#インタビュー

SDGs推進士業協会|各分野のプロフェッショナルが集結し挑む企業伴走型の啓蒙活動とは

SDGs推進士業協会 植松さん インタビュー

植松康太

1983年1月27日、大阪府吹田市生まれ。2008年に弁護士登録、2011年、四ツ橋総合法律事務所を開業。事業承継アドバイザー、事業再生士補(ATP)、事業再生アドバイザー(TAA)資格を保有。2016年からSDGsの普及推進に取り組んでおり、2018年5月に一般社団法人SDGs推進士業協会を設立し代表理事に就任。企業、経済産業省、地方自治体、教育機関等で数多くの講演を実施している。2019年には、りそな総合研究所との業務提携を開始し、企業におけるSDGsの実践的な取組みを拡大していくために精力的に活動中。2021年から関西大学SDGs推進プロジェクトの推進アドバイザーにも就任している。著書に「相続・遺産分割の手引き」(東峰書房)。

introduction

『士業の力を結集し、持続可能な世界を実現する』という使命を掲げ活動するSDGs推進士業協会。今回は、代表理事を努める植松さんを迎え、団体の強みを活かした画期的なSDGsの啓蒙活動の方法を伺いました。

企業伴走型のSDGsサポート事業

–本日はよろしくお願いいたします。初めに、一般社団法人SDGs推進士業協会(以下、「協会」)の活動内容について教えてください。

植松さん:

よろしくお願いいたします。私たちSDGs推進士業協会は、2018年7月に設立した団体で、主にSDGsの推進、啓蒙活動を行っています。

–団体名に”士業”という言葉が入っていますよね。植松さんは弁護士としてご活躍されていますが、他のメンバーも士業の方なのでしょうか。

植松さん:

はい。私たちの団体は、弁護士だったり、公認会計士、税理士、司法書士、社会保険労務士といった、いわゆる”士業”として働くメンバーが集結して形成しています。

–なぜ士業として働くメンバーが集まって団体を設立したのでしょうか。

植松さん:

協会を設立する前の2017年に、一般社団法人大阪青年会議所という組織のなかで、SDGsを推進するグループがあってそこで私が責任者をしていました。当時のグループメンバーにたまたま士業として活躍する人が集まっていたので声をかけたのがはじまりです。

–偶然一緒に活動していたメンバーに士業が多かったとは驚きですね。

植松さん:

そうですね。そのグループは1年単位で担当が代わるため、ちょうど役目を終える2018年のタイミングで、今後も活動を続けていこうという流れになりまして、SDGs推進士業協会を立ち上げました。

–そのようなプロフェッショナルな人材で構成されているSDGs推進士業協会では具体的にどのような活動をされているのでしょうか。

植松さん:

主に企業が事業にSDGsを導入するためのサポートをしたり、企業だけでなく地方自治体や教育機関で職員研修としてSDGs集中講座を開催したりと、設立後半年間は伴走型のSDGs普及活動を中心に行ってきました。

そこからSNS等で定期的にSDGsの情報を発信し続け、現在は”SDGs検定”という検定を実施しています。

SDGsを取り組むきっかけとなる「SDGs検定」

–SDGs検定について詳しく教えていただけますか。

植松さん:

SDGs検定は、世界で起きている問題や解決すべき課題など、SDGsが採択された背景や世界の動向を知ることで今後の活動のきっかけとなることを目指しています。試験は定期的に開催し、2022年3月の試験で8回目となります。

–出題内容はどういった内容なのでしょうか。

植松さん:

SDGsとは何かという基本的な部分から、SDGs採択までの歴史、世界が抱える課題、誰がどのように取り組んでいくのかについての応用まで出題されます。

受検する方には、学習するために必要な参考図書もお知らせしています。

–SDGsの内容すべてを網羅した検定なのですね。これまで企業の普及啓発活動を続けてこられたSDGs推進士業協会が、なぜSDGs検定を作られたのでしょうか。

植松さん:

先ほど申し上げた通り、私たちの最初の活動は企業、自治体向けのSDGsセミナーをメインとしていました。そのセミナーに参加された多くの方から、「事業としてSDGsを導入したいけれど何から始めたらいいのか分からない」「従業員に何をさせたらいいのか分からない」という要望がありました。

そこで、SDGsを啓蒙している私たちとしては、みなさんが取り組むためには何が必要だろうと考え、”検定”という形でスタートしました。

–検定の難易度はどのくらいなのでしょう。

植松さん:

難しいという声はよく聞きます。ただその分、合格することで幅広い知識が習得できるので、事業として導入する際に進めやすいのではと感じています。

SDGsが必要とされている今、SDGsを達成すべき理由を理解する必要があり、理解した上でどう取り組むかを考えていかなければなりません。SDGs検定を、そのきっかけとして頂きたいですね。

–検定はどなたでも受けられるのでしょうか。

植松さん:

受けられます。最近は中学生が受けられ、最年少合格となりました。

–それはすごいですね!SDGsが子どもたちにも浸透している証拠ですね!

植松さん:

そうですね。若い方や会社員の方はもちろん、検定の回数を増すごとに70、80代の方の受験が増えて合格されており、幅広い年齢層に注目頂いています。

–素晴らしいですね。合格された方は次のステップとしてどのような活動をされているのでしょうか。

植松さん:

合格したから何かを始めなければならないというルールはありませんが、会社員の方であれば、企業の中心になって社内でのSDGsプロジェクトのファシリテーションをやったりと、ご活躍頂いているという状況です。

このような積極的な動きが増えて、合格者のいる企業からは、「合格した旨をホームページに掲載していいですか?」という問い合わせを頂いたので、企業PRとしてもメリットになっているのは嬉しく思いますね。

働き方のプロフェッショナルとして社会に貢献していきたい

–SDGs検定を受検される方は今後もっと増えていくと思います。認知度の変化はいかがでしょう。

植松さん:

高まっていると実感しています。実際に、テレビ局からも特集を組みたいということで連絡があったり、地方のラジオ番組から出演依頼が来たりと、メディアを通して多くの方に知っていただく機会が増えました。

受検者数も増えています。検定が始まった当初は大企業の方の受検が多かったのですが、最近では中小企業の方も数が増えてきていますし、先ほど申し上げたように学生からも興味を持って頂けるようになりましたね。

–認知度が高まっていますね。このような取り組みを進める中で、今後はどのように活動を展開される予定でしょうか。

植松さん:

私たちは士業という各分野のプロが集まって形成されている団体なので、専門知識が豊富です。その強みを活かして、引き続きSDGsの推進、啓蒙を行って参ります。

また、仕事柄、企業の幹部や社長とお話する機会が多いので、SDGsの目標になっている”働き方”の部分でアドバイスしたり、最近注目されている”人権デューディリジェンス”※のあたりに関わっていき、社内のあらゆる悩みや課題を解決できるよう、貢献できる団体になっていきたいです。

人権デューディリジェンスとは

企業が事業活動をする中で、人権侵害リスクを把握し予防や対策をとること。幅広いサプライチェーン(原材料調達・生産/製造・輸送・販売・廃棄などの供給網)において、強制労働や児童労働、差別、ハラスメントを特定し、発生している場合は救済をし、起きないように予防に努めること。

–企業に伴走して身近な課題を解決していかれるのですね。本日は貴重なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました!

取材 大越 / 執筆 Mayu Nishimura

インタビュー動画

関連リンク

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