公益社団法人セカンドハンド | チャリティショップでカンボジアの子どもや女性を支援する

公益社団法人セカンドハンド 三木誠さん インタビュー

三木 

1976年に香川県庁に入庁、国際化関係部局や商工観光関係の仕事に従事する。瀬戸内国際芸術祭事務局で約6年の勤務経験もあり。2015年からセカンドハンド3代目の代表理事に就任。代表理事の仕事や、店番や商品運搬、イベントの手伝い、事務作業を全てボランティアで行っている。「セカンドハンド(もう一つの手)で人助けをする」という理念に賛同してくれた多くのボランティアに支えられながら、日々支援活動に取り組んでいる。

introduction

公益社団法人セカンドハンドは、日本国内でチャリティショップを運営し、その収益でカンボジアの貧しい子どもや女性への支援を行っています。1994年に香川県にチャリティショップ1号店をオープンした後、県内に計3店舗を展開。ボランティアによる運営を継続しています。

当時、日本にはほとんどなかったというチャリティショップを始めた経緯、活動に込められた想いなどを代表理事の三木さんに伺いました。

チャリティショップとカンボジア支援を始めた背景

インタビュアー
インタビュアー

まず、セカンドハンドの事業内容について教えてください。

三木さん
三木さん

私たちは、皆様からいただいた寄付金に加えて香川県内で運営しているチャリティショップの収益で、カンボジアやその他の地域の貧困家庭の支援、女性の自立支援などを行っています。

セカンドハンド松縄店
インタビュアー
インタビュアー

チャリティショップとは、どのようなものなのでしょうか。

三木さん
三木さん

ご家庭などにある不用品を寄付していただき、ボランティアが運営するショップで販売して、その収益を社会貢献に活用する仕組みです。チャリティショップ発祥の地である英国では、国際協力、動物保護や自然保護、障がい者支援、高齢者支援など様々な目標を掲げたチャリティショップがあります。

インタビュアー
インタビュアー

チャリティショップを始めたきっかけを教えていただけますか。

三木さん
三木さん

セカンドハンドの創設者である新田恭子さんが、英国のチャリティショップで買い物をして仕組みに感銘を受け、その後取材するなどしてチャリティショップを日本に広めたいと思ったことが、セカンドハンドが始まったきっかけです。英国ではチャリティショップはリユースの受け皿だったりボランティア活動の場として広く認知されています。

セカンドハンドで働くボランティアの方々
インタビュアー
インタビュアー

様々な社会貢献の形があるなかで、セカンドハンドがカンボジアへの支援に力を入れている理由はありますか。

三木さん
三木さん

創設者の新田さんが、ポル・ポトの虐殺から内戦が続き、まだ混乱期のカンボジアを訪れ、現地の貧困や混乱にショックを受けたのがきっかけだと聞いています。

ポル・ポト政権とは

1975~1979年のポル・ポトによる過激な共産主義時代。教師、医師、技術者など多くの知識人が虐殺され、人口約900万人のカンボジアで、約300万人の国民が死亡したと言われています。その後も内戦が20年近く続きました。

三木さん
三木さん

何かできることはないかと考えたときに、英国でのチャリティショップ体験と結びつき、「チャリティショップを開いて、カンボジアの子どもたちを支援しよう」となったそうです。

カンボジアでの3つの支援活動

インタビュアー
インタビュアー

ここからは、カンボジアでの支援内容について伺っていきます。カンボジアでは具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

三木さん
三木さん

ここでは3つの活動について紹介します。

1、奨学金等で貧困家庭の子どもを支援

三木さん
三木さん

1つ目は貧困家庭の子どもの支援です。貧しい子どもがちゃんと学べるように、支援者を募り奨学金の支給や生活・学習支援を続けてきました。

三木さん
三木さん

まず、奨学金制度では、成績優秀なのに経済的な理由で学校に通い続けることが困難な生徒に、学習のために必要な経費を支援しています。

インタビュアー
インタビュアー

子どもに学ぶ機会を提供しているんですね。

三木さん
三木さん

はい、日本の支援者と奨学生を結び、高校卒業相当までの教育が受けられるようにしています。この仕組みで多数の奨学生が将来の目標を実現することが可能になりました。

インタビュアー
インタビュアー

生活・学習支援と、奨学金制度は別ですか?

三木さん
三木さん

私たちは、生活・学習支援をフォスターペアレント制度と呼んでいます。

小学校に通学している子どもたちが中心です。子どもたちの家庭では、その日暮らしが続いていて食べること自体が大変で、学校を続けることも難しかったりします。セカンドハンドでは現地のNGOと連携し、担当者が子どもたちの家庭を廻り、暮らし向きを確認するとともに、学習するよう励ましたり、保健衛生などの指導を行っています。この2年間は、コロナ禍で追い詰められた家庭も多く、緊急支援としてお米や食料を配ったりしています。

インタビュアー
インタビュアー

子どもたちの将来はどうでしょうか?

三木さん
三木さん

ありがたいことに、これまで支援した子どもの中には、その後進学あるいは留学して、カンボジア社会で活躍している人もいます。カンボジアでも、教育は子どもの未来に直結しています。

2、子ども達に教育の場を!小学校建設プロジェクト

三木さん
三木さん

2つ目は小学校建設事業です。セカンドハンド創設以来24校の学校の校舎建設を支援してきました。

私たちが校舎建設を支援し始めたころは、学校の絶対数が足りず、そのために小学校を卒業できない子どもたちがいました。今は、都市部ではそうした状況はなくなったようですが、山間部では、特に学校が少なく、家からは遠すぎて通いたくても通えない子どもたちが多くいます。また、学校があっても、木造で天井に穴が開いていたり、今にも梁が落ちてきそうな校舎だったりするので、支援が必要です。

セカンドハンドが建設を支援した小学校(シャンティ国際ボランティア会提供)
インタビュアー
インタビュアー

24校も建てていることに驚きました。

三木さん
三木さん

最初の頃は私たちが単独で校舎を建設したこともありましたが、近年は、シャンティ国際ボランティア会に協力して建設しています。セカンドハンドはカンボジアに事務所がないので、学校建設だけでなく、奨学金、貧困家庭の子どもの支援も、他のNGOと連携してすすめています。

インタビュアー
インタビュアー

確かに、他団体と協力することで取り組みが確実になりますね。

三木さん
三木さん

現地の状況をしっかり掴んでいるNGOとの協働が大切です。

今でもカンボジアでは貧困のために学校に行けず、小さいときから働く子どももいます。貧困の連鎖を断つためにも、歩いて行ける距離に学校を作り、子ども達が等しく教育を受けられる環境をつくることが目標です。

3、縫製の仕事を通した女性の自立支援

三木さん
三木さん

3つ目は女性の自立支援です。創立間もないころから足踏みミシンを送って、戦争で働き手を失った女性達に縫製の職業訓練をしました。その後、女性たちが働く工房にトートバッグやぬいぐるみなどのクラフト品を作ってもらい、我々が適正な価格で買い取り、セカンドハンドの店舗で販売しています。女性が自立して暮らせるよう、支援しています。

インタビュアー
インタビュアー

なぜ足踏みミシンだったのでしょうか?

三木さん
三木さん

当時は電力が全ての地域に届いていませんでした。日本の支援者からも「なぜ新しいミシンを持っていかないんだ?」と聞かれたこともあったようです。電力事情の悪いカンボジアに電動のミシンを持っていっても使えません。現地の状況・必要にに応じた支援が大切だし、日本の支援者の方々にも相手先に寄り添った支援がどのようなものなのかを知っていただく良い機会となりました。

インタビュアー
インタビュアー

現地の状況をしっかり把握することが大事ですね。

三木さん
三木さん

はい。今は電力状況も良くなり、この工房でも女性達は電動ミシンで仕事をしています。

また、工房では、機織り機も現役です。クロマーと呼ばれる万能布(ショールのようなもの)が織られています。支援している工房は伝統的なクラフト品が評判になり、欧米からも発注を受けるほどになっています。

インタビュアー
インタビュアー

女性の仕事が広がっているんですね!

他団体と協力し、活動の輪を広げていく

インタビュアー
インタビュアー

セカンドハンドの今後の展望について教えてください。

三木さん
三木さん

目の前の課題としては、コロナ禍を生き延びることですね。コロナ感染症の拡大により、カンボジアでは、仕事がなくなったりして、貧困家庭の暮らしが極度に悪化しています。支援のニーズが拡大しているのですが、日本では、感染拡大で、私たちのチャリティショップの売上も落ちているんです。支援ニーズが増え、資金が足りない状態になっています。

インタビュアー
インタビュアー

日本もカンボジアも、経済への打撃があるんですね。

三木さん
三木さん

以前は、毎年2回スタディツアーを実施していたのですが、コロナ禍のため、2年間渡航できていません。

スタディツアーの様子
スタディツアーとは

観光を目的としたツアーではなく、NGO団体の国際協力活動の現場を訪れ、体験学習を通して現地の事情を知り、相互理解を図ることを目的としたツアー。

三木さん
三木さん

ツアーで現地に行って、人々の様子を目の当たりにすることで、支援の気持ちが生まれていた部分もあると思います。今は現地に行けないので、なかなか実感を持って応援してもらうことが難しくなっていることに課題を感じています。

インタビュアー
インタビュアー

確かに、体感してこそ行動につながる部分はありますね。

三木さん
三木さん

もう一点、遅いかもしれませんが、SDGsを強く意識し始めました。最近、香川県でもSDGsがニュースで取り上げられることが増えました。

セカンドハンドの事業はSDGsの理念と重なる部分も多かったのですが、これまではあまり発信できていなかったんです。最近になって、年4回発行しているニュースレターにSDGsを取り上げたり、お店にSDGsのアイコンを掲げたりすることを始めました。

SDGsを取り上げたニュースレター
三木さん
三木さん

こうすることによって、お店のお客様や支援者に「セカンドハンドを通してSDGsに貢献できる」ことを知っていただきたいと願っています。チャリティショップでの買い物は様々な形で社会貢献につながることを認識していただけたらいいですね。

インタビュアー
インタビュアー

人々の間で知名度が上がってきたSDGsを、上手に活用して人々に知ってもらう機会になるといいですね。

三木さん
三木さん

そうですね。そして今まであまりセカンドハンドにご縁がなかった人達にも広げていきたいと考えています。例えば企業と協力してカンボジアの校舎建築を一緒にやっていければ、とか、SDGsの学びのために、セカンドハンドの店舗で研修していただくとか、様々な形がありそうです。企業や地域、団体と協力し、もっと多くの人を巻き込んでいきたいですね。そのために、SDGs推進への動きをうまく活用しながら、我々の社会貢献を多くの人々に知っていただきたいと思っています。

インタビュアー
インタビュアー

本日は、ありがとうございました!

公益社団法人セカンドハンド 関連リンク

公益社団法人セカンドハンド公式サイト http://2nd-hand.main.jp/sh/