途上国など貧困地域での問題と捉えがちな飢餓。実は私たちの身近な問題でもあります。
先進国でもすべての人が満足にご飯を食べられているわけではありません。日本でも相対的貧困に悩む家庭は多くあります。
相対的貧困とは、その国の生活水準と比べて低い状態である家庭をいいます。相対的貧困の家庭では、その日の食事に困ることもあるのです。※相対的貧困について詳しくはこちら
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2018年の日本の相対的貧困率は15.4%。つまり日本人口の6人に1人は、生活が苦しいと感じているのです。
また、社会文化的価値観を調査している国際プロジェクトの「世界価値観調査」からは、日本での飢餓経験率は9.2%と発表されています。飽食の時代と言われる日本でも飢餓は起きているのです。
今回は、日本や世界でこのような問題に取り組む企業に焦点を当てていきます。「飢餓をゼロ」にするために、何ができるのか?ぜひ参考にしてください!
目次
株式会社Shoichiの取り組み事例〜カンボジアの農村部へ食料を届ける「TASUKEAI 0 PROJECT」〜
株式会社Shoichiは、在庫処分サービスを行う会社です。「眠れる在庫に魂を与え、再び輝くステージを与えます!」という理念のもと、アパレル・雑貨・ブランド・電化製品・食品などの在庫を抱えて困っている企業様に変わり、在庫を販売していくと言うサービスを展開しています。
眠ってしまった商品が、欲しい消費者の手に届く素敵なサービスですよね。
また、株式会社Shoichiでは、目標2「飢餓をゼロに」の解決に向け、ドイツに拠点をおくKKEV COMBODIAと共同で「TASUKEAI 0 PROJECT」を展開しています。
「TASUKEAI 0 PROJECT」とは、貧困に悩むASEAN地域へ食糧を供給するプロジェクトです。主にカンボジアの子供たちへのお米の確保と食糧支援を行っています。
他社からの参加も可能で、会社に眠っている”100着の服を寄付”するか、”200着の服を買取”してもらうことで、子供1ヶ月分のお米となります。
参加方法は買取か寄付を選ぶだけ。あなたの会社に眠れる衣服があるなら、まずはコンタクトをとってみてはいかがでしょうか?
「TASUKEAIOPROJECT」の詳細ついては、公式サイトを確認してください。
八尾トーヨー住器株式会社の取り組み「ハンガーゼロ自動販売機」を導入!
八尾トーヨー住器株式会社は、住宅設備販売会社として40年以上の実績を誇るリーディングカンパニーです。LIXILブランドの製品を取り扱う販売店「マドリエ」を関西を中心に展開しています。
また、「住生活なら全てお任せください」と言えてしまうくらい頼れる会社になっていきたいと人材育成にも力を入れている会社です。
そんな八尾トーヨー住器株式会社では、「KOKORO PROJECT」としてSDGsの課題に取り組んでいます。地域の方たちと共に未来について考えるチャリティーフェスや、カンボジアの貧困地域の人たちが作ったハンドメイド商品の販売などを企画しています。住まいの企業だからこそできる、地域に根差した素敵な活動ですね。
加えて、社内にはハンガーゼロ自動販売機も設置。これは世界の貧困・飢餓と闘う「一般財団法人日本国際飢餓対策機構」が提供しているサービスで、ドリンク1本につき10円がハンガーゼロに寄付されます。(約30円が子ども1人分の食事代となる。)
自販機の導入と同時に「備蓄ボックス」も設置。緊急時の食料として3年間長期保存が可能な災害時備蓄もしています。備蓄ボックスに保存された食料は、一定期間ごとに交換が必要です。これらの交換された食品が、飢餓や災害に苦しむ人々へと送られるシステムなのです。
ちなみに「ハンガーゼロ 」は自販機の設置場所を提供するだけで誰でも参加ができます。詳しい情報はこちらから確認しましょう。
あなたの企業や営業所の前に通常の自販機ではなく、「ハンガーゼロ 」の自販機を設置してみませんか?
株式会社 タニタの取り組み〜世界から肥満と飢餓をなくそうプロジェクト〜
健康についての取り組みが話題の株式会社 タニタのグループ会社タニタヘルスリンクでは、ダイエットした人の体重分が寄付となるユニークな活動が行われています。
寄付をする先は、国連の食糧支援機関である国連WFPです。飢餓のない世界を目指して毎年約80カ国 1億人に支援しています。
参加方法は簡単で、タニタヘルスリンクの提供する「健康グラフ日記」を利用するだけ。自分が頑張って減らした脂肪が寄付へと換算されます。嬉しいのは、適正体重の人でも参加できる仕組みがあること。適正体重でありつづけた日数分だけ寄付が行えます。自分の健康について考えたい人にもおすすめな機能です。
健康を考えながら支援ができる面白い取り組みですね。企業で働くみんなで取り組んでみてはいかがでしょうか?
タニタヘルスリンク「健康グラフ日記」についてはこちらから確認ができます。
株式会社アメグミの取り組み〜
「飢餓をゼロに」では、食糧の支援以外にも、自立した農業のやり方を確立することも求められています。
「魚を与えるのではなく、釣り方を教えよ」の言葉があるように、支援に頼らなくても自分たちで作物を手に入れられれば、より持続可能に近づくと考えられているためです。
そこで、自立した農業のやり方を確立するための取り組みも進められています。
株式会社アメグミは、スマートフォン向けのOSを開発を開発している会社です。新興国の農業や林業、製造業などに携わる人たちへ自社で開発したOSを使った安価で長持ちし、最低限機能がついたスマートフォンを提供しています。
スマホがあれば効率のいい農業手法を調べたり、安いルートでタネを仕入れる方法などを知ることができそうですよね。しかし、貧困地域の人々のほとんどはスマホを持っていません。
この現状に着目した株式会社アメグミは、貧困地域の主に農家や小売店の店員にスマホを普及させるための取り組みを展開。アプリを利用することで、現地の農家が農地の写真を送り、農業団体からアドバイスをもらうといった技術向上のサポートも行っています。
このように通信手段を改善することで、持続可能な農業の実現が期待されています。最新テクノロジーを支援につなげた素晴らしいアイデアですよね。株式会社アメグミのように、企業が持つ技術を支援に結びつけられないかを探ってはいかがでしょうか。
ここまでは、海外への飢餓支援を中心にご紹介してきました。ここからは、日本の飢餓について取り組む企業をご紹介していきます。
長崎蒲鉾有限会社の取り組み〜フードバンク「つなぐBUNK」への支援〜
コロナの影響もあり、各地域のフードバンクの活動が縮小しています。そのため、お家に食材や食料を届ける宅食の活動が広がり始めています。
まだ食べられる食品なのに、さまざまな理由で廃棄されてしまう食品を食べ物に困っている人や施設に送る社会福祉活動。
例えば、「つなぐBANK」。
「つなぐBANK」は長崎のフードバンク活動で、食生活に影響が心配されるひとり親家庭とその子どもたちを支援する活動を行っています。長崎蒲鉾有限会社はこの活動に参加し、協力しているのです。
長崎蒲鉾有限会社は、長崎でも歴史あるかまぼこ屋さんです。長崎俵物(たわらもの)と呼ばれる17世紀の元禄時代から作られているかまぼこが名物。初代から受け継がれた伝統と技術を守っている会社です。かまぼこの製造時に、どうしても出てしまうキズ品の商品などを定期的に提供しています。
このようにフードバンク活動は、全国に広がりを見せています。様々な理由で販売が難しくなったものの、まだ十分に食べられる食品を持っている企業などから食材を提供することができます。
ぜひこの機会に自分の仕事場がある地域のフードバンクの取り組みを確認してみましょう。食事に困るこどもや家族を支援することができるかもしれません。
こども宅食応援団のサイトに全国の取り組みが載っているのでチェックしてみてくださいね。
全農ECソリューションズ株式会社の取り組み〜こども食堂に国産農畜産物を!〜
全農ECソリューションズ株式会社は、JAグループのインターネット事業を行う会社です。コロナの影響で、全国の和牛の出荷や消費が一時停滞してしまったことを受けて、こども食堂への支援へと乗り出しました。具体的にはクラウドファンディングで、「こども食堂に国産農畜産物を届けよう」というプロジェクトを立ち上げています。
これは、成長した牛たちの美味しい牛肉と野菜を全国16カ所の子供食堂へ送るプロジェクトです。
農作物や畜産物などを取り扱う食品業界へのコロナの影響は大きく、食品ロスにつながってしまう現状を利用して、支援を呼びかけているのですね。
これを機会に、困っている農家さんなどと協力して、企業として何ができるのか、企業内の支援体制を整えてみるのも良いかもしれませんね。
まとめ
世界では、飢餓に苦しむ地域がまだ数多くあります。日本も例外ではないのです。日本から海外への支援は、NPO団体などを通して行ったり、共同でプロジェクトを立ち上げたりと様々な取り組みが進められています。
また、内閣府では、民間団体と企業をマッチングする”子供の貧困対策 マッチング・フォーラム”が行われたり、厚生労働省から子ども食堂の助成金が捻出されたりと、国としても対策が行われています。
企業として何ができるのか?と考え始めたなら、まずは、ユニセフ 協会やNPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえなど支援活動を行っている団体に問い合わせしてみるのも良いでしょう。
あなたの行動ひとつで、食べ物がなく困っている人を救うことができるということを忘れずにいたいですね。
参考文献
ニューズウィーク日本版
