を解決するために動いたりなどの活動が行われています。
フェアトレードについて、フェアトレード・ジャパンは以下のように定義しています。
”フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。”
フェアトレード・ジャパン
外務省では、フェアトレードを通じた国際協力について研究結果を発表をしています。資料では、ドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実』のキャッチコピーを採用したコーヒー1杯を例にあげています。
上記は、1杯300円のコーヒーのうち、一体いくらが割り振られているかを表している図です。コーヒー豆を生産している農家さんに支払われている金額はわずか3〜9円のみ。コーヒーの利益のほとんどが小売業者や輸入業者が得ています。
コーヒー豆を作るためには、豆を育てるだけでなく、発酵や乾燥など多くの手間がかかります。それなのに、たったの数円しか支払われていないのが現実なのです。このように、途上国は、不平等な貿易を強いられており、なかなか貧困から抜け出せずにいます。
上記は、国連開発計画(UNDP)が1992年に発表した先進国と途上国の格差を表した図です。当時ですでに、世界の富の約83%を握るのは、世界の人口のわずか20%のみ。世界の富が集中してしまうことで、多くの人が貧困を強いられていることを表しています。
これらの問題は、目標1の「貧困をなくそう」や、目標10の「人や国の不平等をなくそう」とも関係をする内容です。
先進国と途上国の貿易格差をなくし、途上国の発展を促すためにも世界の協力は欠かせません。
そのため世界では、「多角的貿易体制」や「多角的決済方式」を推進しています。
為替の差などで2国間だけでは、貿易収支を均衡させることが難しい場合に3カ国以上での取引で収支バランスをとる体制を言います。
3カ国以上での取引に利用をして支払いを行う仕組みです。例えば、貿易で得たアメリカのドルを周辺諸国への支払いに利用し、周辺諸国は、そのドルを別の支払いに利用していきます。
このように世界との貿易を広げていくことで、全体の収益を安定させ、1つの国が不利にならないよう調整をしていく体制が必要がなのです。
途上国において、輸出で得る資金は重要です。先進国は自国が不利にならないよう、特定の商品の関税を下げるなどをして、途上国の支援を行っています。途上国の人々の自立と発展を促そうとする貿易が目標に盛り込まれているのです。
このような仕組みを強化するために、パートナーシップは重要となっています。
民間・政府の協力体制の強化不足
先進国でさえも、企業や団体同士での協力が取りにくい現状がありました。行政との協力体制が整っていない地域もあります。
日本では、このような状況に対処しようと経済産業省が、パートナーシップ制度を導入しています。全国の自治体・産業振興機関、地域金融機関、大学・公的研究機関等に「パートナー機関」として登録してもらい、日本企画協会(JSA)を通じて、企業などからの相談をしやすくする仕組みです。
世界でも行政と企業のパートナーシップを強め、貧困や電力問題など多くの課題と向き合う必要があります。地域とのコミュニケーションも重要となってくるでしょう。
また、途上国の発展を支えていくためにも、世界市場「マクロ経済」の安定が必要不可欠だとされています。マクロ経済とは、政府や企業、家計なども含めた経済社会全体の動きのことです。
国全体・世界全体の経済が悪化してしまっては、途上国への支援もままならなくなってしまいますよね。国が一貫した政策や方向性を示し、マクロ経済を安定させることができれば、民間や企業が協力し、さらなる発展が見込めます。
さらに、多くの課題を抱える途上国の問題において、課題解決のために知識や専門的知見、技術を持つ組織や個人が協力する「マルチステークホルダー・パートナーシップ」の強化が期待されています。
専門家や知見者に様々な協力を仰ぎ、たくさんの人が主体的に助けることで、課題解決に取り組んでいくのです。
背景:SDGs達成のためのデータがひどく不足している
ユニセフから、SDGsの達成のためのデータが不足していると発表がされています。途上国などでは子供が生まれても出生登録がされないケースがあります。その場合、国や自治体はその存在を把握することができず、具体的な対策を打てないというのが現状です。
日本においては出生登録はほぼ100%ではあるものの、暴力や搾取、貧困は隠蔽する傾向も見られ、データ収集が十分とは言えないようです。今後、データ収集の方法についても議論を重ねなければなりません。
SDGs達成の度合いを測り、ひとりも取り残さずに発展を続けるためにも、データを収集は重要なのです。
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SDGs目標17の達成に向けたパートナーシップとは?
世界では、パートナーシップで目標を達成するために、企業同士で手を組んだり、専門家や個人からの有益な情報を得る「マルチステークホルダー」が行われたりと、様々な取り組みが行われています。
ここでは、どのようなパートナーシップがあるのかを見ていきましょう。
SDGsを考慮した輸入
世界最大規模の会計事務所であるデロイトトーマツグループでは、児童労働をなくす国際通商ルールを新たに世界へと呼びかけています。児童労働のない製品の関税を撤廃し、児童労働の需要を生み出さないようにするシステムです。
関税がかからないことは商品を安く販売できることを意味します。つまり、児童労働に加担した製品は高価になり売れなくなります。これにより世界的に児童労働を撲滅できると考えられているのです。
デロイトトーマツグループは、ビジネスのプロフェッショナルチーム。NPO法人ACEなどと協力して、児童労働白書をまとめ問題に取り組んでいます。
児童労働の問題は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」に関連する事項です。児童労働とは、15歳未満の子供が教育を受けることができずに働くことや、18歳以下の子供が危険で有害な仕事についていることと国際条約で定義されてます。
参考:ユニセフ協会
企業が子供たちを働かせずとも、利益を得るよう試みる働きです。
企業間の連携
企業間同士では、同業種・異業種同士での連携を強め、新しい技術の開発や続可能な開発目標達成の加速化を行っています。日本でも、経済産業省が企業に「パートナーシップ構築宣言」を呼びかけてきました。上記の図が表すように、発注側の約94%が相手企業の「宣言」を意識して仕入先と取引条件の協議をしています。また、受注側の半数以上が「宣言」の効果を実感しているのです。
企業は、「マルチステークホルダー・パートナーシップ(MSP)」の構築にも力を入れています。
例えば、地域を支える「佐賀銀行」は、SDGs異業種交流会を開催し、アフターコロナへの取り組みを事業者と一緒に考え、改革・改善、事業の見直しなどをディスカッションする場を設けています。地域企業へのSDGsの周知し、新たな事業創設や事業の成長などをサポートしています。
大学、NPO法人との連携
パートナーシップの構築では、大学とNPO法人との連携も多く見られます。
例えば、特定非営利活動法人 長野県NPOセンターでは、SDGs達成を目指し、周知・浸透・啓発・実践活動をつなげるポータルサイト「SDGsコネクト信州」を作成し、SDGs入門のセクションで、大学教授等の研修プログラムやイベント・セミナーやワークショップなどを開催しているのです。
多くの人に参加を促し「100年住み続けられるNAGANOを創るために」活動をしています。
政府とユニセフの連携
日本政府はユニセフと協力して、途上国への政府開発援助(ODA)を実施しています。基本社会サービスの回復や治安維持能力の向上、国内産業の活性化などに重点を置いて活動しており、東ティモールの出生登録制度向上への支援や、スリランカで家族追跡・再会プログラムの支援などを多くの支援プロジェクトが進められているのです。
ユニセフは今後も、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力を得て、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)などとの連携を促進していくとしています。
参考:日本ユニセフ協会
国際協力機構(JICA)と民間の連携
国際協力機構(JICA)は、民間との連携を強めるべく、民間連携事業部を設置しています。SDGsを達成する見込みのあるビジネスモデルを行う企業に1件当たり最大5,000万円の支援をする制度もスタート。日本企業の技術やノウハウを活用するための取り組みを進めています。
取り組み事例でもあげた、バヌアツの水産資源を守る事業やインドネシアの泥炭火災など実に様々な取り組みを行っています。
投資家と企業のパートナシップ
次に説明する「ESG投資」とも関連する内容になりますが、近年、SDGsを推進する企業を投資によって支援する働きが進められています。今までは、企業の売り上げや業績のみで判断していた投資ですが、投資する企業が環境問題などにも配慮しているかを見るようになってきているのです。
持続可能な開発を続け、社会の変化を加速させるためにも、重要なパートナーシップです。
それでは、「ESG投資」について詳しく見ていきましょう。
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企業と投資家のパートナーシップ「ESG投資」
世界では、SDGsを促進するための「ESG投資」に注目が集まっています。投資家たちが意識をする「EGS投資」とは何かについて、考えていきましょう。
ESGって何の略?
ESGとは、
- 環境(Environment)
- 社会(Social)
- 企業統治(Governance)
の略です。企業は環境に配慮した事業を行っているか、地域コミュニティーや社会に貢献しているか、企業内の働き方や労働環境の改善を行っているかなどの視点を重視しています。
ESG投資とは?
ESG投資とは、企業経営のサステナビリティ、つまり環境・社会・企業統治を評価し、投資を行うことです。年金などの大きな資産を長期的に運用する機関投資家を中心に広まっています。
SDGsを取り組む企業を積極的に支援していこうという動きが活発化しているのです。
なぜ、ESG投資が注目されているのか?
ESG投資が注目を集めている理由は、ESGを視野に入れて行う投資原則「国連責任投資原則(PRI)」が2006年に提唱されたことにあります。
PRI署名機関数の推移
経済産業省によると、世界では「国連責任投資原則(PRI)」に署名する機関が増加。投資家たちの中は、環境や人権問題に配慮する積極的な企業を応援しようという意識が高まっています。金融機関と企業の協力でよりSDGsが加速していくことが期待されているのです。
パートナーシップと言っても、実に色々な協力・協働があります。このようなパートナーシップを促進し、世界の問題・課題に取り組むことが、SDGsの実現には欠かせません。
目標達成をしなければ、どのような未来が来るのか…。そのような不安を無くし、輝かしい未来を手に入れるっためにも、政府・企業・個人・団体・地域などが手を取っていくことが必要なのです。
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SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の個人でできること・私たちにできること
ここまでSDGs17について詳しく見てきましたが、達成に向けて個人でできるアクションはあるのでしょうか。ここでは、今日から始められる個人でできる取り組みを紹介します。
- 国際NGO団体やSDGsに取り組む企業に募金をする
- SDGs関連のイベントに参加する
- SDGsのキャンペーンに参加する
- フェアトレード製品を選ぶ
- SNSで情報発信する
国際NGO団体やSDGsに取り組む企業に募金をする
SDGsに取り組む団体や企業がパートナーシップを強化し、継続的に支援を行うためには、少しでも多くの資金が必要です。そこで個人として募金を行うことで、取り組みをサポートすることができます。
SDGsに取り組んでいる企業・団体は多数ありますが、その中でも個人からの募金を受け付けている団体を紹介します。
JICA
「JICA(Japan International Cooperation Agency)」は、発展途上国の人々がより良い生活を送れるよう、国際協力に取り組む機関です。日本の技術を途上国の人々に伝える「技術協力」や、国づくりに必要な資金を提供する「資金協力」を行ってきました。
支援を続けていくため「世界の人々のためのJICA基金」を募集しており、集まった募金は、途上国での、
- 教育
- 貧困削減
- 生活向上
のための支援に使われます。
ユニセフ協会
ニューヨークに本部を置く「ユニセフ協会(UNICEF:国連児童基金)」は、一度は耳にしたことがある有名な支援団体ですが、活動資金はすべて個人や企業・団体からの募金や任意拠出金で賄われています。
募金は公式サイトで募集されており、
- 毎月募金をする「マンスリーサポートプログラム」
- 遺産を寄付する「遺産寄付プログラム」
など、さまざまな方法で寄付できます。
日本赤十字社
「日本赤十字社」は、、災害救護をはじめとし、献血ルームの運営の他、防災活動や人材育成、国際活動など、苦しむ人々を救うために幅広い活動を展開しています。
災害時の救助活動やボランティアの育成などは、個人や団体からの支援によって継続されます。募集している寄付の種類には、
- 赤十字活動へのご寄付
- 国内災害義援金
- 海外救援金
- 遺贈、相続財産などのご寄付
などがあります。
個人からの募金がパートナーシップをより強くする
とはいえ「実際にお金がどこでどのように使われているか分からず、不安。」という思いから、募金をすることに抵抗のある人もいるかもしれません。実際に、日本ファンドレイジング協会「寄付白書」によると、日本の募金は一世帯アメリカやイギリスと比較し、少ないのが現状です。
しかし、支援団体は活動内容を明らかにしているケースが多く、募金したお金がどのように使われたかが分かるようになっています。次に、報告書をもとに、実際に募金によって行われた支援の例を紹介します。
JICAは、「世界の人々のためのJICA基金」で集まった基金によって、2019年に7か国で8案件を開始し、4案件が完了しました。
そのなかの1つを取り上げると、ネパール大震災によって被災した地域で、
- 農地の借り上げ
- ビニルハウス設置
- 収穫
- 販売
を展開。
収穫した野菜は村の学校へ提供され、子どもたちの健やかな成長に繋がっています。さらには、学校の衛生環境改善にも寄付金が使われました。
また、ユニセフは、個人からの募金によって、どのような支援物資を調達できるかを紹介しています。
- 381円→子ども用の鉛筆10本とノート10冊
- 1,144円→クレヨン8色入り10箱とスケッチブック10冊
- 368円→縄跳びの縄10本
- 1,284円→HIV/エイズ簡易診断キット10回分
このように、私たちにとって小さな額でも、途上国の子ども達の教育や医療に大きく貢献することができます。募金に不安がある方はまずは支援団体のHPを覗いてみてはいかがでしょうか。
SDGsに関連したイベントに参加する
個人ができることに、SDGsに関連したイベントに参加してみることも挙げられます。
- そもそもSDGsとはどんなものなのか
- 目標17達成のために自分たちに何ができるのか
など、イベントの運営者や他の参加者と意見を交わすことで、よりSDGsへの理解が深まります。
また、このようなイベントから輪を広げ、新たなパートナーシップが生まれることも少なくありません。実際に、Spaceship Earthの編集者も、イベントに参加したことで学校関係者とのつながりができ、教員向けの講習会を行うきっかけとなり、SDGsの認知を広げることにつながりました。
おすすめのSDGs関連イベント
個人で参加できるSDGs関連イベントには、下のようなものがあります。
【イマココラボ主催】【10/6午後開催】自分を、そして世界をアップデートする ~SDGsという問い~
社会システムの変革に貢献する「イマココラボ」は、定期的にSDGsに関するイベントを開催しています。2021年10月6日開催のイベントでは、カードゲームを用いて、SDGsを「体験する」ことを目的としました。他の参加者と対話をし、意見を交換し合うことで新たなパートナーシップを築くことができるかもしれません。
直接はちょっと…という人はキャンペーンに参加!
イベントに参加してみたくても、直接足を運ぶのに勇気がいる人もいると思います。そんなときは、支援団体などがオンラインで開催するキャンペーンに参加するのもおすすめです。
おにぎりアクション
「おにぎりアクション」は、特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」が展開するキャンペーンです。SNSで「#OnigiriAction」をつけて投稿すると、賛同企業・団体による費用負担で、アフリカやアジアの子どもたちに給食が届けられます。2021年は10月5日から開始予定です。
▶︎関連記事:「TABLE FOR TWO 山本様|TFTプログラムやおにぎりアクションを通して持続可能な社会貢献の輪を広げる」
フェアトレード製品の購入
普段の買い物からフェアトレード製品を選ぶことで、途上国の生産者とパートナーシップを結ぶことができます。
私たちがフェアトレードが行われている製品を購入することで、生産者の支援につながります。
とはいえ「フェアトレード製品は身近に売ってないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、最近ではコンビニやスーパーでもみつけられるようになりました。そこで、次ではフェアトレード製品の見分け方を紹介します。
フェアトレード製品の見分け方
フェアトレード製品を探す最も簡単な方法は、上記画像の国際フェアトレード認証マークが貼られたモノをみつけることです。。これは社会的・環境的・経済的基準を満たした商品にのみつけられるマークで、生産者にとってフェアな価格で貿易を行われていることを意味します。
チョコレートやバナナなど、さまざまな商品に貼られているのでぜひ探してみてはいかがでしょうか。
とはいえ認証マークの付いていない物も
とはいえ、なかにはマークのついていないフェアトレード製品もあります。その理由に、認証料が挙げられます。メリットがあると分かっていても、認証料を支払う余裕がなく、登録を諦めてしまう生産者もいるのです。
そのため、フェアトレード製品専門のマルシェやお店でお買い物したり、商品を扱う企業のHPをチェックするのもおすすめです。フェアトレード製品を取り扱うお店を集めたホームページもあるので、興味のある方は目を通してみてください。
SNSで情報発信しよう!
最後に紹介するのはSNSでの情報発信です。
総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要」によると、20代でTwitterやInstagramを利用している割合は、全体の半数以上を超えています。これらのSNSを使用し発信することで、多くの人に情報を届けることができるのです。
なぜ情報発信が大切なの?
電通Team SDGs・電通マクロミルインサイトが2021年1月に実施した調査によると、SDGs認知率は54.2%。前回の調査と比べ増加傾向にあるものの、「内容まで含めて知っている」と答えた人は全体のわずか20.5%でした。
この現状を変えるためには、多くの人が利用するSNSで情報を発信することが大切です。また、インターネットを通じて発信をすることで、遠い場所に住んでいても同じ意思を持つパートナーとつながることができ、考えを深めることができるでしょう。
SDGs17の達成に向けた日本の企業・団体の取り組み事例
ここからは、SDGs17達成のための日本の企業・団体の取り組み事例を一部紹介します。
日本アジアグループ
日本アジアグループは、世界に先駆け、超低落差型の流水式マイクロ水力発電システムを開発。途上国の発展に貢献しています。
このシステムを使った発電機「ストリーム」は、開水路に設置するだけのシンプルな水力発電装置です。大規模な工事が不要で簡単に設置できることは途上国にとっても大きなメリットとなっています。
※発電機「ストリーム」は、国際連合工業開発機関(UNIDO)が実施するプロジェクトで、インド、エチオピア、ケニアの無電化地域などに届けられています。
企業の新しい開発に国際機関が協力して、途上国への支援につながっている例です。
ここまでは、日本の中でのパートナーシップや日本から海外へ向けてのパートナーシップなどをご紹介しました。各企業や団体が自分たちにできることを探し、協力しているのが分かりますね。
>>トップに戻る場合はこちら
まとめ
SDGs「持続可能な開発目標」には、貧困や飢餓、教育、ライフラインの確保、途上国の発展、環境問題など多くの課題があります。さらに途上国の発展とともに環境問題への意識など、世界が発展していく中で毎年多くの課題も出現します。
目標17が必要な理由としては、資金不足や技術不足など、途上国が発展するために必要な事例や先進国と途上国の不平等問題などが挙げられます。
このような問題を解決し、目標を達成するためにパートナーシップは重要なポイントとなっているのです。
パートナーシップを結ぶことで、以下のようなメリットが考えられます。
- 問題の早期解決
- 才能と強みを最大限に活用
- 新たな視点での技術開発
- 目標達成へ向けての加速
- 個人や1企業でできないことへの挑戦
「1人ではできないことは、みんなで協力をしよう」と誰かが言うだけでは、なかなか協力する関係は出来上がりません。まさに政府や国際団体、企業が一丸となって取り組むことが必要なのです。
SDGsの目標達成に向けて、世界では様々なパートナーシップが結ばれています。
民間企業や大学、NPO法人、政府、国連、NGO団体、投資家、個人それぞれが力を合わせることで、途上国の支援や環境問題の解決に向かっているのです。
私たちにできることももちろんあります。まずはSDGsについて学び、関心を持つことやそれを広めることが大事なのではないでしょうか?
環境問題に配慮した商品を購入したり、マイボトル・マイバックを持つことから初めてみるのも良いでしょう。クラウドファンディングなどの支援もパトナーシップのひとつの形です!
パートナーシップとは、誰かを応援することでもあります。SDGsの実現に向けて、気になる活動を支援してみませんか?