#コラム

【SDGs目標を知る#1】目標1「貧困をなくそう」をわかりやすく簡単に!

SDGsの目標を詳しく調べていると、難しい内容が多くてハードルが高いかも…

このように感じている人も多いのではないでしょうか。

自分ごと化することが大切なSDGsでは、もう少し簡単に目標を身近に感じたいですよね。

そこで「目標をわかりやすく」シリーズでは、ポイントを絞って目標を考えていきます。

SDGsの最初の目標が持つ意味

SDGsは「環境に良いことをしていこう!」という印象を持つ方が多いと思います。

確かにSDGsは環境にも焦点を当てているので、地球温暖化や異常気象、プラスチックゴミの削減がよく取り上げられる傾向にあります。
その反面、最初の目標に掲げられている貧困については「遠い国で起きていること」といったイメージがあり、自分ではどうしようもできない問題のように感じてしまうのも事実です。

SDGsには17個の目標があり、どれも大事な内容ですが、1番最初に貧困をなくすことを掲げていることがポイントです。

というのも、温暖化や異常気象、プラスチックゴミによる海洋汚染の影響を真っ先に受けるのが貧しい暮らしを強いられている人だと言われているためです。

つまり、すべての人が充実した生活を送れるようにしながら、環境や経済の問題を解決していくのがベストな形です。

そのためにも世界中でどのような貧困問題が起きているのか知る必要があり、「自分ごと」として考えられるようになれば、もっと貧困の取り組みが加速するはずです。

そもそも貧困って何?

では、そもそも貧困とはどのような状態なのでしょうか。

貧困の定義を知ろう

貧困の撲滅や不平等な世界を正しくしようと活動している国連開発計画(UNDP)は、貧困を以下のように定義しています。

“貧困とは、教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のことです。”

そして、貧困に苦しむ人たちのなかでも特に厳しい状況にあることを「極度の貧困」と呼び、こちらも定義されています。

“極度の、あるいは絶対的な貧困とは、生きていくうえで最低限必要な食料さえ確保できず、尊厳ある社会生活を営むことが困難な状態を指します。”

貧困に苦しんでいる人は世界中にたくさんいて、そのほとんどが農村部で暮らしています。

貧困ラインを知ろう

とはいえ、「この人は貧困、この人は貧困じゃない」という線引きが難しそうに思えます。

そこで貧困の状況を把握するために「貧困ライン」が定められているのです。
2021年時点の貧困ラインは1日1.9ドル。1.9ドルというと日本円にして200円前後であるため、1ヶ月で約6,000円です。
ここから食費や家賃、その他の支払いも含めて生活しなければならないと考えると本当に苦しい生活であることがわかります。

ちなみにこの貧困ラインは、世界の途上国へ支援を行なっている「世界銀行」が定めたものです。
SDGsでは、この貧困ラインをもとに貧困をなくすことを目指しています。

もう少し踏みこむと、この貧困ラインは世界の情勢を踏まえて決定するため、時期によって数字が異なります。
SDGsが始まったのは2015年9月ですが、当時は1.25ドル未満が貧困ラインでした。その後2015年10月に世界銀行は1.9ドルに改定しています。

まずは1.25ドルや1.9ドルという数字を覚える必要はなく、とにかく大変な生活を送らなければならない状態が「貧困」だと理解しておけばOKです。

貧困に苦しんでいる人はどのくらい?

この極度の貧困に苦しむ人は2015年時点で7億3,600万人いると報告されています。世界の人口が76億人であることから、10人に1人の計算になりますね。

この数字のほとんどが、サハラ砂漠以南のアフリカや南アジアに住んでいる人たちで、さらにはそのうち3億5,600万人が子どもです。

これでも昔と比べると減少傾向にありましたが、2020年から始まった新型コロナウィルスの影響を受けて、増加すると見られています。(世界銀行によると、2021年までに新たに最大で1億5,000万人の極度の貧困層が増加すると予想されている。参考)

2030年までに、極度の貧困に苦しむ人たちをゼロにすることを掲げるSDGsにとっては正念場となっています。

ここまで見てきた貧困の形は「絶対的貧困」と呼ばれるものです。日本のような先進国の場合は「相対的貧困」で貧しい人たちを把握するようにしています。

日本でも貧困がある?

相対的貧困は、その地域の収入水準に満たない人たちを指します。
2018年の数値でいうと1人世帯で年収が127万円未満の世帯。この年は日本全体の15.7%が相対的貧困に陥っていることが報告されています。(参考 厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」)

相対的貧困に陥っている世帯の多くは、高齢者やひとり親世帯とされています。特にひとり親世帯のなかでも女性が親である場合が相対的貧困に陥りやすいのです。

その理由としては、日本ではもともと女性が正規雇用に就きにくい状況にあり、さらに子育てをしながらだとその壁は高くなってしまうことにあります。その結果、安定した収入を得られないのです。

そのような家庭の子どもも貧しい暮らしを強いられており、子どもの貧困が大きな問題となっていいます。(7人に1人が貧困状態)

貧困状態に陥っている子どもは、例えば、塾に通う、参考書を買ってもらうなどのみんながやっている当たり前ができません。

さらにはお母さんが仕事で家を開けていることが多いため、家事も子どもがすべて担当している傾向にあり、友達と遊ぶこともできないのです。

次に、気候変動と貧困の関係を見ていきましょう。

気候変動と貧困の関係は?

これまで人間はたくさんモノを作ってそれを消費して、最後は捨てるという方法で成長を続けてきました。
これは化石燃料を使って、たくさん二酸化炭素を排出することも意味します。

その結果、暑い日が続いたり、豪雨が頻繁に起きたりするようになりました。これは地球温暖化によって地球の気候システムが変わってしまったことが原因だと考えられています。

この気候変動の影響を真っ先に受けるのが貧しい暮らしを送っている人たちです。

貧困で苦しむ人々の多くは簡易的な家に住んでおり、大雨で洪水が起きたらすぐに壊れてしまいます。

また、食事となる野菜や野草は、長い間干ばつ(雨が降らなかったり少なかったりして水不足が起きること)が続けば、それらが育たなくなることも考えられます。

さらにはこれらの影響を受けたあと、復旧にも時間がかかると言われており、待っている間にどんどん貧困が進んでしまうのです。

個人ができること

最後に、ここまで見てきた貧困の撲滅に向けて個人ができることを紹介します。

貧困の撲滅には真っ先に寄付が思い浮かびますが、どこに募金すればいいのか迷ってしまうと思います。
この場合、まずはワールドビジョンやユニセフなどの有名な団体のサイトをチェックすることをおすすめします。

サイトにはどのような支援を行なっているのかが詳しく書かれているので、よく読んで共感できるようであれば寄付をスタートしてみてはいかがでしょうか。

募金してみて、「あ、違う課題への支援がしたい!」となればまた別の団体を探せば良いでしょう。

他にも、売上の一部が寄付される商品を選んでみるのもひとつの支援の形です。

例えば、株式会社キャニオンスパイスが展開している「こどものためのカレーシリーズ」。これは、売り上げの一部が世界の子どもや若者の支援を行なっているプランイターナショナルに寄付されています。

売り上げの一部が寄付される商品は様々展開されているので、ぜひスーパーなどで買い物する際はチェックしてみてください。

最後に。まずは貧困の現状を知ることも、個人にできることのひとつです。

ここまで見てきて、世界ではどのようなことが起きているのか、日本の貧困の現状は?など、知らないことがたくさんあったと思います。知らないと具体的な行動に起こせません。

そのため、寄付や支援につながる商品を買う前にまずは「貧困」について調べるようにしましょう。

そして、そこで得た情報は、家族やクラスメイトに話す、SNSで発信するなど、自分に合った方法で多くの人に広めていくことにもチャレンジしてみましょう。

これにより、貧困撲滅に関するアクションの輪が広がっていくはずです。

この記事では、SDGs目標1「貧困をなくそう」について見てきました。

「貧困をなくそう」はSDGsの一番初めに掲げられている目標で、とても大切なことが書かれています。

ぜひこの機会に「貧困」について現状を調べ、自分にできるアクションを探してみてはいかがでしょうか。

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SDGs目標1「貧困をなくそう」についてもっと詳しく知りたい方はこちら→『SDGs1「貧困をなくそう」の現状と問題点、日本・世界の取り組み事例、私たちにできること