アイリックス株式会社 稲垣諄子さん インタビュー
稲垣諄子(いながきじゅんこ)
ハイブランドブティックでの勤務やベストセラー作家の秘書業務、翻訳業等を経て、東京都中野区で区議会議員を15年間務める。
議員引退後の2023年、アイリックス株式会社にて工業用ラボグロウンダイヤモンドの製造技術を活かした高品質適正価格のジュエリーブランド「エフダイヤモンド」を立ち上げ、現在に至る。上智大学外国語学部卒業
introduction
アイリックス株式会社は、2013年に設立され、最先端技術を使った分光分析や計測装置の開発と販売を行っています。また、工業用の人工ダイヤモンドの製造にも強みを持ち、業界で高く評価されています。
特に、アイリックスは高品質な無色透明の人工ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)を作る技術に成功し、2023年にはジュエリー業界に参入しました。CVD(化学気相蒸着)という方法を使って、大きくて高品質な人工ダイヤモンドを安定的に供給できるため、クオリティの高いダイヤモンドジュエリーを手頃な価格で提供できるのが特徴です。
世界最高級グレードの人工ダイヤモンドの開発
–はじめに、アイリックス株式会社についてご紹介をお願いいたします。
稲垣さん:
2013年創立のアイリックス社は、最先端技術を用いた分光分析・計測装置の開発、製造販売に実績があると同時に、工業用人工ダイヤモンド製造における第一人者として業界で定評があります。 世界最高級グレードと名高い技術を生かして、無色透明な宝飾用の人工ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)の開発に成功し、2023年にジュエリー業界に進出しました。
CVD(化学気相蒸着)法によって、ハイグレードで大粒のラボグロウンダイヤモンドを安定供給することができ、クオリティの高いダイヤモンドジュエリーをお求めやすい価格で提供できるのは、理化学分野で信頼と実績のあるメーカーならではの強みです。
2023年6月にインドのモディ首相がアメリカのバイデン大統領夫人に贈呈したのも、アイリックス社の技術で製造された7.5カラットのラボグロウンダイヤモンドでした。アイリックス社が生み出すラボグロウンダイヤモンドの質の高さは世界的に認められています。
天然ダイヤモンドの1/10の価格で楽しめ、SDGsにもつながる
–では、この事業を始めた経緯についてお聞かせください。
稲垣さん:
近年、天然ダイヤモンドの採掘によって生じる環境破壊やエネルギーの大量消費問題、紛争問題等が問題視されています。
またこれまで価格が高止まりし、特に若者には高嶺の花になっていた高品質のダイヤモンドが、同グレードのラボグロウンダイヤモンドであれば10分の1程度の価格でご提供できます。
GIAやIGIといった世界的宝石鑑定機関は、キュービックジルコニアやモアサナイトをダイヤモンドの「模造石」と定義づけ鑑定書を発行しておりませんが、ラボグロウンダイヤモンドに対しては「本物のダイヤモンド」と認定し鑑定書も発行しています。
ハイクオリティな本物のダイヤモンドの輝きが、天然石と比較すると信じられないような低価格で楽しめる、またそれを身につけることでSDGsにも繋がるラボグロウンダイヤモンドをもっと日本に広めていきたいとの想いで事業に取り組んでいます。
–この活動により、どういった社会問題が解決されているのでしょうか?
稲垣さん:
環境負荷が少ない、人道的なラボグロウンダイヤモンドやそれを使用したジュエリーを普及させていくことで持続可能な社会の実現に繋げていくことを目指しています。また高品質なジュエリーを適正価格で販売することにより、消費者のQOLを高めていけると考えています。
宝飾業界に参入して驚いたことがあります。それは原価からとんでもなくかけ離れた価格設定が当たり前のように行われ、「価格はあってないようなもの」という業界体質でした。私たちはダイヤモンドや地金、制作工賃の原価に基づいた適正な利益水準をベースに、お客様がより手に取りやすい価格設定をしております。
–現在事業やサービスを展開している中での課題や問題点がありましたらお聞かせください。
稲垣さん:
アメリカでは既にダイヤモンドの売上の50%を占めているラボグロウンダイヤモンドですが、保守的な業界の体質や、人工ダイヤモンド=偽物、キュービックジルコニアと同じもの、という誤解が蔓延していることなどから、日本国内でまだまだその良さが認知されていないことが課題だと思っています。
ラボグロウンダイヤモンドの真実と素晴らしさを粘り強く伝えていきたいです。
アイリックス株式会社:https://www.airix.co.jp/