#インタビュー

株式会社トラスト・ファイブ | サステナビリティとオリジナリティを体現する唯一無二のビル開発で、街の活性化をサポート!

株式会社トラスト・ファイブ

株式会社トラスト・ファイブ 専務取締役 南薗龍司さん インタビュー

南薗龍司

株式会社トラスト・ファイブ|1997年(平成9年)設立。首都圏で20年以上マンションの企画・開発・販売に携わってきた不動産開発会社。長年のマンション開発で培ってきた経験・知識を活用し、2018年からはオフィスビルや商業ビルなどの収益不動産開発にも注力。2021年、スモールビルブランドを「コレタス」にリニューアル。SDGsにも寄与し、入居テナントを重視したビル開発を行なっている。

introduction

株式会社トラスト・ファイブは、首都圏を中心としたビルの企画・開発・販売を行う不動産デベロッパーです。

近年は、店舗やオフィスなどの収益不動産に着目し、持続可能なビル開発を目指すとともに、一人暮らしの女性向けオウンドメディア「カーサミア」で防災情報を発信しています。

今回、取締役の南薗龍司さんに、ビル開発がどのようにサステナビリティの実現に貢献しているのか、また、「カーサミア」立ち上げの思いについて伺いました。

スモールビル開発事業「コレタス(CORETAS)」

–最初に、会社概要について教えてください。

南薗さん:

株式会社トラスト・ファイブは現在、スモールビルのブランド「コレタス」のもと、土地を購入し、そこに適したビルを開発するという収益不動産の企画・開発をメイン事業としています。

具体的には、どのような建物がその場所に有用であるかを綿密にリサーチし、企画するところからはじまります。その後設計事務所や建設会社と連携・協業し、ビル開発〜建設を行います。ビルが建った後はテナントさんを誘致し、最終的にユーザー様(個人または事業会社など)に売却する、というのが主なスキームです。

この事業のほかにも、単身女性向けの自社オウンドメディアを運営し、不動産開発会社だからこそ伝えられる情報(不動産関連・街・防災など)も発信しています。

居住者ファーストの建物づくりを目指して起業

–創業の背景について教えてください。

南薗さん:

創業のきっかけは弊社代表と、とあるマンションとの出会いだったと聞いています。そのマンションは住む人が味方になってくれるほど魅力的な物件でした。ただ売却すればよいのではなく、住む人の10年後を考えた顧客中心の物件を開発したい、と強く思い、自身で会社を設立するに至りました。

–その中でマンションに代わり、収益不動産に着目するようになったのはなぜでしょうか。

南薗さん:

昨今にもまだ大きく影響を及ぼしている土地価格や建築費の高騰が目立ち始めた10年前頃から、私たちが理想とする商品提供が難しくなったことがきっかけです。2019年以降は一時的にマンションの開発を休止していますが、今後の情勢を見て再開していきたい思いはあります。

創業時の目標である「顧客中心の物件づくり」は、物件の種類こそ変わったものの、現在は「テナントファースト」という形で受け継がれています。

–どのようなメンバーで事業を行っているのですか?

南薗さん:

弊社は、15人ほどの少数精鋭の企業です。メンバーの多くが、建築士や宅建士などの有資格者で、プロ意識を持ち、各々が自分ごとと捉えて自発的に動いています。

少人数で事業展開することで年間1~2棟ほどでも利益をあげられることも特徴です。ゆとりをもって業務にあたれるため、選定眼を持ち、テナントにとってより良い土地の選定ができます。

会社としても、常に全速力で走り続けているわけではなく、必要なところに必要なパワーをかけながら進行できるため、できる限り残業をしないなど合理的・効率的な就労環境が整っています。

グッドデザイン賞の受賞祝賀会にて

–ここからは、御社のブランド「コレタス(CORETAS)」について詳しく教えてください。

南薗さん:

コレタスは、不動産開発を行う中で弊社が展開するスモールビルブランドで、新しく事業を始める個人事業主やスタートアップ企業など、未来を切り拓いていく方々を応援するものです。

コレタスには5つの特徴があります。まず一つに、ビジネスや商業に適した街を選定すること。二つ目に、小さいながらも利便性や集客性、防災対応力の高い土地を選定すること。三つ目に、サステナブルを推進していること。四つ目にテナントと投資家、地域社会が共存共栄を図れる一点もののデザインをすること。そして、テナントの価値を高める環境要素を見つけて付加価値を付けることです。

収益不動産を手掛けるようになった2015年には、「ファザーランド」というブランド名でビル開発を始めました。当時は、ビルの売却先であった投資家を「顧客」と考え、投資家ファーストで事業を展開していたんです。しかし、投資家目線で開発を進めると、立地の選定やコストや仕様の考え方含め、常に有益性を優先しなければなりません。

その中で、テナントビルをつくる上ではテナントが真の「顧客」だということに気がつきました。高い賃料であっても借りてくださる方がいらっしゃれば、自ずと利回りも上がるため、結果的に投資家にとっても有益になるからです。

こうした考えのもと、2021年には、テナントにとって最善の事業展開ができるような場所、仕様、デザインを追求する「コレタス(CORETAS)」が生まれました。

コレタスは、実際にビルを使う人にフォーカスしているため、同じコレタスシリーズでも場所によって全くスタイルが異なります。それは、テナントファーストでのものづくりをしている表れとも言えます。

「コレ!」を「+(たす)」スモールビルをコンセプトとしたロゴ

サステナブル資材の採用や高汎用性設計でSDGsに貢献

–コレタスの特徴にサステナブルを推進することが挙げられていました。こちらについて詳しく教えていただけますか?

南薗さん:

サステナブル資材の積極採用や、高汎用性設計を行うことでサステナビリティの実現に貢献しています。事例を交えて説明します。

たとえば、2020年に完成した「ファザーランド高田馬場」の外壁には、未利用資源であった関東ロームを原料としたレンガを採用しています。この時開発されたレンガは「EDO・Brick(エドブリック)」と名づけられ、循環型資材として関心を集めました。

また、2021年完成の「コレタス吉祥寺」の外壁には、高いデザイン性を維持しながら安全性や耐水性などの特性を持つ「エステックウッド」を採用しています。この他にも、サステナブルを意識した資材やメンテナンスフリーの資材、設備に関しても省エネに配慮したエレベーターを採用しています。

さらに、設計段階でも心掛けていることがあります。それは、後々テナントが変わることを想定し、用途を限定しないことです。たとえば、柱が極力出ない広い空間になるような汎用性の高い設計で用途に幅を持たせています。排気ダクトも退去毎の取り替えが不要になる大型タイプをセレクトし、できる限り廃棄物が出ないよう工夫するなど、できる範囲で配慮しています。

南薗さん:

昨年竣工した「コレタス吉祥寺Ⅱ」はサステナブルな取り組みにフォーカスしたため、BELS認証を取得し、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。吉祥寺という商業圏と住宅街の二つの側面を持つ特殊な土地柄を活かすために、個性が求められたプロジェクトでしたが、街にフィットした開発が大きな話題になりました。

その結果、制作会社などの事業会社や公的財団法人、美容室など、多様なテナントに入居いただいています(2025年1月現在)。

–街にフィットするとは、具体的にどのようなことでしょうか?

南薗さん:

街自体の特徴、特性にあわせて建物のデザインや用途を決めることです。街に敬意を払うという感覚に近いですね。やはり不動産は街に起因したものになっていて、共存共栄をどう図っていくかが重要です。私たちが手掛けるビルは、街の活性化を図る施設でもあります。そのため、ビル開発によって街がまた一つ明るくなるということを意識しています。

必要な防災情報発信で安心して住める物件に出会うサポートを

–続いて、オウンドメディア「カーサミア」のご紹介をお願いします。

南薗さん:

「カーサミア」は、単身女性向けのオウンドメディアで、主に防災情報を発信しています。弊社の女性社員が中心になって始めたプロジェクトです。スタート当初は、暮らしにまつわる情報を幅広く提供していましたが、私たちだからこそ伝えられる防災情報に特化するようになりました。スタート時は、防災メディアがほぼなかったため、私たちがやらなければという使命感もありましたね。

–立ち上げのきっかけはなんだったのでしょうか。

南薗さん:

大きくは「レリアモード豪徳寺」という単身女性向けの物件を開発したことがきっかけですね。

2014年、小田急線の豪徳寺駅徒歩4分の土地を取得しました。取得当初は従来通り3LDK中心の物件として企画していたのですが、調査を進める中で、この豪徳寺という街が女性にとって住みやすい街であること、一人暮らし女性も資産としてマンションを購入したいと思っていること、という点が合致して1DKや1LDK中心の単身世帯向けの物件に企画を変更し「レリアモード豪徳寺」が完成しました。

実際に、レリアモード豪徳寺の企画やご案内をするなかで、資産として住宅を持つ考えが世の女性たちに浸透していると実感しました。ですが、当時は多くの女性が求める1LDKのマンションは、ほぼなかったんです。だいたいがファミリー向けで、あったとしても投資目的(賃貸仕様)の1K、1DKなどでした。

また、資産形成を前向きに捉えた単身女性の物件購入は喜ばしいことなのに、当時は不動産会社側がまだ慣れておらず、女性が来店しても無下に扱うケースが多く発生しました。さらにローンを組むことに対するハードルもあったんです。加えて、家族や友人に前向きな相談もできなかった。思い切って相談したとしても、「結婚しないつもりなの?」と聞かれて話が逸れ、家を買うことの相談にはならないんです。

このような状況を変えたい、と考えた女性社員が中心になって、カーサミアを立ち上げました。

長閑で住みやすく、駅チカ1LDK、という好条件が揃い、大きな反響を得た「レリアモード豪徳寺」

南薗さん:

「レリアモード豪徳寺」の開発をきっかけに、一人暮らしの女性に向けてお部屋選びのコンサルティングを行ったり、リノベマンションを売却したりとさまざまなことを提供してきました。ですが、お客様に安心して住んでいただける物件を自信を持っておすすめするためには、中古マンションの調査に膨大な時間がかかります。セミナーも考えましたが、限られた人数でのご案内しかできません。コロナ禍で対面で行えなかった時期を経て、現在はオウンドメディアとして広くいろんな方に情報をお伝えすることを目指しています。

–「カーサミア」に期待することは何でしょうか。

南薗さん:

防災情報を発信し続けることで、できるだけ多くの方に気づきを与えていきたいです。特に女性が一人で家を買おうとした場合、必要な情報を充分に得られない中で購入の判断をしなければならないケースが多いと感じます。「不動産市場における情報の非対称性」と呼ばれています。売りたいがためにデメリットを伝えない。そうすると、一般消費者は知らなかったことが原因で泣き寝入りすることが多々起こります。私たちはそれを回避したいんです。

知らないまま選ぶのと、きちんと知った上で選ぶのとでは大きく違いますよね。現在の私たちは住宅を売ったり貸したりする立場ではないので、メリットとデメリットの両方を偏りなく伝えることができます。物件を選ぶ際は、駅からの距離や街の雰囲気を重視することが多いのですが、表面的なことだけでなく、さまざまな有事に備えて選んでいただくことが当たり前になっていってほしいですね。特に一人暮らしで、自分で自分の身を守らなくてはいけないのであれば、なおさら安全なところに住んだ方がいいわけですから、家を決める判断基準に防災の観点も含まれるようになってくれたら嬉しいです。

–カーサミアならではの防災情報とはたとえばどのようなものがありますか?

南薗さん:

土地の特徴や地盤の解説などです。ただ地盤が固いから安全というわけでなく、そこには建物の建て方も関わってきます。こうしたことは、知るタイミングがないため、情報収集が難しいと思います。だからこそ私たちが発信する必要があると思いますし、災害が起こった際にアクセスが増えるため、ニーズも感じています。

カーサミアで発信する防災情報は、幅広い層に知っていただくことで有効になります。実際に住んでいる地域で災害が起こってからはじめて自分ごととして捉えるのではなく、事前の対策ができることをまず知っていただきたいです。

街を活性化させるハブとしてその街に必要なものをつくり続けたい

–最後に今後の展望についてお聞かせください。

南薗さん:

より深い取り組みとして、市場のマーケティングに注力していきたいです。そのために、どんなテナントがどのようなニーズを持っているのか、という視点を持って土地情報を取得するように展開しているところです。

実は安定性だけを考えると、店舗より住まいの方が空室リスクを軽減できるんです。だからといって、その場所が商圏として人が集まる場所であるにも関わらず、住宅に偏ってしまうと街が壊れてしまいます。人はいるのにお店がまったく無い状態です。土地を開発するのであれば、再び商業ビルをつくって欲しいというニーズが高い一方、事業上選択できないことが不動産業界のひとつの課題かもしれません。だからこそ、私たちはその場所に寄り添いながら、その街にフィットしたビル開発に尽力していく所存です。

–本日は、貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

トラスト・ファイブ:https://www.trust5.co.jp/