SDGs15「陸の豊かさも守ろう」現状と取り組み、私たちにできること

植物は人間の食料の8割を提供しています。

農業により植物からの恩恵を受けているのです。

また、森林は生命を保つために欠かせない存在です。森林は空気や水を循環させ、生命を育みます。

しかし、現在、度重なる自然災害経済発展のために違法な森林伐採がすすみ、森林は疲弊。その結果砂漠化が進んでいます。

世界の森林面積は年間約1,300ヘクタールずつ減少しており、これは日本の面積の3分の1相当です。

国連食糧農業機関(FAO)の推測ではあと100年もすれば世界から森林は消えるだろうとも予測されています。

本記事では、

  • 目標15がSDGsでもっとも重要な理由
  • 世界の陸地で何が起きているのか
  • どんなことが解決につながるのか

を学んでいきましょう!

目次

目標15「陸の豊かさも守ろう」とは?

目標15では下記の課題が掲げられます。

  • 森林減少のストップ
  • 森林の少子高齢化対策
  • 生物多様性の維持
  • 生態系回復
  • 森林破壊による二次災害を防止

これかの課題の解決を目指し12個のターゲットが定められます。

目標15を構成する12個のターゲット

SDGs目標15のターゲットは、1〜9の達成目標とa〜cの実現方法とで構成されています。陸の豊かさを守るため、生物多様性の回復に向けて、より具体的な目標が定められています。

15.1 2020年までに国際的な協定にしたがって、森林、湿地、山地、乾燥地など陸上の生態系と、内陸の淡水地域の生態系、および、それらがもたらす自然の恵みを、守り、回復させ、持続可能な形で利用できるようにする。

“森や川に住む生物を守るんだね”

15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の、持続可能な形の管理をすすめ、森林の減少をくいとめる。また、おとろえてしまった森林を回復させ、世界全体で植林を大きく増やす。

“森林減少をストップして豊かな森の再生を目指そう”

15.3 2030年までに、砂漠化に対応し、砂漠化、干ばつ、洪水の影響を受けておとろえてしまった土地と土壌を回復させ、これ以上土地をおとろえさせない世界になるように努力する。

“木々が育つための土壌を回復させるんだね”

15.4 2030年までに、持続可能な開発のために欠かせない山地の生態系の能力を強めるため、多様な生物が生きられる山地の生態系を確実に守る。

“山や森林に住む生態系を守るために豊かな山づくりをすすめるんだね”

15.5 自然の生息地がおとろえることをおさえ、生物の多様性が損なわれないようにし、2020年までに、絶滅が心配されている生物を保護し、絶滅を防ぐため、緊急に対策をとる。

“生物や植物の絶滅に歯止めをかけるんだね!そのために生物の住処を守らなくちゃね”

15.6 国際的に決められたとおり、遺伝資源を使って得る利益が公正で公平に分けられるようにする。また、遺伝資源を適切に使うことができるようにする。

“遺伝資源ってなに?”

“生物多様性条約によると、遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物、その他に由来する素材のうち、現実の、又は潜在的な価値を持つものと定義されるよ。生物多様性をつくる重要な遺伝子を価値あるものに扱うんだね”

15.7 保護しなければならない動植物の密猟や、法律に反した取り引きをなくすために、緊急の対策をとる。法律に反する野生生物の製品が求められたり、売られたりすることがないようにする。

“密猟。違法取引はあとをたたないよね。撲滅しなくちゃね”

15.8 2020年までに、移動先に定着する外来種の侵入を防ぐとともに、外来種が陸や海の生態系に与える影響を大きく減らすための対策をはじめる。特に優先度の高い外来種は駆除する。

“外来種ってなに?”

“人の手によってほかの国や地域から入ってきた生物のことだよ。もともといない地域に外来種が入ってくると、生態系の破壊のおそれが出てくるんだ。”

“それは危険だね。人為的に運ばれることを撲滅しないとね!”

15.9 2020年までに、生態系や生物の多様性を守ることの大切さを、国や地方による計画や開発のプロセス、貧困をなくすための取り組みやお金の使い方に組み入れて考えられるようにする。

“開発や貧困解決のためのプログラムに、生態系や生物多様性の大切さも組み込まないとね。

15.a 生物の多様性や生態系を守ること、それらを持続可能な形で利用していけるようにするために、あらゆるところから資金を集め、より多くのお金が使えるようにする。

“生物多様性と生態系を守るには資金が必要だね。募金活動も必要だね”

15.b 森林の保護や再植林をふくめて、持続可能な森林の管理を進めるために、あらゆるところからお金を集め、開発途上国が持続可能な森林の管理を進めようと思えるように十分な資金が使えるようにする。

“開発途上国が森林を守ろうと思えるような、十分な資金を使えるように支援しないとね。”

15.c 持続可能な形で収入を得られるように、コミュニティの能力を高めるなどの取り組みを進め、保護しなければならない動植物の密猟や法律に反した野生生物の取り引きをやめさせるために、国際的な支援を強化する。

“なんで密猟や違法取引があとをたたないんだろう”

“貧困のために止むを得ず手を染める人もいるんだよね。そういう人たちが減るように国際支援を強化する必要があるね”

なぜ、目標15が必要なのか?

陸の豊かさを学ぶにあたり、なぜ目標15が必要なのかをみていきましょう。

目標15が必要な理由

出典画像:Stockholm University

上記の図は、ストックホルム・レジリエンスセンター所長で環境科学教授のロックストローム氏が提唱したSDGs17の全体像です。(※1)

環境、社会、経済とまるでウェディングケーキのように重なる構造は、17の目標それぞれの関係性を示し、目標15を含む自然環境の目標が土台となっていることがわかります。

つまり、持続可能な社会を実現するために下から支えているのは環境に関する目標なのです。SDGs17の目標の中で環境にあたる項目は下記4つ。

  • 気候変動の緩和と適応(目標13)
  • 水の循環(目標6)
  • 海洋資源の保護(目標14)
  • 陸上の生態系の保護(目標15)

上記4項目が実現してはじめて社会と経済が持続可能となるのです。

人間の生活から考えてみるともっとわかりやすくなります。

私たち人間を含む生物は、植物や生き物から命をいただいて生活しています。

植物や生き物に欠かせないものは水ですよね。

海洋資源や陸上の生態系が互いに命を育み、社会を支え経済を発展させます。

地球でくらす生態系を守ることは、地球が存続するもっとも重要な部分なのです。

SDGsが目指す豊かな陸とは?

豊かな陸の状態は、どんな状態なのでしょうか。

3つのポイントに絞ってみましょう。

(1)森林が持つ役割が正常に稼働している状態

(2)陸の生態系が保護され、再生可能な状態

(3)土地環境の悪化のストップ、土壌生態系の再生可能な状態

では、それぞれ詳しくみていきましょう。

森林の6つの役割

森林には6つの役割があります。

古代文明が森や川のあるところに反映してきたように、地球上の陸地面積30%を占める森林は生命を維持するための重要な機能をはたしています。ひとつずつ見ていきましょう。

森林の役割1「めぐみを与える」

木造建築には木材が欠かせません。また燃料となる炭や薪がとれ、山菜やきのこなどが生息する食材の宝庫です。

森林の役割2「地球温暖化防止」

森林は光合成により酸素をつくり、二酸化炭素や熱を吸収し地球温暖化を防ぎます。

樹木が吸収する二酸化炭素量は樹種や樹齢によって異なりますが、関東森林管理局によると、50年生スギ1ヘクタールの森林での炭素貯蔵量は170トン、樹木1本あたり1年で約14キロの二酸化炭素を吸収する計算です。

人間の呼吸で排出される二酸化炭素はひとりあたり年間約320キロ、スギ約23本必要となります。(※2)

森林の役割3「貯水、水質浄化」

樹木が茂る森林は雨水を地中にしみこませる力が、樹木のないところの吸収率に比べ3倍です。雨水を蓄えた土はゆっくりと河川に流れ、水質を浄化しながら海へと流れ着きます。

森林の役割4「栄養を与える」

天然の堆肥こそ森林の栄養となり植物の再生を促します。

木から葉が落ちて溜まると腐植。その後、土壌微生物によって分解され有機化合物となるのです。

森林の役割5「災害を防ぐ」

森林が自然災害を防ぐ機能は下記の2種類です。(※3)

崩壊防止

樹木の根が土と斜面をつなぎとめる機能

土砂捕捉機能

流下する土砂を立木が支える機能

樹木があることで自然災害を減らしているのです。

森林の役割6「生物多様性を支える」

生物多様性とは、地球上に住む生き物は森の役割・仕組みを関わりながら生命を育んでいるということ。

陸上に生息する動物、植物、昆虫の8割が森林を住みかにしており、生物多様性を支える重要な場所です。生い茂った木々は動物にとって敵から身を守る隠れ家であり、暑さ寒さをしのげる憩いの場所です。

この生命同士の関わり合いを維持することが求められるのです。

このように、森林は生物多様性の保護をはじめ、地球温暖化や災害の防止にも貢献し、快適な環境をつくるなどあらゆる働きがあります。

また、人間にとってレクリエーションの場であったり、ハイキングやキャンプなど憩いの場でもあります。

ところが世界の森林は日を増すごとに減少を続けており、森林が本来の役割を果たせなくなってきているのです。まずは日本の詳しい現状をみてみましょう。

日本の陸地の現状

<日本の森林面積の推移のグラフ>

日本は雨季があり、森林が育つための十分な降水量がある国です。

日本は森林大国と言われ、国土の67%(3分の2)を森林が占めています。その面積は約2,500ヘクタール。

過去40年間、日本の森林面積は横ばい、急激に増えているわけでも減っているわけでもありません。

ここまで聞くと、日本の森林は安定しているから安心していていいのでは?と思うでしょう。

しかし日本には日本なりの課題があります。

それは、日本で使用している木材が海外からの輸入木材が大半だということです。

自国の森林資源に対する年間伐採量

どういうことでしょうか。

森林の機能を果たすために管理するのは林業従事者です。

国勢調査によれば、林業の担い手の高齢化により昭和55年と比較して減少傾向にあります。

下の図をご覧ください。

<林業従事者推移>

引用元:林野庁

森林の高齢化とともに、林業でも高齢化が進み、定期的に管理できる人が減っています。

安価な輸入木材に押されて国産木材の需要が減り、国産林業が稼げなくなっていることもひとつの要因です。(※4)

輸入木材を入手するということは、国産木材が使われずに蓄積します。

樹木にも収穫適齢期というものがあり、伐採せずに放置すると森林の高齢化が進みます。

森林の高齢化がすすむと若い木が育つ場所がなく、森林の少子高齢化がすすむのです。

そうなると、「高齢化の樹木を安く売ればいいじゃないか。」

そう思われる方もいるでしょう。

高齢化した樹木は幅が太いため住宅用木材としての使用は難しく、安く販売されても手間がかかってしまいます。結果使えなくなってしまった樹木は放置され、森林に蓄積していくのです。(※5)

世界の陸地の現状

一方で世界ではどうでしょうか。

日本が国産木材を使用せずに輸入しているのならば、輸入先の樹木は当然減るわけです。

今からさかのぼること約1万年前、世界の森林は62億ヘクタールありました。

文明の発展とともにその面積は変化し、現在では陸地の31%(約40億6,000万ha)まで減少しました。

林野庁が示す気候帯別の森林面積の割合では、

  • 熱帯 45%
  • 亜寒帯 27%
  • 温帯 16%
  • 亜熱帯 11%

と分類され、世界の半分弱が熱帯地域に分布されていることがわかります。

危機的な世界な森林破壊

Global Forest Watchによると、世界の森林破壊は危機的状況です。

どれくらい危機なのかを説明すると、6秒ごとにサッカー競技場と同じ面積の森林が失われているのです。

Global Forest Watch の公式サイトでは、世界の森林状況をリアルタイムで観察できるシステムを導入し、公開されています。

Global Forest Watch公式サイトを見ると分かること

“世界中の人が保護地域でのパトロールを計画したり、樹木の被覆損失に関する情報を検索したり、故郷の近くの森林を監視したりすることが可能。世界の森林に何が起こっているかについて、ほぼリアルタイムのデータを見ることができる。” 

GLOBAL FOREST WATCH

ここで気になるのは、世界の森林面積の減少状況です。

1990年以降、世界の森林面積は1億7,800万ha減っています。この広さはアフリカ・リビアの国土面積とほぼ同じです。30年で国ひとつ分の森林が失われているのです。

森林の減少速度は地域によって異なります。一部の地域では極端な減少がみられますが、植林を行うことで森林減少速度が低下した国もあります。実際、温帯地域の中国やベトナムでは植林活動が活発になっています。(※7)

では森林減少が最も高い地域はどこなのでしょうか。

引用:環境省

グラフからわかるように、森林減少で目立つ国はブラジルですね。

ブラジルは世界最大規模の熱帯林を持つアマゾンがあります。アマゾンは世界の熱帯林の半分を占める森であり、豊かな水と多種多様な命を育みます。

アマゾンは生態系の宝庫であるほか、二酸化炭素排出削減の枠組みであるパリ協定においても重要な位置にいました。

しかし、2019年1月にブラジルではボルロナロ氏による新政権が発足しパリ協定から離脱し、同時にアマゾン地域を中心に森林開発が加速し始めたのです。

しかし2021年4月、アマゾンの森林破壊にしびれを切らした世界各国がブラジルに圧力をかけ、ボルソナロ氏は気候首脳会議で2030年までに違法伐採をなくすと宣言しました。

もともとブラジルでは1940年代からアマゾン開発計画が始まり1960年にはアマゾンに大規模な道路が建設されたり森林を伐採して農地にしたりと15%の森林が消失したのです。

加速する熱帯雨林の減少

ブラジル国立宇宙研究所によると、ブラジルアマゾン地域の森林消失面積は2019年に過去最悪を更新したと発表しました。

アマゾンの破壊の現状詳細

1994年と2015年を比較するとアマゾン付近の熱帯雨林は前出の通り15%がすでに消失、この広さは日本の国土面積の1.1倍に相当します。

世界の熱帯雨林減少の理由はブラジルのアマゾン開発計画だけではありません。

次にご紹介するのはインドネシアの熱帯雨林の減少状況です。実はわたしたちの身の回りに使われるパーム油の需要が熱帯雨林減少原因になっているのです。

パーム油の需要増加

パーム油はアブラヤシからとれる植物油です。アブラヤシは高温多湿の熱帯地域に生育し、国別生産量ではインドネシアが1位です。

増え続けるパーム油の生産量

引用元:WWF JAPAN

上記グラフを見ると、パーム油の需要が増えていることがわかりますね。

需要が増える理由は、汎用性が高いことや安価であることに加えて、1年中栽培が可能であるためです。

私たちの生活の中にもあらゆる場面でパーム油が使われています。世界ではひとりあたり年間8kgのパーム油を消費しているほどです。

例えば、

  • パン
  • お菓子
  • 洗剤
  • カップ麺
  • 固形石鹸
  • シャンプー
  • 車の燃料

などが挙げられます。

このように使用頻度が高いパーム油ですが、日本をはじめとする諸外国は輸入に頼っているのです。

しかし、パーム油の生産量が増加するにつれ、熱帯雨林は減少していきます。

アブラヤシは赤道付近の熱帯で育つため、アブラヤシを育てるプランテーションは必然的に熱帯雨林の生息する場所と重なります。

需要の増加に伴いアブラヤシ農園を拡大するために熱帯雨林を切り開きます。その結果、野生動物の住処はどんどん失われてしまうのです。

また農園を横断する際、人との接触を防ぐために罠が設置され、ゾウやオラウータンが被害を受けています。

貧困、そして伝統農業と森林減少の関係

貧困を解決することは森林保護につながると、1980年代後半に国際機関で広まりました。

多くの人は貧困問題と聞くと、飢餓や難民、児童労働、紛争を想像するでしょう。しかし貧困は環境問題と密接な関係を持っています。

ここでマダガスカルの事例をあげましょう。

マダガスカルは熱帯雨林が豊富で貴重な生態系にも恵まれた国です。

マダガスカルは元来森に覆われていましたが、50年で森林が4割減少し宇宙から観測した写真も今では砂漠化が深刻化しています。

それはマダガスカルの伝統的な特徴が要因となっています。

マダガスカル人はタヴィという焼畑農業があります。熱帯雨林を燃やし水田に変えるタヴィは2、3年もすると土壌が劣化し作物が育たなくなります。

そうなると新たに熱帯雨林を燃やすように繰り返されます。

さらにマダガスカルを含むアフリカの貧困地域に同じことが言えるのですが、貧困の中で生きる人々はその日を生き抜くために地球環境に配慮する余裕がないことが環境破壊を加速させています。

その日をなんとしてでも生き抜く、こうした感覚は食糧に恵まれた国にとって馴染みのない感覚でしょう。しかし生き残ることを最優先にする貧困地域では、それが環境破壊につながると頭では理解していても他に選択肢がないというのが現状です。

参考:マダガスカル人から見たアフリカの環境問題 , 熱帯における森林減少の原因

森林減少によって引き起こされる問題を、さらに踏み込んでみていきましょう。

森林減少で引き起こされる問題点。解決策はあるの?

危機的状況にある森林減少によって、どのような問題が起きているのでしょうか。

 砂漠化・土地の劣化

森林減少によって世界の土壌の4分の1が劣化し砂漠化が進んでいると報告されています。

混同されやすい砂漠と砂漠化は意味が異なります。

  • 砂漠 → 基本的に乾燥していて人間が住むことができない土地
  • 砂漠化 → もともと緑が多かった土地が植物が育ちにくい土地となる状態

砂漠化になる原因としては、

  1. 気候的要因→長期の干ばつ、雨量減少による乾燥化
  2. 人為的要因→自然の許容範囲を超える過放牧、森林減少、過耕作などの活動によるもの

気候的要因によって引き起こされたオーストラリアの森林火災を次にご紹介します。

オーストラリア森林火災を悪化させた3つの条件

自然災害が世界の森林面積減少を加速させています。

記憶に新しいところでは、2019年9月から2020年2月まで続いたオーストラリアの森林火災です。

その被害レベルは過去最悪となりました。

  • 哺乳類1億4,300万匹
  • 爬虫類24億6,000万匹
  • 鳥類1億8,000万匹

の野生動物が被害を受け、焼失面積は約103,000平方キロメートル(1,030万ヘクタール)におよび、これは日本国土面積の4分の1に相当します。

オーストラリア全土における月毎の森林火災による二酸化炭素放出量と森林火災面積のグラフ

国立環境研究所によると、火災によって放出された二酸化炭素は3億7,000万トン。これはオーストラリアの全温室ガス排出量の1.5倍に相当したことがわかりました。(※8)

当時、オーストラリアは例年に比べて高温続きで、西部の町ペンリスでは48.9度を記録していたのです。

森林火災の原因は自然発火もしくは人為的なもののどちらかです。

自然発火の場合、その火災を悪化させる条件が3つ考えられます。

それは、雨不足、干ばつ、記録的な猛暑です。

科学者のピーター・グリック氏は気候変動が直接的な原因と考えるのではなく、火災を悪化させる条件をそろえたのは誰なのかに焦点を当てるべきだと話します。

森林減少が二酸化炭素吸収を阻む→その二酸化炭素によって温暖化が進み気候変動をもたらす→気候変動の影響が森林火災を生み出すという悪循環が起こります。

次に人為的要因の過放牧についてご紹介します。

過放牧による砂漠化

モンゴル自治区のクブチ砂漠周辺では過放牧による砂漠化が進んでいます。現地遊牧民はヤギやヒツジを飼って生計を立てており、その頭数が急激に増え植物が減少しています。

自然環境の悪化に伴い、2001年から禁牧政策がとられましたが、限られた場所で牧畜を飼うことで餌不足と牧畜健康不良を不安に感じ、牧民は人目につかないところで放牧を続けてきました。

過放牧によって被害を受けるのは植物です。植物や根は食べ尽くされ、自然サイクルが追いつかず砂漠化が進行します。

ヤギの頭数が増えた原因は、その毛から作られるカシミヤセーターの需要が増え安く購入できるようになったからです。需要の高まりが過放牧を引き起こし、砂漠化が加速しています。

ここまでくると、人為的要因での砂漠化をストップすれば森林減少を食い止めることができるのでは?となりますが、一概にそうとはいえないのが次の現状です。

放置された竹やぶによる竹害

過放牧や過耕作が問題となっていますが、放置することもまた森林の衰退につながります。

森林の荒廃のひとつに竹害というものがあります。

竹の特徴は繁殖力が強く、その成長速度は1日数センチ、10日で数十センチ。ピーク時には1日1m成長することもあります。

その竹が針葉樹林を侵食しているというのです。

どういうことなのでしょうか。

かつては筍を採るために使われてきた竹林ですが、輸入筍が出回るようになって国産の筍の需要が減り、やがて竹林は放置されるようになりました。

引用:香川県

上記のグラフは香川県の例です。

竹の生産量は1964年をピークに年々減少しており、安価な中国産の輸入竹が使われるようになりました。

竹の根は横に広がる性質を持つため、一度密集して成長すると針葉樹の成長を阻みます。

こうした影響から、竹を枯らすという動きも増えました。

しかし繁殖力の強い竹を枯らすために確実な方法は薬剤。薬剤は非常に強く、他の植物などに影響を及ぼし、土壌自体を変えてしまうリスクを伴います。

基本的に除草剤を長期間使用すると、残留・蓄積し地下水の汚染などによって生物多様性が失われます。化学物質の使用は陸の生態系だけでなく海洋生物への影響も与え手しまうのです。

薬剤を使用せずに竹害を減らす方法はあるのでしょうか。

結論からいうと「伐採」と「根切り」が有効な方法です。

が、この方法は労力と時間を有します。

前出の通り、輸入木材需要の高まりによって林業の高齢化が進み、労力と時間を有する竹林管理にも人がいないということが起こります。

地球温暖化

前出の森の役割のひとつに、森林は二酸化炭素を吸収し酸素をつくりだすというはたらきがありました。

地球上の森林分布で半数近くを占める熱帯雨林は気候を維持をする上でとても重要です。

年間を通じて温暖湿潤の中で育つ熱帯林の特徴は、光合成が活発な点です。

光合成が盛んに行われることで多くの二酸化炭素を吸収し地球温暖化を防ぎます。

しかし熱帯林の減少により吸収量が低下すると、待機中に二酸化炭素が溜まりエルニーニョ現象やラニーニャ現象を引き起こします。

エルニーニョ現象

太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象

ラニーニャ現象

同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象

これらは、日本を含め世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられている

参考元:気象庁 (※9)

こうした気候変動は年単位で訪れ、洪水や干ばつをもたらし生態系の破壊や農作物不作などにつながります。

このような森林減少は生物多様性にも影響を与えます。絶滅危惧種が増加している現状を見ていきましょう。

生物多様性の崩壊。絶滅していく生物

森林減少は多種多様な生物に悪影響を与え、絶滅のスピードも加速しています。

恐竜のいた2億年前は1000年間に1種類のペースだった絶滅スピードが、現在では1年間に40,000種類が絶滅しています。

37,576種以上が絶滅危惧種!生態系の破壊

引用:WWF

絶滅のおそれのある野生生物の種類を表す指標に、国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリストというものがあります。

レッドリストに記載されている絶滅危惧種は2020年12月時点で3万5,765種以上

上記のデータを見ると、哺乳類、鳥類、両生類の危機が明らかです。

現在確認されている生物の種類は約211万種、このうち約29%が絶滅の危機にあるのです。

確認されているだけでも3割近くの生物が失われつつありますから、調査が十分に進んでいない魚類や無脊椎動物についてはさらに多くの種類が絶滅の危機にある可能性があると言われています。

絶滅危惧種の多い国

外務省で公開されている絶滅危惧種の多い国では下記のようにランク付けしています。(※10)

順位国名絶滅危惧種の数(2020年版)
1位マダガスカル3,001種
2位エクアドル2,509種
3位マレーシア1,747種
4位インドネシア1,742種
5位メキシコ1,728種

熱帯雨林の広がる地域が上位に位置しています。

生物多様性が失われるとどうなるのか

一口に生物多様性といってもその種類はさまざまです。

  • 生態系の多様性
  • 遺伝子の多様性
  • 種の多様性

海辺、森林、砂漠、それぞれの環境に適した生き物が住んでおり、その生き物が環境を作り出しています。多様性がバランスを整えているのです。

逆を言うと多様性が失われることで生態系のバランスが崩れます。

ひとつの種の生き物が絶滅すると、その種を利用して生きている種が絶滅に向かい負の連鎖が生じます。

多様性の崩壊は野生動物間だけでなく、人間にも影響します。

例えば海の生物から抽出されるエキスが抗がん剤として利用され、森の植物からとれるエキスは薬草として利用されます。人間は自然の恩恵を受けているのです。

多様性を失うことで、これらの恩恵を受けられなくなってしまいます。

目標15「陸の豊かさを守ろう」の取組事例と対策

森林破壊による砂漠化、自然災害、生態系の破壊…

解決策はあるのでしょうか。

上記に挙げてきた問題点から考えられる対策は、

  • 森林保護
  • 生態系保護

の2点にポイントが絞られます。

この2点を軸に取組事例を見ていきましょう。

陸の豊かさを守るために、実際に行われている取り組みを紹介します。

日本の企業/団体の取り組み事例

日本の企業・団体の取組事例を見ていきましょう。

ピンチをチャンスに!竹を有効活用するバンブーファクトリー

引用元:BAMBOO FACTORY

前出の通り、日本の里山では放置された竹林による竹害が大きな問題となっていると説明しました。

そんな竹を有効利用しようとバンブーファクトリーでは、竹を使った商品開発を行なっています。

バンブーファクトリーの主な取組は、

一次産業の活性化

竹林を通して一次産業を活性化する

食の安全・安心の追求

竹を使った堆肥で、有機栽培、無農薬栽培、減農薬栽培を応援

環境保全

竹林の手入れを通じ、水や土壌の環境保全を行う

健康

竹を使った活性炭で室内環境を整える

障害者雇用

などです。

バンブーファクトリーでは活性炭と竹のもみ殻を利用してバイオトイレ開発の研究を行なっています。活性炭を使うことで臭いも少なく微生物分解を最大限に活かしたエコなトイレです。

極力水を使わないという点では目標6「安全な水とトイレを世界中に」にも貢献しています。

竹は消臭効果、防虫効果、抗菌、抗カビ、吸音、吸着、断熱性の特徴を持っており、バンブーファクトリーではこの特徴を活かして竹害による森林侵食を防止しています。(※12 )

竹がスキンケアに生まれ変わる!?竹の特徴を逆手に取ったその方法とは

竹の有効活用で注目されているのが「せとうちT&Kハーブ」の竹コスメです。

単なる化粧品販売を目的とせず、広島県竹原市の竹水を利用したコスメを開発。

サステナブルコスメティックアワード2020を受賞しました。

受賞の理由は、原材料に竹を使用し、竹害を防ぐ取り組みである点です。

竹は植物性乳酸菌を持ち、昔から酪農、畜産、土壌改良材、バイオマス素材、消臭剤

と幅広く使われてきました。

竹の持つ乳酸菌は免疫向上、アレルギー抑制、メラニン抑制、潤い成分が高く、スキンケアアイテムとして最適だったのです。(※13)

森林高齢化を防ぎ「活きた森」を目指すフィトンチッドジャパン

日本国内で使用される木材の7割は安価な輸入材です。国内の森林は成長しきってしまいやがて高齢化し放置されます。

高齢化した木々の多い森林は若い木と比較すると二酸化炭素吸収力が低く、温暖化防止になりません。

そうした森林の高齢化を防ぐため、敢えて間伐をして森林保護を目指すのがフィトンチッドジャパン(株)です。

フィトンチッドジャパンが注目したのは、フィトンチッドという木特有の成分です。

フィトンチッドとは

自由に動き回ることのできない植物が、害虫などの外敵から攻撃や刺激を受けたり、傷ついた時でも病原菌に感染しないように傷口を殺菌したり、害虫を寄せ付けない為にフィトンチッドを作りだし、発散することによって、自らの身を守る成分

フィトンチッドジャパン株式会社

不要となっている間伐材から抽出されたフィトンチッドエキスは、合成添加物や科学性物質を一切含まないPT-150という溶液に生まれ変わりました。

PT-150は、

  • 抗酸化能力
  • 天然イオンによるリラックス効果
  • 花粉飛散防止
  • 空気中のバランスを整える

などウイルス対策にも効果を発揮します。

森林の高齢化を防ぐには、古くなった木を取り除き持続可能な再生を促す必要があります。フィトンチッドジャパンでは、自然の調和がとれた環境を維持できてはじめて、安全に健康に暮らせる未来がつくれると考えます。

自然の豊かさを学ぶ体験プログラム岐阜県美濃市「morinos(モリノス)」

岐阜県美濃市にある「morinos(モリノス)」はすべての人と森をつなぎ、森と暮らす楽しさと森林文化の豊かさを次世代に伝える持続可能なコミュニティです。

モリノスではすべての人と森をつなぐために2つのアプローチを行います。

森の体験を創造、実験し続ける

森の楽しさを感じられる体験プログラムの提案

すべての人に森の体験を提供し続ける

モリノスは保育の場でもあります。幼児から大人まで、さまざまな団体のための教育の場としてオーダーメイド教育ができます。

例:森のだいがく、森の運動会、森の誕生会

森林保護を目指すには、まず森で過ごす楽しさを感じることからスタートします。

モリノスが大切にしたいことは、頭で考えるのではなく、心で感じること。

人と森があそびの中からつながりを意識することが、森林保護につながるのです。(※15 )

世界の企業/団体の取り組み事例

世界の企業と団体の取り組み事例をみていきましょう。

自然を守るエリアを絞る!「生物多様性ホットスポット」

コンサベーション・インターナショナル(CI)はアメリカバージニア州に本部を置く世界29カ国にオフィスがある団体です。

生態系保護を含む持続可能な世界を実現する活動を行なっています。

CIでは生物多様性ホットスポットを選定しています。生物多様性ホットスポットとは、生物多様性が高い場所で、生態系の破壊が進んでいる地域を指します。

ホットスポットに選定された地域は陸地面積のわずか2.4%にしか過ぎず、その地域にしか生息していない動植物は、

  • 植物の50%
  • 両生類の60%
  • 爬虫類の40%
  • 鳥類、哺乳類の30%

 です。CIではそうした生物多様性ホットスポットを保全する活動を行なっています。

例えば、西アフリカのニンバ自然保護区では、現地の人々が持続可能な生活ができる取り組みを実施しています。

ニンバ自然保護区にまたがるリベリア・ニンバ群では農地転換で森林が減少しており、貧困によって人々は自然資源に依存している状態です。

貧困からインフラ、食糧、教育に重大な課題を掲げることから、CIではニンバ群の農業技術支援や保健・教育の社会サービスの提供、自然保護区の保全を進めています。

地球環境に優しいバリ島「グリーンスクール」

世界中から子どもたちが集まるインドネシア・バリ島のグリーンスクールは地球環境に配慮したインターナショナルスクールです。

グリーンスクールの特徴は目標15と深く関わっています。

成長が早いと言われる竹を利用した校舎自然のめぐみを上手に利用してエコを極めた環境で生活します。

広大な畑では無農薬野菜を栽培し、植物から出る有機廃棄物は敷地内で100%土に戻されます。

また排泄物はコンポストトイレで分解し畑の肥料にします。

目標6にも深く関わるこのコンポストトイレ。水洗トイレを1日5回使用すると30Lの水が使われます。

一方でコンポストトイレは水で流すのではなく、排泄物におがくずを混ぜて微生物によって分解し堆肥として再利用します。

こうした循環システムを生活に取り入れ環境保護を学びます。

加えて陸の豊かさを守るため、やせ細った土地と土壌回復の維持が求められます。

土地に負担をかける農法(農薬や化学肥料の使用)は土壌の劣化を加速させますが、コンポストでつくる有機堆肥は土壌の健康を底上げします。

日本の学校でも段ボールコンポストで堆肥つくりをしたり、学校給食から出る残渣を肥料にしたりする活動が行われています。

ご家庭でも簡単に始められるので、家庭菜園や自宅畑で生きた土壌作りを試してみましょう。

パーム油不使用を目指す企業

インドネシアの熱帯雨林減少、生物の住処を奪う原因となっているパーム油プランテーションの拡大が環境に負荷をかけていることから、パーム油不使用の製品を開発する企業が増えています。その一部をご紹介します。

◇スイス WELEDA

1921年創業から、「生産地への敬意、その永続性。ひとと自然との調和を第一に」というテーマを掲げ、ものづくりをしています。

ヴェレダではピュアパーム油、パーム核油はどの製品にも使用していません。

石鹸に使用するものは持続可能性を求めて「パーム油派生成分」を用いています。

◇ドイツオーガニックコスメメーカー Annemarie Börlind

アンネマリー・ボーリンド社は「食べられない化粧品はつくらない」という企業理念を掲げるナフラルコスメブランドです。

高い環境基準をもうけ、クリアした製品を販売しています。

アンネマリー・ボーリンド社ではどのコスメにもパーム油を使用していません。

陸の豊かさを守るための国際デー「世界環境デー」

引用元:tenk.jp

国連によって定められた環境のための記念日が毎年6月5日の世界環境デーです。

1972年6月5日にストックホルムで開催された国連人間環境会議によって定められました。

日本でも環境基本法により6月5日を環境の日として定め、6月を環境月間としています。(※16)

世界環境デーの目的は、環境問題に目を向け、保護していくことを意識する日です。

毎年テーマが異なり、2021年は生態系の回復がテーマとされています。

生態系回復は10年がカギ

国連では2021年から2030年の10年間を国連生態系回復の10年と定めています。

現在、世界の絶滅危惧種は37,576種におよびますが、絶滅の危機を回復させることで9兆ドル(約900兆円)の利益が見込まれ、さらに気候変動対策、安全な食糧や水の確保にもつながると言われています。

人間にとっても野生動物にとっても、生態系を回復させることは必要なのです。

では実際に世界環境デーでどのような取組が行われているか見ていきましょう。

日本では5つのMY行動宣言

国連生物多様性の10年日本委員会では生態系回復のために5つのMY行動宣言が推進されています。

◇MY行動宣言5つのアクション

Act1

地元でとれたものを食べ、旬のものを味わいます。

Act2

自然の中へ出かけ、動物園・植物園などを訪ね、自然や生きものにふれます。

Act3

自然の素晴らしさや季節の移ろいを感じて、写真や絵、文章などで伝えます。

Act4

生きものや自然、人や文化との「つながり」を守るため、地域や全国の活動に参加します。

Act5

エコラベルなどが付いた環境に優しい商品を選んで買います。

国連生物多様性の10年日本委員会

例えば地元野菜売り場や直売所で野菜を買うというのは日常で行いやすいですね。自宅に庭やベランダがある場合は家庭菜園で自然に触れることもいいでしょう。

SNSを利用して、アウトドアの様子や自然の写真をアップすることで森林の魅力を多くの人に伝えられます。

自宅にいながらも行える自分なりのアクションを見つけて、できることから始めてみましょう。

陸の豊かさを守るために、私たちにできること

目標15を達成すべく私たちはどのようなことを意識すべきでしょうか。

ひとりの消費者としてできることを紹介します。

持続可能な森林管理の証「FSC認証」

引用元:FSC JAPAN

持続可能な森林活用と保全を目的に誕生したのがFSC認証制度です。

FSC認証は森林の適切な管理のもと育てられた木材を使用し、管理費や生産者への還元が含まれたフェアトレード価格で売買されます。

一方で違法伐採された木材は管理費や生産者への還元が不要なため安価で売買できてしまいます。

フェアトレード価格は一見高いと見られがちですが、エシカル消費が叫ばれる昨今では必要です。

FSCの認証マークは2種類あり、両方を満たしたものがFSC製品として市場に出ることができます。

2種類の認証マーク

森林管理のFM(Forest Management)認証

森林が適正な管理がなされているかを審査

流通過程、加工のCoc(Chain of Custody)認証

認証林から収穫された木材が消費者の手に届くまで適正な加工と流通過程を経ているかを審査

上記の認証は5年間有効であり、保持するには1年に1回の監査を通ることが必須です。

私たちの身近な商品でFSCマークを探してみましょう。

  • 紙製ショッピングバッグ
  • ペーパーカップ
  • ペーパーナプキン
  • 紙ストロー
  • ダンボール箱

FSCマーク採用の紙製品は急速に普及し始めていますがまだまだ認知度は2020年調査で21%と低いままです。(※19)

適切な森林管理を普及させるためにも、わたしたちはFSC認証ラベルをよく理解し人に伝えることが求められます。

ビニール製品を減らすために紙製品が使われることが多くなりましたが、紙は木材から出来ているためこうした森林保護の認証マークが付いたものを確認してみましょう。

動物実験を行わないクルエルティフリー認証

引用元:Leaping Bunny

生態系破壊を阻止すべく、動物実験を行わないクルエルティフリー認証の商品を選ぶことも重要です。

クルエルティフリーとは、化粧品や日用品の開発、製造において動物を用いた実験がなされていないことを示します。

多くの化粧品や日用品には、その安全性や有効性を確認するためにあらかじめ動物に投与もしくは塗布するという実験が広く行われており、成分の濃度によっては動物が死に至ることもあります。

倫理的な観点から動物実験をしないクルエルティフリー認証のある商品を選ぶ消費者が増えています。

動物実験を行なっていないことを確認するマークはさまざまです。

使い捨てをできるだけ減らす

紙製品の使い捨てを減らすことが森林保護につながります。

わたしたちの周りにある紙製品の原料となる木質チップの7割は海外の森林資源です。

WWFジャパンによると日本のひとりあたりの紙消費量は年間201kg世界平均の56kgの約4倍です。ペーパーレス化が進んでいるとはいえ、まだまだ日本は紙消費大国です。(※18)

私たちができるアクションとしては、

  • 紙コップ、紙ナプキンなど使い捨てを減らす
  • 自宅や職場でペーパーレスの推進

上記3つを意識して購買行動をする必要があります。

まとめ

SDGs17の目標全体を整理してみると、環境・社会・経済に分けられ、この3つのカテゴリーで土台となるのは環境に関する4つの目標です。

その中のひとつが今回学んだ目標15「陸の豊かさも守ろう」です。

日本と世界、それぞれの森林に対する課題が異なります。

  • 日本 高価な国産木材ではなく安価な輸入材を購入。適齢期を過ぎた国産樹木は高齢化し蓄積している状態
  • 世界 人口増加、過剰伐採、農地開拓により森林減少がすすむ

さらに気候変動により自然災害が起きやすく森林減少が進んでいるという問題を抱えます。

目標15を達成することは森林本来の6つの役割を守ることにつながります。

森林の6つの役割

  1. めぐみを与える
  2. 地球温暖化を防ぐ
  3. 水の貯蔵、浄化
  4. 栄養を与える
  5. 災害を防ぐ
  6. 生物多様性を支える

しかしながら人口増加や計画性のない開拓により世界中で森林減少が進んでいます。

森林減少が進むと植物や生態系のバランスが崩れ、絶滅危惧種が増えてしまいます。

また、二酸化炭素を吸収し酸素を供給する森林減少によって地球温暖化が加速し気候変動をもたらし洪水や干ばつ、森林火災など私たちの生活に悪影響を与えます。

ユニセフが2017年におこなった調査で、今地球が抱えている問題でもっとも心配していること1位が「自然災害」です。

自然災害は連日ニュースで報道され、オーストラリア森林火災においても世界に衝撃を走らせました。

その自然災害を起こす条件のもとをたどると、行き着くところが環境破壊が大きな要因なのです。

目標15を達成するために私たちにできることは、

  • 森林保護のためのMY行動宣言をつくる
  • FSC認証ラベルを理解し、購買行動を行う
  • 使い捨てを減らす
  • オフィス、自宅でペーパーレスを進める
  • 生態系保護のため動物実験を行わないクルエルティフリーを意識する

です。

考えたこと、家族や友人、同じ思いを持つ仲間とともに、陸の豊かさを守る行動を始めてみましょう。

参考文献
※1:Stockholm Resilience Center
※2:関東森林管理局
※3:土砂流出防止機能の高い森林づくり指針 解説版
※4:森づくりネット・しが
※5:森林・林業学習館
※6:GLOBAL FOREST WATCH
※7:林野庁 
※8:国立環境研究所
※9:気象庁
※10:外務省
※11:テキサス州 ベイラー医科大学
※13:せとうちT&Kハーブ
※14:フィトンチッドジャパン株式会社
※15 :モリノス公式サイト
※16:環境省
※17 :国連生物多様性の10年日本委員会
※18: WWF JAPAN 
※19 :FSCジャパン

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)