飯田 百合子
日本航空外国人乗員コーディネータ、東京ディズニーシー建設プロジェクトでのランゲージスペシャリスト、同時通訳を経て国際ビジネスサポート・コンサルティング会社を起業。
国内外大手グローバル企業への専門人材派遣ビジネスサービス立上げのほか、日系大手IT/エンジニアリング企業の海外新規事業開発、米国やマレーシア企業の日本進出を成功させる。
海外での再生可能エネルギープロジェクト、特殊ウォーターサーバー事業にも参画、2018年にフィルズの前身であるボトルトを創業。
2022年、同サービスをフルリニューアルし、さらに環境とビジネスの両立を目指す。
国際NGOプランジャパンインターナショナル評議員、日本大学土木工学科非常勤講師。
慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科修士。
目次
Introduction
株式会社フィルズは、飲食物の中身だけを販売したいお店と、自分の容器を使って中身だけを購入したい消費者を結びつけるサービスを展開しています。プラスチック容器を使わないことで、二酸化炭素の削減にどれくらい貢献できたかを数値化し、お店が発信できる仕組みも作っています。
今回は、CEOの飯田さんにサービス内容や今後の展望について伺いました。
スマホと容器を準備するだけで簡単にサービスを利用できる
–まずはサービス内容を教えてください。
飯田さん:
商品のパッケージフリーの実現を目指した、飲食物の中身だけを売れる・買えるサービスです。消費者は繰り返し使える容器を持参し、フィルズの提携店として登録されている飲食店から中身のみを購入できます。
–サービスを思いついたきっかけを教えてください。
飯田さん:
私はマイボトルを持ち歩いているのですが、外出中に中身がなくなると、ペットボトル飲料を購入し、ボトルに補充することに矛盾を感じていました。
また、コーヒーショップなどではマイボトルを推奨していますが、それ以外にも様々な飲み物を好きな量買えるサービスがあったらいいなと思っていたのです。
さらに、飲食店では紙ストローなどプラスチックの代わりになる製品の導入コストが大きな懸念点となっているという声も耳にしました。
そこで、飲食店側にも消費者にも負担がかからず、ポジティブにプラスチックの削減ができる仕組みとしてフィルズのサービスを思いついたのです。
従来の常識にとらわれないクラフトビールやお湯なども販売中
–ここからは、実際にフィルズのサービスを使ってみたいという方に向けてお話を伺っていきます。利用できる店舗はどこにありますか。
飯田さん:
首都圏を中心に、福井県、京都府、大分県などの全国の飲食店が参加しています。フィルズのWEBアプリからお店を探すことができますよ。
商品はWEB上で購入でき、お店でスマホの「購入完了画面」を提示して容器を渡せば、受け取れる仕組みです。
また、使用済みの容器をお店で洗浄して、新たに中身を入れてもらうこともできます。1日で同じ容器を繰り返し使う場合でも、安心してご利用いただけます。
–実際にどのような商品をパッケージフリーで購入できるのでしょうか。
飯田さん:飯田さん:
コーヒーや紅茶などに加えて、アルコールを扱う飲食店も登録されているのでビールなども購入できます。
–マイボトルでビールを楽しむのは斬新ですね!他にも珍しい商品はありますか。
飯田さん:
お湯を販売しているお店もいくつかあります。健康志向の女性や男性が白湯として購入したり、小さいお子さんを連れている方がミルク用に利用いただいたりしています。
–街中でお湯を調達するのはなかなか難しいので、このようなサービスがあると便利ですね!
飯田さん:
ありがとうございます。一般的にまだマイボトルでのテイクアウトが主流ではない飲み物も扱うことで、様々なお店や消費者が繋がるきっかけを作っています。
「量」と二酸化炭素の削減量を見える化
–世の中にはマイボトルの持ち込みOKのカフェも増えてきましたが、フィルズのサービスの違いはどんな点ですか。
飯田さん:
購入する際に飲み物のS・M・Lではなくミリリットルの「容量」で選択できるという点です。
–マイボトルに合わせてぴったりサイズをすぐに選択できるということですね。
飯田さん:
S・M・Lなどのカップサイズは、お店によって規格が変わり、マイボトルで購入しにくいのではと考えました。
そこで、飲食店には180ml、450mlなどの単位で出品して頂き、消費者もWEBアプリ上で選べるようになっています。
–お客様からの反応はいかがですか。
飯田さん:
量が指定できて、必要な分だけ買えるのはとても喜ばれていて「ずっとこんなサービスが欲しかった」といった声が寄せられています。
また、容量だけではなく、二酸化炭素削減量も見える化されています。例えば240mlのドリンクをマイボトルで購入した場合、「プラスチック容器と比べて11.52gの二酸化炭素を削減できた」といったデータがお店側と消費者側に伝えられる仕組みになっているのです。
–お店側はどれだけ社会に貢献できたかを発信できますし、消費者側もエコなお店だと認識できますね。
飯田さん:
はい。お店からは「社会貢献に繋がる活動ができてうれしい」といった声も頂いていますよ。
「中身だけ」はフードにも広がっている
–WEBアプリを拝見すると、フードの提供をしているお店もあるのですね。
はい。例えば、今提供しているフードメニューの中にけんちん汁があります。お昼ご飯のために持ってきた容器を利用して、会社帰りにけんちん汁を買って帰れるというように、お昼ご飯、晩ご飯にも活用して頂ける仕組みです。
–フードも量り売りだと、自分のお気に入りの容器で、好きな量買えるのが良いですね。
飯田さん:
そうですね。フードをマイ容器で提供する仕組みは日本ではまだ珍しいですが、今後はさらに増やしていこうと考えています。「飲み物が出せるなら、スープやカレーもパッケージフリーで販売できるんじゃないか」と考えているお店も多いんです。
様々な飲食店と協力しながら、中身だけを買うのが当たり前になる時代を作っていきたいですね。
街ぐるみで、みんな一緒に楽しく続けられる取り組みを計画中
–今後実現したいことはありますか。
飯田さん:
環境に対する意識が高いお店だけでなく、今まで環境問題に興味がなかったようなお店も巻き込んでいけるように、会社として裾野を広げる活動をしたいと思っています。そのためにイベントも開催しています。
–どのようなイベントがありますか。
飯田さん:
2022年4月から8月まで、アースデイ東京と日本財団と一緒に、詰め替え用品の利用促進を目的とした「アースデイリフィル大作戦※」を実施中です。
また、横浜や渋谷を中心に、オフィス街の人たちに利用してもらえるサービスの展開も計画中です。
さらに、リゾート地、商店街でのマイボトルやマイ容器の推進イベントを行いたいとのお声も頂いているので応えていきたいですね。
–他の団体とパートナーシップを実現して、多くの取り組みを行う予定なのですね。私も参加してみたいなと感じました!
飯田さん:
ありがとうございます。今年(2022年)はお得なキャンペーンを発信する準備もしているので、ぜひ気軽に社会貢献活動に参加して頂けると嬉しいです。
–最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
飯田さん:
フィルズには、首都圏を中心に全国の飲食店が登録しています。今後もさらに展開していく予定ですので、全国で多くの方に利用していただけたら嬉しいですね。
環境問題に取り組む各店舗の協力はもちろん必要ですが、今後は地域を巻き込みながら、みんなで一緒に楽しんで取り組めるような仕組みを作りたいです。
–「みんなで楽しく」がポイントになりそうですね。
飯田さん:
フィルズのプラットフォームに参加したい方、イベントをやってみたいと考えているお店の方、地域全体で行動を起こしてみたいと考えている方は、ぜひご連絡ください。
–今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。