#インタビュー

R Jewels Japan株式会社|サステナブルな循環を創造する本質的に価値のあるジュエリーブランド『R ETHICAL (アール・エシカル)』

R Jewels Japan株式会社 星まり さん インタビュー

R Jewels Japan株式会社
2012年創業
代表取締役星まり

星まり経歴
2004年 慶應義塾大学卒業
2006年 米国ニューヨーク大学 大学院修士課程修了
2006年 三菱UFJ信託銀行入行
2007年 ロンバー・オディエ入行
2012年 R Jewels Japan株式会社創業

introduction

ダイヤモンドやゴールドの採掘には、SDGsに関連する深刻な問題があることを知っていますか。

特に、紛争ダイヤモンドは武装勢力の資金源となり、暴力や人権侵害を助長します。

また、ゴールドの採掘は環境破壊や不正労働を引き起こすことが多く、地域社会の持続可能な発展に悪影響を及ぼします。

こうした問題に対処するため、企業や消費者は責任ある調達を心がけ、透明性のあるサプライチェーンを支持することが求められています。

ジュエリーブランド『R ETHICAL (アール・エシカル)』は、世界のエシカルな素材を使用した質の高いジュエリーを届けています。

サステナブルな循環を創造する本質的に価値のあるジュエリー

–はじめに、R Jewels Japan株式会社のご紹介をお願いします。

星さん:

R Jewels Japan株式会社の手掛けるR ETHICAL (アール・エシカル)のジュエリーブランドは、2012年に東京で創業しました。
世界のエシカルな素材の美しさそのままに、日本の職人技へ敬意を示しながら、ハイクオリティなジュエリーに仕立てられています。

エシカルなK18ゴールド、コンフリクトフリーダイヤモンドを独自の以下の「5つの約束」を遵守しながら、丁寧にデザインワークとしてお届けしています。

  • Ethical Materials
    フェアマインド認証ゴールドを中心に、リサイクルゴールド、リサイクルプラチナ、カナダ産ダイヤモンドを用いて製品をお仕立てします。
  • Charity
    志を同じくするアーティスト、非営利団体と共創し、チャリティジュエリーの開発に取り組みます。
  • Craftsmanship
    時代を超えて脈々と受け継がれていく職人技法に敬意を示し、その知見と技をジュエリーのお仕立てに役立てます。
  • Beautiful People
    年齢、国籍、性別などで区別することなく、その違いを多様に発揮していく、柔軟でフラット、オープンな組織です。笑顔の素敵な魅力のあるメンバーが運営します。
  • Ethical Package & Carbon Neutral
    製品の容器、梱包は全てFSC認証ミックス紙を使用し、プラスチックフリーでお届けします。国内外への配送は、カーボンニュートラルにて行います。

(参考:About Us – R ETHICAL Official Site

タイムレスな佇まいに、自然と調和するエッセンス。

一生を共にするものだからこそ、サステナブルな循環を創造する本質的に価値のあるものをお届けしています。

–では、この事業を始めた経緯についてお聞かせください。

星さん:

前職の外資系金融機関でフィランソロピーサービス(社会貢献家と共に社会貢献サービスを富裕層に提供する)仕事に従事したことがきっかけで、ジュエリー業界、特に素材の調達プロセスで存在する根深い問題に直面します。

調べていくと、ジュエリーに用いられるダイヤモンドやゴールドなどは希少で高価な価格で取引されている煌びやかな世界とは対照的に、素材の採掘や調達のプロセスで、児童労働や強制労働などの深刻で残酷な人権侵害、水銀の使用による環境汚染など、大変複合的で根深い社会問題が隠れていました。 その数は、世界に5000万人とも1億人とも言われる採掘従事者が、南米、アジア、アフリカを中心に存在し、アンフェアな待遇だけでなく、貧困のスパイラル、深刻な健康被害など人権問題にとどまらない社会的構造や業界の問題があります。

2012年、娘を出産し、復帰し金融業界で仕事を続けていたタイミングで、何か社会に貢献できるビジネスを始めたい、自分のエネルギーと時間を、より貧しい人に手がとどく形に変えたいという想いから、会社を創業しています。

当時、ジュエリー業界の背景や情報が、先進国である日本にほとんど届いていないという現状もあり、新しい価値を創造できると確信して始めています。 エシカルな素材を選ぶことはもちろん、日本の職人技法を大切に用いたりカーボンニュートラル*にて行います。またチャリティジュエリーをWWFクリステル・ヴィ・アンサンブル財団などと通じて、より広い層にジュエリーから生まれるサステイナブルな世界を求めて活動をしています。

輝きの裏側にある、ダイヤモンド問題

–この事業により、どういった社会問題が解決されているのでしょうか?

星さん:

弊社は、ダイヤモンドはカナダでカット・研磨された100%調達の見えるエシカルなダイヤモンドを使用しています。

世界的水準のGIA保証書と共に、カナダ産ダイヤモンドである保証書をお客様に一緒に納品しています。 ゴールドについてはARM Alliance for Responsible Mining という国際的なNGO団体から認証を受けたエシカルなダイヤモンドをフェアにいただいて製品化をしています。

ダイヤモンドは、カットやソーティングを世界のジュエリー産業都市であるベルギーアントワープ、インドジャイプール、イスラエルテルアビブなどに集積され、カットからソーティングまでなされた後、世界に散らばり取引がされています。それゆえに、産地の特定というのは極めて困難で、紛争の資金源となるダイヤモンドや、採掘の過程で人権が守られていないものが混ざっていても気づくことができません

そのため、カナダの採掘会社と提携することで、カナダで採掘からソーティングまで徹底したダイヤモンドをお客様にお届けすることにしています。現代的な手法でフェアに取引されたダイヤモンドとなります。

ゴールドはARMから調達しています(ARMが認証したゴールドトレーダーから調達します)。採掘の現場で、人権が守られること、男女平等であること、未来を見据えた資金計画ができること、サニタリーなど整え、防護服、教育の機会などよりフェアで合理的なゴールド採掘に貢献することができます。ゴールド採掘で生計を立てている労働者の、健全な生活、人生設計に寄与することが可能です。

また、ゴールドの調達の際に、プレミアム(奨励金)を支払っていますがこちらはコミュニティで貯蓄され、一定程度集まってから民主的な方法でコミュニティの改善(サニタリーの整備や教育、防護服の購入など)にあてられるものです。

関連リンク:The Alliance for Responsible Mining promotes responsible gold sourcing

–事業を通じて、新たな課題や問題は生まれなかったのでしょうか?

星さん:

ゴールドの価格がこの半年で20%値上がりしました。2019年から5年間で3倍となっています。ダイヤモンドや天然石も高騰しており、未曾有の円安に直面。さまざまな製品の値上げの中で、ジュエリーも同じような状況です。

百貨店で宝飾品の売り上げが伸びているのは、特にハイブランドのハイジュエリーが牽引しています。富裕層向けが好調のようですが、10〜20万円レンジの弊社のようなブランドは、ブランド力がより試される厳しい時代に入ったと考えています。

一生物のブライダルなどの需要は堅調のため、今まで通り、オーダーメイドを強化しています。また、価格訴求力のために実店舗を持たずに運営しています。より納得のいくオンライン上で、または都内で御打ち合わせなどを通して、自分のオリジナルな仕様で自在にジュエリーを作れる喜びと、人権や環境に配慮されたサステイナブルな素材、より良い価値を大切に、今後も運営していく予定です。

–最後に、今後どのように事業やサービス展開していくのか、展望をお聞かせください。

星さん:

人生の大切な節目に求められるブランドとして、より本質的に永く大切にしていける婚約・結婚指輪、オーダーメイドジュエリーから、エシカルな世界を実現したいと思っています。

結婚・婚約だけでなく、大親友がそれぞれお揃いのジュエリーをオーダーいただくなど、より視野を広げた需要を創造していきたいと考えています。

素材はエシカルながら、日本の職人技法を大切にこの価値をさらに広げていくつもりです。

–貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

R Jewels Japan株式会社:https://www.r-jewels.com/