#インタビュー

株式会社Fluffy Ket|「子ども・子育て支援✕エンターテインメント」ベビーシッターサービスをもっと気軽に必要な人に!

株式会社Fluffy Ket 代表取締役社長 伊藤さん インタビュー 

伊藤 梨沙子
1996年2月生まれ小学校4年生の頃から芸能活動を始め、「おはスタ」のおはガールとしてレギュラー出演。その後もドラマ「イタズラなKISS」や「アトムの童」などで女優としての道を歩みながら、19歳からベビーシッターとしても活動。
芸能活動を行いながら今年春に【子ども・子育て支援×エンターテインメント】を掲げた新規ベビーシッターサービス株式会社Fluffly Ket(フラッフィーケット)を立ち上げる。

introduction

欧米諸国では、ベビーシッターを自宅に呼ぶことはよく見る光景ですが、日本ではまだ抵抗のある方が多いかもしれません。

そんな状況を打破するために、株式会社Fluffy Ket(フラッフィーケット)では、歌のおにいさんおねえさんのようなエンターテイナーが子ども達のサポートをし、楽しませてくれるベビーシッターサービスを展開しています。

今回は芸能活動をしながら、ベビーシッターの経験や資格も持つ代表取締役社長の伊藤梨紗子さんに、起業のきっかけや運営する上での思いなどをお聞きしました。

エンタメシッターが子どもを楽しませながらサポートする、 エンターテインメントを取り入れたベビーシッターサービスとは

–はじめに株式会社Fluffy Ket の御紹介をお願いいたします。

伊藤さん:

令和5年4月、大学の同級生だった合田友とともに創業した株式会社Fluffy Ketは「子ども・子育て支援✕エンターテインメント」をコンセプトに、ベビーシッティングをご希望のお客様とベビーシッターを繋げるマッチングプラットフォーム型ベビーシッターサービスを展開する会社です。Fluffyは英語で「ふわふわした」、KetはブランケットのKetで、私達が子ども達をそばで見守り、時には温かくふわふわと包み込む、そんな存在でありたいと名付けました。

他のベビーシッターサービス会社と大きく異なるのは、通常の保育サポートだけでなく「読み聞かせ・ダンス・ごっこ遊び」など、本格的なエンターテインメントをお子さんに楽しんでいただけることです。

というのも、この会社は「子育てを頑張っている方々の応援をしたい」という気持ちでつくりました。通常の保育サポートでももちろん応援はできますが、それに加えて子ども達に寂しい思いをさせないことも大切だと考えています。ご家族のいない時間をできるだけワクワク楽しんで過ごしてもらうためにも、エンターテインメントを前面に強く押し出したベビーシッターサービスを提供するようになりました。

《株式会社Fluffy Ket 公式YouTube紹介動画》

弊社ではベビーシッターを「エンタメシッター」と呼び、現在約26名が登録しています。エンタメシッターの多くは芸能活動をしており、声優・俳優・ダンサーなど特別なスキルを持っているんです。

–では、具体的に御社のベビーシッターサービスのメニューをお聞かせください。

伊藤さん:

現在、自宅保育・食事補助・外遊び・お泊まり保育・送迎など、お子さんの基本補助はすべておこなっています。担当エンタメシッターの都合が合えば24時間サポート可能です。

これまでベビーシッター業界では、ベビーシッティングと家事代行が混同されていることが多く、子どもの面倒を見ながら洗濯・掃除・料理などを請け負う会社もありました。しかし、今は子どもの安全がより重視され、サポートが第一になっています。安全性を確保しながらできること、例えば子どもと一緒に洗濯物をたたむとか、ご飯をレンジで温めるくらいのことだけが可能です。従って、当社でもその基準に則ってサポート業務に携わっています。

その中でエンターテインメントを提供するために、各エンタメシッターには芸能活動で磨いている個々のスキルを発揮してもらっています。声優であれば本格的な読み聞かせ、歌手であれば歌を聞かせたり一緒に唄ったりします。俳優もいるので、その場合は本気のごっこ遊びなどを取り入れ、家に歌のおにいさんやおねえさんが来てくれたような、遊園地に遊びに行ったような楽しい時間を過ごしてもらっています。

また、予約の前日や当日に発熱してしまったときなどは、看護師の資格を持つエンタメシッターがうかがってサポート出来るようにしています。

–魅力的なサービスですね。ユーザーはどのようにサービスを活用するのでしょうか?

伊藤さん:

ベビーシッターの予約から請求まで、すべてLINEで行います。

お客様には弊社のLINEに登録してもらい、予約の日時やご要望等を入力していただきます。弊社はそれを確認し、当日都合の合うエンタメシッターをお客様に提示して、その中から一人選んでいただく、という流れです。

エンタメシッターの情報は弊社サイトからご覧いただけますが、載っている情報は一部です。ご依頼後、ご家族にエンタメシッターを複数名提案する際に、それぞれの詳細なプロフィールをお送りしています(サポート中の動画やエンタメシッターのスキルなど)。写真のみの紹介をしている会社が多い中、動画も掲載しているのは、お客様により相性の良いエンタメシッターを選んでいただきたいという思いから始めました。

《登録されているエンタメシッターの方々》

エンタメシッターを選んでいただいた後、当日までにお客様と30分ほどのオンライン面談を実施します。その際、エンタメシッターはアレルギー、投薬、平熱などお子さんの情報や、サポート中に入ってはいけない部屋など細かいヒアリングをするんです。

また、業務報告もガイドラインで決められていますので、ご家族に【完了報告】としてサポート中のお子様の様子などをサポート終了後にお送りしています。

特に乳幼児については細かい報告が義務付けられていて、5分ごとに上向きか、横向きで寝ているか、呼吸は正常かなど逐一報告をします。

エンターテインメントの力で子どもの感性を育てるベビーシッティング

–エンタメシッターさんは細かいサポートからエンターテインメントまでこなすのですね。エンタメシッターに登録してもらう方々にはどのように声掛けをしているのですか。

伊藤さん:

今のところ一般的な公募はしていません。

私と執行役員の合田が卒業した大学の学部には、芸能活動をしている学生がたくさんいます。そこで創業前に大学で説明会を開催し、弊社のコンセプトや思いを説明しました。

現在はベビーシッターは無資格で働けますが、令和6年11月からは資格や決められた研修を修了していないと働けなくなります(資格または研修いずれか1つ以上)。ガイドラインも厳しくなっていますので、それをきちんとクリアした上でやりたいと思う方は応募して欲しいと声をかけました。

この他にも、芸能の仕事の共演者などにも声をかけています。

命と家の鍵を預かる仕事ですから、責任は重大です。そのため、エンタメシッターの時給も高めに設定しています。

でも、エンターテインメントの部分は時給にプラスしていません。その理由は、エンターテインメントはお金では測れない価値だと考えているためです。

それでもエンタメシッターは、自分の得意なスキルを磨きながら子ども達と楽しい時間を共有し、子どもの感性を育てるということに価値を見出し、納得して登録してくれています。

ですから、お客様が支払う料金は他の一般的なベビーシッターサービスとほぼ変わらないと思います。

今は芸能活動をしている方と看護師の資格のある方だけですが、今後は子育て経験のあるママさんや、絵を描くのが得意、お裁縫が得意な方など、幅広く登録してもらえるようにしたいと考えています。

–サービスを利用されているのはどのような方々なのでしょうか。

伊藤さん:

基本的には、エンターテインメントを期待してご予約いただく方が多いですね。

特に休日は、「いつも忙しく体力的にもきついので真剣に子どもと遊べない」、「思いっきり子どもと鬼ごっこやかくれんぼなどで遊んで欲しい」という依頼がよくあります。

いつもお忙しい方々には、仕事や家事、育児で手一杯になってしまう前に、「一緒に遊んで欲しい」というような気軽なご依頼で良いので、私達にお手伝いをさせて欲しいと思っています。

読み聞かせのレベルが異次元すぎるベビーシッター

–実際に依頼があった、特徴的なご要望などありましたら教えていただけますか。

伊藤さん:

時々あるのが、キッザニアやディズニーランドで子どもと遊んで欲しいというご要望です。ディズニーランドにとても詳しいエンタメシッターがいるので、園内のガイドから子どものサポートまで行い、その間にご家族にはゆっくり食事などしてもらえるようにしています。

また、小学校受験をするお子さんのサポート依頼もありました。これは、受験する際のお子さんだけの面接で、臆することなく話ができるようにして欲しいという内容です。

このご依頼に対しては、舞台俳優のエンタメシッターが「面接ごっこ」を考え、楽しんで面接を受けられるようにサポートしました。なるべく多くの大人と話せるように、毎週違ったエンタメシッターがうかがって面接ごっこと、実技の折り紙やお絵描きも楽しみながら練習をしました。

その結果、引っ込み思案だったお子さんが、今日は誰が来るのかと楽しみにしてくれるようになったんです。

他には、サッカーを習っているお子さんがもっと楽しさを感じられるようにして欲しいという要望もありました。

ダンサーのエンタメシッターがヘディングなどサッカーの技を取り入れたダンスを考え、お子さんと一緒に振り付けの練習をし、発表会として撮った動画を帰宅したご家族に見てもらいました。それからはサッカーの練習も楽しくでき、ダンスも習いたいと言ってくれたんだそうです。

このように、エンタメシッターが子どもの可能性を引き出してくれたと感謝されることが多くあり、とても嬉しく思っています。

忙しい家族を応援し、子どもを取り巻く問題解決の力になりたい

–では、芸能活動をされている伊藤さんが、なぜベビーシッターの会社を作ろうと思われたのでしょうか。

伊藤さん:

私は10歳から芸能の仕事をしていますが、19歳のときに同業の友人の紹介でベビーシッター会社に登録し、仕事を始めました。

それまでに俳優の仕事でも子どもを相手にする役などしましたが、どう接してよいかわからないこともあり、良い機会だと思ったんです。

また、芸能活動をしながら他の仕事をするのは、撮影の時間が読めなかったり、急なオーデションや仕事が入ったりするのでとても大変です。その中でベビーシッターは、自分で働く時間やタイミングを決められるので働きやすかったこともあります。

実際に働いてみて、ベビーシッターの仕事に歌やダンス、ごっこ遊びを取り入れると子ども達はすごく喜んでくれました。そして自分自身もエンターテインメントを提供しながら一緒に楽しめましたし、なによりやりがいを感じていました。

しかし登録していた会社では、シッター同士や会社とのつながりが殆どなく、相談したいことがあってもできなかったんです。

急な芸能の仕事で、やむを得ず予約をキャンセルしなければならないこともあり、知り合いもいないので代わりの人を探すこともできません。そして、何と言ってもお客様にご迷惑をかけるのが心苦しかったですね。

ペナルティーとしてお金を支払わなければならないことも、大学生だった頃は大変でした。

それならば横のつながりを大事にし、いざというときは助け合い、仕事の情報も共有できる会社を作ろうと思ったんです。

弊社では急なキャンセルでも皆事情がわかるので、代わりに誰かが入るようなシステムにしていますし、もちろんペナルティもありません。

また、芸能界で働く人を多く見てきましたが皆忙しく、時間も不規則なために子どもと関わる時間がなかったり、いつも疲れていたりする方が多いと感じていました。

そんな忙しい方達の応援をしたいと思ったのも会社設立のきっかけです。

–ベビーシッター事業をされていて、子育てをする方々や子ども達を取り巻く社会の問題を実感されることはありますか。

伊藤さん:

子どもに関わる職業に就く人の犯罪歴がわからないことは問題だと思っています。国によっては報告の義務がありますが、日本ではまだありません。

会社としては業務停止命令や犯罪歴がないかを確認し、署名してもらいますが自己申告にとどまっています。

また、監視カメラ取り付けの義務もありませんので、現在は希望者だけご家族側にカメラの設置をお願いしています。

これは弊社の課題でもありますが、公園や屋外では監視カメラは付けられないので、胸元にカメラを付けるなど対策が必要だと考えています。

また、大きな問題である出生率ですが、この仕事をしていて感じるのは、このままでは上がらないだろうということです。共働きをしているご家庭は、あまりにも忙しく子どもを持つことが難しいと感じているはずです。

日本人は、自分が大変なときでも他人に頼ることが少ないように思います。他人に頼ることに罪悪感を持ってしまうのではないでしょうか。罪悪感を持たずに気楽に頼れる人やサービスの提供と、意識を変えるきっかけの必要性を実感しています。

アメリカでは、州によっては12歳以下の子どもを一人にすることは法律で禁じられています。対して日本では、やむを得ず子どもが一人になることは多いですよね。そこで起こってしまう事故や犯罪を防ぐためにも、ベビーシッターサービスの普及が必要だと考えます。

最初の利用は少しハードルが高いかもしれません。でも、ご自身やご家族がパンクしてしまう前に、「自分の時間を確保するため」、「夫婦の時間を作り息抜きをするため」、おじいちゃんおばあちゃんに孫を預けるような感覚で利用していただき、少しでも力になれたら嬉しいです。

–では最後に今後どのように事業を展開していきたいか展望をお聞かせください。

伊藤さん:

まず、まだまだ日本では普及していないベビーシッターサービスを知っていただき、もっと気軽に利用していただけるようにしたいです。

そのために、体験会のイベントを実施したり、SNSでエンタメシッター一人ひとりを紹介したりなど、PR活動にも力を入れていきます。

《【TOKYO女性と子どものフェスティバル】でエンタメシッターが演劇と歌を披露》

さらに芸能関係のお子さんのサポートサービスを考えています。

芸能界で働く方々の負担を少しでも減らし、お子さんたちにも楽しい時間を提供できるように、例えば楽屋や撮影現場近くでのサポートなどができればいいと思います。

また、子役として仕事をしているお子さんのサポートも、芸能活動をしているエンタメシッターならば可能です。例えば、一緒にレッスンに付き添い、内容やお子さんの課題をご家族に報告したり、急なオーディションに付き添ったり。ご家族が仕事で対応が難しい際のサポートもできます。

助けが欲しいときにいつでも使っていただける気軽なサービスから、私達だからこそ出来るサービスのご提供まで幅広く展開していきたいと考えています。

そしてエンタメシッターも色々な方々に登録していただけることを目指していきたいです。

–本日は貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

株式会社Fluffy Ket :https://fluffyket.studio.site/

株式会社Fluffy Ket公式Instagram :https://www.instagram.com/fluffy__ket/

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