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COP21とは?パリ協定との関係や正式名称と参加国一覧・目的をわかりやすく解説

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テレビや新聞などのメディアでよく見かける”COP21”という言葉。

「COPって何の略称?」

「パリ協定と何が違うの?」

「どの国が参加しているの?」

など、疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。

COP21やパリ協定は、最近認知が高まりつつあるSDGsとも深いつながりがあるため、理解を深めたい内容です。

そこで今回はCOP21の概要からパリ協定との違い、SDGsとの関連まで5分で読めるボリュームでわかりやすく説明していきます!

COPの概要

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COPとは?

COPとは「Conference of Parties(締約国会議)」の略称です。読み方は「コップ」です。

とはいえ、和訳を見ただけではイメージしにくいですよね。

私たちがよく耳にするCOPは、一般的に1992年に地球サミットで採択された「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」における締約国会議を指すケースが多くあります。

その一方で、COPは気候変動に関する会議のみだけではなく、実は砂漠化対処条約(UNCCD)や生物多様性条約(CBD)などを承認する会議を指すことも。

このことからわかるようにCOPは、本来はさまざまな環境問題に対する条約について、世界の代表が集まった会議全体を指します。しかし、テレビや新聞などでは国連機構変動枠組条約(UNFCCC)を取り上げる機会が多いことから「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)=COP」というイメージが根付いたと言われています。

COPの後に続く番号は何?

COPのあとに続く番号は「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」における締約国会議が開催された回数のこと。COP1であれば1回目、COP2であれば2回目に開催された締約国会議を指します。つまり、COP21は、21回目に開催された締約国会議です。

COPは1995年のドイツ・ベルリンに1回目を迎え、以降2019年にはCOP25が開催されました。2020年に開催予定だったCOP26はCOVID-19の影響で延期となり、2021年にイギリス・グラスゴーで開催予定となっています。

COPはどこで開催された?

COPは1995年のドイツ・ベルリンで第一回が行われました。

そして21回目となるCOP21は、2015年12月にフランス・パリで行われた国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における「第21回目締約国会議」を指します。COP21では京都議定書のあとに続く、気候変動に関する重要な取り決めが採択されたため、メディアでも大きく報道されました。

パリ協定はCOP21で採択された条約

COP21を語る際、パリ協定も合わせて覚えておきたいワードです。

パリ協定は、パリで開催されたCOP21で決まった条約のため、そう呼ぶようになりました。基本的にCOP21について語られる場合は「パリ協定」のことを指しています。

このCOP21で決まったパリ協定が、世界の気候変動に関する対策の根本となっているのです。

それではパリ協定についてさらに詳しく見ていきましょう。

COP21のポイント

アメリカが離脱したり、その後復帰したりするなど、何かと話題に上がるCOP21(パリ協定)。詳しく内容を確認する前に、COP21のポイントを簡単にまとめています。

抑えていきたいキーワードは3つです。

COPについて

COPは、「Conference of Parties(締約国会議)」の略で、地球温暖化の対策を講じるための国際的な会議です。COPの後ろにつく数字は、開催された会議の回数になります。COP1であれば1回目。つまり、COP21は21回目に開催されたことを意味します。

パリ協定について

21回目のCOPは、2015年にフランスのパリで開催されました。そこで、2020年以降の地球温暖化対策として、国際的な協定が採択されます。これは、パリで開催された際に採択された協定のため、「パリ協定」と呼ばれています。

温室効果ガスの削減目標

パリ協定では、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの削減を各国に求めています。そして定期的に、

  • どの程度の削減を目指して取り組みを進めるのか
  • その目標に対してどの程度削減できているのか

の提出を義務付けています。

簡単にまとめると、「2015年に開催されたCOP21でパリ協定が採択されたのだから、世界中の国々で温室効果ガス削減に向けて努力していきましょう。」というのが主な内容となります。

では、もう少し踏み込んで詳しく見ていきましょう。

京都議定書からパリ協定へ

COP21と深い関係があるのが、COP3で採択された京都議定書です。COP21を理解するために、まずは京都議定書について簡単に説明します。

京都議定書とは

1997年に京都で採択された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)を指します。

先進国に「2008年から2012年に温室効果ガスを5%削減」といった目標を定め、加えてそれぞれ各国に削減目標を要求しました。

気候変動に関する具体的な削減目標を掲げたのは京都議定書が初。画期的な一歩として世界的にも話題となります。

そんな京都議定書でしたが、2001年に主要排出国であるアメリカが離脱を宣言したことで、なかなか発効できませんでした。しかし3年後の2004年、ロシアが条約を承認したことで京都議定書が発効されます。

京都議定書の発効後、先進国のみが対象であったことで課題が浮き彫りになります。二酸化炭素の排出量が増加傾向にあった中国やインドは途上国だったために対象外でした。アメリカが離脱した原因はここに不満があったためです。

また、京都議定書が立てた削減目標は2012年までのもの。2013年以降の目標は何も決まっておらず、同時にアメリカの指摘通り中国やインドの排出量が顕著に増えてしまいました。

そのような京都議定書の反省を踏まえて、COP21では途上国・先進国かかわらず参加国すべてが対象にしようと話し合われ、パリ協定が採択・発効されたのです。

では次の章でパリ協定について詳しく見ていきましょう。

パリ協定のポイント

パリ協定のポイントは

  1. 5年ごとに削減目標を提出・更新
  2. 参加国すべてが対象
  3. 2021年アメリカが復帰

の3点です。それぞれのポイントについて確認する前に、参加国を見ていきましょう。

COP21(パリ協定)の参加国

パリ協定は、55ヶ国以上の国が参加することが発行条件となっています。当時は、アメリカや中国を含めた159ヶ国が参加しています。

①5年ごとにCO2の削減目標を提出・更新

パリ協定1つ目のポイントとして、参加国すべての国が5年ごとに削減目標を提出・更新する必要があります。京都議定書では、温室効果ガス(二酸化炭素・メタンなど)削減目標の達成が義務化されていたのに対し、パリ協定は目標達成は必須となっていません。

代わりにパリ協定は、各国がそれぞれ目標を提出し、温室効果ガス削減状況を定期的に国連に報告する義務を設けました。ただ数字を提示するのではなく、削減するための過程を大切にしているのがパリ協定の特徴と言えます。

②参加国すべてが対象

パリ協定2つ目のポイントは、先進国のみではなく途上国を含めた参加国すべてが対象であること。この理由としては、2018年時点での世界の二酸化炭素排出量を確認するとイメージしやすくなります。

上記のグラフを見ると主要排出国は、

  • 1位 中国
  • 2位 アメリカ
  • 3位 インド

となっています。3ヶ国以外を見ても、排出量が多い国は途上国・先進国さまざま。根本的に排出量を減らすと考えたら、参加国すべてが対象は必然的だといえるでしょう。

③2021年アメリカがパリ協定に復帰

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先ほどの「世界の二酸化炭素排出量」のグラフ通り、アメリカは主要排出国ですが、2017年トランプ前大統領政権下時代にパリ協定から正式に離脱します。アメリカが離脱したニュースは記憶に新しい人もいるのではないでしょうか。

トランプ前大統領は、2016年の大統領選時から環境問題については触れず、労働者の雇用や経済を良くすると明言していました。そして就任後「パリ協定の取り決めは、アメリカの労働者や企業にとって不利益だ」と離脱を宣言します。

しかし、2020年のアメリカ大統領選でバイデン氏に政権交代。

バイデン政権は重点課題の中に「気候変動」を掲げており、2021年2月19日アメリカは、パリ協定に正式に復帰が認められました。

ここまでのまとめとして、京都議定書とパリ協定それぞれの特徴を表でまとめました。

京都議定書(2004~2020)パリ協定(2020~)
・CO2削減目標達成が義務化されていた
・先進国のみが対象で、途上国は対象外
・アメリカが離脱した
・目標達成は不要。国ごとにCO2削減目標を提出、更新する必要がある
・参加国すべてが対象・アメリカ(一度離脱も復帰)と中国が参加している

COP21(パリ協定)での日本の目標

日本は、2030年までの目標として、温室効果ガスの46%減(2013年度比)(さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく)ことを掲げています。長期的な戦略としては、

[1]今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」の実現を目指し、2050年までに80%の温室効果ガス排出削減に大胆に取り組む

[2]1.5℃の努力目標を含む、パリ協定の長期目標の実現に向けた日本の貢献を示す

[3]気候変動問題の解決には世界全体での取組と非連続なイノベーションが不可欠であり、ビジネス主導の環境と成長の好循環を実現する長期戦略を策定すべき

環境省「第2節 パリ協定を踏まえた我が国の気候変動への取組」

といった方向で話がされています。

ここまでCOP21について説明しました。一見私たちには関係がないように見えるCOP21ですが、最近話題のSDGsとも関係があるのをご存知ですか?次は、COP21とSDGsとの関係について見ていきます。

COP21とSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」との関係

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COP21・パリ協定ともにSDGsと大きく関わっています。

「Sustainable Development Goals」の略称。日本語だと”持続可能な開発目標”と訳されています。

SDGsは2015年9月に行われた国連サミットで、加盟国150ヶ国の首脳が集まり採択されました。

SDGsの最終目標は、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」。2030年までに貧困・地球・動物たちすべてが平和に暮らせる持続可能な社会を作っていくのが目的となっています。

そしてSDGsには17個の目標が掲げられていますが、COP21と特に深い関わりがあるのがSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」です。温室効果ガスの削減目標を掲げるパリ協定は、SDGsにとっても重要な取り決めなのです。

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?

地球温暖化による気候変動への解決に向けて、具体的な対策を立てていこうという目標です。

近年世界では、異常気象による災害が後を絶ちません。日本でも、度重なる豪雨や気温上昇などの異常気象が著しく増えていますよね。それらは、CO2やメタンなどの温室効果ガスの増加が原因だと言われています。

少し踏み込んで説明します。

農林水産省の公式HPで確認してみると、SDGs17の目標のなかで、目標13にのみ注釈(*)がついているのをご存知でしょうか。

引用元:農林水産省

注釈には、

「*国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している」

と記載されています。注釈がついた理由として、「SDGs」と「パリ協定」が決まった時期にあります。

SDGsとCOP21は同時進行していた

国連サミットでSDGsが採択されたのは2015年9月、パリ協定は3ヶ月後の12月に控えていたのです。国連サミットでSDGsのターゲットを決める際、目標13に関してはCOP21で決まるパリ協定の方向性がわかるまで決定できませんでした。

そのため、目標13に関しては「気候変動枠組条約やパリ協定の内容を取り込む」という意味で注釈がつけられ、足並みを揃えることを掲げているのです。

これからわかるように、SDGsとCOP21は切っても切れない関係にあります。気候変動について何か取り組みを進めようと検討している場合は、まずCOP21「パリ協定」について理解を深めることで、目標13へのアプローチがより具体的なものとなるでしょう。

CO2削減のための企業の取り組み事例

ここまで、COP21の内容について見ていきました。内容を見てみると、なんとなく国家間の取り決めの要素が強い印象がありますよね。しかし、パリ協定の取り組みやSDGsの目標は、国だけでは解決できません。目標達成には企業の協力が必要となります。

とはいえ、先述したように国家間の取り決めの印象が強いため、COP21に関係する取り組みをしている!と掲げる企業はほとんどありません。

その一方で、パリ協定の内容やSDGs目標13を自社の取り組みに落とし込み、事業を展開している企業が増えています。そこで次では、企業がどのような取り組みを行なっているのか2社をピックアップしました。

昭和産業株式会社

昭和産業株式会社は小麦粉やホットケーキミックスなどを生産している老舗製粉会社。昭和産業グループの鹿島工場では2017年に都市ガスエンジン発電を導入しました。

都市ガスエンジン発電を導入したことにより、工場内で必要な電気と熱を供給することが可能に。世界最高水準である発電効率を達成し、現在もグループ一体でCO2削減を目指しています。

エコワークス株式会社

エコワークス株式会社は九州に拠点を置くハウスメーカー。会社名でも分かる通り、エコ住宅の新築やリノベーションを行っています。

エコワークスは、

  • ゼロエネルギーハウス(ZEH)
  • LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)

などの住宅を普及させる取り組みを進めています。

エコワークスが1年間に削減したCO2は杉の木で換算すると、なんと約43,825本分。家庭で排出される二酸化炭素削減に貢献している会社です。

このように、さまざまな企業で二酸化炭素の削減に向けた取り組みが展開されています。では、私たち個人にもできることはあるのでしょうか?

COP21を受けて私たちができること

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こちらも企業と同様に、個人で取り組めることは少ないかもしれません。

しかし、これをSDGsに落とし込むことで、私たちにもできるアクションがみつかります。

私たちにできることは、

など。そこで最後に、私たち一人ひとりが普段の生活のなかで取り入れられるアクションを紹介します。

まずは具体的なアクションの前に二酸化炭素の量について簡単に説明します。これがわかると、削減量がどれだけ貢献できているのかをイメージしやすくなるかもしれません。

二酸化炭素1キロってどれくらいなの?

二酸化炭素の1キロがどのくらいの量かイメージできますか?

二酸化炭素1キロを日常生活に置き換えてみると
  • 4人家族が使用する水道約5日分
  • エアコンを約4時間使用

に相当します。一人ひとりが二酸化炭素を1キロ減らせば地球温暖化の解決につながりますし、節約にもなりますよ。

生活に取り入れやすい方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

お風呂の給湯温度を1℃下げる

普段入っているお風呂の給湯温度を1℃下げてみましょう。1℃下げるだけでも年間にすれば約30kgの二酸化炭素を減らすことができます。

とはいえ、冬は熱い湯船に入りたい!という人も多いのではないでしょうか。そのような場合は我慢するのではなく、週1~週2日は、1℃下げて入るなど決めてみるのもおすすめです。

トイレのふたを閉める

トイレを済ませたあとに、ふたを閉めるのも大きな省エネに。ふたをしっかり閉めて、夏は便座の暖房機能をオフにすれば、なんと年間約20㎏のCO2を削減できます。

気付いたその日からできるのでぜひ取り入れてみてくださいね。

家の照明をLEDに変えてみる

家の照明をLEDに変えてみるのもおすすめです。一般電球からLED照明に変えると消費電力が7分の1、二酸化炭素の排出量も抑えることができます。

また、LEDは長持ちするのも魅力。環境に優しいかつ、節約もできるのでぜひLED照明に変えてみましょう。

まとめ

COP21の意味やパリ協定のポイント、SDGsの関連性、企業の取り組みなどを紹介しました。COP21とパリ協定の意味合いがわかると、今後「気候変動枠組条約」についても理解しやすくなるでしょう。

パリ協定は、SDGsの目標13とも深い関わりがあるので、ぜひSDGsも一緒に学んでみてくださいね。

参考文献
・WWF JAPAN 「京都議定書とは?合意内容とその後について」
・JCCCA「データで見る温室効果ガス排出量(世界)」
・BBC NEWS JAPAN「トランプ氏はなぜパリ協定離脱を考えているのか」