
質の高い教育を受けることは、経済の発展と豊かに暮らすために必要です。
日本では教育を受けるのが当たり前の環境となっていますが、世界ではどうでしょう?
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」とはどういったことを示すのでしょうか?
この記事ではまず戦争や紛争などで教育の機会を奪われている世界の現状について解説します。なぜ世界の子どもたちは平等に質の高い教育を受けられないのでしょうか。
教育を受けられないと生きていく上でさまざまな困難・問題点と直面してしまいます。
ここまで発展途上国の話を中心にしてきましたが、日本も無関係ではありません。日本の問題点は、経済格差などにより平等な教育が行き届いていないことです。
日本や世界の問題点を解決するためには、どんな解決策があるのでしょうか?
世界や日本で行われている解決策を紹介するだけではなく、小学生、中学生でもできるような私たちにできることを紹介します。
この記事が、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の理解を深め、解決のために行動するきっかけのひとつになることを願います。
目次
SDGs4「質の高い教育をみんなに」とは?
SDGs目標4は、2030年までに「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」を目標としています。
わかりやすくいうと、「すべての人々に対し、国や家庭・性別に関係なく平等に、教育を受けられる機会を提供すること」です。
国連の統計によると、世界では発展途上国の初等教育就業率は91%といわれています。
しかし、2018年時点で6~11歳の子どもの5,900万人(12人に1人)が小学校に通えていないという状況にあります。また、7億7,300万人(6人に1人)の15歳以上の若者が、基本的な読み書きや計算ができません。
日本では幼稚園・保育園をはじめ、小中9年間の義務教育があり、教育を受けられるのが当たり前となっていますよね。世界で考えると、学校に行けるのは当たり前のことではないのです。
また、SDGs4の「質の高い教育をみんなに」の「みんな」は子どもだけではなく、教育を受ける機会がなく大きくなった大人も含まれています。
SDGs4のポイントを画像で解説




SDGs4「質の高い教育を」10個のターゲットを解説
この目標を達成するために、SDGs4は10個の具体的なターゲットから構成されています。
4.1~7は項目の達成目標を示し、4.a~cは実現のための方法を示しています。
それでは、内容を確認してみましょう。
4.1 | 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。 |
---|---|
4.2 | 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。 |
4.3 | 2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手頃な価格で質の高い技術教育、職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。 |
4.4 | 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 |
4.5 | 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 |
4.6 | 2030年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。 |
4.7 | 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。 |
4.a | 子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。 |
4.b | 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。 |
4.c | 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員養成のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。 |
UNESCOが目標4の10のターゲットについて、動画を作成しています。
ぜひ、ご覧になってみてください!
質の高い教育が必要な理由
それでは、なぜ質の高い教育が必要だといわれているのでしょうか?
それは、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」が他のSDGsの目標と関わりがあるからです!
ここでは、質の高い教育が必要な6つの理由やGEFIの3つの優先事項について紹介します。
質の高い教育が必要な6つの理由
下記は2012年、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が立ち上げたGEFI(グローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブ)で、教育が大切な6つの理由をわかりやすく教えてくれた動画の内容です。
- もし、低所得国のすべての学生たちが基礎的な読解力を見つけて学校を卒業できれば、1億7100人が貧困から抜け出すことができるでしょう
- もし、低所得国のすべての母親が中等教育を受けていれば、1200万人の子どもたちが発育阻害から抜け出せます
- もし、すべての女性が中等教育を修了していれば、子どもの死亡率は49%減少します
- もし、すべての女性が初等教育を修了していれば、出産における死亡は66%減少します
- もし、すべての女児が中等教育を修了していれば、児童婚の64%が減少し、早すぎる妊娠の59%が減少します
- 1年間の学校教育は収入の10%増加に関連します
女性や女児という言葉が多いように、性別によって教育を受けられない現実があります。教育を受ける理由に性別は関係ないですよね。
「女性だから教育を受けられない」というのは、ジェンダー問題です。女性が教育を受けられるようになることで、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の解決にもつながります。
女性が教育を受けることで、自分のいのち、子どものいのちを守れるようになるでしょう!
また、すべての人が基礎的な読み書き、計算をする能力を身につけることは貧困から抜け出すひとつの方法です。教育を受けることで知識やスキルを得ると、安定した職業に就くことが出来ます。
お金を稼ぐことは経済の発展につながり、SDGs目標1「貧困をなくそう」の解決の糸口になっていきます。
GEFIの3つの優先事項とは?
潘基文、国連事務総長が立ち上げたGEFI(グローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブ)の中でも特に優先される事項が3つあります。
GEFIの中で、主な優先事項は教育へのアクセスの拡大をし、学習の質を向上させ、世界市民を育成することです。
出典:ユネスコ GEFI優先事項
① すべての子どもを学校に通わせる
世界の初等教育就学率の達成率はよくなっていますが100%ではありません。教育を受けられる制度が整うことで、教育は社会的、経済的、政治的進歩につながります。
② 学習の質を向上させる
学校では、生きていくうえで必要な読み書きや計算、安定した仕事に就くための基礎的な知識を身につけることが大切です。基本がない、訓練が不十分な教師がいることで、なにも身につけず卒業している子どもが多くいます。
③ グローバルシチズンシップ世界市民の育成
だれもが地球に住む一員です。多様性や思いやりをもち、仲間の人間のために私たちがどのように考え、行動するのか、できるのか……人々の考え方や行動を変える必要があります。
>>トップに戻る場合はこちら
子どもたちが質の高い教育を受けられていない世界の現状
世界には、学校に通えない子どもや、通えても十分な教育を受けられない子どもたちが多くいます。貧困や紛争、性別による差別などが原因で、教育の機会が奪われているのが現状です。次の項目では、そうした「質の高い教育を受けられていない世界の現状」について詳しく見ていきましょう。
SDGs4「質の高い教育をみんなに」は他の目標の達成に大きく関わる

すべての人が質の高い教育を受け、基礎的な知識や教養を身につけることで、持続可能な開発のSDGs目標4以外の達成につながるといわれています!
外務省のホームページでは、人に投資することで持続可能な開発目標が達成できると、以下のように書かれています。
- 人的資本への投資は,持続可能な開発と包摂的な成長を達成するための基盤である。
- 人的資本には,人々が生活の中で蓄積する知識,スキル及び経験が含まれる。教育は,人々 の生涯学習の基礎を築き,子どもたちの幸福を支援するものであり,持続可能な開発目標 (SDGs)の横断的な推進力として,保健及び栄養と共に人的資本の重要な要素を占める。
学校に行く目的は字が読めたり、計算が出来るようになるためだけではありません。学校は社会で生きていくために必要な知識やスキルを身につたり、人と関わることでコミュニケーション能力を身につけることができます。
生きていくうえで、人との関わりはとても重要です。勉強だけでなく、人間関係を築くことでより豊かで健康的な人生を送れるようになるのです。

また、ユネスコが中心となり、SDGs4を解決するために持続可能な開発のための教育(ESD:Educationfor Sustainable Development)という取り組みが世界で行われています。
ESD教育は持続可能な社会づくりのための、SDGsの考え方を子どもたちに知ってもらい、その担い手を育てていこうという内容になっています。
ESD教育では、世界で起きていることを自分事と捉え、身近なことから取り組み、問題の解決につながる新たな価値観や行動を起こすことを目指しています。
ESD教育は環境、経済、社会とSDGsの開発目標に関することを学びます。ESD教育を強化することで目標4「質の高い教育をみんなに」の解決と、SDGs開発目標の他の目標の改善の近道となるのです。
子どたちは学校で自然とSDGsを学び、考える機会がどんどん増えていくでしょう。親も率先して勉強し、一緒に考え、取り組んでいけるといいですね!
グラフから見る世界で教育を受けられない子どもたちの現状

2015年の初等教育就業率は91%。アフリカの一部を除いてはほぼ初等教育を受けられるようになっています。しかし、サハラ以南アフリカの就業率は男子81%、女子77%と5人に1人以上が初等教育を受けられていません。また、世界では90%以上の子どもが修了しているのに対して、サブサハラ諸国の初等教育修了率は60%とかなり低い状況です。
サブサハラ諸国はアフリカのうちの北アフリカ以外をいいます。グレーの部分が北アフリカ、地図の緑色がサブサハラ諸国です。
初等教育を受けられても、修了できなかった場合は読み書きや計算能力が身につかないままです。初等教育の就業率があがっても、初等教育修了率があがってはじめて、本当の意味での初等教育就業率があがったと言えるのではないでしょうか。
また、教育を受けられない大きな要因として、「児童労働」があります。世界には2017年時点で2億1,800万人の子どもたち(5~17歳)がおり、そのうち1億5,200万人が児童労働者(5歳~11歳)です。さらにその半数が危険な仕事をしています。
危険な仕事は危険有害業務といわれ、中でも「最悪の形態の児童労働」は、人身売買・売春・薬物の製造などがあります。「最悪の形態の児童労働」は危険有害業務の最多数をしめており、その他は農業や工業、サービス業、家事労働など大人と同じような労働を、安い賃金で強いられているのです。
児童労働に関してはSDGs目標8「働きがいも経済成長も」で目標が掲げられています。SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」と共に解決していく必要があります。
子どもたちが質の高い教育を受けられない7つの原因
では、なぜ質の高い教育を受けられない子供達が世界中にいるのでしょうか。ここではその理由を見ていきましょう。
学校や教師の不足
学校が近くになかったり、遠すぎることで通えない子どもたちがいます。学校があっても、途上国には先生がおらず授業を受けられないという現実があります。
先生になる方法がない、給与が低く質の良い先生が生まれてこないという理由もあります。
貧困
世界中にはまだまだ解決されていない貧困問題があります。
そのため日々、生きていくことで精いっぱいの中、学校に通うお金のない子どもたちが大勢います。
兄弟姉妹の世話のため
両親が仕事をしている間、上の兄弟は幼い弟、妹の面倒をみなくてはいけません。幼稚園や保育園という設備が整っていないために起こる問題です。
親が学校に行かせない
学校に行って勉強をすることよりも、家庭の一労働力としての働きを求められているため、学校に行くことができません。学校に行って学ぶことより、お金を稼ぐことを優先にしているためです。
病気のため
不衛生な暮らしと栄養不足により、病気にかかりやすく、また医療の遅れやお金がないことで、満足な治療をうけることができずに学校に通えない子どももいます。
戦争
戦争の経験のない私には想像できませんが、現在でも戦争や紛争のある地域で暮らしている子どもがいます。
そして、子どもたちは時として強制的・自発的に軍隊や武装グループの一員となり、戦闘に参加したり支援に従事することがありま。
18歳未満の戦争や紛争に参加する子どもは子ども兵士と呼ばれ、世界で30万人以上いると言われています。げん⑦女性だから
女性だから
地域によっては男女格差が根強く残っており、「女性は家の仕事をするべき」と考えている人々が多くいます。そのため、「女の子は教育を受ける必要がない」と考えられており、学校に通わせてもらえないのです。
その結果教育格差が生じてしまっているのです。
>>トップに戻る場合はこちら
教育が受けられないと起こる問題点
では、教育を受けられないことでどのような問題が発生するのでしょうか。
字の読み書きができる・計算ができることが当たり前の私たちには、信じられないことが世界では起こっているのです。
文字が読めないことで起こる問題
必要な知識を得られない
字が読めないことで、例えば「危険」と書かれた看板に気を付くことができません。どのような薬なのか、何錠飲めばいいのかがわからず、、誤嚥や用量を間違えるなどが起き、命を落としてしまうことがあります。字が読めれば、助かる命があるということです。
計算が出来ないことで起こる問題
買い物に行っても、おつりが合っているかわからず、安心して生活できません。
また計算能力が必要な仕事に就くことができません。
安定した収入を得られる仕事に就けない
知識がない場合、安定した収入の職業に就きにくくなります。
収入が少なくなると、食べるものを買えず、栄養も摂れません。栄養が摂れなければ病気に罹りやすくなるでしょう。また、病気になると、今度は働けなくなる…という負のループに陥ります。
このように、教育を受けられないことで、日常生活を満足に送ることができなくなり社会から取り残されてしまいます。
>>トップに戻る場合はこちら
質の高い教育が受けられない日本の現状と課題
途上国とは異なり、日本ではすべての子どもが性別関係なく学校に通うことができます。
その日本が抱える教育の課題とはどのようなものなのでしょうか。現状を踏まえながら見ていきましょう。
家庭環境による経済格差
日本では家庭環境や経済状況の違いが、子どもの学力や教育機会に大きく影響しています。平成25年度の調査では、保護者の収入や学歴だけでなく、子どもとの関わり方も学力に関係すると報告されました。
塾や習い事、本や文化的活動などの環境が整っている家庭ほど、学びの機会が豊富です。さらに、収入差によって学力に最大20%の差が生じているとのデータもあります。
近年は不登校児童も増加しており、その背景には友人関係や家庭環境の問題も多く含まれます。
教育を支える教員側の課題も深刻であり、学びの多様化や継続的な教員支援が求められています。こうした課題に対して、社会全体での支援体制の整備が必要とされています。
>>トップに戻る場合はこちら
SDGs4「質の高い教育をみんなに」の達成に向けた世界で行われている取り組み
まずは世界で行われている解決に向けた取り組みを紹介します。
ここで考えなくてはならないのが、ただ教育を受ける機会を与えるだけでは、「質の高い教育をみんなに」が解決したことにはなりません。学校の設備だけではなく、学ぶ環境を整えることが重要です。安心して通える環境、設備、子どもたちが一労働力とならないような経済的な仕組み作りが必要です。
また、学校よりも働くこと、女性に教育が必要ないという、親たちの意識を変える活動も大切です。自分が教育を受けていないと、受ける必要性を感じないものです。
ユネスコの教育支援プログラム
ユネスコ(UNESCO)が推進する「万人のための教育(EFA:Education for All)」は、すべての人々に基礎教育の機会を提供することを目指した国際的プログラムです。特に教育インフラが未整備なアフリカや南アジアなどの発展途上国に対し、学校建設、教科書の供給、教員の育成支援などを行っています。
さらに、女子教育や障がいのある子どもたちへの教育支援、母語での授業の推進など、多様なニーズに応じた取り組みも進めています。こうした活動は、教育の普及だけでなく、ジェンダー平等や人権尊重の意識改革にも貢献しています。
また、国際教育モニタリングレポート(GEM Report)を通じて、各国政府に政策提言を行い、教育制度の改善を支援。国境や経済格差を越えて「質の高い教育」をすべての人に届けようとするユネスコの活動は、SDGs達成へのグローバルな土台を支えています。
マララ基金による女子教育支援(世界各国)
ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイ氏が設立した「マララ基金」は、すべての女の子が12年間の無償かつ質の高い教育を受けられることを目指しています。南アジアやアフリカ、中東を中心に、女子教育が困難な地域で活動しており、以下のような多角的な支援を行っています。
- 学校の設立・運営
- 女性教員の育成
- 交通手段の整備
- 保護者や地域住民の意識改革 など
とくにパキスタンやアフガニスタンでは、宗教的・文化的理由で教育の場から排除されがちな女子に対して、「教育を受ける権利」を守る活動を展開。また、現地政府に対する政策提言を行い、法制度の整備にも働きかけています。
マララ氏のスピーチやキャンペーンは世界中の若者に勇気を与え、「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが世界を変える」との理念のもと、教育の平等とジェンダー公正の実現を推し進めています。
みんなの学校プロジェクト
「学校に通わせても学ぶことがない」
「学校の先生がしっかりとした授業を行なってくれない」
「学校へ行っても給食がない」
アフリカではこうした理由で学校に通わせない保護者が少なくありません。学校へのメリットを感じられない理由を分析すると、
- 教育者の質の低さ
- 教育者の技術不足
- 設備の整っていない環境
などが挙げられます。
逆を言えば、上記の問題を解決すれば学校へ通うメリットが実感できるわけです。
みんなの学校プロジェクトはこうした背景を知った上で、2004年にアフリカ・ニジェールの小学校23校で始まった学校教員、保護者、地域住民が一体となって自発的に学校運営の質を改善する仕組みです。
プロジェクト内容は、
- 学習環境の改善
- 衛生設備改善
- 栄養改善
子どもの学力改善として、具体的に下記のことが行われました!
- 計算の自習ドリルを作り、家庭と地域で連携して補修を行う
- 読み書きが不十分な場合、サポート体制の強化
これらの結果、テスト正答率がニジェールで約5割、セネガルで約4割改善されました。
学校運営に携わる「みんな」は自分たちの手で学習環境をよくしようと主体的に行動し、読み書き、計算の学びの方法を年に数回議論する集会を設け、改善していきました。
【住民集会の様子・ニジェール】
みんなの学校プロジェクトは2021年にはすでにアフリカ8カ国5万3,000校まで増え、地域住民の学校に対する考え方が変化し、栄養改善や衛生管理の改善も進められるようになりました。
>>トップに戻る場合はこちら
「SDGs4「質の高い教育をみんなに」の達成に向けて日本で行われている取り組み
ここからは日本で行われている解決に向けた取り組みを見ていきましょう。まずは、日本政府の取り組みについてです。
目標4の達成を実現するために、日本政府は授業の受け方をより主体的なものにしていこうとしています。
従来の授業は教師が主体となり進め、それに子どもたちが応える「受け身」の要素が強いものでした。しかし、この教え方では変化の激しい現代社会に柔軟に対応することは難しいでしょう。
そこで政府は「アクティブラーニング」に注目して取り組みを進めています。
アクティブ・ラーニングとESD
アクティブラーニングは「生徒が主体的に考え、発言する環境づくりをしよう」という考え方で、2014年頃から広まり始めました。これは、2019年のユネスコ総会で採択されたESD for 2030とも関係してきます。
つまり、今世界で起きている問題を自分ごととしてとらえ、持続可能な社会にするにはどうすれば良いのかを考えられるようになる、ということになります。
これらの考え方とSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」を照らし合わせ、平成29・30・31年度改訂学習指導要領には生徒が自主的に物事を考えられるようにするために、「アクティブラーニング」を重視する項目が掲げられています。
具体的には、これまでの授業といえば、先述したように先生が教科書を読み、板書するという形式でした。それに対してアクティブラーニングは、先生がある課題を提示し、グループ内で話し合って解決方法を探すといった内容です。
これにより、双方向的な生徒がみずから考える力を育むことが期待されています。
このように、教育の質をさらに高めるために、日本政府も取り組みを進めているのです。
▶︎関連記事:「奈良教育大学 中澤静男様|奈良教育大学が推進する持続可能な開発のための教育【ESD】とは」
子ども食堂や学習支援による教育格差対策
近年、日本では子ども食堂やNPOによる無料学習支援が、教育格差の是正に重要な役割を果たしています。経済的な理由で十分な学習機会を得られない子どもたちに対し、放課後や休日に食事と学びの場を提供するこれらの活動は、地域社会が一体となって子どもを支える仕組みとして注目されています。
とくに、ひとり親世帯や生活困窮家庭の子どもが対象で、単に学習の補完にとどまらず、心の居場所やコミュニケーションの機会としても機能しています。また、企業との連携や寄付による資金確保、大学生や教員OBによるボランティア参加など、持続的な運営体制も整いつつあります。
SDGs4の目指す「誰も取り残さない教育」は、こうした地域密着型の支援によって実現されようとしています。
ICT教育とGIGAスクール構想の推進
日本政府は「GIGAスクール構想」を打ち出し、小中学生に1人1台の端末を配布する取り組みを進めています。ICT(情報通信技術)を活用した教育により、児童生徒の個別最適な学びや協働的な学びを実現することが目的です。
2020年度のコロナ禍をきっかけに、遠隔授業やオンライン教材の需要が高まり、全国の公立学校でインターネット環境やクラウド活用が急速に整備されました。これにより、障がいや病気などで登校が困難な子どもも在宅で学習ができるようになり、教育の機会均等が一歩前進しました。
また、教師の業務負担軽減や教育データの活用による指導の質向上も期待されています。ICTの活用は教育の「質」と「アクセス性」の両面を支える鍵となっており、SDGs4の達成に向けた中核的な政策の一つと位置づけられています。
>>トップに戻る場合はこちら
SDGs4「質の高い教育をみんなに」目標達成のために私たちにできること【個人】
ここまでで「質の高い教育をみんなに」の大枠がつかめたところで、続いては私たちにできることを考えていきましょう。
一見すると難しい問題なので、個人でできることは少なく思えてしまうかもしれませんが、例え、中学生でもできることはあります。
自分にできることを見つけて行動してみましょう。
現状を知る・関心を持つ
まずは日本も含めて世界で発生している教育に関する問題について知ることが大切です。これにより、
- なぜその問題が起きているのか
- その問題が、自分たちの生活にどう関わってくるか
と疑問を持てるようになり、具体的にこれから自分が何をすべきかを考えられるようになります。そこで、現状を知るために効果的な方法を2つ紹介します。
- インターネットで検索する
- 教育に関する書籍を読む
ことが挙げられます。1つずつ見ていきましょう。
インターネットで教育の状況を調べる
まずはインターネットで教育の現状を調べてみましょう。
現在、世界には教育に関するさまざまな課題を抱えている人々がたくさんいます。
例えば識字教育(文字の読み書き)について。
日本ユネスコ協会によると、世界には
- 貧困や紛争
- 学校が近くにない
- 先生がいない
などの理由で、適切な教育を受けられない子どもたちが約1億2,000万人います。2016年に行われたUNESCOの調査によると、世界の識字率は86%という結果が出ており、そのほとんどが発展途上国の人だと言われています。
文字の読み書きができないことで、安定した仕事に就けなかったり、薬の扱い方を間違えてしまい命の危険にさらされたりしていまうのです。
このような現状を知ると、次は「どうすれば解決できるのか」を知りたくなる方もいるのではないでしょうか。そうすると、さらに思考を深めるために、自分がどのような本を読めばいいのかが分かるようになるでしょう。
このような世界の現状に関する情報はインターネットがあれば誰でもすぐに入手でき、
- 世界の最新の情報を得られる
- 音声や動画を確認でき、より具体的なイメージを持てる
といったメリットもあります。ぜひ書籍を読む前に、世界では今何が起きているのかをサイトから学んでみてましょう。
世界の現状を知れるサイト
世界の現状を知るために、おすすめのサイトを2つピックアップしました。どちらも世界のリアルを伝える記事が読めるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
教育に関する本を探してみる(図書館・本屋・電子書籍等)
インターネットである程度調べたあとは教育に関する書籍を読んでみましょう!書籍は、より詳しい内容が書かれているため、
- 今まで知らなかった知識を身につけられる
- 世界の教育について学ぶことができる
- 教育が抱える課題や解決方法が分かる
など、思考を深めることができ、寄付するなど次の行動を起こせるようになるのです。
語学を学んでみる
「質の高い教育をみんなに」では、他者への支援に目が向きがちですが、自分自身の学びを深めることも大切です。具体的な方法として、ここでは語学学習を取り上げます。
語学を学ぶことは、
- 色々な人と知り合えるチャンスが増える
- その国の歴史や文化を知り、思考を深められる
ことにもつながります。
また、語学学習は年齢性別関係なく、いつからでも始められるので、目標4の理念に通じるものがあるのです。
学びに年齢は関係ないことを実証した女性の話
実際に筆者の母は、語学学習がきっかけで充実した生活を送れているので紹介します。
彼女は韓国人が主催する韓国語教室に2005年通い始めました。約15年継続したことで、
- ハングル語の映画が字幕なしでわかるようになった
- (パンデミック前)韓国旅行で現地の人たちと会話ができるようになった
- 家族にハングル語で話しかけるようになった。
- 語学を通して、韓国の文化や人に興味を抱き、新しいことを知ること自体が楽しいと日々話している
といった、成果を見せています。
語学を身につけることでさまざまな人との交流が増えたことはもちろん、何より通い始める前より生き生きとしているのです。
語学学習とSDGs
目標4では、持続可能なライフスタイルを目指すべく、すべての人を学習者と捉え、学び続けることの大切さを訴えています。
4.7 2030年までに.持続可能な開発と持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力の文化、グローバル市民、および文化的多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通じて、すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するようにする。”
語学学習をすることで、
- これまで知らなかったことを知ることで選択肢が増える
- 身につけた知識を生活に活かすことができる
など、生きる楽しさにつながっていくでしょう。
新しいスキルを身につければ人生の幅が広がるため、興味のある分野で知識を深めてみてはいかがでしょうか。
自分らしく働くための方法をみつけよう
自分らしく働くための方法を探すことも、目標4の達成には大事なアクションです。
これからの時代は「働きがい」も重視されており、身につけたスキルを上手に活かして職業を選択することが求められています。
目標4のターゲット4でも、
“2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事および起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。”
と掲げられていたり、厚生労働省も
- 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少
- 育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化
の課題に対して、働き方改革を実施し、働く人すべてが良い未来を想像できる環境をつくることが重要としています。
つまり、多くの人が自分らしい働き方を実践することで、社会が抱える課題も解決に近づくのです。
とはいえ自分らしい働き方をみつけると言っても、
- 自分は何ができるのか
- どんな職業が安定しているか
- そもそもどんな職種が自分に合っているかわからない
など、方向性に迷う方もいると思います。
そこで、次では考え方の参考になるよう、宮本佳実さんの著書「可愛いままで年収1000万円」を例にポイントを紹介します。
仕事と生活のバランスをどう考えるか
愛知県名古屋市を拠点に活動されているで作家でワークライフスタイリストの宮本佳実さんは、著書「可愛いままで年収1000万円」の中で、働き方について次のように考えています。
「どう働きたいか」ではなく、「どう生きたいか」
可愛いままで年収1000万円 宮本佳実 著
宮本さんの場合、どう生きたいか、自分にとって理想の人生とは何か?を軸にして職業を選択することで、人生が豊かになると考えているのです。
多様な働き方を知る方法
そのためにもさまざまな知識を身につけたり、日々の情報収集が不可欠です。そこで、
- 多様な働き方を実践している人と知り合ってみる
- 起業家コミュニティに参加してみる
- 子どもの場合、いろんな大人に合う機会を増やしてあげる
といったことを意識して行動してみると新しい発見があるかもしれません。
筆者も、宮本佳実さんの著書に出会い、自分が心地よく生きるためにどんな仕事をしたいかと考え、フォトグラファーとライターという職種にたどり着きました。
この職に就いたことで、周りの人にも働き方のひとつのモデルとして紹介することができています。
このように、心から人生を謳歌している人、働きがいを感じている人を知ることも、教育そのものであり、生涯学習と言えるでしょう。
お金を学ぶ
質の高い教育では、文字の読み書きや計算以外にも幅広いジャンルの知識を身につけることが求められています。
幅広いジャンルのなかから、ここでは「お金について学ぶ」ことを取り上げます。
お金について学理由としては、お金は私たちの生活の中に深く関わっており、経済や社会問題を解決するためにも不可欠なものであるためです。
お金がどこからきて、どこへ行き、どのような影響を与えるのかを知ることで
- お金の使い方が変わる
- 無駄遣いが減る
- 消費に対する価値観をアップデートすることができる
- 買うべきもの、買わなくていいものの線引きができるようになる
- 心の豊かさを手に入れることができる
など、さまざまな面でいい影響があり、目標4に欠かせないスキルが身につけられるでしょう。
次ではお金について学方法を紹介します。
お金について学ぶには?
お金の価値観を学ぶために手軽に始められる方法は本を読むことです。本には多くの情報があり、新しい発見や知識を深めるために役立ちます。
そこで筆者が特におすすめしたい本を2冊ピックアップしました。
①Ken Honda, 本田健著 一瞬で人生を変える お金の秘密 happy money フォレスト出版
著者の本田健さんは、happy money出版の講演会やビジネスカレッジTSUTAYA公式サイトの中で、お金をいくら持っているとか、いくら稼いでいるとかは関係なく、私たちが普段どういう気持ちでお金を付き合うのかが大事だということを説いています。(※4)
その中で、「自分も人も幸せにするお金」が、幸せなお金の使い方だと示されています。
詳しく知りたい方は、happy moneyを読んでみてはいかがでしょうか。
②宮本佳実著 可愛いお金持ち養成講座 WAVE出版
こちらはお金へのマインドについて特化した内容です。
一般的にお金は「使うとなくなる」ものなのですが、宮本さんは、お金を支払うことは豊かさを先取りするものと考えています。(※5)
著書の中では、宮本さん自身が実践してこられた、「お金がない」「使うことがもったいない」という考えを卒業する方法が盛り込まれています。
とても読みやすい内容となっていますので、気になった方は手にとってみてはいかがでしょうか。
フェアトレード製品を選択肢のひとつにしてみよう
ここまでは知識を身につけることに焦点を当てて「できること」を紹介してきましたが、最後により実践的な「フェアトレード製品を選択肢のひとつにする」ことについて見ていきます。
私たちがフェアトレード製品を購入することで途上国で暮らす人々に適正な賃金が届きます。それにより、
- 貧困によって教育の機会がなかった子どもたちに学校へ通える機会を増やす
- 貧困で強制労働させられている子どもたちを減らす
- 大量の農薬・化学物質の使用がなくなり、健康被害と環境破壊がなくなる
など、現地の人が人間らしい生活を送れるようになるのです。
単なる支援ではない、魅力いっぱいのフェアトレード
<国際フェアトレード認証ラベルThe FAIRTRADE Mark>

<フェアトレードマーク>
フェアトレード製品の購入は、買い物を楽しむと同時に支援ができる、一石二鳥な取り組みです。
さらには、
- 手作業の一点物製品が多く魅力的なデザインが多い
- 人と環境にやさしいオーガニック素材が多く高品質
- フェアトレード食品も高品質なものが多い
と魅力がたくさんあります。
今度の買い物ではフェアトレード製品を選んでみよう!と感じたら、次の認証ラベルやマークを参考に探してみてくださいね。
フェアトレードとSDGs
フェアトレードは目標4以外にも
といった目標と深い関わりを持ちます。
国際支援はさまざまな手段がありますが、楽しみながら続けたいという方にはぴったりです。ぜひ次のお買い物で探してみてくださいね。
続いては、日本の企業の取り組みを紹介します。
>>トップに戻る場合はこちら
「質の高い教育をみんなに」の目標達成に向けた日本企業の取り組み事例
日本の企業も「質の高い教育をみんなに」というSDGs目標に貢献すべく、教育支援や学習環境整備など多様な取り組みを進めています。
ヤマハ株式会社

ヤマハ株式会社は、「器楽教育」を通じて、楽器を演奏する喜びをインドの子どもたちに伝える活動を展開しています。
企業の紹介
ヤマハ株式会社は、リコーダーやピアノなど楽器メーカーとして知られている企業です。学校の音楽の授業で使われることも多く、ヤマハの楽器に触れたことのある人も多いのではないでしょうか。
また、ヤマハ楽器の需要は日本だけでなく世界にも広がりを見せています。インドのチェンナイにはヤマハの生産工場があり、インド国内市場や新興国市場向けの楽器や音楽機器の生産・販売を行っています。
どのような事業なのか
主な事業は、
- 楽器事業
- 音響機器事業
- 部品・装置事業
の3つに分かれています。
とくに楽器事業は楽器の製造・販売をはじめ、音楽教室の運営や映像ソフトの製作と多様な展開を見せる事業です。
また、世界の音楽教育の導入にも力を入れており、ヤマハの楽器を通して、世界の人々に音楽の楽しさや器楽教育のメリットを伝える事業を展開しています。
そのなかでヤマハでは、世界の音楽教育の導入を目指し「スクールプロジェクト」を開始。「世界の子どもたちが質の高い器楽演奏体験の機会に等しく恵まれる」ことを目標に、現在5ヶ国で展開しています。
そのうちの1つであるベトナムでは、2020年に行ったベトナム教育訓練省と連携して進めた小中学校への器楽演奏の導入・定着化が評価され、学習指導要領にリコーダーの器楽演奏が加わりました。
どのようにSDGsの達成につながるのか
これまで現地では座学が中心で、実際に楽器を演奏する機会が設けられることはありませんでした。しかし、これらの取り組みにより、一歩進んだ「楽器を演奏する」という質の高い教育機会を提供したことが、目標達成に貢献していると言えるでしょう。
ハッピーテラス株式会社

ハッピーテラス株式会社では、発達障害のある方々への教育・就労支援を行なっています。
企業の紹介
ハッピーテラス株式会社は「凹凸が活きる社会を創る」をビジョンに、発達に凹凸がある人たちが社会で活躍できるように支援を行うと同時に、社会問題の解決を目指しています。
また、今までの支援事業にはなかったIT関連企業への就労支援などを行い、職種の選択肢を広げる取り組みを進めていることも特徴です。
どのような事業なのか
ハッピーテラスでは、発達障害が理由で「生きづらい」と感じている人々を対象とした自立支援を行っています。支援者の年齢も、0歳から大人までさまざまです。具体的な支援として、下記の通所支援事業を展開しています。
児童発達支援
ハッピーテラスキッズ(0~6歳)
放課後等デイサービス
ハッピーテラス(7~18歳)
自立(生活)訓練事業
ディーカレッジ(18~64歳)
就労移行支援事業
ディーキャリア(すべて18~64歳)ITエキスパートジョブサポート
2021年2月時点で、35都道府県に約181事業所があります。全国カバー率も72%と広く、ほぼ全国の人々が利用可能な状態です。また、それぞれの地域にパートナー企業が存在し、連携することによって、通所支援に通う人々が地域から分断されないように配慮しています。
では、これらの事業がどのように目標4と関わりを持つのでしょうか。
これまで、障害福祉分野の就労先というと「作業系」の職種が一般的でした。それに対してハッピーテラスでは、PCを使ったデスクワークや事務系の職種にまで選択肢を広げています。その結果、平均賃金もアップ。
現在は、さらなる賃金向上と社会参画を目指すために、人材不足と言われている「IT関連」の就労を目指し取り組んでいるそうです。
どのようなSDGs達成につながるのか
発達障害の人々が自立するために、職種の選択の幅を広げる取り組みは、より質の高い教育の普及を目指す目標4が目指すべき姿と言えるでしょう。
さらには、すべての年代をカバーしてサポートを行っていることも、目標4のターゲット「4.4」や「4.5」につながっています。
株式会社ケイ・ウノ

ケイ・ウノは自社の強みを活かした活動で、ネパールに灯りを届けています。
企業の紹介
2021年に創業40周年を迎えた株式会社ケイ・ウノは、オーダーメイドジュエリーやリフォーム・修理を中心に行っている企業です。
全国に30店舗以上存在し、専属デザイナーが常駐。自社でデザインから制作まで行っているため、既製品とほぼ同じ金額でオーダーメイドジュエリーが購入できます。
どのような事業なのか

ケイ・ウノは、懐中電灯用のランプシェードとして利用できるネックレス「エネジュエリー・しずく」を開発しました。
このネックレスは、物理学博士の菊池伯夫氏が行なっていた、ネパールの村に明かりを届けるために軽水力発電「Cappa」の導入の実現を目指すクラウドファンディングがきっかけです。ケイ・ウノはこの活動に賛同し、菊池伯夫氏の活動のリターン品として「エネジュエリー・しずく」が製作されました。
これによりクラウドファンディングは、総額8,239,000円もの支援が集まり、ネパールの小学校に軽水力発電「Cappa」を導入が実現。無電化地域であったネパールの村に明かりが灯りました。
どのようなSDGs達成につながるのか
明かりが灯ったことにより、学習環境の向上が期待できます。やがてネパールの教育水準は上がり、識字率の向上にもつながるでしょう。
教育を受けられることで仕事の選択肢が増え、生活水準や女性の社会的地位も向上します。
このようにケイ・ウノは自社の製作技術を活かし誰かと協力することで、SDGsの目標の達成に貢献しています。
株式会社成学社

株式会社成学社では、学習教室でのノウハウを活かしてベトナムの教育の質の向上につながる取り組みを進めています。
企業の紹介
株式会社成学社は、関西や首都圏を中心に290以上の学習教室を展開。
- 個別指導学院フリーステップ
- 開成教育セミナー
というブランドを掲げ、0歳児保育から大学受験対策まで一貫して行う総合教育企業です。生徒数も26,000人以上と最大規模になります。
加えて成学社では、子どもたちだけでなく塾講師をしている大学生へのサポートも充実。ビジネスマナーや面接対策講座などを用意しており、社会人としての教養も身に付きます。講師向けの研修や研究会も開催されるため、スキルアップやキャリアアップの実現を可能にしました。
どのような事業なのか
国際事業部の取り組みによって、ベトナムのダナン市に「ダナンかいせい幼稚園」を設立しました。より質の高い教育をベトナムで実現するために「日本式保育」を推進。ベトナムの教育カリキュラムを基本に、かいせい保育園の運営方法を取り入れています。
同時に、現地スタッフの園長や保育士にもオンライン教育を実施。質の高い保育教育の定着と発展を目指します。今後も成学社は複数の幼稚園開設を考えており、ベトナム全体の教育水準向上に貢献していくそうです。
どのようなSDGs達成につながるのか
現在ベトナムでは、著しい経済成長に伴い都心人口の再増加と核家族化が進行し、保育需要が高まっている状態です。そのため、
- 保育園を設立し質の高い教育を行う
→ベトナムの未来を担う子どもたちの育成につながる - 保育園設立や現地スタッフの教育を行う
→ベトナム全体の人材教育にも役立つ
と、より多くの人々が平等に質の良い教育を受けられる環境を作ることで、目標4に貢献しています。
株式会社ダイオーズジャパン

株式会社ダイオーズジャパンでは、より多くの人々が質の高い教育を受けられるような環境整備に努めています。
企業の紹介
株式会社ダイオーズジャパンは、コーヒーや紅茶・水の提供サービスから清掃サービスまで幅広く行う企業です。「最適なサービスを、最適なコストで継続的に届ける」ことを企業理念に、時代の新しいニーズの先取と新しいマーケットを創造します。
また、代表取締役社長である大久保真一氏が代表を務める「公益財団法人ダイオーズ記念財団」と連携し、SDGsに取り組むなどさまざまな活動を行っています。
どのような事業なのか
公益財団法人ダイオーズ記念財団と連携し、「すべての人が安全にいきいきと働くための調査・研究に対する助成事業」を行っています。
その他にも奨学金支給事業を行い、経済状況や国籍が原因で勉強したくてもできない学生を減らす取り組みを実施。今後は奨学金支給だけでなく、奨学金を受け取る学生を対象に学業成績や生活状況に応じて指導も行う予定です。
どのようなSDGs達成につながるのか
株式会社ダイオーズジャパンの取り組みは、
- 奨学金支給事業
貧困や国籍などが原因で勉強できない学生が減少 - 助成事業
すべての人が安全にいきいきと働くための調査・研究を行うことで、自分らしく働ける環境を確保
と、多くの人たちの能力向上を目指している点が目標4に貢献していると言えるでしょう!

他にも目標4の達成に向けた取り組みを進める企業や大学にインタビューを実施しています。是非チェックしてみてください。



>>トップに戻る場合はこちら
教育が受けられない子どもたちのために世界で行われている支援とは?取り組み事例を紹介!
世界では教育を受けられない子どもたちのために、色々な形で支援が行われています。
- 経済的理由で教育を受けられない子どものために、奨学金を支給
- 寄付・募金
- インターネットの普及
世界の企業・団体の取り組み事例①国際基金「Global Partnership for Education(GPE)」
「すべての人が質の高い教育を受けられる世界」を実現するため、2002年に世界で唯一の教育特化の国際基金が設置された。GPEは資金を集め、発展途上国の教育を支援しています。ただ資金を供給するだけではなく、課題を解決することが特徴的です。日本では2008年から支援をはじめ、32億円分の支援を行っている。
世界の企業・団体の取り組み事例②本のサーキュラープラットフォーム「Swapbook」
フランスの起業家が立ち上げた、学生向けの古本売買プラットフォーム。大学で使われたテキストなどは高く、テキストが高いために勉強することをあきらめる生徒を減らすために、手ごろな価格でテキストを購入できるプラットフォームが立ち上がりました。
>>トップに戻る場合はこちら
SDGs4「質の高い教育をみんなに」に関するよくある質問
SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」に関心が高まる中、「そもそもどんな意味?」「私たちにできることは?」といった疑問を持つ方も多いです。ここではよくある質問にわかりやすくお答えします。
SDGs4の「質の高い教育」とは、具体的にどんな内容?
SDGs4の「質の高い教育」とは、すべての人が公平に学ぶ機会を得て、基礎的な読み書き能力から高度な専門知識・スキルまで、将来の自立や社会参加に必要な教育を受けられることを指します。また、単に教室で知識を学ぶだけでなく、ジェンダー平等や持続可能性、多文化理解などを含む、包括的な学びの質の向上が求められます。
幼児教育から大学・職業教育までが対象となり、障がいの有無や貧困状況に関係なく、誰もが学び続けられる社会の実現が重要視されています。
なぜ今、教育格差が世界的な課題とされているの?
教育格差は貧困や不平等の再生産につながる深刻な問題です。特に開発途上国では、学校に通えない子どもたちや、読み書きができないまま大人になる若者が多く存在します。
また、先進国でも、経済状況や地域によって学びの質に差が生じており、機会の不平等が続いています。教育はすべてのSDGsの土台であり、健全な社会や経済の発展にも密接に関わるため、世界的に見ても「質の高い教育」を提供し、格差をなくすことが喫緊の課題とされています。
日本国内でも教育格差は存在するの?
日本でも教育格差は深刻な課題です。家庭の経済状況によって塾や習い事に通えない子どももおり、学力や進学の機会に差が生まれています。
文部科学省の調査でも、世帯収入と学力の相関が明らかになっており、特に低所得世帯の子どもは、学校外教育へのアクセスが限られがちです。また、地域による学習環境の違いや、不登校の増加なども課題となっています。こうした国内の教育格差を是正するには、支援制度や家庭への支援も含めた包括的な取り組みが必要です。
企業や個人ができるSDGs4への取り組みには何があるの?
企業や個人でもSDGs4の達成に貢献できます。企業では、社員向けのリスキリング(学び直し)支援や、学校への教材提供、オンライン学習環境の整備などが進んでいます。また、CSR活動として子どもの学習支援に取り組む企業も増えています。
個人としては、教育系NPOへの寄付、ボランティア参加、使用済みの教科書や文房具の寄付など、身近にできる支援もあります。教育格差を自分ごとと捉え、誰もが学べる社会に向けて小さな行動を積み重ねることが大切です。
SDGs4の達成にはどんな支援や制度が役立っているの?
日本国内では、就学援助制度や高校無償化制度、奨学金制度などが教育格差の緩和に役立っています。また、自治体やNPOが主導する学習支援事業や、こども食堂と連携した学習支援なども重要です。
国際的にはユニセフや世界銀行などの機関が教育支援を行っており、ODA(政府開発援助)による学校建設や教員育成の支援も行われています。デジタル技術の活用やオンライン学習の普及も、地理的・経済的な格差の解消に向けた鍵となっています。
まとめ
一方的な支援ではなく、「質の高い教育」を受けられていない人たちが必要としている支援で、これからの世界をになう、すべての子どもたちに平等な教育を受けられる環境を整えることが重要です。
世界の教育問題はわたしたちが想像している以上に大きな問題ですが、質の高い教育を受けることで、今世界が抱えている多くの課題を解決することができることが質の高い教育が必要な理由です。
今現在、5,900万人、12人に1人の子どもたちが小学校に通うことができていません。
また、7億7,300万人、6人に1人の若者が読み書きや計算ができません。
この子たちが質の高い教育を受け、知識やスキルを身につけ、さらに学校で人との関りを持ち、コミュニケーション能力を身につけることで、安定した職業につけ、経済が発展し貧困から抜け出せる社会を作ることができます。
質の高い教育は、持続可能な開発目標の達成においても重要な鍵となるのです。
世界中の子どもたちがキラキラとした笑顔で、学校に行けるようになる日を願わずにはいられません。何の差別もなく、学べることはとても幸せことです。
まず現状を知り、興味を持つ。そして身の回りで自分にできることがないか探してみませんか?
開発目標すべてにかかわる目標4「質の高い教育をみんなに」は、遠い国の話ではありません。
目標4「質の高い教育をみんなに」について考え、行動し、解決していくことは、SDGsの目標を解決していくことです。SDGsの目標が解決していくことは、地球が住みやすい環境を維持できているということです。
わたしたちの住む地球を持続可能な社会にするために、一緒に行動をおこしましょう!
この記事を書いた人

スペースシップアース編集部 ライター
スペースシップアース編集部です!
スペースシップアース編集部です!