
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)(以下「ビズペイ」と称する)は、カード決済に対応していない請求書でもクレジットカードで支払える法人・個人事業主向けのサービスです。
従来の振込ベースの支払いに、クレジットカードの柔軟性をプラスできることで、資金繰りの調整や支払い管理の効率化に役立つと注目を集めています。
運営は決済代行の大手・ペイジェントが行っており、信頼性の高さも評価ポイントの一つです。手数料などの注意点はあるものの、ビズペイを活用することで、請求書カード払いの新たな選択肢が広がります。
目次
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)とは?
ビズペイは、法人・個人事業主に向けて提供される「請求書支払いのカード化」サービスです。
通常カードが使えない請求書取引でも、ビズペイを通すことでクレジットカード払いが可能になり、資金繰りの柔軟性が大きく向上します。
この章では、ビズペイの基本情報から、他のサービスとの違い、支払いの流れまで解説します。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)の基本情報
サービス名 | BizPay請求書カード払い(ビズペイ) |
運営会社 | 株式会社ペイジェント |
対象ユーザー | 法人・個人事業主 |
対応カードブランド | Visa、Mastercard、JCB |
審査 | オンラインで完結可能 |
手数料 | 決済金額の2.8%(税抜)~ |
サービス紹介サイト | BizPay請求書カード払い(ビズペイ) |
ビズペイは、請求書支払いの手段としてクレジットカードを活用できる、法人・個人事業主向けの決済支援サービスです。
通常、振込指定の請求書ではカードが使えませんが、ビズペイを使うことでその壁をクリアできます。
運営会社である株式会社ペイジェントは、NTTデータと三菱UFJニコスという信頼性の高い企業によって設立された合弁会社です。
NTTデータは日本最大級のシステムインテグレーターで、公共・金融系の基盤システム開発にも定評があります。三菱UFJニコスは大手カード会社として、幅広い決済業務のノウハウを持っています。
今後さらにサービスの拡張や提携が進むことが予想され、事業者にとっては資金繰りを改善する有力な手段のひとつといえるでしょう。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)の特徴
ビズペイの一番の特徴は、銀行振込指定の請求書でも、クレジットカードでの支払いができる点にあります。
通常、請求書による取引ではカード決済が使えず、現金をすぐに用意しなければならない状況が多いですが、ビズペイを利用すればその必要がなくなります。
この仕組みによって、支払期日までのキャッシュアウトを最大60日先送りできるため、資金繰りに余裕が生まれます。
また、取引先への支払いはビズペイが代行して「銀行振込」で行うため、相手先はいつも通りの形で入金を受け取るだけです。さらに、マイページ上で支払い状況や履歴を一元管理できる点も、経理・会計業務の効率化に役立ちます。
近年では地方銀行との連携も進んでおり、2025年6月には群馬銀行との提携も発表され、地方企業への導入も加速しています。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)の仕組み
ビズペイは、「カード決済 → ビズペイが立替 → 取引先へ銀行振込 → 後日カード会社から引き落とし」という流れで成り立っています。この4ステップが、ビズペイならではの支払い先送りを可能にしています。
具体的には、まずユーザー(法人・個人事業主)が、請求書の支払先情報と金額をビズペイのマイページ上に登録します。
そして、ユーザーの登録クレジットカードでビズペイが決済を受け付け、決済された金額をそのまま取引先に銀行振込で支払います。
この時点で、取引先は通常の請求書と同じように入金を確認できるため、ビズペイを利用したカード決済を知られることはありません。
一方でユーザー側は、カード会社の締め日・引き落とし日まで実際の資金移動が発生しないため、支払タイミングを意図的にコントロールすることが可能です。
注意点としては、カード決済手数料(利用額の2.8%)が別途発生するため、利用額やキャッシュフローとのバランスを考慮したうえで導入することが重要です。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)のメリット
ビズペイには、「カードが使えない取引先でもカード決済ができる」「支払い情報をまとめて管理できる」「支払い時期を柔軟に調整できる」など、資金繰りや経理業務を大きくサポートするメリットがあります。
この章では、ビズペイを導入することで得られる具体的な利点を3つの観点から詳しく解説していきます。導入前に知っておくべき活用の強みが、きっと見つかるはずです。
カード決済NGの取引先でもカード取引ができる
ビズペイの大きなメリットは、カード決済を受け付けていない取引先に対しても、自社ではカード払いができるという点です。
多くの企業が発行する請求書は、銀行振込のみ対応となっており、カード利用による資金繰りの調整が難しいのが実情です。
しかしビズペイを使えば、支払側(利用者)はカードで決済し、そのお金をビズペイが立て替えて取引先に銀行振込してくれます。つまり、取引先には通常どおりの入金が届くため、先方のシステムや契約を変える必要がありません。
この仕組みにより、カード決済不可だから現金で即支払いが求められる場面でも、カードの支払いタイミングを活用して、数週間〜最大60日ほど資金に余裕を持たせることが可能になります。
支払いを一元管理できる
ビズペイを導入すると、さまざまな請求書や支払い状況を一つのマイページでまとめて管理できるようになります。事業が拡大すると、複数の取引先や支払日がばらばらになり、経理処理が煩雑になりがちです。
ビズペイでは、カード払いの対象にした請求書がすべて一覧化され、金額・決済日・振込先・手数料などの情報も一元的に確認できます。
また、利用履歴がCSVでダウンロードできるため、会計ソフトとの連携や月次決算の資料作成にも役立ちます。
経理担当者が少ない中小企業や、個人事業で一人経営をしている人にとっては、支払い情報の集約は大きな負担軽減につながります。ビズペイは、単なる決済手段にとどまらず、経理業務全体を効率化する管理ツールとしても有効なのです。
キャッシュアウトのタイミングを調整できる
ビズペイの魅力のひとつが、支払日を「今すぐ」から「カードの引き落とし日」まで延ばせることです。多くの中小企業が悩むのは、「売上はこれから入るのに、支払は先にやってくる」というタイミングのズレです。
ビズペイを使えば、そのズレをうまく調整できます。具体的には、クレジットカードで請求書を決済すると、実際の支払い(引き落とし)はカード会社の締め日・支払日に準じます。
一般的に、月末締め翌月末払いなら、最長で約60日の支払い猶予が得られるということです。この猶予期間は、新たな仕入れや販促費用、設備投資にあてるなど、戦略的な資金活用が可能になります。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)のデメリット
ビズペイは非常に便利なサービスですが、利用にあたってはいくつかの注意点もあります。便利さの裏にはコストや制限があるため、効果的に使いこなすには条件をよく理解しておくことが重要です。
この章では、ビズペイのデメリットを正しく把握し、自社にとって本当に有益かどうかを判断する材料として活用できるように解説していきます。
手数料がかかる
ビズペイは非常に便利なサービスですが、利用する際には手数料が発生する点に注意が必要です。無料で使えるサービスではないため、「手数料以上のメリットがあるかどうか」を見極めることが重要になります。
この費用を高いと感じるかどうかは、キャッシュフロー改善や支払い先送りによる恩恵と天秤にかけて判断すべきです。
短期的な資金調整や、支払期日厳守の必要がある場面では、手数料を払ってでも活用する価値があるといえます。一方で、余裕のある支払いにまで使いすぎると、経費の膨張を招く可能性もあります。
取引額の上限はカードの利用可能額
ビズペイでは、すべての請求書に無制限で使えるわけではなく、利用には取引額の上限があります。この制限は、カードの利用可能額であり、ビズペイ側があえて設定するものではありません。
高額の請求書や複数件の支払いをまとめて処理したい際は、自身のクレジットカードの利用可能額を把握しておくことが大切になるでしょう。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)の作り方・登録の流れ
ビズペイは、オンライン完結で簡単に始められるサービスですが、実際に使い始めるにはいくつかのステップを踏む必要があります。
この章では「申し込み」から「審査」「カード登録」まで、具体的な流れをステップごとに解説します。事前に流れを知っておくことで、手続きを迷わずスムーズに進めることができます。
ステップ1|BizPayサービス紹介サイトから申し込み
ビズペイを使い始めるには、まずサービス紹介サイトの申し込みフォームから必要事項を入力するところから始まります。法人・個人事業主問わず、申請者情報や会社概要、メールアドレスなどを入力するシンプルな手続きです。
このステップは、サービス提供元である株式会社ペイジェントが利用者の基本情報を把握するために行われます。入力内容に不備がなければ、そのままオンライン上で申し込みが完了し、次の審査ステップに進みます。
入力に必要な項目はそれほど多くなく、慣れていれば5〜10分ほどで完了できます。
ステップ2|審査とアカウント発行
申し込みが完了すると、ビズペイ側による審査が行われます。審査内容は非公開ですが、主に会社の信用性や事業内容、反社チェック、などを確認していると考えられます。
ユーザー用のビズペイアカウントが発行され、ログイン情報が送られてきます。これにより、マイページへのアクセスが可能になり、実際の利用準備が整います。
ステップ3|クレジットカード情報の登録
アカウントが発行されたら、次は利用するクレジットカードの登録を行います。ビズペイでは、Visa・Mastercard・JCBなど主要ブランドの法人カードが使えます。
ただし、発行元やカードの種類によっては利用できないケースもあるため、登録前にビズペイの対応カード一覧を確認しておくと安心です。
カード登録は、マイページ内でカード番号・有効期限・セキュリティコードを入力するだけで完了します。セキュリティ面も万全で、情報は暗号化されて送信されるため、安心して利用できます。
このステップが完了すると、いよいよ請求書を登録してカードで支払いを進めることが可能になります。
※必ずしも事前にクレジットカードの登録が必要なわけではありません。
スムーズに進めるための推奨であり、後からでもクレジットカードの登録は可能です。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)の使い方
ビズペイの使い方はとてもシンプルで、請求書情報を登録してカード決済を選ぶだけで、取引先への振込まで完了します。
まず、ビズペイのマイページにログインし、支払う請求書の情報(取引先名・口座・金額・支払期日など)を入力します。
次に、登録済みのクレジットカードを選んで決済を確定すれば、ビズペイがその金額を一時的に立替えて、指定口座へ振込を実行してくれます。
取引先には通常の銀行振込として届くため、先方にカード決済の対応を求める必要はありません。
このように、カード決済と銀行振込のいいとこ取りをした仕組みなので、カードポイントも貯まりつつ、キャッシュフローを調整できるのが大きな魅力です。
また、マイページでは支払い履歴や明細を一覧で管理できるため、経理処理の手間も軽減されます。
BizPay請求書カード払い(ビズペイ)に関するよくある質問
ビズペイは便利なサービスですが、「本当に自分でも使える?」「どのカードが対応してる?」「支払いのタイミングは?」など、導入前に気になるポイントは多くあります。
この章では、特に質問の多い3つの疑問に絞って、わかりやすく解説します。
個人でもBizPayは利用できますか?
ビズペイは、個人では利用できません。対象となるのは、法人または個人事業主に限られています。これは、サービスの性質上、事業活動における「請求書決済」のキャッシュフローを調整することを目的としているためです。
実際、申し込み時には会社情報や法人番号の入力が求められ、審査も事業用としての利用が前提となっています。
個人名義のクレジットカードしか持っていない時や、プライベートな買い物に使いたいと考えている方には、残念ながら利用できない仕組みです。
一方で、副業をしている個人やフリーランスでも、開業届を提出している個人事業主であれば利用可能な場合があります。
どのクレジットカードブランドに対応していますか?
ビズペイでは、Visa・Mastercard・JCBの主要3ブランドに対応しています。ですが、カードの発行元や種類次第では、利用が制限されることもあるため、すべてのカードで使用可能なわけでないため注意が必要です。
たとえば、アメックス(American Express)やダイナースは2025年7月時点で非対応とされています。また、個人向けのクレジットカードしか持っていない際、利用できないパターンもあります。
ビズペイが事業者向けサービスであるため、法人カードやビジネスカードの使用が前提になっているのです。
ブランドの選択肢が3つとはいえ、主要ブランドに対応していれば、国内の大半の法人カードはカバーできると言ってよいでしょう。
支払日はいつになりますか?カード会社によって違いますか?
ビズペイでの実際の支払いタイミングは、登録したクレジットカードの「締め日」と「引き落とし日」によって決まります。
そのため、利用者ごとに支払日が異なり、カード会社のルールによっても変動します。
仮に、三井住友カードであれば15日締め翌月10日払い、JCBなら月末締め翌月27日払いなど、カードごとに独自のスケジュールがあります。
ビズペイでの「カード決済日=利用日」に応じて、次回のカード支払いにその金額が加算される形になります。
この仕組みにより、実際のキャッシュアウトは最長で約60日後になることもあり、資金繰りにゆとりをもたせるには非常に便利です。
ただし、カードの締め日と利用タイミングを間違えると、支払日が思ったより早まることもあるので注意が必要です。
まとめ
ビズペイは、クレジットカードが使えない取引先にもカード払いを可能にすることで、資金繰りを柔軟に調整できる便利なサービスです。
請求書管理の効率化や支払いの先送りなど、多くのメリットがありますが、手数料などの注意点もあります。
法人・個人事業主専用で、オンライン完結の簡単な登録ステップを踏めばすぐに利用開始が可能です。導入前に仕組みや条件を正しく理解し、自社の運用に合った活用方法を見つけていきましょう。
この記事を書いた人

matsubata ライター