北海道庁|輝きつづける北海道を目指して

北海道庁 清水さん インタビュー

清水 

北海道函館市生まれ。2004年12月に北海道庁に入庁。総合計画の策定・改訂や重点政策の立案のほか、環境、建設、経済関係の業務に携わる。また、内閣府及び豊浦町役場へ派遣され、地方創生などの業務にも従事。2021年11月からSDGs担当となり、市町村支援事業やセミナー開催に関する業務に従事している。

introduction

広大な土地美しい自然に恵まれた北海道

良質な食を強みに、日本の食糧供給にも大きな役割を担っており、また、アイヌ文化北海道初の世界文化遺産になった「北海道・北東北の縄文遺跡群」など、独自の歴史や文化も魅力です。

そんな北海道では、現在、道を上げてSDGsの推進に取り組んでいます。

今回は北海道庁SDGs推進の業務に携わっておられる清水さんに、現在の取り組みや今後の展望についてお話を伺いました。

北海道総合計画とSDGsへの取り組み

インタビュアー
インタビュアー

今日はよろしくお願いします。早速ですが、北海道がSDGsに取り組み始めた背景をお教えいただけますか。

清水さん
清水さん

北海道は2016年に、政策の基本的な方向性を定めた「北海道総合計画」を策定し、「輝きつづける北海道」という目標を掲げました。これには「将来にわたって安全、安心して心豊かに住み続けることができる活力ある地域社会」をめざすという思いが込められています。

インタビュアー
インタビュアー

SDGsが掲げる「誰一人、取り残されることのない持続可能な社会の実現を目指す」の理念に共通するものがありますね。

具体的には、どのような取り組みを進めておられるのでしょうか?

清水さん
清水さん

まず、SDGsについて道民の皆様に知っていただき、理解していただく取り組みを行っています。

2021年に北海道では、道民の意識調査を行ったのですが、SDGsについて「知っている」、「聞いたことがある」という回答は約7割に上っています。その一方で「よく知っている」となると1割を下回り、これが道庁としては気になる点でした。

インタビュアー
インタビュアー

なかなか詳しく知る機会は少ないですよね。

清水さん
清水さん

そうですね。SDGsは、私たち一人一人が自分ごととして理解することが大事です。

そのため、まずは正しく知ってもらうことを念頭に、①セミナーの開催、②北海道SDGs推進ネットワークの運営、③市町村への支援、この3つの取り組みをメインに進めています。

①セミナーの開催

インタビュアー
インタビュアー

1つずつ詳しく伺っていきます。まず、セミナーの開催について教えてください。

清水さん
清水さん

道では、SDGsの理解をより深めるためのセミナー全道各地で開催しています。開催にあたり、道で設けている「北海道SDGs推進人材バンク」という制度も活用し、専門家の方にご協力いただき、参加した方がわかりやすくなるよう、心掛けております。

例えば、セミナーは基本的な座学に加えて、カードゲームなども交えて楽しみながら、経済・社会・環境のそれぞれの視点をつなぎ合わせられるような内容にしています。

清水さん
清水さん

この「北海道SDGs推進人材バンク」は、SDGsに取り組もうとする方々支援人材のマッチングを図るための制度ですので、SDGsに取り組もうとする皆様が活用できる仕組みとなっております。

人材バンク

インタビュアー
インタビュアー

人材バンクの顔ぶれは多岐にわたっていますね。

清水さん
清水さん

環境保全専門の技術士森林活用のインストラクター、SDGs導入支援のための中小企業診断士など、幅広いジャンルでご活躍している方々に登録していただいています。これにより、「食品ロスに関するセミナーを開催してほしい」「会社の事業プランを作成したい」など、SDGsに取り組む皆様のニーズに合ったサポートを展開できます。

インタビュアー
インタビュアー

中には高校生も登録されていますね。

清水さん
清水さん

名寄産業高校さんですね。名寄市セミナーを開催した時に、生徒さんにカードゲームファシリテートしていただきました。

非常に熱心に説明していただき、開催後のアンケートでは、ほぼ全ての参加者から「SDGsについての関心が高まった」との感想をいただきました。

インタビュアー
インタビュアー

非常に面白そうです。もしかすると大人が大人に教えるよりも、子どもから大人へ伝える方が効果的な場合もあるかもしれませんね。

清水さん
清水さん

それはありますね。最近、高校生を始めとした若い世代の間でSDGsへの関心が高いことに驚かされています。別の話ですが先日、とある高校に伺う機会がありました。その学校では生徒が作ったSDGsの研究成果が廊下に掲示されていたんです。どれも細かく調べられていて感心しましたし、こちらが勉強になることも多く書かれていました。

清水さん
清水さん

子供たちがSDGsへの関心を深め、彼らから大人に伝播していくという循環が生まれているのは、良い傾向だと感じています。

②北海道SDGs推進ネットワークの運営

別添3 北海道SDGs推進ネットワークチラシ

インタビュアー
インタビュアー

続いて「北海道SDGs推進ネットワーク」について詳しくお聞かせください。

清水さん
清水さん

これは道庁「北海道SDGs推進ネットワーク」という場を設け、そこに登録した会員は、情報共有・発信などを行えるようにしています。2018年に創設し、現在、個人・団体や企業様を含め、1300を超える個人・団体・企業の皆様に登録いただいています。

インタビュアー
インタビュアー

こちらは誰でも登録できるものなのでしょうか?

清水さん
清水さん

そうですね。基本的には、SDGsに関心がある方なら、どなたでも参加可能です。

インタビュアー
インタビュアー

この「北海道SDGs推進ネットワーク」によって、新たな取り組みは生まれているのでしょうか?

清水さん
清水さん

昨今のコロナ禍の影響もあって、最近は会員の交流の場を設けることが難しくなっていますが、今後は、会員同士、セミナーや交流会など、さまざまな形での繋がりを目指しており、本格的な取り組みが生まれるように働きかけていきたいですね。

③市町村への支援

インタビュアー
インタビュアー

では3つ目の市町村支援についてお聞きしたいと思います。

清水さん
清水さん

住民に最も身近な市町村を支援することはSDGsを地域において推進する上で重要と考えており、道では、昨年度から市町村支援事業を展開しています。

昨年度、今年度ともに、2市町村支援先として選定させていただき、選定した市町村の取り組み状況などに応じ、人材バンクの専門家の方にもご協力いただきながら、支援を行っています。

清水さん
清水さん

各市町村の抱える課題に対し、SDGsを1つの切り口として、その解決に向け、地域の皆様が意見交換など行っております。こうした地域での取り組みの積み重ねが、ゆくゆくは、道が抱える課題解決にも寄与していくと考えています。

インタビュアー
インタビュアー

北海道で抱えている課題とはどのようなものでしょう?

清水さん
清水さん

少し大きなテーマとなりますが、1つとして、人口減少が挙げられます。北海道の人口は1997年の約570万人をピークに、全国を上回るスピードで減少が始まり、現在では約520万人まで減少しています。

インタビュアー
インタビュアー

25年で50万人減っているということですね。

清水さん
清水さん

これは北海道だけに限った話ではありませんが、人口が減ることで働き手がいなくなる生産性が落ちる経済の規模が縮小するといった悪循環が生まれてしまいます。

一方で、道では、昨年10月末に、北海道総合計画を一部見直しました。この見直しの中で、コロナ禍において社会経済情勢が変わったことなどにより、これまで本道にとってハンディとなっていたものが、強みに転換していることなどを記述しております。

インタビュアー
インタビュアー

北海道のハンディとはどのようなものでしょう?

ハンディを強みに

清水さん
清水さん

広域分散型の地域構造首都圏からの距離の遠さです。

それが今回のコロナ禍で、テレワークなどオンラインやデジタル技術の導入が進み、距離がハンディではなくなりました。さらに広くて適度に距離があるので、リスク分散できる。つまり、密にならないのは逆に利点でもあります。

インタビュアー
インタビュアー

ニューノーマルを活かして問題解決に取り組もうということですね。

清水さん
清水さん

はい。国の研究機関で推計されているとおり、人口減少を止めることは、簡単なことではありません。ただ、そうした中でも、例えば、デジタルの活用により距離的ハンディが解消され、密にもならないという点が、企業誘致や移住促進の強みになるはずです。

インタビュアー
インタビュアー

つまり新しい総合計画には、IT、ICT、IoTなどを盛り込んだということでしょうか?

清水さん
清水さん

そうですね。もともと見直し前の総合計画の中にも要素として盛り込んでいましたが、今回の見直しでは、「社会の変革への挑戦」として、国が進めているSociety5.0※の実現などの社会変革の動きに、北海道においても対応していく必要があることを盛り込んでいます。

また、2022年度から道庁内でもDXの部署を設け、取り組みを進めているところです。

Society5.0とは

サイバー空間と現実空間の融合により、経済発展と社会的課題の解決を目指す社会のこと

持続可能な北海道を担う若い世代の育成を

別添4 SDGsノート(表紙)

インタビュアー
インタビュアー

ここまでで、さまざまな取り組みが展開されていることがわかりました。これらの取り組みを進めてきて、何か変化は感じられますか?

清水さん
清水さん

私どもの取り組みも含め、様々な要因があると思うのですが、北海道SDGs推進ネットワークに登録するための問い合わせ1日4〜5件ありますし、道全体で持続可能な社会を作っていこうという気概を感じています。特に小・中学生、高校生の若い世代で関心が高まっているというのは心強いですね。

インタビュアー
インタビュアー

若者から流れを作っていけそうですね。

清水さん
清水さん

そうですね。この流れを大事にしていきたいですね。1つ関連でご紹介したい取り組みがあるのですが、道では、今年度から、「北海道フロンティアキッズ育成事業」という取り組みを始めました。これは道内の小学5年生を対象に6校を選び、SDGsの視点を活用しながら環境・経済・社会の関わりを学ぶものです。

インタビュアー
インタビュアー

どのような学びを展開されているのでしょうか?

清水さん
清水さん

企業や団体の皆様にご支援いただき作成したSDGsノートを使い、今年度は先ほどお話した人材バンクから講師を招いて勉強し、フィールドワークを交えて地域の未来図を作り、ワークショップ形式で完成度を高めます。

清水さん
清水さん

さらに選定された6つの学校が集まり、発表の場を設けて他地域の仲間の考え方を共有しました。参加した専門家や講師からも好評だったと聞いています。

今後も、このようなイベントを開催していきたいですね。

インタビュアー
インタビュアー

最後に、今後の展望をお聞かせください。

清水さん
清水さん

我々がSDGsを推進する中で、若い世代がとても積極的であることを目の当たりにしました。2030年には彼らが社会の担い手となりますが、その時どのような世の中を作っていくのか楽しみです。

そのためにも、土台作りが大切だと考えています。若い方々はもちろんのこと、多くの道民の方々のSDGsの理解が深まり、行動していただけるよう、道としても取り組みを進めていきたいですね。

インタビュアー
インタビュアー

本日はありがとうございました。

取材 大越 / 執筆 shishido

北海道庁 関連リンク

>>北海道庁ホームページ

>>北海道総合計画 ー輝きつづける北海道ー

>>北海道SDGs推進ネットワーク

>>北海道フロンティアキッズ育成事業