#インタビュー

株式会社アースアンドウォーター|節水とは水を生産すること 社会貢献と経費削減を同時に実現

株式会社アースアンドウォーター 佐々木さん インタビュー

佐々木 一樹

1985年1月19日 福岡県福岡市生まれ。愛知県名古屋市に移り住み、幼少期を過ごす。中学校を卒業し、ミュージシャンの夢を追いかけながら工事現場の仕事に就き毎日を過ごす。しかし20歳の時、父の死を受けその毎日が一変する。もともと父と6歳離れた弟との3人暮らしをしており、悲しみに暮れながらも残された兄弟2人で生活していかなけれならない状況に。そしてミュージシャンの夢を諦め、親代わりとして弟を育て、生活を安定させる為に通信設備工事の株式会社エムケイシーに入社。10年勤めたところで更なる向上を目指し退職をする。その後、2014年3月株式会社アースアンドウォーターに入社、2021年12月に発足された「SDGs推進委員会」の委員長に就任。社内外共にSDGsを通して社会貢献を目指している。

introduction

節水装置の製造・販売・レンタルを行う株式会社アースアンドウォーター。設立時から社会貢献を経営理念としており、節水を通して水道料金の削減と環境保護に取り組んでいます。

今回はアースアンドウォーターの佐々木さんに、同社独自の取り組みや、節水への思いについてお話を伺いました。

設立時の思いは「節水を持続可能なものに」。

–はじめに事業内容について教えてください。

佐々木さん:

弊社は節水装置の製造・販売とレンタルを行っている会社です。取り扱っている節水装置は国内では唯一、省エネ大賞を受賞しているものです。

2011年4月からの累計節水量は4,055万㎥に上ります。これは東京ドーム32個分相当の水の量です。

–莫大な量の節水を実現してきたのですね。そもそも節水装置の販売は分かるのですが、なぜ、レンタルを始められたのでしょうか?

佐々木さん:

「節水業界を変えたい」という思いからです。節水業界は、これまで『売りっぱなし』の業態が一般的でした。水量を削減する節水装置を蛇口に取り付けたらそれで終わり。

その後、継続的に削減量がどうなっているかという検証を多くの業者はしていませんでした。

また、シャワーヘッドや水栓を交換したら同時に節水装置もなくなり、節水効果もなくなってしまっている施設様も多くありましたので、節水の維持管理にも対応する為でした。

–せっかくお金をかけて装置を買っても、効果を感じられていなかったのですね。

佐々木さん:

はい。きちんと節水管理ができていれば効果は出るにも関わらず、売りっぱなしの状態では節水効果を維持することが難しい状況でした。

ですから、弊社は節水を持続可能なものにするため節水業界にレンタル+メンテナンスというセットの仕組みを持ち込みました。

–「売って終わり」ではなく、節水を長く続けていく仕組みを作ったのですね。

佐々木さん:

そうです。導入した後も定期的に装置の機能をチェック・メンテナンスすることによって、節水効果を検証し、その効果を維持・継続されている事を見える化した節水効果レポートを提供しています。

最大90%の節水効果も。普及のカギは変わらぬ使用感

–取り扱っている製品についても詳しく教えてください。どんな特徴があるのでしょうか。

佐々木さん:

はい。弊社の節水装置の特徴は蛇口の場合、先端に取り付けて使用する水栓タイプですが、最大の特徴は水流に空気を取り込む機能で水勢とボリューム感をUPすることにより、使用感を変えることなくご利用いただけます。

さらに特許を取得した「水量を調整できる」機能もあり、30〜90%の節水を実現する優秀なものです。

–そんなに節水できるんですか。どういう仕組みになっているんでしょうか。

佐々木さん:

例えばホースから水を流しているとき、出る水の量を変えずに遠くへ飛ばそうとすると、ホースの先端を摘まんで水の勢いを上げますよね。原理はこれと同じです。

節水装置にはいくつかが開いており、この穴の数で水量を調整して勢いよく蛇口から水を出すことが可能になります。

<蛇口用節水装置「エコタッチ」>

–水の量は減らしつつ、使用感はそのままということですね。

佐々木さん:

そうです。これまでは、節水をすると水の勢いが弱くなってしまうので、現場では「業務に支障が出て困る」という声がありました。その点、弊社の節水装置は水の勢いやボリュームを担保しているため喜ばれています。

また、使用時に懸念される「水ハネ」も対策できている仕様になっていますので使い易さと衛生面でもお客様から高評価を頂いております。

–どのようなお客様が節水システムを利用されているのでしょうか?

佐々木さん:

ホテル・旅館、病院、福祉施設、スーパーマーケットなど業種は多岐に渡ります。現在、約8,500施設以上の取引をさせていただいていますが、そのうちレンタルでのお客様は約3,700施設です。

–多くのお客様に選ばれているのですね。

佐々木さん:

はい。節水装置を買い取りした場合、一度取り付けた装置はそのまま使い続けて、徐々に劣化していくことが一般的ですが、弊社のレンタルであれば定期や随時メンテナンス時に滅菌加工済みの再生した良品な装置に取り替える対応をしていることで安全と安心を提供しています。

買い取りのお客様にもオプションでメンテナンスさせていただいています。

–導入後のメンテナンスやケアをすることで「作る責任」「使う責任」も果たしているのですね。

佐々木さん:

はい。劣化する度に新たな節水装置を取り付けていた従来の取り組み方では節水装置の廃棄する量が増え続け、さらには資源の無駄使いに繋がります。

そこで、衛生面にも十分に配慮したリユースを推進する「サスティナブル節水システム」で廃棄率を下げてSDGsの「作る責任」「使う責任」に取り組んでいます。

業界初の取り組み『CO2排出削減活動証明書』の発行

–株式会社アースアンドウォーターは他にもSDGsの取り組みにはかなり力を入れていらっしゃるということで、その内容について具体的に聞かせてください。

佐々木さん:

はい。節水によって水光熱費の削減は当然ですが、節水によるCO2削減にも取り組んでおり、企業の経費削減と環境保護の両方に貢献しています。

弊社で行っている取り組みは現在、日本SDGs協会から17のうち6つの目標で認定をいただいています。

<株式会社アースアンドウォーターのSDGs事業認定証>

–6つも!すごいですね。節水でCO2削減ができるのですか?どういうことでしょうか。

佐々木さん:

例えばシャワーのお湯の量を減らすと、お湯を沸かすために必要なガスや重油などの熱源も削減できることになります。

また、水道水を作るとき、使うとき、下水として処理するとき、全ての過程で電気で稼働している設備が使われています。使う水の量が減ればこの設備の稼働率が下がって、稼働に必要な電力使用量の節約にも繋がりますので、CO2が削減できます。

–使う水やお湯の量が減ることで、燃料の節約ができる。しかもCO2削減に繋がっているとは知りませんでした。

佐々木さん:

実は今までも節水すればCO2の排出量が減ることは理論上分かっていたのですが、どのくらい減っているのかを知る方法はありませんでした。

弊社ではそれを数値化で見える化して、お客様へ『CO₂排出削減活動証明書』を発行しています。これは業界では弊社にしかない独自の取り組みです。

<CO2排出削減活動証明書(例)>

–「これだけCO2を削減できています」という証明書がもらえるんですね。数値で可視化されると、節水しがいがありそうです。

佐々木さん:

そうです。もっと節水を普及し、地球温暖化対策であるCO2削減を加速させる為に2021年10月からは新しい取り組みを始めています。

それは、節水で削減したCO2の量を弊社独自の計算方法でポイント換算し、それを現金化して継続的に寄付するというものですが、日本赤十字社やウォーターエイドジャパンといった社会貢献活動を行っている慈善団体に寄付させていただいています。

–CO2を削減することで社会貢献もできるということですね。

佐々木さん:

そうなんです。弊社は設立時から経営理念に『社会貢献』を掲げているので、節水によるCO2削減で社会貢献プロジェクトに取り組んでおります。

SDGsをきっかけに、節水業界に再び注目が集まる

–SDGsに取り組むことになった背景はどういったものだったんでしょうか。

佐々木さん:

もともと設立当時から、事業として節水やCO2削減には取り組んでいました。ですからSDGsの目標を見たら、すでに自分たちがやっていることじゃないかと思ったんです。

–「SDGsに取り組もう」ではなく、「やっていたことがSDGsに当てはまっていた」ということですね。

佐々木さん:

はい。どちらかと言うと、もともとやっていた取り組みがSDGsによってバージョンアップされたと感じています。

–世間の節水に対するイメージも変わってきたのではないでしょうか?

佐々木さん:

そうですね、まだまだこれからですが、SDGsも盛り上がってきたことで節水の認知が上がり、お客様にも事業の内容を理解していただきやすくなってきたと思います。

–SDGsの普及が後押しとなったということですね。お客様からの反応はいかがでしょうか。

佐々木さん:

弊社の節水を導入することで経費削減ができて直ぐにSDGsにも取り組めますので、「こんなにいいものはない」とお客様には大変喜ばれています。

–確かに、「SDGsに取り組む」というと、設備投資で経費がかかるのではという心配をする会社は多そうです。

佐々木さん:

弊社であれば「コストをかけずに経費削減で利益を生みながらSDGs」ができます。

節水事業を世界へ広げ、未来へ水を残していきたい

–最後に、今後の課題や展望について教えてください。

佐々木さん:

まず課題は、「節水がCO2削減に繋がる」ということを社会に認知させることです。

他の節水業者さんにも『CO2排出削減活動証明書』を利用いただくために、一般社団法人日本節水協会や一般社団法人カーボンオフセット協会との連携を通して業界全体で「節水=CO2削減」を打ち出していきたいです。

–確かに、節水でCO2削減ができるというのは、教えてもらって初めて気づくことかもしれません。

業界一丸となってそれを啓蒙していきたいということですね。

佐々木さん:

はい。業界全体で節水が社会に貢献できることを全国に広めていきたいと思っています。

また今後は、日本から世界へ目を向けていきます。世界では水不足で困っている人々や、一日をかけてきれいな水を汲みに行く生活をしているようなお子さんもいます。

水は生命が生きていく上で必ず必要なものですので、無駄な水を削減する節水は、その大事な命を守ることに繋がります。

<生活に使える水は全体の0.01%しかない>

–世界でも節水は大切な取り組みなのですね。

佐々木さん:

はい。海にはたくさんの水がありますが、私達の生活で使える水はそのうちの0.01%で、実はものすごく限られたものです。

このままいけば、何十年か後の未来に水が足りなくなると言われています。ですから、節水とは限りある水を未来へ残すことなんです。

–今、節水をすることが、貴重な水を次の世代に手渡していくことになるのですね。

節水の大切さがとてもよく分かりました。本日は貴重なお話ありがとうございました。

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