#インタビュー

株式会社プロトソリューション|シェアサイクルで交通渋滞解消や二酸化炭素削減を目指す

株式会社プロトソリューション CYCY(サイサイ)事業責任者 佐々木さん インタビュー

佐々木 淳

1984年12月4日、岩手県生まれ。2012年に現プロトソリューションに入社。不動産メディア「グーホーム」の立ち上げ・事業化に成功後、新規事業企画・立案を担うメディア事業推進室の責任者へ。 2019年10月にシェアサイクル事業『CYCY(サイサイ)』を立ち上げる。

introduction

沖縄県宜野湾市に本社を構え、デジタルマーケティング事業やITインテグレーション事業、ユーザーメディア事業や人材支援など、幅広い事業を展開する株式会社プロトソリューション。その中でも、シェアサイクル事業「CYCY(サイサイ)」はとくにSDGsと関わりの深い事業です。

今回は、シェアサイクル事業をはじめるきっかけやその取り組み、今後の課題まで「CYCY(サイサイ)」の事業責任者である佐々木様にお話を伺いました。

モビリティ分野でSDGsに取り組みたくて事業を提案

-シェアサイクル事業「CYCY(サイサイ)」について教えてください。

佐々木さん:

「CYCY(サイサイ)」は電動アシスト自転車のシェアサイクルサービスです。アプリから自転車を予約し利用、HELLO CYCLINGのロゴのあるステーションに返却、という流れでご利用いただけます。

-自転車のシェアというのは新しいですね。この事業を始めたきっかけを教えてください。

佐々木さん:

沖縄県の交通渋滞の解消と二酸化炭素排出量の削減を同時に達成したいと思ったからです。
沖縄県は1人1台車を所有する家庭も少なくないほどの車文化です。年中暑いので徒歩5分の距離でも車に乗る人が多いですね。そのため慢性的にひどい交通渋滞が発生しています。一方、世界全体では二酸化炭素削減が声高に叫ばれている。こんな状況に違和感を感じ、事業として何かできることがあるのではないかと思ったのです。
私たちは「グーネット沖縄」というクルマ情報メディアを運営するなど、昔からモビリティ関連の事業を手掛けていました。このノウハウを活かしながら、SDGsとの関連が深いシェアリングエコノミー※と自転車を掛け合わせた「シェアサイクル事業」で解決できるのではと思いついたわけです。

シェアリングエコノミーとは

インターネットを介して個人と個人・企業等の間でモノ・場所・技能などを売買・貸し借りする等の経済モデルです。(シェアリングエコノミー協会より

-SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標13「気候変動に具体的な対策を」などに関連しますね。車社会で自転車事業を展開するというのはハードルが高そうだと感じました。

佐々木さん:

そうですね。ただ、自転車のシェアサイクルという文化がないだけで需要はあるのではという直感がありました。「沖縄で新しい文化を創る」という意気込みで、社内に提案し、シェアサイクル事業をスタートさせました。

スマホで簡単にシェアサイクル

-サービスの利用方法について詳しく教えてください。

佐々木さん:

「HELLO CYCLING」という全国展開しているプラットフォームを活用しています。スマートフォンにアプリをインストールし、クレジットカードと紐づけすればすぐに利用できます。利用料金は15分100円、12時間1,800円(※2022年4月時点)です。

-手軽な値段設定ですね!自転車は全部で何台あるんですか?

佐々木さん:

現在、約300台の自転車を稼働させ、自転車を借りたり返したりするスポットであるステーションは100ヵ所にのぼり、その場所は地図上からすぐに確認できます。返却はどこにでも行えるので近くのステーションを探していただければ。

-地図上にたくさん載っているピンク色のサイは、サイサイのキャラクターなんですね。

佐々木さん:

はい。サイのある位置が、ステーションの場所です。現在は那覇市中心部に集中していますが、どんどん範囲を広げていきたいですね。ちなみにこのキャラクターの名前はまだ決まっていないので、愛称募集中です(笑)

シェアサイクルを交通インフラに

-事業の進捗はいかがですか?

佐々木さん:

先ほどの通り、沖縄には自転車文化が無いので、開始当初はかなり苦戦しましたが、徐々に浸透し始めていると実感しています。私の親戚からも「自転車を見るようになったね」と声をかけられました。

-どのような方が利用されているんですか?

佐々木さん:

利用時間帯別の数値を見ると、地元住民の方が朝夕の通勤で使ってくださっているケースが多いのかなと思います。また長距離利用よりも、短距離・短時間移動で利用するユーザーが多数で、30分以内の移動が約7割を占めています。話を伺う限りでは、ある場所までバスを利用したのちシェアサイクルを挟んで、また別の公共交通機関に乗るといった感じでも使われているようです。

-車を運転していた方が、シェアサイクルに乗り換えたというケースもあるのでしょうか?

佐々木さん:

嬉しいことに、そういうお声もいただいております。那覇市は交通渋滞がすごいので、時間帯によっては車よりも自転車のほうが目的地に早く着くことができます。そういった意味でもメリットが大きいのではと感じます。スーツや、「かりゆし」という沖縄産の服を着て運転されているユーザーもよく見かけますね。

観光客の利用も増やしていきたい

-沖縄には観光客も多いと思いますが、その方もシェアサイクルを利用できるのでしょうか?

佐々木さん:

もちろん可能です。現状は地元の方の利用が多いですが、今後は観光客の方の利用も加速していきたいです。そのためHP上に、グルメや街並みを楽しむプラン、沖縄の歴史やパワースポット巡りのプランなど、おすすめサイクリングコースの提案をしています。

佐々木さん:

那覇市は面積も広くないので、15分もあれば自転車で2、3kmほどの距離を移動できます。車で移動するよりも小回りが利いて、すぐに目的地に到着するはずです。
地元住民、観光客にかかわらず、交通インフラとして活用してもらえるようにサービスを提供したいと考えております。

渋滞緩和の為に、自治体と協力してステーションの拡大を目指す

-最後にシェアサイクル事業の課題や展望を教えてください。

佐々木さん:

自転車やステーションの数やスペースがまだまだ十分ではないという点が挙げられます。「自転車を停めるスペースが足りず返却できない」ということがあると、お客様は困ってしまいますから。そのため、需要と供給のバランスを見ながら行政とタッグを組んで少しずつ増やしていきたいですね。

-具体的な数値目標はありますか?

佐々木さん:

まずは自転車を1,000台まで増やしたいですね。2022年の4月から90台を納入しましたので、今後は300台を運用できる体制になる予定です。

-当初の目的の一つである交通渋滞の緩和に関してはいかがでしょうか?

佐々木さん:

まだまだだと感じます。CYCYの利用者を増やすためには、さらに認知度をあげていく必要があると思います。人が多く集まる場所にステーションを多く設置するなど、実際に目にしてもらう機会を増やすのが一番だと考えます。県民の皆様に渋滞緩和を実感いただけるよう、事業を拡大していきたいです

-本日はありがとうございました!

株式会社プロトソリューション CYCY(サイサイ)事業 関連リンク

CYCY(サイサイ) protosolution.co.jp/cycy/

シェアリングエコノミー協会 sharing-economy.jp/ja/