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株式会社ダイオーズ 大久保 真一社長|ニーズを先取りする取り組みで、社会に還元する企業経営を

株式会社ダイオーズ 大久保真一社長 インタビュー

大久保 真一

1941年東京・浅草生まれ。中央大学卒業。在学中、全日本学生写真連盟委員長。広告会社勤務を経て67年より米国と欧州の流通企業で研修。69年に家業の米穀店に入店し有限会社米屋おおくぼを創業。都内の米穀店を組織化し配達スーパー開始。70年クリーンケア事業開始。76年株式会社ダイオーに社名変更。77年日本初のオフィスコーヒーサービス事業を開始。88年には米国へ海外進出。83年株式会社ダイオーズに社名変更。2007年に東証一部に上場。趣味は写真撮影と世界旅行。

introduction

1969年に創業し、東証1部上場企業であるダイオーズ。リユース・リサイクルを根幹とするオフィスサービスを提供しながら、SDGsを始めとした社会課題の解決に向けた取り組みも進めています。なぜリユース・リサイクルに焦点を当てたビジネスを始めたのか、サービスづくりや雇用で大切にしていることなど、株式会社ダイオーズ代表取締役社長の大久保 真一さんにお話を伺いました。

ダスキンさんとの出会いがリユース・リサイクルに焦点をあてた現在のビジネスにつながる

–はじめに、大久保さんが会社を立ち上げられた経緯について教えてください。

大久保さん:

私の初めてのビジネスは、米屋を土台とした「お客様の困りごと解決サービス」でした。と言っても、大学卒業後すぐに始めたわけではありません。

まずは広告会社に入社し、営業やマーケティングを担当していました。でも学生時代から流通に興味をもっており、”自分の目で海外の流通を見てみたい”と思うようになったんです。そこで広告会社を退職し、アメリカやヨーロッパへ渡り、現地の企業で働きながら2年間の研修を受けてきました。

–そこから米屋を土台としたビジネスを始めたのはなぜですか?

大久保さん:

実家が米屋を経営していたのが大きいですね。そこで行われている御用聞きや配達という機能を活かせば、お客様の困りごとを解決できると考えました。当時は醤油や油は一升瓶でしか販売していなかったので、買い物は大変だったのです。重いし瓶が割れてしまうこともありましたからね。ですから、そういった重いものやかさばるものを家庭に配達する「配達スーパー」のビジネスを始めました。

–そこから、今のようなリサイクル・リユースに焦点をあてたビジネスに変化していったのはどのような理由だったのですか?

大久保さん:

ダスキンさんの「化学ぞうきん」との出会いがきっかけです。

その頃「配達スーパー」では主に生活必需品の配達を中心に行っていましたが、この「化学ぞうきん」も必ずお客様の役に立つだろうと思い、一緒にお届けすることにしたんです。すでに家庭とのお付き合いはありましたから、たくさんの方に契約いただくことができました。

その後、さらに拡大をさせるため販売対象を家庭から企業に変え、化学ぞうきんだけでなく、業務用のマットやモップ等も営業することにしました。他にさきがけいち早く企業向けに販路を開拓したことで、売り上げは全国一位になりました。

ダスキンフランチャイズ時代

–このダスキンさんのサービスが、使ったものをきれいにして再びお届けする「リサイクル・リユースビジネス」の初めだったのですね。

大久保さん:

そうですね。ダスキンさんの商品を扱う中で企業向けのB to Bサービスが確立し、その結果生まれたのが、オフィスサービスを提供するダイオーズのビジネスです。

お客様との関係性を大切にした継続的なビジネスを

–ダイオーズさんのビジネスは、クリーンケア商品のレンタルサービスから始まり、その後日本で初めてオフィスコーヒーサービスやピュアウォーターサービス等に取り組まれています。扱うサービスは、どのように決められたのですか。

大久保さん:

お客様との関係を積み重ねるような継続的なビジネスをしたいという思いからです。ダスキンさんの商品も、リサイクル・リユースして長く使えることが良さでしたしね。

業務用のコーヒー機器をオフィスにお貸出しするビジネスモデルは、アメリカでの研修時に目にしていましたが、70年代の日本ではまだこうしたサービスも無く、しかも相次ぐ海外からの外食の波のなか、「いずれ日本もオフィスでレギュラーコーヒーを飲むようになる」と確信のもと、日本で初めて事業化を図りました。消耗品であるコーヒー豆を定期的にお届けしながら、機械の保守点検やクリーンアップも当社が行うことで末永くご利用いただいています。

ニーズに合わせた仕組みづくりで、女性やシニア層を積極雇用

–ダイオーズさんでは、多様な働き方の推進にも取り組んでいらっしゃいますが、雇用についての考えをお聞かせいただけますか?

大久保さん:

弊社では主婦やシニア層の方々にも、ご活躍いただいています。

日本には高い能力を持つ女性や、元気で優秀なシニア層の方がたくさんいますよね。そういう方にどのように力を発揮いただくかを真剣に考えてきました。

働く時間や曜日を含め、ニーズに合わせた働き方を選択いただけるような仕組みをつくってきた結果、現在は国内外で約2,000名の従業員に貢献いただいています。

–女性やシニア層の方の活躍の場は少しずつ広がってはいますが、特に地方ではまだまだ少ないのが現状です。

大久保さん:

創業以来、働き方や業務全体の事柄に関してフレキシブルな考え方で潜在的なニーズを掘り起こすことを大切にしてきました。

地方でも女性やシニア層の多くの方々が第一線でご活躍されており、働きやすい環境を提供しつつ、意欲をもって働いてくださる方にはどんどん責任ある立場を担っていただいております。

企業の社会的責任を果たす取り組みを加速していきたい

–人を大切にする考え方がお話から伺えます。社外の方に向けた取り組みはいかがですか。

大久保さん:

すべての人が安全に活き活きと働くことのできる社会環境づくりに貢献することを目的として、返済義務のない奨学金支給事業や、多様な働き方推進に向けた研究を行う機関・研究者の方向けの助成金支給事業などを行っています。これらの取り組みが公益性のある法人と認められ、2018年には公益財団法人ダイオーズ記念財団として認定されました。

ダイオーズ記念財団

–企業として社会的な責任を果たすことを大切にされていると感じます。

大久保さん:

そうですね。全国にお客様がいらっしゃいますので、震災のときには私共の水を被災地に提供するといったこともしてきました。お客様はもちろん、ともに働く社員や社会に利潤を還元していくことは、企業理念にも掲げています。社会課題の解決に取り組み、SDGsが目指す持続可能でよりよい世界を創り出していく企業でありたいです。

新しいニーズを先取りしつつ、持続可能な社会実現に貢献する

–SDGsの達成期限である2030年に向けて、どのように取り組みを進めていくのでしょうか。

大久保さん:

私共は創業以来、リサイクル・リユース・継続を前提にした事業をしてきました。そのためSDGsは事業とも関係が深く、非常に重要なテーマと捉えており、今後ますます取り組みを深めていきたいと考えています。弊社の取り組みは外務省にも認められ、SDGsジャパンロゴマークの使用認定もいただいています。

–具体的にどのような取り組みを加速されるお考えですか?

大久保さん:

地球全体の問題として温暖化現象が進む中で、ダイオーズとして何ができるのかを考えながら現在の取り組みを深めると同時に、お客様のニーズを先取りし、商品にしてお届けしたいと考えています。

ニーズは現場にあると考えていますので、時間の許す限りお客様を訪ねて現場の生の声を聴き、リサイクル・リユースを含めてできることに取り組んでいきたいですね。

–コロナウイルスの影響で、オフィスに求められる役割は大きく変わりましたね。

大久保さん:

そうですね。

コロナウイルスを機に、オフィスは単に仕事をする場からコミュニケーションの場へと変化しました。そのためダイオーズとしては「出社したくなる快適空間づくり」をテーマに取り組んでいきたいと考えています。

例えば、美味しいコーヒーが飲めるよう、世界最高峰のコーヒーマシンをお貸出しし、ワールドブリュアーズカップで世界チャンピオンになった粕谷哲氏の選りすぐりのコーヒー豆を提供したり、空気清浄に加え空間除菌もできる機械「ナノシードα」を開発してお届けするなどです。実際に導入いただいた企業様からは「社員から評判がよくオフィスへの出社率が上がった」といったご感想を多数いただいています。

これからもダイオーズでは、常に新しいニーズに合わせたビジネスに取り組んでまいります。

–本日は貴重なお話をありがとうございました。

取材 大越 / 執筆 荒川

インタビュー動画

株式会社ダイオーズ ホームページ

>>株式会社ダイオーズ|https://www.daiohs.co.jp/