【個人ができること5選】目標15「陸の豊かさも守ろう」

環境省によると、近年の人口増加による土地開発や過度な消費行動により、世界では、約330万ヘクタール(東京都の約15倍にあたる面積)の森林が失われている発表しています。

森林が失われると、

  • 動物の住処がなくなり生物多様性が崩壊する
  • 土壌が劣化し、砂漠化が進み人や動物が住めなくなる
  • 二酸化炭素を吸収し酸素を作り出す植物が減り、温暖化が進む

など、さまざまな問題が発生するのです。

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」は、地球環境を守る上で重要な”森林”や”山”、”生態系”に焦点を当てています。きれいな空気と水の供給源である森林を守ることは、私たちの生活を守り、多種多様な生態系を守ることにつながります。

  • 森林伐採なんて身近な問題に感じられない
  • 自分ひとりが動いても地球環境は良くならない
  • 都会に住んでるから関係ないな
  • 政府や行政が動くのを待とう

と感じる方も多いと思いますが、、陸の豊かさを守るために、個人でできることはたくさんあります。今回は、その中でも取り組みやすい5つのアクションを紹介します。ぜひ挑戦してみてください!

【紙の無駄遣いは森林破壊】ペーパーレス化を目指す

日本製紙連合会によると、2019年時点で日本の紙の消費量は、中国、アメリカに次いで3位です。

日本で使われている紙は、7割以上が海外の森林資源を利用し生産されています。たとえ再生紙を使っていようとも、元をたどれば原料は木であり、再生紙を生産するために二酸化炭素が発生してしまうのです。つまり、紙の消費を抑えられれば、その分森林減少を食い止めることができ、環境にも負担をかけずに済むのです。

紙に使われる木材は、森林の再生力を超えない範囲のいわゆる「持続可能な森林経営」を実践している業者から仕入れているケースが多くあります。そのため、紙の消費が森林減少に与える影響は少ないと考えられてはいますが、なかには違法に伐採して出荷している業者もいるため、ここでは個人ができるアクションとして取り上げています。

そこで、紙の消費量を減らす為に個人でできることは、デジタル化です。

デジタル化とは技術を活用し、アナログをデジタルに変換する手法です。今まで紙に書いていたメモを、携帯のリマインダーに入れるのもデジタル化の一例として挙げられます。

普段の生活では、

  • 銀行の通帳を電子通帳に切り替える
  • 紙で支払っている光熱費をクレジット払いにし、Web利用明細書に変える

などに取り組めば紙のゴミも出ません。また、何気なく会議前にプリントする資料も、電子化してパソコンやタブレットで確認できるようにすれば紙の消費量を大幅に削減できます。

どのようにSDGs達成につながるのか

紙の消費量を削減することは、SDGs目標15の下のターゲット達成につながります。

15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。

15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

デジタル化には、紙の消費量の削減だけでなく、管理が楽になるなどのメリットもあるので、ぜひ挑戦してみましょう。

【世界の森を守ろう!】違法伐採された木材や木材製品の購入をやめる

木材を購入するときは、違法伐採された製品を避けましょう。

違法伐採された木材とは、その国の法律に反して行われる伐採のことです。2015年に行われたG8エルマウ・サミットでは、主要熱帯木材生産国で生産される木材のうち、半分以上が違法伐採によるもので、世界全体で見ると15%~30%が違法伐採であると報告されました。

違法伐採された木材の環境への影響

森林伐採は本来であれば、「間伐」と呼ばれる計画的な伐採方法が行われれば、悪影響を及ぼしません。

間伐とは

木々の生育状況を確かめながら、定期的に伐採すること。適度に伐採することで、日が差し込むようになり、木々の成長効率を上げることができます。

一方で違法伐採は、森林の再生力を超えるスピードで木々を伐採します。関東森林管理局は、一度なくなってしまった木を完全に再生させるためには、最低でも40年の時が必要と述べています。森林の再生には非常に時間がかかり、これによりその土地が砂漠化してしまうなどの問題が発生するのです。

次の章では、具体的にどうやって違法伐採された木材の購入を避けるのかを紹介します。

違法伐採された木材の購入をしない方法

引用:FSC Japan

違法伐採が森林破壊に関与していると分かっていても、知らず知らずのうちに違法伐採された木材を購入してしまっているかもしれません。そんなときに基準にできるのが、「FSC認証」です。

FSC認証(Forest Stewardship Council®=森林管理協議会)とは

持続可能な森林活用と保全のために誕生した制度です。FSC認証のマークは、適切な管理のもと育てられた木材を使用し、適正な価格で売買された製品だけにつきます。

FSC認証製品は一般的に割高と考えられがちですが、森林破壊が深刻化している今、優先的に購入することが私たちには求められています。

最近ではティッシュペーパーや食品のパッケージにもFSC認証が貼られていることがあるので、ぜひチェックしてみてください。

どのようにSDGs達成につながるのか

違法伐採された木材の購入をしないことは、持続可能な森林の管理を後押しすることにつながり、

15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の、持続可能な形の管理をすすめ、森林の減少をくいとめる。また、おとろえてしまった森林を回復させ、世界全体で植林を大きく増やす。

15.3 2030年までに、砂漠化に対応し、砂漠化、干ばつ、洪水の影響を受けておとろえてしまった土地と土壌を回復させ、これ以上土地をおとろえさせない世界になるように努力する。

の達成へに貢献します。

また、違法伐採によって生まれる富の不公平な分配を防ぎ、目標10「人や国の不平等をなくそう」の達成にもつながります。

森林を守るために木材の使用を止めようとしても、家を建てたり、家具を購入したりと、生活のさまざまな場面で活躍するものであり、切り離せない存在です。そんなときは、適切に管理されている森林から伐採した木材を購入するよう意識することが重要です。

【生態系は大切!】外来種に関する知識を身につける

目標15のターゲットには、生態系外来種と言った言葉が見られます。生態系とは、地球上に存在するあらゆる種の生き物が、他の生き物と関わり合いながら生きていることです。

生態系の例

植物が光合成で養分をつくる→動物がその植物を餌とする→さらに大きな動物がその動物を食べる→その動物が死に、微生物が分解し、その養分を植物が取り入れる→繰り返し

このように生態系は常に循環するものです。生態系により、人間は農作物や海産物を得られ、漢方などの医薬品にも活用できます。他にも豊かな自然の中でアクティビティを楽しむことで精神を落ち着かせ、活力を与えてくれる、有用な価値を持つという点も重要です。

しかし、もともとその地域に存在しなかった植物や動物である外来種が入ってくることで、生態系が崩れてしまいます。特に隔離された島などでは、天敵がいない状態の中に外来種が入ると、急速に繁殖し固有種に被害をもたらすことがあります。

外来種が入ってくる要因と国内の事例

外来種は様々な要因で地域に入ってきますが、その要因のほとんどは人間による行動です。

  • 人が意図的に持ち込む
  • 荷物などに混ざって入ってくる
  • ペットとして輸入され、逃げ出す/捨てられて野生化する

外来種による生態系の破壊は決して他人事ではなく、日本でも複数の事例があります。環境省による調査によると、沖縄本島や竜美大島では、国の特別天然記念物ヤンバルクイナという飛べない鳥がいましたが、毒蛇を退治するとして外国から持ち込まれたマングースに襲われ、生息域を狭めているのです。

他にもペットとして持ち込まれた北中米原産のカミツキガメが千葉県で目撃されており、人に危害を与える恐れがあります。

具体的にできることは

まずは外来種に関する知識をつけ、なぜ危ないのかを理解しましょう。

その上でできることは、

  • 旅行の際には虫や植物の種が荷物に混ざっていないか確認する
  • ペットは絶対に逃がさない/捨てない
  • 外来種を見かけたらすぐに行政に連絡する

3つ目については、どのその地域の固有種と外来種を知ることから始まるので、まずはその地域の生態系について知ることが重要です。

生態系を知るためのおすすめサイト

「みんなで学ぶ、みんなで守る、生物多様性」では、国内の生物多様性について情報を得ることができます。また、具体的に私たち個人ができるアクションについても書かれています。

環境省による「生物多様性センター」では、動植物の分布やサンゴ礁などについての調査の詳細が発表されています。生態系についてある程度知識があり、さらに深く学びたい人にはこちらのサイトがおすすめです。

どのようにSDGs達成につながるのか

外来種について知り行動することは、以下の目標達成に繋がります。

15.5 自然の生息地がおとろえることをおさえ、生物の多様性が損なわれないようにし、2020年までに、絶滅が心配されている生物を保護し、絶滅を防ぐため、緊急に対策をとる。

15.8 2020年までに、移動先に定着する外来種の侵入を防ぐとともに、外来種が陸や海の生態系に与える影響を大きく減らすための対策をはじめる。特に優先度の高い外来種は駆除する。

【あなたの気持ちを届けよう】環境保全に取り組む団体・企業を支援する

環境保全に取り組んでいる団体や企業にとって、個人からの支援は大きな力となります。

団体・企業を支援する方法

団体や企業を支援する方法は、大きく分けて3つあります。

  • 金銭的な寄付
  • 商品の購入
  • ボランティア活動に参加

お金を使う支援方法だけでなく、植林やゴミ拾いなどの環境保護活動は国内各地で開催されており、個人で参加できるものもあります。こういった活動に直接参加するのも、団体を支援する方法のひとつです。

どんな団体・企業があるの?

個人で支援できる、目標15に取り組む団体・企業を紹介します。

国際熱帯木材機関(ITTO)

「国際熱帯木材機関」は、本部を横浜市みなとみらい地区に置く、熱帯雨林の保護・安定的供給・利用を目的とし1986年に設立された国際機関です。

具体的に活動の内容は以下の通りです。

・持続的な森林経営と熱帯木材産業及び貿易を促進するための政策ガイドラインを作成し、国際的な合意を図る。
・熱帯加盟国がこのようなガイドラインを各国の状況に応じて取り入れ、プロジェクトを通じて現場で実践できるように支援。
・熱帯木材の生産や貿易に関するデータの収集、分析や提供。
・持続可能な熱帯木材サプライチェーンを促進。
・熱帯林業分野の能力育成を支援。

国際熱帯木材機関「ITTOについて」

過去に1,200以上のプロジェクトや、持続可能な森林経営への資金提供を行ってきました。公式ウェブサイトでは、私たち個人が参加できるプロジェクトやオンラインセミナーが提供されています。

日本自然保護協会

「日本自然保護協会」は、自然環境の保護を目的とし1951年に設立された会員制の財団法人です。

主に、

  • 日本の絶滅危惧種を守る
  • 自然で地域を元気にする
  • 自然の守り手を増やす
  • 壊れそうな自然を守る

といった活動を展開。日本自然保護協会を支援したい場合、公式ホームページから寄付をすることができます。タイミングによってさまざまな動物の支援が行われており、2021年9月時点では、四国のツキノワグマを絶滅の危機から救うための募金が募集されています。

鎮守の森のプロジェクト

「鎮守の森のプロジェクト」は、災害からいのちを守る森づくりに取り組む財団法人です。

鎮守の森とは

日本国内において、神社周囲を囲むように設定・維持されている森林のことで、津波の威力を抑え住宅を守ったり、台風や豪雨でも倒れにくく二次・三次災害の被害を防ぎます。

この鎮守の森を河川の堤防や建物の周りに作ることで、災害に強い街を実現でき、陸の豊かさを守ることができるのです。今までに52万本を超える木が鎮守の森プロジェクトによって植えられました。

このプロジェクトは、公式ホームページから寄付ができるだけでなく、植林ボランティア活動に参加することができます。

どのようにSDGs達成につながるのか

団体や企業の支援をすることは、目標15のあらゆるターゲットに関わります。特に、

15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。

15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。

などについては、支援団体による活動が影響力を持ちます。個人からの支援を受けることでより持続的に活動が行われるでしょう。

【陸を守るためのキーワード】「5R」を徹底する

私たちは森林に大きく依存しており、環境を守っていくにはリサイクル、持続可能な供給源を利用した生活、必要なものに限った消費をする必要があります。

そのために個人でできることが、5Rです。

5Rとは?

5Rは、

  • Refuse(断る)不必要なものは事前に断る
  • Reduce(減らす)ゴミになるものの使用を避け過度な消費を減らす
  • Reuse(再利用)できるだけものを捨てずに何度も使う
  • Repair(リペア)修理すれば使える物は修理して使う
  • Recycle(リサイクル)使えなくなったものを、再び資源として使用する

ことです。

5Rは、ごみを減らし資源の有効活用・再利用を進め、循環型社会の実現を目指すためのキーワードです。これにRot(堆肥化)を含めた6Rもありますが、まずは5Rから始めてみましょう。

5Rを実践!具体的に個人でできること

それぞれ個人で実践できる5Rの取り組みを紹介します。

Refuse(断る)

  • 買い物の際に包装やストローの利用を断る
  • 毎月届く広告の契約を切る
  • 試供品など不要なものは受け取らない

Reduce(減らす)

  • 使い捨てでない製品を選ぶ
  • 食品は必要な分だけ購入し、フードロスに努める
  • レンタル品を活用する

Reuse(再利用)

  • リサイクルショップを積極的に利用する
  • まだ使える”おさがり”を家族や友達へ

Repair(リペア)

  • 車や家電が壊れたら修理に出して使う
  • 服が破れたら縫って使う

Recycle(リサイクル)

  • ごみを正しく分別する
  • 積極的にリサイクル製品を購入する

5Rは、誰でも今日から始められます。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

どのようにSDGs達成につながるのか

過度な消費行動を止め、循環型社会を構築することは、目標15だけでなく、

につながる重要な取り組みです。逆に言えば、過度な消費行動はあらゆる角度から地球環境を脅かしているのです。

まとめ

目標15「陸の豊かさも守ろう」は、森林や陸のすべての命を守り、再生していくために掲げられた目標です。

陸の豊かさを守るには、違法伐採による森林減少の抑制など、国や自治体の対応が求められる部分もあります。とはいえ、私たち個人が暮らしの中でできることもたくさんあり、小さな取り組みが大きな変化を生み出します。

私たちの暮らしを守る森林や生態系を守っていくために、みんなで今日から行動を始めましょう。

参考文献
環境保全団体WWF
国連広報センター