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【Kynd to the Planet】オーストラリアのサプリメント・Kyndが目指すサスティナブルな製品への道のりとは?

市場で販売されているサプリメントは、健康の維持、病気の予防、栄養補給、疲労回復、ダイエット、美容といったさまざまな目的で利用されています。

普段何気なく口にしている方も多いサプリメントですが、エコ大国のオーストラリアには持続可能性を意識したヘルスケアブランドが存在します。

シドニー発のKyndは、「Kynd to the Planet」をスローガンに掲げるヘルスケアブランドです。

パッケージや梱包材はもちろん、成分に関しても環境負荷低減を目指しており、環境保全意識の高いサプリメントとして支持されています。

この記事では、実際にKyndがどのような取り組みを行っているのか見ていきましょう。

Kyndの歴史

Kynd は、Matthew Stenmark氏によって設立された比較的新しいヘルスケアブランドです。

元々ヘルスケア業界での経歴を持っていたMatthew Stenmark氏でしたが、2010年代に妻とアフリカやアジアの国々を旅していた際に世界の栄養格差と環境問題を目の当たりにしました。

貧困による子どもたちの栄養格差や、汚染と廃棄物による自然環境への悪影響を実際に目にしたことで、社会的・環境的にサスティナブルなサプリメントを作りたいと考えるようになりました。

その後、オーストラリアのシドニーに戻ったMatthew Stenmark氏は、オーストラリア国内でも汚染や廃棄物の問題が深刻化していることに気付きます。

自身のヘルスケア業界で培った経歴と旅の最中に得た経験を元に、2020年にサプリメント製品を販売するブランド・Kyndを立ち上げました。

Kyndの商品展開

Kyndでは、健康や美容関連のさまざまな製品を取り扱っています。

マルチビタミン、マグネシウム、コラーゲン、プロバイオティクスなどの固定・粉末サプリメントのほか、美容ドリンクも数種類取り扱っており、ユーザーのさまざまなニーズを満たせる商品展開が魅力です。

パッケージに関する環境保全対策

Kyndがオーストラリア国内で行ったアンケートによると、オーストラリア人の61%はプラスチックの使用量が少ないパッケージの製品を購入したいと答えています。

特にプラスチック問題に対する女性の関心が高く、66%が製品のパッケージにどの程度のプラスチックが使われているか気になるとの声が挙がっています。

また、年齢別に振り分けると、18~24歳がパッケージのプラスチック使用量を常にチェックしており、66%がプラスチックの少ないパッケージを選んでいるほか、24~34歳でも64%が同様の行動を取っていることが分かりました。

こういった結果を受けて、Kyndでは自社製品のパッケージを持続可能性の高い素材にすることを心掛けています。

地球に優しい企業を目指すべく、固定サプリメントのキャップ、ボトル、カートン、梱包材などの素材に対して以下のような取り組みを行っています。

①バンブーキャップ

Kyndでは、固形サプリメントの容器にバンブー素材のキャップを使っています。

プラスチックの実に91%はリサイクルされておらず、1950年以降およそ83億トンのプラスチックが製造されたと推定されています。

パッケージにプラスチックを採用することで環境問題を悪化させる恐れがあることから、Kyndはプラスチックではなくバンブーをキャップの素材として使用することに決めました。

竹は成長速度が非常に早く、原則として肥料や殺虫剤なども必要としません。

持続可能性と生分解性の高さを兼ね備えていることから、環境への負荷を低減できる点がポイントです。

尚、Kyndのバンブーキャップをコンポストに投入すると、約6ヶ月で肥料に作り替えられます。

プラスチックが完全に分解されるのに450年程度かかると言われているのに比較すると、いかにバンブーキャップが環境に優しいかが分かります。

②サプリメントボトル

Kyndが販売する固形サプリメントの容器には、全て瓶が採用されています。

オーストラリアにはプラスチックを使用しているサプリメントも多数ありますが、使用後にプラスチックごみが発生する点が最大のデメリットです。

そこで、使用後に再利用可能な瓶をパッケージに使用することで、顧客が自宅で再利用できるのはもちろん、不要な場合はリサイクル施設に持ち込めるようにしています。

尚、ガラスにはサプリメントを湿気から守れるというメリットもあり、顧客のヘルスケアを守りながら環境保全に貢献できる点も特徴です。

③カートン

Kyndの粉末サプリメントは、紙製のカートンに入れて販売されています。

使用後のカートンはリサイクル可能となっており、廃棄物の削減に繋がっています。

④オンラインオーダーの梱包材

店舗販売以外にオンラインショップでの商品提供を行っているKyndは、持続可能性の高い梱包を実現するためにHero Packagingとの提携を行っています。

Hero Packagingは堆肥化可能な素材を取り扱う認定企業で、KyndはHerobubbleと呼ばれる堆肥化に対応しているパッドを使用しています。

パッドはサプリメントのボトルの瓶を守る役割を果たしており、安全性を高められるのはもちろん、環境への負荷を低減できるところも大きなメリットです。

また、Kyndで注文した製品の種類によっては、Herobubbleではなくピーナッツ由来の梱包を同梱するケースもあります。

包装用ピーナッツはでんぷんから作られているため、生分解性で水に溶けるというエコな特徴を兼ね備えた梱包材です。

社会的・環境的にサスティナブルな製品を作るための取り組み

持続可能性にこだわるKyndでは、エコな成分の調達や栄養格差の解決にも力を入れています。

以下は、Kyndが取り組む社会的・環境的にサスティナブルな製品を作るための活動の例です。

①持続可能なフィッシュオイル

Kyndの主力製品のひとつが、フィッシュオイル入りのサプリメントです。

Kyndではフィッシュオイルを持続可能な方法で調達することに力を入れており、南太平洋に位置するアンチョビ漁場から仕入れています。

世界でも有数のサスティナブルなアンチョビ漁場を選んでいるのはもちろん、持続可能かつ専門的なやり方で精製している点もポイントです。

フィッシュオイルの精製後はシドニーにてカプセル化され、不純物や重金属が混ざっていないかの検査をしてから販売されています。

KyndのフィッシュオイルはFriend of the Seasと呼ばれる漁業および水産養殖に関する持続可能性を認定する団体から承認されていることから、環境への優しさにこだわったフィッシュオイルとして人気を獲得しています。

②乳製品を除去したサプリメント

さまざまな種類のサプリメントを販売するKyndでは、乳製品の不使用をポリシーに掲げています。

乳製品の元となる乳牛などの家畜は、飼育の際に大量のメタンガスを排出することで知られています。

Kyndは畜産業による気候変動への影響を懸念しており、サスティナブルかつエコなサプリメントを作るための解決策として乳製品除去を決定しました。

成分に乳製品を使わないことで、将来的に乳牛の需要を減らすことに繋がります。

地球全体の規模で乳牛の個体数が増えすぎるのを未然に防げるため、長期的な視点から見て地球に優しい取り組みとなっています。

③栄養格差を減らすための慈善活動

Kyndは、サスティナブルな未来を作るためには環境だけでなく人々の栄養格差にも着目すべきだと考えています。

一部の人々のみが健康で生きる社会は持続可能性の低い未来だと捉えているため、ホームレス、避難者、難民などの栄養が偏りがちな人々に対するサプリメントの無償提供を実施しています。

Kyndは慈善活動専用の製品として、ビタミンCや亜鉛などが豊富に含まれるKynd Immunityの製造を続けてきました。

Kynd Immunityを寄付する数は顧客の製品購入数に応じて決定しているため、顧客自身も持続可能性の高い未来づくりに貢献していると実感しやすい取り組みです。

まとめ

オーストラリア生まれのKyndは、パッケージ、梱包、成分、栄養格差の縮小をはじめとする環境保全活動を行っています。

身近なものから少しずつエコな製品に切り替えることは、サスティナブルな未来をつくる上で必要不可欠です。

持続可能性の高い地球をつくるためにも、自身の健康だけでなく環境への優しさにも気を遣っていきたいですね。