SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に取り組む企業5選

社会には、人種、ジェンダー、身分、障害、宗教、移民、伝統などさまざまな不平等が存在しています。

それは人間の意識的な問題もあれば、制度による不平等である場合もあります。これらを解決するには根気がいり、かんたんなことではありません。

しかし、社会の仕組みを変えてしまえば、案外すんなりと人々は受け入れるものです。

SDGs目標10の「人や国の不平等をなくそう」に取り組む企業があります。これらの企業は独自の仕組みを作り、社会にインパクトを与えています。

今回、紹介する5つの企業は主に以下のテーマで取り組みを行っています!

  • フェアトレード
  • 障害者支援
  • 女性の雇用促進
  • 外国人支援

では、1つずつ見ていきましょう。

シサム工房

引用元:シサム工房

京都発のフェアトレードショップ

シサム工房は、1999年に京都郊外で小さなシェアトレードショップとして誕生した会社でです。社名の「シサム」とはアイヌ語で「隣人」という意味。同じ地球上に暮らす人たちと「良き隣人」としてつながっていきたいという想いがこめられています。

事業内容

シサム工房では、衣料・小物・インテリアなどクオリティの高いオリジナル商品開発を行い、販売しています。シサム工房の商品は、とてもファッショナブルかわいいものばかり。

そして注目したいのが、取り扱う商品のほとんどがフェアトレードであることです。

フェアトレードとは?

フェアトレードは公平な取引を行う貿易の仕組み。これまで生産者へはわずかな金額しか支払われなかったため、人間らしい生活を送れませんでした。そこで適正な金額を支払うことが保証されています。

フェアトレードによって販売された商品を購入することで、社会経済的に立場の弱い人たちを支援できる仕組みです。

※さらに詳しい内容は以下にまとめています。

フェアトレードとは?背景や明日から消費に活かすポイントも

しかし、社会貢献活動だけに留めていては、会社自体の利益に影響が出るため、存続することはできません。シサム工房は「フェアトレードの現場に商品開発力と販売力を!」をスローガンに掲げ、社会的事業と経済活動の両立を目指し、事業を拡大してきました。

現在は、京都・大阪・神戸・東京に8店舗と、オンラインショップを運営しています。

WFTOの正式メンバーに

用元:シサム工房

シサム工房は、2021年7月にWFTO(World Fair Trade Organization「世界フェアトレード連盟」)正式メンバーとして認証されました。WFTOは世界中のフェアトレード組織が集う国際的なネットワークであり、シサム工房は数々の厳しい基準をクリアした末に認定されました。

シサム工房のフェアトレードパートナーは、タイ、フィリピン、インド、ネパールなど13か所(2021年現在)。女性たちに適正価格の仕事を提供したり、現地の伝統工芸を守るなどの役割を果たしています。

シサム工房が貢献するSDGs

引用元:シサム工房

フェアトレードであることは、適正な賃金が保証されるため、今まで不当な賃金で苦しい生活をしていた人を助けることになります。そのためシサム工房は目標10の次のターゲットに貢献しています。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

10.4 財政、賃金、社会保障などに関する政策をとることによって、だんだんと、より大きな平等を達成していく。

UNROOF(アンルーフ) JAPAN

引用元:UNROOF JAPAN

精神・発達障害者が「革職人」として活躍

じょっこ株式会社が運営するUNROOF(アンルーフ)は、2017年東京・久米川で設立。精神・発達障害のある方々を革職人として採用し、最初は委託された革製品の製作を行っていましたが、2019年からオリジナルブランドをスタートしました。

「UNROOF」とは「天井がない」という意味。障害があるだけで仕事の選択肢が制限される社会を、「障害があっても自分の可能性を信じられる社会」へと変えていくことを目標に掲げています。

障害者と健常者の線引きをなくしたいという思いから、あらゆる「ボーダーがない」ことをコンセプトとし、

  • 右利き、左利きの仕様
  • 性別関係なく使えるデザイン
  • 選べる金具やカラーベルト

といった商品を展開しています。

障害があっても働ける環境づくり

引用元:UNROOF JAPAN

2018年度の厚生労働省調査によると、日本の精神障害者総数は398万1,000人。うち仕事に就いている人は推計20万人です。実に100人に5人しか仕事に就くことができていません。※1

また、仕事に就いても賃金は、精神障害者は12万5,000円発達障害者は12万7,000円と、一般の労働者よりも著しく低い傾向です。

UNROOFでは、このような社会の現状を変えるべく、精神・発達障害がある人たちにとって働きやすい職場を作ることを目標に、以下の理念を掲げています。

  1. 経済的自立ができる
  2. 仕事内容や経済面でもステップアップが可能
  3. 合理的配慮のされた環境

最低限生活ができる賃金を保証し、スキルを身につけ給与のステップアップができる環境を整えています。また、休憩を取れるスペースの確保、精神保健福祉士との定期面談を設けるなどの配慮も行っています。

UNROOF JAPANが貢献するSDGs

引用元:UNROOF JAPAN

「障害者」「健常者」にかかわらず、すべての人が個人の能力を伸ばし、適切な賃金を受け取り、健全な社会生活を送れるようにすることが大事です。UNROOFは積極的に障害者を雇用し、すべての人が働きやすい環境を整えるよう目指しています。そのためUNROOFは目標10の次のターゲットに貢献しています。

10.1 2030年までに、各国のなかで所得の低いほうから40%の人びとの所得の増え方が、国全体の平均を上回るようにして、そのペースを保つ。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

日本航空株式会社(JAL)

引用元:JAL

JALの掲げる「ダイバーシティ宣言」

日本を代表する航空会社であるJALグループでは、2014年に「ダイバーシティ宣言」を発信しました。性別・年齢・国籍・人種・民族・宗教・社会的身分・障害の有無・性的指向・性自認・出身会社などの属性によらず、誰もが生き生きと活躍できる会社を目指しています。

具体的には、以下の取り組みを行っています。

  • 女性リーダーの育成と輩出
  • グローバル人財の育成
  • LGBTQへの理解促進
  • 障害者雇用
  • シニア従業員の再雇用
引用元:JAL

日本では低い女性管理職の比率がたびたび問題として挙げられますが、JALグループでは、「2023年度末までに管理職女性比率20%、2030年度末までに30%以上を達成する」という数値目標を掲げています。

その結果、2015年には15.6%だった女性管理職の比率が、2019年には18.4%と着実に増加しました。

また、JALグループではLGBTQへの理解促進にも力を入れています。異性と法律上の結婚をしている従業員(およびその配偶者と家族)に適用する制度を、会社の定める同性パートナー登録を行った従業員(およびそのパートナーと家族)にも同様に適用する制度を導入しています。

日本の法律上では、同性パートナーは未だ認められていませんが、JALグループでは率先して社内制度を整えているのですね。

引用元:JAL

さらには社内外の理解促進のために2019年、国内初の「JAL LGBTチャーター」も実施しました。

LGBTへの理解促進を図るイベント「ピンクドット沖縄2019」に合わせて羽田~那覇間を運航したこちらのチャーター機。機内では、LGBTの専用ヘッドレストカバーがつけられ、LGBTを表わす虹のフォトフレームを使った記念撮影、当事者によるトークイベントなどが開催されました。

取り組みへの評価

引用元:JAL

JALグループの活動はさまざまな課題解決に貢献しているとして、広く評価されています。

2018年には「新・ダイバーシティ経営企業100選」を受賞。2021年には、「2021 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞と個人賞を受賞しています。

JALグループが貢献するSDGs

JALグループでは、女性リーダーやグローバル人財の育成、LGBTQへの理解促進、障害者雇用など、立場によらず幅広く活躍できるよう取り組んでいます。そのためJALグループは目標10の次のターゲットに貢献しています。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

三承工業株式会社(SUNSHOW GROUP)

SUNSHOW GROUPの事業

岐阜県の三承工業株式会社は、新築注文住宅を提供する建築事業を中心に、外構事業、 メンテナンス事業などを手掛ける会社です。

岐阜県の外国人比率は全国で4位の1.772%、支店がある美濃加茂市においては県内トップの7.654%です。このような地域特性の中、SUNSHOW GROUPでは外国籍のマイホーム取得を積極的に応援しています。

外国人にとってハードルの高いマイホーム購入を応援

日本に住む外国人の数は、2016年には約231万人と過去最高を記録しました。一方で、増え続ける外国人へのサポートは足りていません。

法務省の調査によると、「外国人であることを理由に入居を断られた」経験のある人は 39.3%、「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」経験のある人は 41.2%、「『外国人お断り』と書かれた物件を見たので、あきらめた」経験のある人は 26.8%でした。

外国人にとって、賃貸物件の部屋を借りることや住宅ローンを組むこと、土地の購入などを断られることが多いのが現状です。

SUNSHOW GROUPでは、低価格高品質な注文住宅「SUNSHOW夢ハウス」の提供をはじめ、外国人のマイホーム取得を積極的に応援。現在では、顧客の約2割を外国人が占めるようになりました。

2018年には、JR岐阜駅内の商業施設にSUNSHOW GROUPの情報発信基地を開設し、家づくりの提案やDIY教室、ワークショップなどを開催しています。他にも、各言語のパンフレットや資料、通訳の配置など、広く対応できるような運営体制を整えています。

三承工業株式会社(SUNSHOW GROUP)が貢献するSDGs

SUNSHOW GROUPは、日本に移住した外国人でも安心して暮らせる社会の実現を目指した取り組みを行っています。そのためSUNSHOW GROUPは目標10の次のターゲットに貢献しています。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

10.7 計画にもとづいてよく管理された移住に関する政策を実施するなどして、混乱がなく安全で、手続きにしたがい責任ある形の移住や人びとの移動をすすめる。

一般社団法人ラバルカグループ「久遠チョコレート」

久遠チョコレートが生まれた背景

愛知県豊橋市で2003年に事業を開始、2014年に久遠チョコレートを立ち上げたラバルカグループ。

代表の夏目浩次氏が「障害者の全国平均月収1万円」という事実に衝撃を受けてスタートしました。今では、全国38拠点28店舗を展開し、約500人いる従業員の半数を障害者が占めています。

最初はパン工房からはじめたものの、パンは工程が複雑で障害者にはかんたんではない作業だったと言います。そのため当初は赤字続きだったとのことですが、試行錯誤の末にパンに比べて工程がそれほど複雑ではなく、利益率も高い「久遠チョコレート」が誕生しました。

久遠チョコレートは、ショコラティエの野口和男氏に監修を受け独自に商品開発を行い、チョコレート、半生菓子、焼き菓子などバリエーション豊富に展開しています。中でも、全国に店舗がある強みを生かし、各地の名産を使った久遠テリーヌが人気です。

障害者にも適切な賃金を

「障害者は単なる社会貢献の一対象者ではない。彼らと共に、次なる成熟社会を創っていく」という理念を掲げているラバルカグループ。障害者の月給は直営店で15~16万円、フランチャイズ店でも平均6万円となっています。

また、障害者だけではなく、子育て中の女性や社会の中で悩みを抱える若者など、多様なバックグラウンドを持つ人の雇用促進と賃金向上、地域活性化に取り組んでいます。

こういったラバルカグループの取り組みが評価され、2018年第2回ジャパンSDGsアワード内閣官房長官賞を受賞しました。

ラバルカグループが貢献するSDGs

障害があるからといって、それを理由に仕事に就けなかったり、安すぎる賃金しか受け取れないことが当たり前の社会ではいけません。ラバルカグループは、積極的に障害者を雇用し、適切な賃金を保証しています。そのためラバルカグループは目標10の次のターゲットに貢献しています。

10.1 2030年までに、各国のなかで所得の低いほうから40%の人びとの所得の増え方が、国全体の平均を上回るようにして、そのペースを保つ。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

まとめ

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に取り組む5つの企業を紹介しました。

フェアトレード、女性、障害者、外国人など、それぞれの企業が工夫して取り組んでいます。これらの企業に共通することは、事業の中で社会問題を解決できないか考えている点です。

その結果メインの事業そのものが社会貢献になり会社の利益にもなる。

こういった企業が増えていけば、誰もが利益を得ながら、より良い社会を実現していくことができるのではないでしょうか。

ぜひこの記事をきっかけに、自社の取り組みがSDGsの掲げる課題解決にどのように貢献できるかを考えてみてはいかがでしょうか。

参考文献
※1:厚生労働省「令和元年版 障害者白書」厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査」