国際連合とは?常任理事国はどこ?国際連盟との違いや参加国・本部は?問題点についても徹底解説!

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国際ニュースを見るたびに、世界の複雑さに頭を悩ませている人もいるでしょう。このような世界情勢の中、国際連合について理解を深めることは、世界の動きを深く理解するための1つの鍵となります。

「国連」という言葉は聞き慣れたものですが、グローバル化が進む現代において、国際連合の目的や役割、歴史、具体的な活動事例などを知ることは重要です。より広い視野で未来を見据えるために、国際連合について、わかりやすく解説します。

目次

国際連合とは

【マンハッタンで行われた国連総会第79回会合(UNGA79)】

国際連合(略称:国連)は、第二次世界大戦後の1945年10月24日に設立された、世界平和の維持と国際協力の促進を目的とする国際機関です。現在193か国が加盟し、国際社会における最も包括的かつ影響力のある組織として機能しています。

国連は、

  • 安全保障
  • 経済発展
  • 社会問題
  • 人権保護
  • 環境問題

など、幅広い分野で活動を展開しており、グローバルな課題に対して国際社会が協調して取り組むための重要な舞台となっています。

国際連合は英語でUnited Nationsです。略して「UN」とも呼ばれます。この名称は、United Nations の意味は、「連合国」です。第二次世界大戦中にアメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が考え出した言葉です。

組織構造と主要機関

【国産連合システム】

国際連合は6つの主要機関から構成されています。それぞれが重要な役割を担っており、相互に連携しながら活動しています。

  1. 総会:全加盟国が参加する最高議決機関
  2. 安全保障理事会:国際平和と安全の維持に責任を負う
  3. 経済社会理事会:経済・社会分野の国際協力を推進
  4. 信託統治理事会:現在は活動を停止
  5. 国際司法裁判所:国際法に基づく紛争解決を行う
  6. 事務局:日常的な業務を遂行

国連憲章(United Nations Charter)

国連憲章は、国際連合(国連)の基本文書であり、組織の根幹を成す重要な国際条約です。この憲章は、国連の目的、原則、構造、そして加盟国の権利と義務を定めています。

国連憲章は国連の設立根拠となる文書で、組織の存在意義や活動の指針を示しています。国連のすべての活動は、この憲章に基づいて行われます。

国連憲章は国際関係における主要原則を成文化しており、現代の国際法の重要な基盤となっています。

改正と批准の手続き

国連憲章には、その改正方法や加盟国による批准手続き※についても規定されています。これにより、国連の発展と時代に応じた変化が可能となっています。

※批准手続き

条約などに対する国家の最終的な確認、確定的な同意の手続き。

国連憲章は、前文と19章111条から構成される包括的な文書です。この憲章を通じて、国際連合は世界平和の維持と国際協力の促進という崇高な目標に向けて活動する法的・制度的基盤を得ています。つまり、国連憲章は国際連合という組織の「憲法」のような役割を果たしており、国連のすべての活動と存在意義の根源となっているのです。

国際連合と日本

第二次世界大戦後の1945年に設立された国際連合に、日本は当初、加盟できませんでした。敗戦国として占領下にあった日本は、1956年になってようやく加盟を果たしました。

平和主義と国際貢献

日本は国連加盟後、平和主義外交を掲げ、国際協調を重視する姿勢を示してきました。特に経済面での貢献が顕著で、国連分担金※は長年にわたり米国に次ぐ第2位でした。(2022年~2024年実績では3位)

【2022年~2024年の国連の経費分担(一部)】

アメリカ22.000%
中国15.254%
日本8.033%
ドイツ6.111%
フランス4.318%

また、日本は国連安全保障理事会の非常任理事国を11回務め、北朝鮮問題やアフリカ、中東などの課題に積極的に関与してきました。現在、日本は国連を自国の外交政策を実現する重要な場として位置づけています。

※国連分担金

国連の活動資金を加盟国が分担して拠出する金額のこと。各国の経済力や国連への貢献度などを総合的に勘案し、国連総会で決議された分担率に基づいて算出される。経済規模の大きい国ほど高い割合を負担する傾向がある。

国際連盟とは?目的は?簡単に解説

ここでは、国際連盟とはどんなものか、どういった目的で設立されたのかについて、簡単に解説していきます。

国際連盟とは?

国際連盟とは、第一次世界大戦後の1920年に設立された、世界初の国際平和機構です。戦争を防ぎ、各国が協力して平和を維持することを目的として、アメリカ大統領ウィルソンの提案に基づいて創設されました。

本部はスイスのジュネーブにあり、日本を含む多くの国が加盟しましたが、アメリカ自身は議会の反対により加盟しませんでした。

紛争の仲介や軍縮、人道支援などに取り組みましたが、強制力や実行力に欠けていたため、イタリアやドイツ、日本の脱退を止められず、第二次世界大戦を防ぐことができませんでした。

その反省をもとに、より強い権限を持つ国際連合が1945年に設立されました。

国際連合と国際連盟との違い

国際連盟は英語でLeague of Nationsです。国際連盟 は、第一次世界大戦後の1920年に設立された国際機関で、国際平和を維持することを目的としていました。

国際連合は、国際連盟の後継組織と位置付けられています。国際連盟と国際連合は、設立された時代や背景、組織構造などが異なります。

国際連盟は、国際平和維持の理念はあったものの、第二次世界大戦を防ぐことができませんでした。この反省を踏まえて、より強力な国際機関として国際連合が設立されたのです。

国際連盟と日本

日本は、第一次世界大戦後の1920年に設立された国際連盟の設立当初からの加盟国の1つです。当時、日本は国際社会での地位向上を目指しており、国際連盟への参加はその一環でした。

日本は国際連盟の常任理事国として、国際的な平和維持活動に参加し、一定の影響力を持っていました。しかし、1931年の満州事変後、国際連盟は日本の行動を非難しました。

これに反発した日本は1933年に国際連盟から脱退し、国際社会から孤立していきました。

国際連盟から国際連合まで、日本の国際機関との関係は変遷を遂げてきました。現在、日本は国連を重要な外交の場として位置づけ、国際社会の平和と繁栄に向けて積極的に貢献しています。*1)

国際連盟の常任理事国と本部はどこ?

国際連盟の常任理事国は、設立当初は以下の4か国です。

  • イギリス
  • フランス
  • イタリア
  • 日本

のちにドイツ(1926年加盟)ソ連(1934年加盟)も一時的に常任理事国となりましたが、ドイツは1933年、ソ連は1939年に脱退・除名されています。

本部はスイスのジュネーブに置かれました。中立国であるスイスの立地は、当時の国際協調の象徴とされました。なお、現在の国際連合の常任理事国(米・英・仏・中・露)とは構成が異なる点に注意が必要です。

国際連盟の参加国

国際連盟の加盟国数は最大で63か国に達しました。主な参加国には、以下のような国々が含まれていました。

  • イギリス
  • フランス
  • 日本
  • イタリア
  • ドイツ(1926~1933年)
  • ソ連(1934~1939年)
  • 中国
  • スペイン
  • 南アフリカ連邦 など

一方、アメリカ合衆国は設立の提案国でありながら、議会の反対により最初から加盟していませんでした。

また、時代とともに脱退や除名が相次ぎ、組織としての結束力に課題を抱えていたのも特徴です。

国際連合に加盟していない国

【ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)の活動する国と地域】

2024年10月現在、国際連合(国連)の加盟国数は193カ国です。しかし、世界には国連に加盟していない国や地域が存在します。主な非加盟国・地域として、

  • バチカン市国
  • パレスチナ
  • 台湾
  • コソボ
  • 西サハラ
  • クック諸島
  • ニウエ

などが挙げられます。

国連に加盟していない国や地域には、それぞれ異なる理由があります。主な非加盟国・地域について、その背景を確認していきましょう。

自主的な非加盟:バチカン市国

バチカン市国は、世界最小の主権国家として知られていますが、国連には加盟していません。その理由は、宗教的中立性を保つためです。

バチカン市国はローマ教皇庁の所在地であり、カトリック教会の中心地です。国連に加盟することで、政治的な立場を取らざるを得ない状況に陥る可能性があります。

そのため、バチカン市国は国連総会でのオブザーバーの地位を保持しつつ、加盟国とはならない道を選択しています。

国家承認の問題:パレスチナと台湾

パレスチナ台湾は、国家としての承認をめぐる国際的な議論が続いているため、国連加盟が実現していません。

パレスチナは2012年に国連総会で「非加盟オブザーバー国家」の地位を得ましたが、正式な加盟国とはなっていません。イスラエルとの領土問題や、一部の国々による国家承認の問題が、加盟への障壁となっています。

台湾は、中華人民共和国との複雑な政治的関係により、国連加盟が困難な状況にあります。1971年まで中華民国(台湾)が中国の代表として国連に席を占めていましたが、現在は中華人民共和国がその地位を継承しています。

国際的な認知度の問題:コソボと西サハラ

コソボ2008年にセルビアからの独立を宣言しましたが、セルビアや一部の国々がこれを認めていないため、国連加盟が実現していません。

西サハラは、モロッコとポリサリオ戦線との間で領有権争いが続いており、国際的な地位が不安定です。そのため、国連加盟の条件を満たしていないと見なされています。

【コラム】西サハラ

アフリカ大陸北西部の大西洋岸に位置する地域。かつてはスペインの植民地だったが、1973年、西サハラ人による民族解放組織がスペインに対する武装闘争を開始し、1975年にスペインが統治から撤退を決意、1976年に撤退した。

スペインが撤退を決意すると、モロッコとモーリタニアが西サハラの領有権を主張し始め、1975年11月、モロッコは数十万人の民間人を西サハラに送り込む「グリーン・マーチ」と呼ばれる行動を行い、事実上、西サハラの大部分を占領した。

西サハラ住民の視点:

西サハラ住民の多くは、自らの民族自決権を主張し、モロッコからの独立を強く求めている。彼らは、スペイン統治下での抑圧や、モロッコによる占領下での人権侵害などを経験しており、独自の文化や歴史を持つ民族として、独立国家を建設したいと考えている。

サハラ・アラブ民主共和国(SADR)は、西サハラ住民の代表として国際社会に認められようとしている。

モロッコの立場:

モロッコは、西サハラを歴史的に自国の領土の一部と主張しており、その返還を要求している。モロッコ政府は、西サハラ住民に対して自治権を与えるという提案を行っているが、完全な独立は認めていない。

モロッコは、西サハラを自国の領土に組み込むことで、国土の安定と経済発展を図りたいと考えている。

国連は、西サハラ問題の平和的解決を目指し、住民投票の実施を勧めてきた。しかし、モロッコとSADRの間で投票の条件や範囲をめぐり合意が得られず、住民投票は実現していない。

自治領の特殊性:クック諸島※とニウエ※

クック諸島ニウエは、ニュージーランドと自由連合関係※にある自治領です。両地域は独自の外交権を持ち、多くの国際機関に加盟していますが、国連には加盟していません。

これらの地域は、完全な独立国としての地位を求めていないため、国連加盟を積極的に目指していません。ただし、将来的に加盟を検討する可能性は残されています。

※クック諸島

南太平洋に位置する15の島々からなる島国。ニュージーランドとの自由連合関係にある。ポリネシア文化が色濃く残る一方で、英語も公用語。ラロトンガ島が最大の島であり、首都のアバルアがある。美しい自然と多様なマリンスポーツが魅力。

※ニウエ

南太平洋に位置するポリネシアの島国。世界で3番目に小さな島国であり、サンゴ礁でできた環礁が特徴。ニュージーランドとの自由連合関係にある。ポリネシア文化が色濃く残り、マオリ語と英語が公用語。ココナッツやパパイアなどの熱帯果物が豊富。

※自由連合関係

複数の国家や地域が自主的に結びつき、協力関係を築く形態を指す。主に経済、政治、安全保障の分野での協力が見られ、各参加国の主権や文化の尊重が基本となる。この関係は、国際問題への共同対応や資源の共有を促進するために形成されることが多い。特に、地域的な安定や発展を目指す目的が強調される。

国連オブザーバー

国連オブザーバーとは、国際連合(国連)の総会などにおいて、投票権を持たずにオブザーバーとして参加している国家や国際機関のことを指します。国連憲章に明確な規定はなく、1946年に事務総長がスイスにオブザーバー資格を与えたことをきっかけに、慣習として認められるようになりました。

オブザーバーは、会議に出席し、発言を行う権利はありますが、議決権はありません。しかし、国際的な議論に参画し、自国の立場を表明したり、国際社会への影響力を高めたりする機会を得ることができます。

具体的な国連オブザーバーの例としては、以下のような国や地域が挙げられます。

  • パレスチナ: 2012年にオブザーバー国家の地位を獲得
  • バチカン市国: カトリック教会の中心地であり、宗教的な観点からオブザーバーとして参加
  • ヨーロッパ連合(EU): 2012年に「強化されたオブザーバー」の地位を獲得し、国連での発言権を強化
  • アフリカ連合(AU)
  • アラブ諸国連盟
  • イスラム協力機構
  • さまざまなNGO

オブザーバーの地位から始まり、その後、国連に加盟するというステップを踏む国も多くあります。例えば、日本や韓国もかつてはオブザーバーの地位からスタートし、その後、国連加盟を果たしました。

国連加盟の問題は、国際政治の複雑さを反映しています。各国・地域の歴史的背景や現在の国際関係を理解することで、世界の多様性と課題をより深く認識することができるでしょう。*2)

国際連合の目的と役割

現代の世界情勢は、グローバル化の進展と同時に、複雑化・多極化が加速しています。気候変動、テロリズム、経済格差、人権侵害など、一国では解決困難な課題が山積しており、国際社会の協調がこれまで以上に求められています。

このような状況下で、国際連合(国連)の果たす役割は極めて重要です。国連は、世界平和の維持と国際協力の促進を主な目的として設立された組織であり、その存在意義は年々高まっているといえるでしょう。

国際平和と安全の維持

国連の最重要目的の1つが、国際平和と安全の維持です。この目的を達成するため、国連は以下のような役割を担っています。

  • 紛争の平和的解決:対立する国家間の仲介や調停を行い、武力衝突を未然に防ぐ
  • 平和維持活動(PKO):紛争地域に平和維持軍を派遣し、停戦監視や治安維持
  • 軍縮と不拡散:核兵器をはじめとする大量破壊兵器の削減と拡散防止

人権の保護と促進

人権の尊重は国連の基本理念の1つであり、すべての人々の尊厳と権利を守ることを目指しています。具体的な役割としては以下のことが挙げられます。

  • 人権条約の策定と監視:世界人権宣言をはじめとする国際人権基準を設け、その遵守を促進
  • 人権侵害への対応:深刻な人権侵害に対して調査や制裁を行い、被害者を保護する
  • 人権教育の推進:世界中で人権意識の向上を図るための啓発活動

持続可能な開発の推進

貧困撲滅や環境保護など、持続可能な開発は国連の重要な目的の1つです。この分野における国連の役割は、

  • SDGs(持続可能な開発目標)の推進:2030年までに達成すべき17の目標を設定し、その実現に向けて各国の取り組みを支援
  • 開発援助の調整:開発途上国への支援を効果的に行うため、各国や国際機関の援助活動を調整
  • 環境保護の取り組み:気候変動対策や生物多様性の保全など、地球環境を守るための国際的な枠組みづくり

などです。

人道支援と災害救援

自然災害や紛争による被災者への支援も、国連の重要な役割です。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)などの機関を通じて、緊急支援や長期的な復興支援を行っています。

2010年のハイチ大地震における国連の迅速な対応は、この役割の重要性を示す一例です。

国連の目的は、第二次世界大戦後の世界情勢を反映して設定されましたが、気候変動や感染症対策など、新たな国際的課題に対しても、これらの基本的な目的に基づいて取り組みが行われています。世界の情勢が複雑化する中、国連の役割はますます重要になっています。*3)

国際連合の歴史

国際連合は、人類が平和な世界を築くために長年努力してきた歴史の積み重ねの上に成り立っています。第一次世界大戦後の国際連盟から始まり、第二次世界大戦を経て、現在の国際連合へと発展してきたその歴史を、時代背景とともに紐解いていきましょう。

時期出来事内容
1920年〜国際連盟の設立国際連盟の設立(本部:ジュネーブ)。第一次世界大戦後、国際協調による平和維持を目的に設立。
1930年代〜1945年国際連盟の限界が明確に国際連盟の限界が露呈。満洲事変など国際危機に対応できず、第二次世界大戦を防げなかった。
1941年〜1945年国際連合の構想が始動連合国による国際連合構想の始動。アトランティック憲章や連合国宣言で新たな国際機構の準備開始。
1945年10月24日〜国際連合の正式発足国際連合が正式に発足(設立:1945年10月24日)。国際連盟の反省をふまえ、より強力な体制に。
1945年〜1991年(冷戦期)冷戦期による国連機能の停滞冷戦期の国連は米ソ対立の影響で、安全保障理事会が機能不全に。PKOは限定的に実施。
1991年〜現在冷戦後の国連機能の拡大冷戦終結後、国連は平和維持・人道支援・持続可能な開発など多方面に活動を拡大。SDGsの採択も。

国際連合(UN)は1945年、第二次世界大戦の反省から設立されました。前身の国際連盟は1920年に発足しましたが、主要国の脱退や強制力の欠如により戦争を防げず失敗。国連はその教訓を活かし、常任理事国制度や安全保障理事会を設けました。

現在193か国が加盟し、紛争解決、人権保護、SDGsなど幅広い国際課題に取り組んでいます。一方で、拒否権などの制度的な問題点も抱え、改革の必要性が指摘されています。

国際連合の具体的な活動事例

国際連合は、世界平和の維持と国際協力の促進を目的として、多岐にわたる活動を展開しています。近年の国連の活動は、

  • 平和維持活動
  • 持続可能な開発
  • 気候変動対策
  • 人権保護
  • 人道支援

など、グローバルな課題に対する包括的なアプローチを特徴としています。国連は、複雑化する国際問題に対応するため、その専門性と中立性を活かし、各国政府や市民社会と協力しながら、世界規模の課題解決に取り組んでいるのです。

国連の具体的な活動事例をいくつか紹介します。

SDGs(持続可能な開発目標)の推進

【全体的に見て軌道に乗っているターゲットは5分の1:SDGs】

2015年に採択されたSDGsは、2030年までに達成すべき17の目標を掲げており、貧困撲滅から気候変動対策まで、幅広い課題に取り組んでいます。「誰一人取り残さない」持続可能で包摂的な社会の実現のため、国連はSDGsの進捗状況を監視し、各国の取り組みを支援しています。

例えば、国連開発計画(UNDP)※は、各国政府にSDGs達成のための政策立案支援を行っています。2020年の報告によると、極度の貧困率の低下や、5歳未満児の死亡率の減少など、一定の進展が見られています。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響や不安定な世界情勢により、一部の目標達成が困難になっているのが現状です。

※国連開発計画(UNDP)

国連の専門機関の1つで、途上国の持続可能な開発を支援することを目的とする。貧困削減、人々の生活の質の向上、民主主義の強化など、幅広い分野で活動し、各国政府や民間セクターと連携して開発プロジェクトを推進している。

気候変動対策

国連は、気候変動問題に対して積極的に取り組んでおり、国際的な協調行動を促進しています。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)※事務局を中心に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の科学的知見を基に、各国の温室効果ガス削減目標の設定や実施を支援し、地球温暖化の抑制と気候変動の悪影響への適応を目指しています。

具体的な成果として、2015年のパリ協定採択により、世界共通の長期目標として産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑える国際的な枠組みが確立されました。

※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)

気候変動問題に対処するための国際的な枠組み。地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制し、気候変動による悪影響を軽減することを目的とする。締約国会議(COP)を定期的に開催し、具体的な対策について交渉を進めている。

※気候変動に関する政府間パネル(IPCC)

気候変動に関する科学的な知見を評価し、政策決定者に提供する国際機関。世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立され、世界中の気候科学者の協力の下、定期的に評価報告書を公表している。IPCCの報告書は、UNFCCCをはじめとする国際的な気候変動交渉の科学的根拠として利用されている。

【関連記事】IPCCとはどんな組織?活動内容や各報告書の詳細、SDGsとの関係も

平和維持活動(PKO)

【ハイチPKO】

国連PKOは、紛争地域の平和と安定を維持するための重要な活動です。PKOは、紛争地域の安定化と平和の定着を図ることを目指し、

  • 停戦監視
  • 武装解除の支援
  • 選挙支援
  • 法の支配の確立

など、多岐にわたる任務を遂行しています。

2021年現在、12の平和維持活動に約9万人の要員が従事しており、シエラレオネやリベリアなどで成功例が見られます。

一方で、複雑化する紛争状況に対応するため、PKOの在り方についての議論も続いています。

人道支援活動

【国連の要請を受け人道支援物資の輸送にあたる自衛隊】

自然災害や紛争による被災者への支援も、国連の重要な活動の1つです。

活動内容: 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)などの機関が、食料、水、医療などの緊急支援を提供しています。

目的: 災害や紛争の被災者の生命を守り、尊厳を維持することを目指しています。

成果: 2020年には、WFPが約1億1,500万人に食料支援を提供し、ノーベル平和賞を受賞しました。

「未来のための協定」を採択

【ニューヨークで開催された国連未来サミット2024】

2024年9月に開催された国連未来サミットにおいて、各国指導者は「未来のための協定」を採択しました。この協定は、国際社会が抱えるさまざまな課題に対して、より効果的に対応するための包括的な枠組みです。

主な内容は以下の通りです。

  • 平和と安全
    安保理改革、核軍縮、宇宙空間の平和利用など、国際平和と安全に関する具体的な行動計画が盛り込まれています。
  • 持続可能な開発
    SDGsの達成に向けた取り組みを加速させ、気候変動対策、開発資金の調達など、幅広い分野で具体的な目標を設定しています。
  • デジタル協力
    デジタル技術の進展に伴う課題に対応するため、AIのガバナンスやデータプライバシーなどに関する国際的な枠組みを構築します。
  • 人権とジェンダー
    人権の保護とジェンダー平等の実現に向けた取り組みを強化します。
  • 若者と将来世代
    将来世代が国際的な意思決定プロセスに参加できる機会を増やし、彼らの意見を反映します。

この協定は、急速に変化する世界情勢に対応するため、国連システムを現代化し、より包括的で効果的なものにしようとする試みです。特に注目すべきは、デジタル技術やAIに関する国際的な枠組みの構築、気候変動対策の強化、そして将来世代の利益を考慮した意思決定プロセスの導入です。

また、開発途上国の発言権を高め、国際金融システムをより公平なものにしようとする取り組みも重要です。これは、グローバルな課題に対してより包括的なアプローチを取ろうとする国際社会の姿勢を示しています。

これらの活動は、国連が世界の平和と繁栄のために果たす重要な役割を示しています。しかし、複雑化する国際問題に対応するため、国連の改革や機能強化の必要性も指摘されており、今後の展開が注目されています。*5)

国際連合の課題・問題点

国際連合(国連)は、世界平和の維持と国際協力の促進を目指す重要な国際機関ですが、現代の複雑な国際情勢の中で、さまざまな課題に直面しています。世界は21世紀に入り、

  • 気候変動
  • テロリズム
  • 難民問題

など、新たな地球規模の課題に直面しています。同時に、安全保障理事会の構成や意思決定プロセスなど、国際連合の組織自体の改革も重要な議題となっています。

近年直面している課題

国際連合は、急速に変化する世界情勢の中で多くの重大な課題に直面しています。これらの課題は、国連の役割とその機能に対する新たな試練と言えます。

気候危機への対応

気候変動は、国連が取り組むべき最も緊急性の高い課題の1つです。地球温暖化の進行は、

  • 海面上昇
  • 異常気象の増加
  • 生態系の破壊

など、深刻な影響をもたらしています。国連は2015年のパリ協定採択を主導しましたが、その実効性の確保が大きな課題となっています。

各国の利害が絡み合う中で、具体的な削減目標の設定や実施の監視メカニズムの強化が求められています。

新たな形態の紛争と暴力

従来の国家間紛争に加え、非国家主体によるテロリズムや、サイバー攻撃など、新たな形態の紛争や暴力が国際社会の脅威となっています。国連の平和維持活動(PKO)は、こうした複雑化する紛争に対応するため、その役割や手法の見直しを迫られています。

デジタル技術の影響

デジタル技術の急速な発展は、社会に大きな変革をもたらす一方で、プライバシーの侵害や情報格差の拡大など、新たな問題も引き起こしています。また、サイバー空間での攻撃が頻発し、国家間の緊張を高める要因となっています。

国連は、こうしたデジタル時代の課題に対応するため、国際的な規範やルールの策定を進める必要があります。

将来的に問題になると予測される課題

将来的に問題になると予測される課題に対しては、先見の明を持った対策が必要とされます。これらの課題に対して、国連がどのように適応し、効果的な解決策を見出していくかが、組織の将来的な役割と重要性を左右するでしょう。

人口構造の変化

世界人口増加を続け、2050年には97億人に達すると予測されています。同時に、先進国を中心に高齢化が進行し、労働力人口の減少や社会保障制度の持続可能性が課題となります。

国連は、こうした人口動態の変化に対応するため、SDGs(持続可能な開発目標)の達成を通じた社会経済システムの変革を推進しています。

Beyond GDPの枠組み構築

経済成長だけでなく、人々のウェルビーイング環境の持続可能性包括的に評価する新たな指標の必要性が認識されています。国連は、2024年の国連未来サミットに向けて、GDPに代わる新たな評価枠組みの構築を目指しています。

この取り組みは、経済、社会、環境の調和のとれた発展を促進する上で重要な役割を果たすと期待されています。

この他にも、

  • 人工知能の進展: 人工知能の急速な発展による、新たな倫理的な問題や、国際秩序への影響
  • 宇宙開発競争の激化: 宇宙空間における資源争奪や軍事利用
  • 人口増加と資源の枯渇: 世界人口の増加と資源の有限性との間の矛盾が、国際的な紛争や社会不安を引き起こす可能性

などが懸念されています。

組織の構造的課題

常任理事国間の対立により、安保理の決議が困難になり、国際社会の対応が遅れるなど、国際連合の機能不全や体質的な課題もあります。事務局の効率性や透明性の向上、そして、より多様な人材の登用が求められています。

安全保障理事会の改革

安全保障理事会の構成や意思決定プロセスは、第二次世界大戦直後の国際情勢を反映したものであり、現代の世界情勢に適合していないという批判があります。常任理事国の拡大や拒否権の制限など、改革の必要性が長年議論されていますが、既得権益を持つ国々の反対もあり、実現には至っていません。

財政基盤の強化

国連の活動資金は加盟国の分担金や任意拠出金に依存しており、安定的な財源の確保が課題となっています。特に、最大の拠出国であるアメリカの分担金滞納問題※は、国連の財政を圧迫する要因となっています。

※アメリカの分担金滞納問題

アメリカは最大の出資国であり、その滞納は国連の財政的安定性や機能に影響を与える。 トランプ政権下では、国連への分担金を大幅に滞納し、改革を求める姿勢を示した。しかし、バイデン政権下では、分担金の支払いを再開し、国連への関与を強化している。

国連加盟国としての日本の立場的な課題

日本は、国連創設から長い年月が経ち、国際社会で重要な役割を担うに至りました。しかし、その一方で、国連における日本の立場は、歴史的背景や国際政治の複雑な動きの中で、いくつかの課題を抱えています。

安全保障理事会常任理事国入りへの取り組み

日本は、国連への財政的貢献度の高さや国際平和への貢献を根拠に、安全保障理事会の常任理事国入りを目指しています。しかし、アジアの他の国々との競合や、現常任理事国の消極的な姿勢など、実現への道のりは険しい状況です。

平和構築への積極的貢献

日本は、憲法第9条による制約がある中で、どのように国際平和に貢献できるかを模索しています。PKOへの参加や、開発援助を通じた平和構築支援など、非軍事的な貢献を重視しつつ、国際社会での存在感を高める努力を続けています。

「かつての侵略者」のイメージや「敗戦国」としての扱いからの脱却

日本は、国連加盟以来、「かつての侵略者」のイメージや「敗戦国」としての扱いから脱却し、国際社会での地位向上に努めてきました。この課題は、単なるイメージの問題ではなく、実質的な国際的立場に関わる重要な問題です。

第二次世界大戦後、日本は占領下に置かれ、1956年に国連に加盟するまで、国際社会での発言権を制限されていました。加盟後も、戦争の記憶が新しい時期には、国際会議の場で日本代表が発言する際に反発を受けることがありました。

この課題には非常に複雑な側面があります。日韓関係や日中関係など、アジア諸国の中には、日本の戦争責任に関する認識をめぐって意見の相違が残る国もあり、日本が国際社会でより大きな役割を果たそうとする際、こうした歴史認識の問題が障壁となることもあるのです。

このような状況下で、日本は外交的なバランスを取りながら、技術力、経済力、文化など、日本の強みを活かした国際貢献を続けていくことが重要と言えます。

国連が直面するこれらの課題は、いずれも複雑で解決が容易ではありません。しかし、国際社会が協調して取り組むことで、より平和で持続可能な世界の実現に近づくことができるでしょう。私たち一人一人が、これらの課題について理解を深め、できることから行動を起こすことが、国連の目指す世界の実現につながるのです。*6)

国際連合・国際連盟に関するよくある質問

ここでは、国際連合・国際連盟に関するよくある質問について紹介します。

国際連合と国際連盟の違いは?

国際連盟は1920年に設立された世界初の国際平和機構で、第一次世界大戦の反省から生まれました。しかし、アメリカが加盟せず、強制力や実効性に欠けていたため、満洲事変などの国際問題に対応できず、第二次世界大戦を防げませんでした。

一方、1945年に発足した国際連合(UN)は、こうした失敗を教訓に、安全保障理事会や常任理事国制度、拒否権の導入など、より強い枠組みを持っています。加盟国数や活動領域も広く、平和維持や人道支援、開発などに積極的に取り組んでいます。

国際連盟にはどの国が加盟していた?

国際連盟は1920年に設立され、最大で63か国が加盟しました。イギリス、フランス、日本、イタリアなどが常任理事国として参加し、国際紛争の防止や人道支援、軍縮などを目的に活動しました。

しかし、アメリカは設立を提唱したにもかかわらず議会の反対で加盟せず、ドイツやソ連も途中で加盟・脱退しています。また、満洲事変やエチオピア侵攻などで有効な対応ができず、主要国の信頼を失っていきました。国際連盟は第二次世界大戦を防げなかったため、1946年に正式に解散されました。

国際連合の常任理事国はどこ?

国際連合の安全保障理事会には、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア(旧ソ連)、中国の5か国が常任理事国として参加しています。これらの国々は、世界大戦の戦勝国であり、国際的な政治・軍事の影響力が大きいとされ、特別な地位を持っています。

常任理事国は安全保障理事会で「拒否権(Veto)」を持ち、1国でも反対すれば重要な決議は成立しません。常任理事国の構成や権限については、近年「偏っている」「改革が必要」といった批判も多く、国連改革の議論が続いています。

なぜ国際連盟は失敗した?

国際連盟が失敗した理由は複数ありますが、最大の要因は実効性の欠如でした。アメリカが参加せず、主要国が脱退していったことで連盟の求心力が低下しました。

さらに、加盟国に対して強制的な措置をとる権限がなかったため、紛争の抑止力としては機能しませんでした。満洲事変では日本に対し有効な制裁ができず、イタリアのエチオピア侵攻にも無力でした。

こうした対応の甘さにより、戦争を未然に防ぐ役割を果たせず、最終的に第二次世界大戦が勃発。国際連盟は1946年に解散されました。

国際連合はどんな活動をしている?

国際連合は世界の平和と安全の維持をはじめ、広範な分野で活動しています。代表的なものとして、紛争後の平和維持活動(PKO)、難民支援や食糧援助などの人道支援、各国の教育や医療の支援などの開発協力が挙げられます。

また、近年では気候変動や貧困、ジェンダー平等、持続可能な開発目標(SDGs)の推進にも力を入れています。国際社会が抱える地球規模の課題に対し、多国間で協力しながら解決を目指す仕組みであり、その影響力と役割は年々拡大しています。

国際連合とSDGs

国際連合とSDGs(持続可能な開発目標)は、現代社会において切っても切れない関係にあります。SDGsの達成に向けて、国際連合は中心的な役割を担っています。

国際連合は世界中の国々が参加する唯一の普遍的な国際組織という立場を活かし、

  • 目標設定とグローバルな枠組みの構築
  • 国際協力の促進
  • 資金調達と技術移転
  • データ収集とモニタリング

などの役割を果たしています。国際連合の役割が特に重要となる目標をいくつか確認してみましょう。

SDGs目標1:貧困をなくそう

国連開発計画(UNDP)を中心に、貧困撲滅に向けた取り組みを推進しています。国連は、グローバルな視点から貧困の実態を把握し、効果的な対策を提案する役割を担っています。

【課題】

  • 経済格差の拡大: 先進国と途上国の間、そして途上国内での経済格差が拡大し、貧困層の生活を困難にしている
  • 気候変動の影響: 自然災害の頻発や異常気象による農業への打撃が、特に脆弱な地域において貧困を悪化させている
  • 紛争と不安定: 武力紛争や政治不安は、インフラの破壊、経済活動の停滞、食料不足などを引き起こし、貧困を深刻化
  • パンデミックの影響: COVID-19パンデミックは、世界経済に大きな打撃を与え、特に脆弱な層の生活を困難にした

など、貧困の原因は複雑化し、解決が困難です。貧困は、経済、社会、環境などさまざまな要因が複雑に絡み合った問題であり、単一の解決策はありません。

国連は、これらの課題を克服するため、各国政府、民間セクター、市民社会との連携を強化し、革新的な解決策を模索しています。

SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を

国連は、地球規模での気候変動の影響を評価し、効果的な対策を提案する役割を担っています。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)を中心に、気候変動対策の取り組みを推進しています。

【課題】

  • 温室効果ガス排出量の増加: 産業革命以降、人間活動による温室効果ガスの排出が急増し、地球温暖化を加速させている
  • 気候変動の不均等な影響: 気候変動の影響は地域によって異なり、特に脆弱な途上国や島嶼国に深刻な被害をもたらしている
  • 経済と環境の葛藤: 経済成長と環境保護の両立が困難で、特に途上国では開発と排出削減のバランスが課題となっている
  • 技術移転の遅れ: 先進国から途上国への環境技術の移転が十分に進んでおらず、グローバルな対策の実施を妨げている

など、気候変動への対策には多くの障壁があります。国連は、これらの課題に対処するため、パリ協定の実施を推進し、各国の排出削減目標の引き上げや、気候変動に対する適応策の強化を呼びかけています。

SDGs目標16:平和と公正をすべての人に

国連平和維持活動(PKO)や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)を中心に、平和構築と人権保護の取り組みを推進しています。国連は、紛争予防や平和の定着、法の支配の確立に向けた支援を行う役割を担っています。

【課題】

  • 紛争の複雑化: 民族、宗教、資源をめぐる対立など、紛争の要因が複雑化し、解決が困難になっている
  • テロリズムの脅威: 国際テロ組織の活動が世界各地に拡大し、平和と安全を脅かしている
  • 人権侵害の継続: 多くの国で深刻な人権侵害が続いており、特に少数者や弱者の権利が脅かされている
  • 腐敗と不正義: 政治的腐敗や司法制度の機能不全が、公正な社会の実現を妨げている

など、平和と公正の実現には複雑な課題があり、多くの困難があります。これらの問題解決には、包括的なアプローチが必要です。

国連は、これらの課題に対処するため、紛争予防外交の強化法の支配の促進人権教育の普及など、多面的な取り組みを展開しています。

SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

国連グローバル・コンパクト※を中心に、多様なステークホルダーとの連携を推進しています。国連は、政府、民間企業、市民社会、学術機関など、様々なアクターを結びつけ、SDGs達成に向けた協力を促進する役割を担っています。

【課題】

  • セクター間の連携不足: 政府、企業、市民社会間の対話や協力が不十分で、効果的なパートナーシップの構築が進んでいない
  • 資金調達の課題: SDGs達成に必要な資金が不足しており、特に途上国での取り組みに支障をきたしている
  • 技術格差: デジタル技術の普及に地域間格差があり、グローバルな協力を妨げている
  • データの不足: 信頼性の高いデータの不足が、進捗状況の正確な評価や効果的な政策立案を困難にしている

など、パートナーシップの構築と目標達成には多くの課題があります。SDGsの達成には、あらゆるセクターの協力が不可欠であり、国際的な連携強化が求められています。

国連は、これらの課題に対処するため、マルチステークホルダー・パートナーシップの促進、革新的な資金調達メカニズムの開発、技術移転の促進など、様々な取り組みを行っています。

※国連グローバル・コンパクト

企業が人権、労働、環境、腐敗防止に関する10原則を順守し、持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献することを目的とした、国連と民間セクターのパートナーシップ。 世界最大の企業持続可能性イニシアティブとして、企業が社会責任を果たし、グローバルな課題解決に貢献するための枠組みを提供している。企業は、このイニシアティブに参加することで、自社の評判向上、リスク管理の強化、持続可能なビジネスモデルの構築を図ることができる。

国連は、これらの目標を含むSDGs全体の達成に向けて、各国の取り組みを支援し、進捗状況を監視する役割を担っています。また、SDGsの実現には、国連システム全体の連携と効率化が不可欠であり、国連自体の組織改革も進められています。*7)

>>各目標に関する詳しい記事はこちらから

まとめ

国際連合(国連)は、世界平和の維持国際協力の促進を目指す重要な国際機関ですが、私たち一人ひとりが正しい情報を得て、賢明な判断を下すことが不可欠です。

国連は1945年の設立以来、安全保障、経済発展、社会問題、人権保護など幅広い分野で活動を展開してきました。しかし、国連もまた人間が運営する組織であり、時に判断を誤ることもあります。

そのため、私たちは国連の活動を盲目的に支持するのではなく、批判的思考を持って評価する必要があるのです。

現在、世界は気候変動、パンデミック、地政学的緊張など、複雑で相互に関連する深刻な課題に直面しています。これらのグローバルな問題に対処するため、国連はより効果的な協調体制を構築する必要があります。

私たちは個人レベルでも、グローバル社会の一員として、世界で起こっている出来事や国際機関について知ることは極めて重要です。これにより、自分の行動が世界にどのような影響を与えるかを理解し、より良い選択をすることができるでしょう。

そのために、

  • 信頼できる多様な情報源から、国際ニュースや国連の活動について定期的に情報を得る
  • 国連や関連機関のウェブサイト、ソーシャルメディアをフォローし、最新の動向を把握する
  • 地域で開催される国際問題に関するセミナーや講演会に参加し、知識を深める
  • 国連が提供するオンライン学習プログラムやウェビナーを活用する
  • 身近な国際問題について家族や友人と議論し、異なる視点を理解する

などを心掛けましょう。これらの行動は、

  • 正確な情報を収集し、批判的に分析する
  • 国際問題について積極的に学び、議論に参加する
  • 自分の行動が世界に与える影響を考え、責任ある選択をする

などの力を養うために大切です。

国連など、国際的な機関の活動を評価する際は、その成果だけでなく、課題や限界についても理解することが大切です。例えば、安全保障理事会の構造的な問題や、新興国の声を十分に反映できていない点などが指摘されています。

これらの課題を認識し、改善策を考えることも、これからの時代を生きる私たちの役割の1つと言えるでしょう。

国連は人類が共同でより良い未来を築くための重要な機関ですが、その活動の成否は私たち一人ひとりの関心と行動にかかっています。世界の動向に関心を持ち、積極的に学び、行動することで、私たちは本当の意味で国際社会の課題解決に貢献できるのです。

世界が直面する課題は、私たち全員に影響を与えるものです。だからこそ、私たちは国際社会の一員として、国連の活動を積極的に知り、さまざまな視点から情報を集めた上で、より良い未来とはどのようなものか、その実現のためには何をすればいいのか、できる限り明確なビジョンを持つ必要があります。

私たち一人ひとりが、世界の変化を創り出す力を持っているという意識を持ち、責任ある行動を心がけましょう。

<参考文献・引用文献>
*1)国際連合とは
United Nations『Space and climate change』
国際連合広報センター『国際連合システム』
United Nations『About Us』
United Nations『UN System』
United Nations『General Assembly』(2022年1月)
外務省『国連とは』
外務省『岸田総理大臣とグテーレス国連事務総長との会談』(2023年5月)
外務省『上川外務大臣とグテーレス国連事務総長との会談』(2023年9月)
国際連合広報センター『国連憲章テキスト』
国際連合広報センター『主な活動』
国際連合広報センター『加盟国一覧』
国際連合広報センター『国連システム』
日本経済新聞『国際連合とは』(2016年12月)
*2)国際連合に加盟していない国
unicef『ユニセフが活動する国と地域』
外務省『世界と日本のデータを見る(世界の国の数、国連加盟国数、日本の大使館数など)』(2024年5月)
国際連合広報センター『加盟国と公用語』
国際連合広報センター『西サハラ』
国際連合広報センター『コソボ』
外務省『バチカン(Vatican)基礎データ』
外務省『パレスチナ』
外務省『パレスチナ 基礎データ』
外務省『台湾』
外務省「台湾 基礎データ』
外務省『コソボ共和国(Republic of Kosovo)基礎データ』(2024年9月)
外務省『コソボ 危険・スポット・広域情報』
外務省『西サハラ地域 危険・スポット・広域情報』
外務省『クック諸島(Cook Islands) 基礎データ』(2024年7月)
外務省『ニウエ(Niue) 基礎データ』(2024年7月)
在ニウエ日本大使館『対ニウエ 国別開発協力方針』(2019年4月)
国際連合広報センター『国際海運』
東 裕『クック諸島は独立国か…主として比較憲法の視点から』(1999年5月)
国連広報センター『国連のここが知りたい』(2010年)
*3)国際連合の目的と役割
国際連合広報センター『目的と原則』
国際連合広報センター『国際の平和と安全』
国際連合広報センター『平和維持』
国際連合広報センター『経済社会開発』
国際連合広報センター『人権』
国際連合広報センター『人道支援』
国際連合広報センター『国連と市民社会』
国際連合広報センター『TOGETHER』
外務省『国連外交』
外務省『国連と調達/ビジネス』
UNOPS駐日事務所『日本における国連調達の課題と可能性。』(2018年7月)
日経4946『国連と安全保障理事会について知る』(2017年10月)
国際連合広報センター『国連は何ができるのか? ― 5つのよくある質問への回答(UN News 記事・日本語訳)』(2022年5月)
*4)国際連合の歴史
WIKIMEDIA COMMONS『Palais des nations』
WIKIMEDIA COMMONS『SesiónDeLaSociedadDeNacionesSobreManchuria1932』
WIKIMEDIA COMMONS『18-IV-1946』
国際連合広報センター『国際連合:その憲章と機構』
WIKIMEDIA COMMONS『Berlinermauer』
WIKIMEDIA COMMONS『Reagan and Gorbachev signing』
国際連合広報センター『国連創設70年の歩み』
国際連合広報センター『「国連と日本」年表』
外務省『国連とは』
外務省『安保理改革の経緯と現状』
*5)国際連合の具体的な活動事例
国際連合広報センター『SDGs(持続可能な開発目標)報告 2024』(2024年)
防衛省『国連平和維持活動(国連PKO)等への協力』
防衛省『ウクライナ被災民救援空輸隊等の編成』
国際連合広報センター『国連、グローバル・ガバナンスを変革するための画期的な「未来のための協定」を採択(2024年9月22日付・プレスリリース日本語訳)』(2024年10月)
国際連合広報センター『SDGs(持続可能な開発目標)とは』
国際連合広報センター『持続可能な開発サミット、9月25-27日にニューヨークの国連本部で開催へ (概要)』(2015年9月)
国際連合広報センター『持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム 閉会における 事務総長挨拶 (ニューヨーク、2018年7月18日)』(2018年7月)
国際連合広報センター『気候変動と国連』
国際連合広報センター『未来サミット 2024:それは何をもたらすのか』(2024年7月)
United Nations『New York, 2024 Summit of the Future Summit of the Future Outcome Document』(2024年9月)
United Nations『The Sustainable Development Goals Report 2024』(2024年)
日本経済新聞『国連未来サミットでSDGs巻き返し 民間資金の動員探る』(2024年8月)
日本経済新聞『達成危うい国連のSDGS 編集委員 下田敏 食料の安定確保に募る懸念 目標達成はわずか16%』(2024年6月)
日本経済新聞『新興国、SDGs達成に援助訴え 国連未来サミット閉幕』(2024年9月)
産経新聞『国連未来サミット、「未来のための協定」採択 「歴史的合意」も実行の熱意に温度差』(2024年9月)
外務省『国連平和維持活動(PKO:Peacekeeping Operations)』(2024年10月)
防衛省『国際連合などによる国際社会の安定化のための努力』
国際連合広報センター『平和維持』
国立環境研究所『国連の取組みから50年経った地球環境の今』(2023年3月)
*6)国際連合の課題
日本経済新聞『安保理5大国の拒否権、機能不全か必要悪か 停戦の壁にも』(2024年9月)
日本経済新聞『世界の紛争、戦後最多の59件 際立つ国連の機能不全』(2024年9月)
日本経済新聞『ロシア、日本の常任理事国入り否定 安保理改革巡り』(2024年9月)
日本経済新聞『安保理、パレスチナの国連正式加盟を否決 米国が拒否権』(2024年4月)
日本経済新聞『イスラエル大使、国連憲章を細断 パレスチナ決議に怒り』(2024年5月)
日本経済新聞『国連「かつてない現金不足」 分担金81カ国が未払い』(2018年7月)
BBC『パレスチナの国連加盟決議案、アメリカが拒否権発動 ラファ攻撃めぐり懸念表明も』(2024年4月)
BBC『援助物資届かず略奪横行……ガザ南部の現状、イスラエルと国連は互いを非難』(2024年6月)
BBC『イスラエル軍がベイルートを空爆 ヒズボラ幹部殺害』(2024年9月)
JETRO『国連総会、パレスチナの国連加盟を支持する決議案採択』(2024年5月)
産経ニュース『国連拷問委 不当な日本批判をただせ』(2017年5月)
*7)国際連合とSDGs
国際連合広報センター『SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン』
国際連合広報センター『持続可能な開発目標(SDGs)とは』
国際連合広報センター『持続可能な開発サミット、9月25-27日にニューヨークの国連本部で開催へ』(2015年9月)
日本経済新聞『ポストSDGsどうなる? ウェルビーイングか、延長論も』(2024年10月)
日本経済新聞『国連未来サミットでSDGs機運再び 民間資金の動員探る』(2024年8月)
外務省『SDGsとは?』

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この記事を書いた人

松本 淳和 ライター

生物多様性、生物の循環、人々の暮らしを守りたい生物学研究室所属の博物館職員。正しい選択のための確実な情報を提供します。趣味は植物の栽培と生き物の飼育。無駄のない快適な生活を追求。

生物多様性、生物の循環、人々の暮らしを守りたい生物学研究室所属の博物館職員。正しい選択のための確実な情報を提供します。趣味は植物の栽培と生き物の飼育。無駄のない快適な生活を追求。

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