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生産年齢人口減少とは?日本の最新状況や原因、問題点、対策も

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日本は将来、生産年齢人口が激減し、社会保障制度は限界を迎え、経済成長は停滞するという指摘があります。日本の生産年齢人口が今後、減少していくのは確かでしょう。

しかし、日本の経済はさまざまなテクノロジーや社会制度の開発などによって、将来も成長を続けることが可能だと考えられています。

生産年齢人口が減少しても成長が続く社会とはどのようなものなのでしょうか?日本の最新状況や原因、問題点、対策もわかりやすく解説します。

目次

生産年齢人口減少とは

生産年齢人口減少は、現代社会における重要な課題の1つです。特に日本は、すでに深刻な少子高齢化傾向があり、将来的に生産年齢人口が減少するのは確実と見られています。

まずは「生産年齢人口」の定義について、しっかりと把握しておきましょう。

生産年齢人口とは

生産年齢人口とは、15歳から64歳までの年齢層を指し、一般的に経済成長に大きな影響を与える人口として考えられています。この年齢層の人口が減少すると、労働力不足社会保障制度の維持が難しくなり、経済全体への影響が懸念されます。

生産年齢の人々は、一般的に以下の大きな役割を担っています。

①経済活動の担い手

生産年齢人口は、企業で働き、商品やサービスを生み出すことで、経済活動を支えています。

②社会保障制度の財源

生産年齢人口は、社会保険料を納めることで、高齢者や子どもなどの社会保障制度を支えています。

労働力人口との違い

生産年齢人口は労働力人口と混同されやすい言葉ですが、厳密には異なる意味を持っています。

  • 労働力人口15歳以上の人口のうち、実際に働いている人または働きたいと思っている人
  • 生産年齢人口労働力人口のうち、15歳から64歳までの年齢層

労働力人口は働いている人または働きたいと思っている人であれば、年齢の上限はありません。

生産年齢人口減少は日本だけではない

【生産年齢人口の割合と従属人口指数】

生産年齢人口減少は、日本に限らず、欧米諸国など多くの先進国で共通する課題です。ドイツ、イタリア、フランスなどの欧州諸国では、日本と同じように少子高齢化が進んでいます。

特にイタリアでは、2023年の生産年齢人口が過去最低を記録しました。また、韓国、中国などの東アジア諸国でも、出生率の低下や高齢化が進んでいます。

中国では、2022年に初めて生産年齢人口が減少に転じました。しかし、中国の出生率の低下は比較的最近始まったため、日本のような深刻な労働力不足はまだ起こっていません。

一方、日本では生産年齢人口減少の速度が速く、労働力不足や社会保障制度への負担が深刻化しています。その中で、今後の日本の生産年齢人口減少対策は、他の国々が同様の状況を迎える前に取るべき重要な手本となり得るとして、注目を集めています。

私たちが生産年齢人口減少の問題解決に取り組み、その成果を上げることは今後の世界の他の国々の役に立つことでもあるのです。*1)

【2024年最新】日本における生産年齢人口の現状

生産年齢人口は、労働力の中核であり、経済に活力をもたらす重要な存在です。戦後の2つのベビーブームにより日本の生産年齢人口は1995年には8,716万人に達し、総人口の69.5%を占めました。

【年齢3区分別人口の推移】

しかし、その後の少子高齢化の進行により、この人口は減少の一途を辿っています。総務省の人口推計によると、2023年2月1日時点での生産年齢人口は7,400万人(概算値)で、総人口に占める割合は59.4%まで低下しています。

日本の生産年齢人口の今後

【日本の将来の推計人口】

総務省の推計によると、日本の生産年齢人口は、今後も減少傾向が続くと見込まれています。2065年には約5,000万人まで減少する可能性があり、これは1995年のピーク時(約8,700万人)と比べて約3,700万人減少することを意味します。

2050年の日本社会はどうなるの?

この生産年齢人口の減少にともなって、日本の経済は衰退してしまうのでしょうか?確かに現状の日本の仕組みのままでは、将来も発展し続けることは難しいでしょう。

しかし、日本の社会は新たな展開を迎える可能性があります。技術や社会の変化が進む中、未来の日本社会は以下のように予想されています。

AIやロボティクスの進化による労働力補完

2050年には、AIロボティクスの技術が一層進化し、労働力不足を補完する役割を果たすと予想されています。自動運転技術や自動化された生産システムが普及し、効率的な産業活動が展開されることが期待されます。

このことから、例えば、AIの開発やロボットのメンテナンスなど、新たなスキルを必要とする仕事が増えると考えることができます。

デジタル化による働き方の変革

2050年には、デジタル化が進み、働き方が大きく変化する可能性があります。リモートワークやフレックスタイム制度が一般的となり、柔軟な働き方が促進されることで、労働環境の改善やワークライフバランスの向上が期待されます。

さらに、デジタル化が進むことで、働き方だけでなく、働く場所も大きく変わる可能性があります。さらにリモートワークが普及すれば、都市部だけでなく地方でも多様な仕事の機会が増えるでしょう。

【関連記事】デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?企業の取り組み事例やSDGsとの関係を解説

高齢者支援の新たな取り組み

高齢者人口が増加する中、2050年には高齢者支援の新たな取り組みが必要となるでしょう。介護ロボットICTを活用した高齢者サポートシステムが普及し、高齢者の生活支援や医療ケアが向上することが期待されます。

また、このような技術の進歩や働き方の変化などさまざまな要因から、今よりもずっと高齢まで健康に活動できるようになり、長い期間仕事を続けられるようになると考えられています。

【関連記事】ICTとは?ITとの違いや教育・医療分野での身近な例を簡単に解説!

グリーンテクノロジーの普及と環境保護

2050年には、環境問題への意識が高まり、グリーンテクノロジーがさらに普及することが予想されます。再生可能エネルギー省エネ技術の導入が進み、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが加速するでしょう。

このような分野では、新たなビジネスや雇用の創出も期待されています。また、グリーンテクノロジーの普及は、新たな産業の創出だけでなく、日本のエネルギー政策の大きな転換点となるでしょう。

【関連記事】GX(グリーントランスフォーメーション)とは?企業の取り組み事例や最新動向も

2050年の日本社会は、人口減少という課題に直面しつつも、技術革新や社会制度の改革によって新たな可能性を切り開いていくことが期待されます。AIやロボットにできる仕事はまかせてしまって、人間はより人間らしい分野に力を発揮していく時代が来ると言われています。*2)

生産年齢人口減少の原因

Worried young woman working at late night, in office, using laptop.

日本の生産年齢人口減少は、大きな社会的課題です。この背景には、さまざまな原因があります。

主な原因と考えられている問題を確認していきましょう。

高齢化・人口減少の進行

高齢化人口減少の進行は、日本の社会経済に大きな影響を与えています。しかし、これらの現象は、社会の構造や価値観の変化、技術の進歩など、多くの要素が複雑に絡み合って生じています。

このような問題を解決するためには、単一の対策ではなく、多角的なアプローチが必要となります。

【関連記事】少子高齢化とは?現状と原因・問題点・対策から若者ができること、日本の今後

未婚化・晩婚化・晩産化、夫婦出生力の低下

出生率の低下は、未婚化・晩婚化・晩産化の進行と、夫婦間の出生率そのものの低下という二つの要因によって引き起こされています。これらの要因は、社会の価値観の変化、女性の社会進出、経済状況など、さまざまな背景によって生じています。

特に、晩婚化・晩産化は近年顕著で、2023年の平均初婚年齢は男性が31.1歳女性が29.4歳となっています。

【出生率低下】子育てにかかるコストの上昇

子育てにかかるコストの上昇は、出生率低下の大きな要因となっています。特に、教育費の増加や、子育てと仕事の両立の困難さなどが、子どもを持つことの経済的な負担を増大させています。これらの問題を解決するためには、社会全体で子育てを支える仕組みの整備や、働き方の改革などが求められます。

長時間労働・非効率な労働慣行

日本では、長時間労働が依然として問題となっています。2023年の平均年間労働時間は1,669時間となっており、これはOECD加盟国の中でも上位の水準です。

また、転勤年功序列などの効率・生産性を最優先としない労働慣行が残っています。このような慣行は、人材の流動性を阻害し、企業の競争力を弱める要因となっています。

生産年齢人口減少は、日本社会にとって大きな課題です。この課題を克服するためには、少子化対策や高齢化対策に加え、労働市場の変化に対応した社会制度の改革を進めていくことが必要です。*3)

生産年齢人口減少による影響や問題点

生産年齢人口が減少することは、

  • 経済
  • 社会保障制度
  • 地域社会

などに、大きな影響を与えます。具体的に見ていきましょう。

【人口減少の悪循環のイメージ図】

経済の停滞

生産年齢人口の減少は、労働力の不足を招き、経済成長の停滞を招くおそれがあります。特に、技術革新やグローバル化が進む現代社会においては、質の高い労働力が経済成長の鍵となります。

しかし、生産年齢人口が減少すれば、企業は十分な人材を確保できなくなり、競争力を失い、経済全体が停滞してしまう可能性があります。

消費の低下

生産年齢人口の減少により、若年層の消費が低下しています。若年者が消費を抑える傾向にあり、これは経済全体の活性化の面において好ましくないと指摘されています。

消費の低下は企業の業績や雇用にも影響を及ぼし、景気の停滞や成長の鈍化につながる恐れがあります。

社会保障制度の負担増

高齢化の進展と生産年齢人口の減少は、社会保障制度の財政を悪化させ、将来的に制度の維持が困難になる可能性が指摘されています。医療・介護費は高齢化に伴い急増しており、社会保障制度の大きな負担となっています。

もし、生産年齢人口が減少して社会保障制度の担い手が不足すれば、新たな財源が必要となるなど、大きな問題となることが予想できます。

地域社会の衰退

【人口分布予測(2010年を100とした場合の2050年の予測値)】

生産年齢人口の減少は、地域社会の衰退にもつながります。若者が都会へ流出し、地域に残る高齢者ばかりになると、商店街や公共施設の利用者が減少し、地域の活気が失われてしまいます。

地域の魅力や賑わいが失われることで、地域全体の発展が阻害されるおそれがあります。

GDPには強く影響しない

【日本のの超長期の実質GDPと総人口の推移】

少子高齢化による人口の減少にともなう、生産年齢人口の減少について、経済産業省は「我が国の実質GDPと総人口の推移を超長期でみると、GDP成長と人口増減はほとんど関係ない」と考えています。これを聞くと矛盾を感じる人もいるでしょう。

確かに、直感的には人口が増えれば経済も成長するはずと考えられます。しかし、以下の要因から、長期的には必ずしもそうとは限らないのです。

技術革新と生産性の向上

技術革新は、限られた労働力でもより多くのモノやサービスを生み出すことを可能にします。例えば、産業革命によって機械化が進んだことで、少ない人数で大量生産が可能となり、経済成長に大きく貢献しました。

近年では、AIロボットなどの技術革新がさらに加速し、生産性を飛躍的に向上させています。

資本蓄積と設備投資

経済成長には、資本蓄積設備投資も重要な役割を果たします。企業が利益を再投資することで、工場や機械などの設備を更新・拡充し、生産性を向上させることができます。政府によるインフラ整備なども、経済成長を促進する重要な要素です。

国際貿易とグローバル化

国際貿易の発展により、自国の人口に関係なく、世界中の人々を顧客として商品やサービスを販売することが可能になりました。これは、経済規模の拡大と経済成長に大きく貢献しています。

近年では、グローバル化がさらに進み、国境を超えた企業活動が活発化しています。

社会構造の変化

社会構造の変化も、経済成長に影響を与えます。例えば、高齢化社会では、労働人口が減少するものの、医療や介護などのサービス需要が増加します。これは、新たな経済成長分野を生み出す可能性を秘めています。

このほかにも、政府の政策なども、経済成長に大きな影響を与えます。適切な財政・金融政策や規制緩和などによって、民間活力を引き出し、経済成長を促進することができます。

このような要因から、「今後日本の生産年齢人口は減少の一途だから、日本の将来は絶望的」と考えるのは、心配しすぎかもしれません。しかし、生産年齢人口が減少すること自体は、日本にとって好ましいことではないので、対策は必要です。

生産年齢人口の減少は、日本だけでなく、世界各国が直面している課題です。しかし、日本の生産年齢人口減少の速度は、他の先進国と比べて特に速いと言われています。*4)

生産年齢人口減少の中で企業が行うべき対策

【日本の2040年までの人口等に関する短期・中期・長期見通し】

生産年齢人口減少という厳しい環境の中で、企業が生き残っていくためには、どのような対策が必要でしょうか?企業がとるべき具体的な対策について考えていきましょう。

多様な人材の活用

生産年齢人口の減少により、企業は多様な人材を活用することが、ますます重要になっていきます。

  • 女性
  • シニア層
  • 外国人労働者

など、様々な人材を積極的に採用・育成することで、労働力不足に対処し、企業の競争力を高めることができます。また、多様な人材を活かすことで、新たな価値創造やイノベーションが生まれる可能性もあります。

ワークライフバランスの推進

生産年齢人口の減少により、働き手の負担が増加しています。企業は従業員のワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方や育児支援制度の充実など、働きやすい環境を整えることが重要です。ワークライフバランスが整った環境では、従業員のモチベーションが向上し、生産性の向上にもつながります。

また、働き方改革として長時間労働年功序列など従来の労働慣行を改め、テレワークフレックスタイム制などの制度を導入することで、ワークライフバランスを改善し、より多くの労働者が働きやすい環境を作ることが重要です。

技術革新とデジタル化

生産年齢人口の減少により、労働力不足が懸念されています。企業は効率化や生産性向上のために、技術革新やデジタル化に積極的に取り組む必要があります。

自動化やAIの活用など、最新のテクノロジーを導入することで、業務の効率化や品質向上を図ることができます。これにより、限られた労働力でより多くの業務をこなすことができます。

新たなビジネスモデルの構築

従来のビジネスモデルにとらわれることなく、新たなビジネスモデルを構築することも重要です。例えば、シェアリングエコノミーサブスクリプションサービスなどの新しいビジネスモデルは、近年注目を集めています。

今後は、単に既存の商品・サービスを販売するのではなく、顧客一人ひとりのニーズに合わせた商品・サービスを開発することが重要です。そのためには、顧客とのコミュニケーションを密にすることが不可欠です。

このような対策を通じて、企業は生産年齢人口の減少という課題に対応し、新たな成長の道を切り開くことができます。これらの対策は、企業だけでなく、社会全体の持続的な発展にも貢献します。*5)

生産年齢人口減少とSDGs

生産年齢人口の減少は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にも大きな影響を与えています。SDGsは、2030年までに貧困や格差の解消、地球環境の保護など世界の持続可能な発展を目指す国際目標です。

生産年齢人口の減少は、これらの目標達成に深刻な影響を及ぼす可能性があります。生産年齢人口の減少が、労働力不足や社会保障制度の負担増などの問題を引き起こし、これが経済や社会の持続可能な発展に影響を与えるおそれがあることは先ほど確認しました。

この影響が深刻になり、労働力不足が進むと経済成長が鈍化し、例えば貧困格差の拡大につながる可能性があります。

また、高齢化社会における社会保障制度の負担増は、社会の安定性健康面にも影響を及ぼすことも考えられます。生産年齢人口減少によって、特に影響を受けるSDGs目標は、

  • SDGs目標3:健康と福祉を全ての人に
  • SDGs目標8:働きがいも経済成長も
  • SDGs目標10:人や国の不平等をなくそう
  • SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを
  • SDGs目標16:平和と公正をすべての人に

などが挙げられます。

SDGs目標3:健康と福祉を全ての人に

生産年齢人口減少は、健康や福祉に影響を及ぼします。労働力不足が進むと、医療や介護の分野で人手不足が生じ、高齢者や病気の人への適切なケアが困難になる可能性があります。

医療や介護の質が低下し、社会的な支援が不足すれば健康格差が拡大し、福祉サービスの提供が困難になる恐れがあります。

この対策として、医療・介護の効率化や人材確保のための施策を強化し、予防医療や地域包括ケアの推進など、健康と福祉の向上に取り組む必要があります。

SDGs目標8:働きがいも経済成長も

生産年齢人口減少は、労働力不足を引き起こし、経済成長を阻害するおそれがあります。企業の生産性が低下し、経済の活力が失われることで、雇用機会経済環境が悪化することも考えられます。

技術革新や働き方改革の推進、多様な人材の活用など、効果的な対策を取り入れて労働力の確保と経済成長を促進する必要があります。

SDGs目標10:人や国の不平等をなくそう

生産年齢人口の減少の原因である、社会の高齢化若年層の減少により、格差が拡大する可能性があることが示唆されています。 地域間や世代間の格差が顕著になり、社会の不均衡が進行することは、SDGs目標10の目指す「人や国の不平等をなくそう」の達成を妨げると言えます。 

すぐに人口の減少傾向は止まらないと考えられるので、これまで以上に、教育や雇用の機会均等の実現、包括的な政策の策定など、格差是正に向けた取り組みを強化する必要があります。

SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを

生産年齢人口の減少は、若年層の都会への流出などによる地域の人口構造に変化をもたらし、地域コミュニティの維持を困難にする可能性があります。 これにより地域の活力経済力が減退し、住民の生活環境や社会インフラの維持が困難になる恐れがあります。 

この予防のためにも今後は、

  • 地域づくりの活性化
  • 若者の定住促進
  • 高齢者支援の充実

など、地域社会の持続可能な発展を促す施策が必要です。

SDGs目標16:平和と公正をすべての人に

生産年齢人口の減少は、社会の安定性治安に影響を及ぼすと言われています。 世界的に見ても、経済の不安定さの影響を受けて社会的な不安定要因が増加し、治安維持紛争予防が困難になる危険性を秘めています。 

これを防ぐためには、社会的な不平等の解消法の支配の強化紛争解決の推進など、平和と公正の実現に向けた取り組みが必要です。また、平和を維持するためには、人々の不安を減らし、産業や経済を安定的に維持することも大切です。

生産年齢人口の減少がSDGs目標に与える影響はさまざまですが、視点を変えるとその目標を達成するために必要なものが見えてきます。つまり、持続可能な社会の実現に向けて、どうすべきか、何が必要かなどを具体的に把握し、対策を検討することができるのです。

今後の日本は、経済や社会の変化に柔軟に対応し、包括的な政策を展開することが重要です。*6)

>>各目標に関する詳しい記事はこちらから

まとめ

【我が国の人口構造の変化と将来の予測】

日本は、少子高齢化が進行し、2008年をピークに総人口が減少し続けています。特に生産年齢人口は、1995年を最高点に減少傾向で、2030年には約6,773万人、2060年には約4,418万人と予測されています。

この人口減少は、労働力の枯渇を意味し、経済全体に大きな影響を与えることが懸念されています。しかし、生産性向上によってその影響をある程度抑制することが可能です。

すでに日本政府は、労働市場改革やイノベーション促進など、さまざまな対策を講じています。

【将来の人口と実質GDP成長率の推計】

すでに将来を見据えた企業は、人材不足や顧客ニーズの変化に対応するため、以下のような取り組みを進めています。

  • 人材の確保・育成:多様な人材の活用、働き方改革、教育・研修の充実
  • 技術革新の活用:ロボットやAIなどの技術を活用した業務の効率化・自動化
  • 新たな価値の創造:顧客ニーズに合わせた商品・サービスの開発、新たなビジネスモデルの構築

また、私たち一人ひとりも、生涯現役社会に向けて、以下のような取り組みを進めていくことが重要です。

  • 健康維持・増進:健康的な食生活、適度な運動、十分な睡眠
  • スキルアップ:新しい知識やスキルを習得
  • キャリアプランニング:ライフプランに合わせたキャリアプランを計画

人口減少は大きな課題ですが、同時に新たな可能性も秘めています。政府、企業、個人が力を合わせれば、持続可能な社会を築くことは可能です。
人口減少は決して楽観視できる問題ではありません。しかし、私たちは希望と信念を持って、この課題に立ち向かう必要があります。

私たちが、目指す方向を同じくし、力を合わせれば、必ず明るい未来を築くことができるはずです。

日本は、困難を乗り越え、発展してきた長い歴史を持っています。現代に生きる私たちも、本来の日本人らしさを大切にし、より良い未来を築いていきましょう。*7)

<参考・引用文献>

*1)生産年齢人口減少とは
内閣府『第3節 世界の労働市場』
総務省『第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~(1) 生産年齢人口の減少』
内閣府『人口減少と少子高齢化』
日本経済新聞『生産年齢人口とは 15〜64歳、労働の中核的な担い手』(2023年3月)
労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2017 2 人口・労働力人口 生産年齢人口(15〜64歳人口)』
JETRO『中国の人口が減少、2023年にはインドが世界首位:国連予測 生産年齢人口、2050年までに2億人以上減少』(2022年9月)
*2)【2024年最新】日本における生産年齢人口の現状
参議院『我が国の人口構造と人口推計』(2024年3月)
総務省『第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~(1) 生産年齢人口の減少』
NRI『2050年までに「プラス5歳活躍社会」実現を-持続可能な日本社会の実現のために必要なたった一つのこと-』(2024年4月)
総務省統計局『人 口 推 計- 2024年(令和6年) 1 月 報 -』(2024年1月)
経済産業省『新しい健康社会の実現』(2023年3月)
日本経済新聞『生産年齢人口、最低の59% 外国人は9年ぶり減少』(2022年4月)
日本経済新聞『日本人人口、減少幅最大の83万人 外国人が労働力補う』(2024年4月)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?企業の取り組み事例やSDGsとの関係を解説
GX(グリーントランスフォーメーション)とは?企業の取り組み事例や最新動向も
ICTとは?ITとの違いや教育・医療分野での身近な例を簡単に解説!
*3)生産年齢人口減少の原因
少子高齢化とは?現状と原因・問題点・対策から若者ができること、日本の今後
内閣府『第1節 高齢化・人口減少の意味』
厚生労働省『第1章 我が国の労働力需給の展望と労働移動をめぐる課題 第1節 我が国の労働力需給の展望』
*4)生産年齢人口減少による影響や問題点
国土交通省『第2節 人口減少が地方のまち・生活に与える影響』
国土交通省『第1節 我が国経済とこれを取り巻く環境』
経済産業省『「経済産業政策の新機軸」の今後の進め方と論点について』(2023年11月)
厚生労働省『令和4年版 労働経済の分析 第1章 我が国の労働力需給の展望と労働移動をめぐる課題』
総務省『第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長 1 人口減少時代とその課題』内閣府『第2章 人口・経済・地域社会の将来像 (3)人口急減・超高齢化の問題点』
日本経済新聞『「人口減でデフレ」は本当か 通説覆す人手不足インフレ』(2024年2月)
内閣府『第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題 第2節 経済をめぐる現状と課題』
総務省『第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 2 デジタルが貢献する社会・経済課題の解決 (1)我が国が直面する社会・経済課題』
参議院『第1章 人口減少とその影響 』
全国銀行協会『Ⅰ.女性活躍を巡るわが国の状況  1.少子高齢化と生産年齢人口の減少 』
*5)生産年齢人口減少の中で企業が行うべき対策
内閣府『人口減少社会を考える』
NRI『2050年までに「プラス5歳活躍社会」実現を-持続可能な日本社会の実現のために必要なたった一つのこと-(2024年4月)
経済産業省『新しい健康社会の実現』(2023年3月)
日本経済新聞『少子化加速、社会維持の危機 人口減社会への備え不可欠』(2023年4月)
日本経済新聞『人手3割減でも成り立つ社会に 「将来推計人口」公表』(2023年4月)
*6)生産年齢人口減少とSDGs
経済産業省『SDGs』
国際開発センター『ゴール3:すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。』
国際開発センター『ゴール8:働きがいも経済成長も 包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する』
国際開発センター『ゴール10:人や国の不平等をなくそう 各国内及び各国間の不平等を是正する。』
国際開発センター『ゴール11:住み続けられるまちづくりを』
国際開発センター『ゴール16:平和と公正をすべての人に 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、全ての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する』
*7)まとめ
国土交通省『第1節 我が国経済とこれを取り巻く環境』
国土交通省『第1節 我が国経済とこれを取り巻く環境』
総務省『第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~第1節 今後の日本社会におけるICTの役割に関する展望』