オーストラリアの市街地や郊外で目に留まるのが、青と白でペイントされたOfficeworksという看板です。
文房具やパソコンなどを取り扱っている事務用品店で、子どもからお年寄りまで幅広い層に愛されている企業です。
そんなOfficeworksでは、環境保全のためにSDGsを意識したエコ活動を行っています。
この記事ではOfficeworksの具体的な取り組みについてご紹介していくので、オーストラリアの大手企業がどのようなエコ活動に力を入れているのか見ていきましょう。
Officeworksってどんな企業?

オーストラリアのメルボルンに本社を置くOfficeworksは、事務用品を取り扱うチェーン店です。
メルボルンが位置するビクトリア州はもちろん、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、南オーストラリア州、西オーストラリア州、タスマニア州、オーストラリアキャピタルテリトリー、ノーザンテリトリーを含むオーストラリア全域に約170の店舗を構えています。
1994年に創立したOfficeworksでは、文房具、オフィス用の家具、コピー機、コンピューター、ヘッドホンといったバリエーション豊富な製品を販売しているほか、店舗での印刷・コピーといった多彩なセルフサービスも行っています。
2022年にはNational Banksia Sustainability Awardsを受賞
2022年3月、OfficeworksはNational Banksia Sustainability Awardsを受賞しました。
サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量と廃棄物の削減を行ったことが高く評価され、環境に優しい企業としての知名度を広げました。
Officeworksが取り組むエコ活動の事例

ここでは、事務用品店であるOfficeworksが実際に行っているSDGsの取り組みをチェックしていきましょう。
植林活動への参加

Officeworksでは、オーストラリアの植林環境団体・Greening Australiaと提携して2017年から植林を行っています。
植林数は自社で販売した紙製品の重量に基づいており、「Use one tree, we’ll plant two」のスローガンの下、使用される木1本につき2本の木を植えてきました。
2023年8月時点でOfficeworksが植林してきた木々は140万本以上で、1,800ヘクタールもの森の復元に貢献しています。
植林を行うことで森林の維持や修復に繋がることはもちろん、野生動物の生息地を守ることにも繋がります。
また、Officeworksが植林した木々には、オーストラリア固有の木20種類が含まれているのも特徴です。
外来種ではないネイティブツリーの数を増やすことで、オーストラリア本来の森により近い姿を作り上げています。
FSC承認の紙製品を販売

FSC(Forest Stewardship Council)は、1994 年に創設された森林保護や管理を促進する非政府組織です。
紙製品に使われているリサイクル材料の検証などを行っており、OfficeworksではFSCから承認を受けた紙製品を積極的に取り扱っています。
リサイクル率が高いFSC承認用紙を販売することで、森林の不必要な伐採を防ぐことに繋がります。
森林保護に興味がある利用客から高評価を得ており、Officeworksでは実に61%もの紙製品の売り上げがFSC承認用紙となっているのです。
リサイクル回収ボックスの設置

リサイクル促進に力を入れているOfficeworksでは、自社の顧客にとってもリサイクルしやすい環境を整えています。
Officeworksの各店舗には、複数のリサイクル回収ボックスが設置されています。
バッテリー、USB、インクカートリッジ、ペン、紙類をはじめとする多種多様な回収ボックスがあり、店舗を訪れた利用者が気軽に不用品をリサイクルできます。
特にインクカートリッジのリサイクルに力を入れているOfficeworksでは、これまでに900万個を超えるプリンターカートリッジを回収しました。
店内で回収することによって「電子廃棄物の処理方法が分からない」「リサイクルしたいけど製品ごとのリサイクル方法を調べるのが面倒くさい」といった利用客の悩み解決に繋がると同時に、誤ったリサイクルによる廃棄物の増加を防げるというメリットもあります。
100%リサイクル製品の取り扱い
Officeworksで注目されている商品のひとつが、リサイクル材料のみで作られた製品です。
紙を作るにあたって、木材の繊維・通称パルプが使われます。
木材から新しく製造されたパルプは「バージンパルプ」と呼ばれますが、Officeworksでは樹木の保護のために「バージンパルプ」を使わない製品を取り扱っています。
以下は、Officeworksが販売するリサイクル材料で作られた製品の例です。
- バインダー
- 郵送用のラベルシール
- ポストイット
- コピー用紙
- 封筒
再生紙などのリサイクル材料で作られた製品を導入することで、本来廃棄される予定だった素材のリサイクル促進にも繋がります。
「限りある森の資源を守りたい」「環境保全に貢献する製品を選びたい」といった一般市民のニーズにも合致するため、100%リサイクル製品は高い需要を得ています。
エコな掃除用洗剤の発売

Officeworksでは、業務用の掃除用洗剤も販売されています。
ただし、環境への負荷を最小限に抑えるために植物や鉱物ベースの成分を使用している点がポイントです。
石油化学ベースの掃除用洗剤は、水質汚染などの環境破壊が懸念されています。
Officeworksはサスティナブルな掃除用洗剤を導入することで、日常的に繰り返される掃除による環境汚染を最小限に防いでいます。
People & Planet製品の展開
Officeworksでは、環境保全に繋がるPeople & Planetシリーズと呼ばれる製品を取り扱っています。
People & Planetでは、文房具や雑貨などを中心に木、紙、竹などを含むプラスチックを使わない製品のほか、ヴィーガンの製品なども展開しています。
手帳カバーなどに使われている動物由来のレザーは、畜産や加工などの過程において温室効果ガスが排出される点がデメリットです。
一方でヴィーガンレザーなどの非動物由来の製品なら、温室効果ガスの削減が期待できます。
地球温暖化防止を含む多方面における環境負荷軽減に貢献しており、環境に優しい商品を選びたい利用客はPeople & Planetの製品を購入することで手軽にエコ活動に参加できる点が魅力です。
再生可能エネルギーへの移行

Officeworksは、2025年までに再生可能エネルギーへの完全移行を謳っています。
各店舗におけるエネルギー効率の向上を実現するために、敷地内には太陽光パネルが設置されています。
また、早期からLEDを導入していたOfficeworksですが、LED以外の照明器具を使っている店舗を特定するために2021年には監査を行いました。
結果として、屋外や商品受け取りエリアにおいて不適切な照明器具が11,000個も使用されていたことが判明し、エネルギー効率の高い照明器具に切り替えられました。
また、新店舗の屋根に熱を反射する塗装を施し、不必要な空調利用の削減とエネルギーの節約にも取り組んでいます。
パッケージの見直し
Officeworksでは、長年にわたって文房具などのパッケージにリサイクル不可のプラスチックを使っていました。
しかし、世界的なSDGsへの意識向上を受けて、Officeworksも製品パッケージの見直しを実施しました。
パッケージから不必要なプラスチックを取り外すことにより、年間3,700万個に相当するプラスチックの除去を実現しています。
まとめ

Officeworksでは、サスティナブルなビジネスを目指して多彩なエコ活動を実施しています。
文房具を多く取り扱っていることから、特に紙製品と関連が強い森林保護を強く意識している点が特徴です。
自分たちにできるSDGsを考えるためにも、Officeworksのような環境に優しい製品を取り扱っている企業について調べることから始めてみましょう。
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