小林広人
1990年、香川県高松市生まれ。2009年神戸大学経営学部入学。大学在学中にアパレル×美容院のビジネスプランを構想。2013年同大学卒業後、アパレル企業に入社し、経営企画部として勤務。2016年から美容院運営会社に入社し、経営企画・バックオフィス業務を担当。2020年3月に株式会社BEALTHを創業。心身ともにBeautifulでHealthyになるために「見える化」し、変わる機会を創出する。そんな会社を目指しています。
目次
introduction:
株式会社BEALTHは、廃棄処分される際に埋め立てられ土壌汚染につながるホタテの貝殻を利用し、マイクロファインバブルと組み合わせ使用することで、環境と肌に優しい洗濯を実現しました。
今回は株式会社BEALTH、代表取締役の小林広人さんに商品開発の思いやSDGsへの取り組みについてお聞きしました。
マイクロファインバブルとアルカリイオン水で起こす洗濯革命!「エコ洗濯サポートセット」とは
–最初に株式会社BEALTHのご紹介と事業内容をお聞かせください。
小林さん:
株式会社BEALTHは、美と健康のクリエイティブカンパニーとして2020年3月に創業しました。
主な事業としては、美と健康に関する商品の企画・販売、美容院の経営コンサルティング・経理などのバックオフィス業務の代行を行っています。
私はアパレル・美容業界に携わってきました。前職では美容院のDX化を進めるなど、忙しい美容師をサポートする仕事をしていました。
その中で、美容師と一緒に美と健康を促進する仕事に携わりたいという想いがあり、「BEALTH」を立ち上げました。社名の「BEALTH(ベルス)」は「BEAUTY(美しさ)」と「HEALTH(健康)」を合わせた造語です。
–具体的にどのような商品を扱っていらっしゃるのでしょうか。
小林さん:
洗濯機に取り付けることで、洗濯水にマイクロファインバブルを発生させる洗濯機用アダプター「バブッシュ」と、洗濯水に入れることで水道水をアルカリイオン水に変え、消臭や汚れの落ちをサポートする「ホタテ貝殻パウダー」を扱っています。
この二つを組み合わせた肌と環境にやさしい洗濯用セットが「エコ洗濯サポートセット」です。
「バブッシュ」は洗濯機の給水口に取り付けることで水道水をトルネード回転させ、水中の空気をマイクロファインバブル※に変化させる「洗濯機用アダプター」です。
洗濯に使用することにより、花粉やPM2.5などの繊維の奥まで入り込む汚れや皮脂などを落とし、洗浄力を高められます。
「ホタテの貝殻パウダー」は、ホタテの貝殻を高温で特殊焼成(しょうせい:原料を高温で焼いて性質に変化を生じさせること 参照:Weblio国語辞典)して作ります。
焼成することで酸化カルシウムの粉末ができ、それを水に入れると水酸化カルシウムとなり、水道水を「アルカリイオン水」に変化させます。
洗濯物の汚れはほとんどが酸性ですから「アルカリイオン水」に反応し、汚れが落ちやすくなります。それだけでなく、除菌・消臭の作用も高いので洗濯の効果を上げることができるんです。
当社の扱っている「ホタテの貝殻パウダー」は「ホタッシュ」と「Cashell カシェル」の2種類です。
「ホタッシュ」は縦型の洗濯機用で不織布に入っており、そのまま洗濯機に入れておけば約30回の洗濯ができます。
対して「Cashell」は「ホタッシュ」よりも高温で焼成し、より細かいパウダーにしています。
水の使用量が少なく、乾燥まで一度にされる方も多いドラム型の洗濯機でも使用できるように、洗濯の都度投入していただけます。
これらの「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」を組み合わせて使うことにより、洗浄力をサポートできるので洗剤の使用量を削減することが可能なんです。
もし「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」を一緒に使っていただけるようでしたら、はじめは洗剤は既定の半量くらいに減らして使用していただき、あとはお好みの量で調節していただければと思います。
また、「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」は洗濯物だけでなく、洗濯槽の黒カビやせっけんかすなどの除去にも効果があるので非常に便利なものとなっています。
我々の商品を使っていただいたお客様からよくお寄せいただくのが、「ニオイが気にならなくなった」というお声です。
アルカリイオン水は高い消臭効果があると言われますが、使用感モニターアンケートに回答いただいた376名のうち約8割の方が、生乾きや部屋干しのニオイが気にならなくなったと効果を実感されています。
また「野球のユニフォームの泥汚れとニオイがとれた」や「下着が当たる部分だけ汗をかくとかゆくなっていたのがなくなった」などの嬉しい声を頂いています。
人に優しいものは環境にもやさしい。ホタテ貝殻を廃棄ではなく循環利用で社会問題の解決も。
–「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」を商品化しようと思ったのは何かきっかけがあったのですか。
小林さん:
きっかけは、小児科で働いている友人から「服を着ている部分だけ肌荒れしている子どもが多い」という話を聞いたことです。理由を調べてみると、洗剤や柔軟剤が服に残留し、それが汗と反応して肌荒れが起きている可能性があることがわかりました。つまり、洗剤に使われている合成界面活性剤が原因の一つではないかということです。
それならば、洗剤使用量を極力少なくしつつ、さらには洗濯の質を落とさない方法が実現できればこの問題に貢献できるのではないかと考えたんです。
ちょうどその頃、美容室ではマイクロファインバブルを使って洗髪をするシャワーの設備が出始めたこともあり、これを洗濯に応用できるかもしれないと閃きました。
同時に合成洗剤に代わるものも探しており、顆粒のマグネシウムや無添加のせっけんなどを使ってみる中で、ホタテの貝殻パウダーに辿り着きました。
ホタテの貝殻パウダーは100%自然のものですし、以前から使われているもので安全性や効果も確認されています。
また、ホタテの貝殻パウダーは肌だけではなく環境問題の解決にも貢献できます。
2021年の調査ではここ数年、日本の農林水産物で輸出額が1番多いのはホタテなんですが、それに伴って貝殻の廃棄処分の量も多くなっています。
一般的にホタテの貝殻は埋め立て処理をされていますが、土壌に塩分が溶け込んでしまい土壌汚染の原因となります。塩分の溶け込んだ土では作物が育てられなくなってしまうんです。
そのため、私たちがホタテの貝殻パウダーを活用することで、埋め立てる量を少しでも削減できます。
そして、焼成処理してつくる貝殻パウダーは焼成の際にCO2が発生しますが、海中のホタテがCO2を消費するということで、カーボンニュートラルであるため、環境への負荷が少ないんです。
さらに、「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」はパッケージにもこだわっています。商品にプラスチックを使いたくないという想いから、すべて紙で作ることにしました。
とはいえ、パッケージは会社と商品の顔ですし、美容室での販売も考えていたので、味気ないただの紙箱ではなく、夢のある美しいものにしたかったんです。そして試行錯誤し、どこにもプラスチックを使わない理想のパッケージができました。
他にもホタテ貝殻パウダー「Cashell」のパッケージや計量スプーンもプラスチックではなく紙を使っていますし、弊社から発送をするときは、梱包材や緩衝材などにもプラスチックを使わないように配慮しています。
商品を開発したときは、まだ販売の実績がありませんでしたので、美容室での販売をお願いすると同時に、この商品のコンセプトに賛同してくださる方に購入いただきたいと思い「MAKUAKE」に出品しました。
目標金額50万円だったところ、631人の方々、4,648,500円の購入総額を達成し、感謝と共にやはり健康や環境に対する皆さんの意識は高いのだなと感じました。
現在は、オンラインショップと提携美容院で販売しています。
–様々な協力のもと、すべてがサステナブルな商品が実現したんですね。
小林さん:
そうですね。そして環境だけでなく社会課題にも貢献したいと考え、商品の売り上げの一部を、国際NGO団体「WaterAid(ウォーターエイド)」に寄付しています。私たちは、洗濯を通して水に携わる者ですので、日本だけでなく世界中の人が安全できれいな水を使える機会を少しでも増やせればと思っています。日本では水道水が飲めるのは当たり前ですが、世界的にはそうではない国が多いですよね。
WaterAidによると、2,500円寄付することで、ひとりの人が水とトイレを利用し、衛生環境を改善することができるとしています。自分の寄付で多くの人の暮らしを変えられることにも魅力を感じましたし、日本で当たり前のことが世界にも広がったら素敵だと思いWaterAidに寄付を続けています。
参照:WaterAid
これからも環境と人にやさしいものを提供し続けていきたい
–では最後にこれからどのように事業を展開していくのか、今後の展望をお聞かせください。
小林さん:
現在、世の中には安くて楽に使える洗剤が次から次へと発売されています。
ですから「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」についても、どんどん改良を重ねて使いやすく効果の高いものにしていきたいと思っています。
そして、より多くの方々に弊社の活動を知ってもらい、使ってもらうことが目標です。
今後もSDGsに貢献でき、環境と人に優しいものを企画・販売していきたいと思います。
–「バブッシュ」と「ホタテ貝殻パウダー」を使ってみたくなりました。本日はどうもありがとうございました。
BEALTH Online Shop:https://bealth.stores.jp/