【個人ができること5選】目標16「平和と公正をすべての人に」

SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」は、平和な世界を目指すために紛争をなくすことはもちろん、あらゆる犯罪をなくすことや、透明性のある政治や司法を実現し、誰もが平等に権利を主張できるようにするなど、多岐にわたるテーマが設定されています。

“平和”と“公正”というと、世界の戦争や政治の方針など、もしかしたら身近に感じられない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、実は身近な問題から目標16の解決に向けてできることはたくさんあるのです。

そこで今回は目標16を達成するために、私たちができることを5つご紹介したいと思います!

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

【子どもへの虐待をなくす】虐待を見て見ぬふりをしない

目標16のターゲットには、虐待や暴力による死をなくすことが掲げられていますが、特に「子どもに対する虐待」は、日本でも大きな問題となっています。

厚生労働省によると、令和2年の児童相談所での児相虐待相談対応件数は、過去最多の205,029件と報告されました。

<児童相談所での児童虐待相談対応件数とその推移>

報告されているもの以外にも、誰にも相談できずに苦しんでいる子どもはまだまだたくさんいます。

そんな辛い思いをしている子どもたちのために、あなたの周りに虐待を受けているような子どもがいたら、様子をみて声をかけたり、児童相談所の虐待対応ダイアルに通報・相談したりしてあげましょう。

通報したら子どもの親に報復されるかもしれないなど、不安に思う人もいると思います。しかし、児童相談所の虐待対応ダイアルでは、通報者、相談者の情報は守られているため相手に漏れることはありません。

では、どのようなポイントを意識すれば、児童虐待だと判断できるのでしょうか。

児童虐待の定義と、日本の現状

児童虐待は、厚生労働省によって定義されています。

以下の4種類に分類されるので、覚えておくとより虐待を見つけやすくなるはずです。

  • 身体的虐待
    殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
  • 性的虐待
    子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
  • ネグレクト
    家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
  • 心理的虐待
    言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など

この他にも、近年では、子どもを長時間自動車の中に放置し、死亡させてしまうニュースも報じられることがありますが、これも一種の虐待にあたります。本人は軽い気持ちで行っていても、それが虐待として時には死に至らせてしまう場合もあるのです。

児童虐待を防ぎ、未来ある子どもを守るためにもチェックポイントを意識し、勇気を出して行動してみてはいかがでしょうか。

【詐欺師を儲けさせない】特殊詐欺に遭わない対策を

目標16のターゲットのひとつに

16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。

といった項目がありますが、このなかの犯罪には、「特殊詐欺」も含まれています。

特殊詐欺とは

オレオレ詐欺をはじめとしたお金を騙しとる犯罪行為のこと。架空料金請求詐欺や還付金詐欺、融資保証金詐欺など、全部で10種類の手口に分類されています。(2021年4月1日現在)

警視庁の特殊詐欺認知・検挙状況等についての資料によると、令和2年の認知件数は、13,550件で被害額は285.2億円と多くの人が被害にあっていることがわかります。

認知件数、被害額ともに減少傾向ではあるものの、いまだ高齢者を中心に被害が後を絶ちません。

そこで私たち個人ができることとしては、被害に遭わないための対策を徹底し、このような犯罪に加担する人を撲滅することです。

具体的な対策は?

具体的な対策として、まずは、どのような特殊詐欺の手口があるか知ることです。

知識があれば自身が詐欺に合う可能性が低くなることはもちろん、他の人が悩んでいる際にも相談に乗れたり、声をかけられるようになります。

また、警察庁では、「特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京」というサイトで、実際の被害件数や、手口、現段階で自身が特殊詐欺についての知識がどれぐらいあるかなど、さまざまな情報が共有できるようになっています。

そして知識を得たあとは、大切な家族や知人、とくに高齢の方に説明してあげるようにしましょう。

離れて暮らしている家族にも、お金のことに関しては必ず相談することなどのルールを設け、「きっと自分たちは引っかからないだろう」と過信させないことが大切です。

【リビングウェイジとフェアトレード】児童労働による商品を買わない

みなさんは、普段食べているものや、着ているものがもしかしたら児童労働によって作られているかもしれないと想像したことはあるでしょうか?

児童労働とは、いわゆる搾取と言われるものであり、無賃金または不当な低い賃金で子どもを働かせることです。

発展途上国を中心に、幼い頃から労働を強いられている子どもたちがたくさんいます。「かわいそう」と感じる方も多いと思いますが、実は日本で食べられているチョコレートや、嗜好品のタバコ、洋服なども、児童労働によって作られている可能性があり、知らず知らずのうちに購入している場合もあるのです。

そこで、児童労働によって作られていないことを前提とした「リビングウェイジ」であり「フェアトレード」である商品を購入するようにしましょう。

リビングウェイジ

生活に最低限必要な給料金額

フェアトレード

途上国で作られる原料や製品を適正な価格で購入し、途上国に住む人の生活改善や自立を目指す公平・公正な貿易

このような取り組みをしている商品があると知った上で、リビングウェイジとフェアトレードで作られている商品を積極的にチョイスし購入すると、途上国の子どもたちの支援になっているんだと嬉しい気持ちにもなりますよね。

では、どんな商品や企業がリビングウェイジやフェアトレードの商品開発に取り組んでいるのかを見てきましょう。

リビングウェイジ/フェアトレードに取り組んでいる企業・支援

「しあわせへのチョコレート」プロジェクト

チョコレートは、児童労働で作られている代表的な商品と言っても過言ではありません。

そこで、ACE(Action against Child Exploitation)が行っている「しあわせへのチョコレート」プロジェクトを紹介します。

「しあわせへのチョコレート」プロジェクトは、カカオ生産地での児童労働をなくし、チョコレートを作る人も食べる人も笑顔になれることを目指すため2009年に発足されました。

このプロジェクトでは、スタッフが現地へ行き、児童労働が行われていないか見回りをしたり、住民に対して啓発活動を行ったりと、これまでさまざまな支援を展開。

さらには、2017年まで「しあわせを運ぶ てんとう虫チョコ」を販売し「スマイル・ガーナ プロジェクト」へ、売り上げの一部を寄付していました。

2011年以降は、いくつかの日本のお菓子メーカーと協力し、ガーナの子どもたちの支援につながるキャンペーンを開催しています。

日本のチョコレート消費量は、年間約28万トンと世界第3位。これだけの消費国であるからこそ、積極的に取り組む必要があるのではないでしょうか。

そこで今日の買い物から意識できるよう、ACEと共に取り組んでいる主なメーカーと商品をご紹介していきます。

●森永製菓「1チョコ for 1スマイル」

森永製菓では、「1チョコ for 1スマイル」というキャンペーンを展開し、対象商品の売り上げの一部をACEの「チョコ募金」として寄付しています。

2020年から対象商品が増え、私たちの選択の幅も広がっています。

<主な対象商品>

●有楽製菓「スマイルカカオプロジェクト」

<ブラックサンダープリティスタイル カカオ72% パウチ>

有楽製菓では、ブラックサンダーをはじめとする商品に、ココアホライズン認証のサステナブルなチョコレートを使用しています。

こちらも同様に対象商品を購入すると「チョコ募金」へ売り上げの一部が寄付されます。

●フェリシモ「幸福のチョコレート」

フェリシモが発売する「幸福のチョコレート」は、全商品が「LOVE&THANKS基金」の対象となっており、商品価格の約1%が寄付されます。

世界中を駆け巡るチョコレートのバイヤーが集めた商品たちは、カタログ注文などで取り寄せることができ、レアなチョコレートも販売されているのだそう。バイヤーの、チョコレートと児童労働をなくすための支援への想いが伝わってくるので、公式サイトもぜひ覗いてみてください。

食品以外でもリビングウェイジを意識した商品があります。次では毎日使うシャンプー・コンディショナーから「エティーク」を紹介します。

Ethique(エティーク)

ニュージーランドで創業されたエティークは、シャンプーやコンディショナーのプラスチックボトルを排除するために、液体製品をすべて固形にし、環境に優しい製品を生み出しました。

さらに原料へのこだわりを追求し基準を設け、それらをクリアするものだけを使用。

目標16の項目だと「フェアトレード(公正取引)、リビングウェイジ(生活に最低限必要な給料金額)であること」が、エティークの製品では前提とされています。

原料からパッケージまで、すべてをサステナブルな製品として生産している世界初のブランドです。

【世界情勢に関心を持とう】政治や多様性に目を向ける

平和や公正をすべての人が享受できるようにするためには、法律や政策に関心をもつことが大切です。

そして時には、異議を唱えたり、反対運動に参加したりすることも必要になってくるかもしれません。しかし実際には、日本ではまだそのような行動に移す段階ではないように感じるのも事実です。

まずは、これからの未来を担う若い世代が、政治や世界で起きている差別などの社会情勢に興味を持ち、声をあげていくことで平和へと導かれるはずです。

次では、具体的に政治や多様性に目を向けるための方法を紹介します。

目に入る情報をプラスする

現代はSNSやあらゆるメディアが発達し、いつでもどこでもいろいろな情報が見られる時代です。

その中で、普段から見るSNSの中に日本や世界の情勢についての課題を発信しているアカウントをフォローするだけでも、世界の出来事に関心を持つきっかけにできます。

例えば「NO YOUTH NO JAPAN」は、主にU30向けに政治参加を促すための情報をInstagramやnoteで発信しています。

とくにこのメディアが運営するInstagram(@noyouth_japan)では、画像でわかりやすく説明されているので、まずは大枠を知りたいという方には特におすすめです。

もちろん、30歳以上の方でも改めて理解する機会になるので、目を通してみてはいかがでしょうか。

そして、得た知識を周りの人に拡散できることも、SNSならではの強みと言えます。

ここでひとつ注意したいのが、自身の意見を人に強要しすぎないことです。さまざまな考え方があるので、考えを押し付けてしまうと争いが生まれてしまうかもしれません。これでは目標16の掲げる平和と反する内容となってしまうため、発信する際は十分に気をつけたいですね。

【間接的に支援を助ける】支援団体へ寄付しよう

最後に、「寄付」について紹介します。

支援団体は、世界で苦しんでいる人たちを助けるために、物資の輸送や人件費などのさまざまなコストが発生しています。利益を求めているわけではないため、どの団体も資金繰りに苦労しているといった話も耳にします。

そのため、たとえ少額でも多くの人が寄付すれば大きな金額となり、支援団体はさらに活動の幅を広げ、困っている人たちを救えるのです。

とはいえ、寄付を募っている支援団体が多すぎてどこにすればいいか分からないという方もいると思います。

そこで次では、筆者が特におすすめしたい支援団体をご紹介します。

NGO ACE(エース)の「チョコ募金」

NGO ACE(エース)では、先ほど紹介した「しあわせへのチョコレート」プロジェクトのように売り上げの一部からの寄付だけではなく、個人で金額を決めて直接募金もできます。(手数料の関係で1,000円以上から可能

チョコレートが大好き!という方は、ガーナの子どもたちへの感謝も込めて募金してみてはいかがでしょうか。

国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン

「国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン」では途上国でのさまざまな問題において募金を募り、支援しています。

支援する対象の分野は、貧困、教育、水衛生、難民、保健、災害の6つに分類。

それぞれの募金金額と、支援内容について明記されているため、具体的に想像しながら途上国の子どもたちへの支援ができます。

まとめ

目標16「平和と公正をすべての人に」を達成するために個人でできることを、5つご紹介しました。

すべての取り組みに共通しているのは、行動するためにはまず知識や状況を知る必要があるということ。そうすれば意識が変わり行動に繋がり、人から人へ「優しさ」や「正しさ」が伝染していくのではないでしょうか。

今回ご紹介した5つの項目が、明日からでも取り組んでみようと思えるきっかけになれば幸いです。