【SDGs】日本の取り組みを時系列に沿って紹介!|取り組み事例も

2015年からスタートしたSDGsですが、最近は企業だけでなく個人にも広がりを見せています。これは、これまでの政府や企業、団体の取り組みが、個人のSDGsに対する意識を変えたと言えます。

では、現在に至るまでにSDGsはどのような経緯で広まり、全国の人々に浸透していったのでしょうか。

この記事では、日本政府の取り組みを時系列に沿って説明します。さらに、自治体や企業の具体的な取り組みも紹介するので、自分たちがSDGsに取り組む時の参考にしてください。

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

SDGsとは?まずはおさらいからスタート

取り組み内容をより深く理解するために、まずはSDGsの内容をおさらいしていきましょう。

すべての人が取り組める目標

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略語であり、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年9月に行われた国連総会にて、全加盟国一致で決まりました。「環境・社会・経済の問題を解決し、だれ一人取り残さない世界にするために、みんなで協力しよう」という内容です。

そのために2030年までに達成したい目標を17個掲げ、それぞれの目標を達成するために「何年までに、どの位の数値を目指すか」を段階的に示したターゲット169個で形成されています。

経済も重視した内容へ

これまで国際的な目標というとどちらかというと慈善活動的なイメージがありました。それに対してSDGsは「利益をだしながら、良いことをしよう」というのが異なる点です。そのため、今まで資金面の問題で参加が難しいとされていた中小企業も、積極的に取り組めるようになりました。

実際に中小企業の参加も増え、日本でも広がりを見せているSDGs。世界全体での取り組みということで、日本の立ち位置も気になるところです。そこで次は、世界から見た日本のSDGs達成度と順位を見ていきます。

日本の達成度は世界18位

【全世界193加盟国 SDGs達成度ランキング】

 

ドイツのベルテルスマン財団が発表した「Sustainable Development Report (持続可能な開発報告書)2021」によると、日本の達成度は193ヶ国中の18位です。2020年の17位に対して、1つ順位を落とす結果となっています。しかし、点数としては前年の79.2点から79.8点と上がりました。

点数は上がったにも関わらず順位を落としてしまった原因としては、ほかの加盟国もそれだけ真剣に取り組んでいるということでしょう。現に、前年は19位であったクロアチアが14位になり、23位だったポーランドは15位と大きな飛躍を見せています。

そして、日本の現時点でのSDGs達成度は以下の通りです。

【日本のSDGs達成度】

図の見方

達成 課題を残す 重要な課題を残す 多くの課題を残す

達成、もしくは順調に軌道に乗っている ↗︎ 改善しつつある  停滞  低下

17個ある目標のうち達成しているものは3つです。全体的に見れば、達成するにはまだまだ改善が必要ではありますが、順調に推移していることを表す緑の矢印も目立ちます。

その一方で多くの課題を残す目標は、

  • 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • 目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • 目標14「海の豊かさを守ろう」
  • 目標15「陸の豊かさも守ろう」
  • 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

の5つ。

その中でもとりわけ目標15「陸の豊かさも守ろう」は前年よりも悪化しています。これは、生き物が生活する上で必要とされる、陸地と内陸にある川や湖などの水面の平均面積の減少が原因と言われています。

このように、日本の課題は山積みです。とはいえSDGs誕生から現在まで、政府を中心に目標達成に向けて取り組んでおり、次第に企業や個人も積極的に参加するようになったことで、3つの目標達成につながりました。

では具体的に日本政府は、過去にどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。次では時系列に沿って取り組み内容を見ていきましょう。

日本政府の取り組みを時系列に沿って説明

日本では目標を達成するために、以下の取り組みを行ってきました。

【日本政府のSDGsに関する取り組み】

年代取り組み内容
2016年5月SDGs推進本部設置
2016年12月SDGs実施指針決定
2017年6月ジャパンSDGsアワード創設
2017年12月SDGsアクションプラン2018決定第1回ジャパンSDGsアワード表彰
2018年6月2018年6月 SDGs未来都市選定

どれも目標を達成するにあたって、鍵となる重要な取り組みです。それぞれの取り組みが、どのような役割を果たしているのか時系列に沿って1つずつ見ていきましょう。

【2016年5月】 SDGs推進本部設置

2015年に行われた国連総会にてSDGsの採択後、日本政府が最初に行ったことは、中心となって動く機関の設置でした。2030年までに17の目標を達成するためには、国民全員の協力が不可欠です。そして、全員をまとめるためにはリーダーや専門機関の存在が重要となります。

そこで2016年の5月に「SDGs推進本部」を設置。総理大臣が本部長を、官房長官と外務大臣が副本部長を務め、その他の閣僚が構成員としてSDGsの取り組みを進めていきます。

また、推進本部が設置されたもう1つの理由として、同月に開催される伊勢志摩サミットも関係しています。

サミットとは

G7サミットとは、日、米、英、仏、独、伊、加7か国の首脳並びに欧州理事会議長及び欧州委員会委員長が参加して開催される首脳会議です。ウクライナ情勢を受けたロシアのG8への参加停止により、2014年以降G7サミットとなっているものです。

G7伊勢志摩サミット公式ホームページ

伊勢志摩サミットはSDGs採択後、初めての行われるG7の会議です。各国の首相が集まり、議題には保健や女性の活躍など、SDGsに関する内容も含まれていました。

日本は、伊勢志摩サミットを万全の体勢で迎えるために、最初の取り組みとしてSDGs推進本部を設置したのです。

SDGs推進円卓会議

SDGs推進本部が立ち上げられた後、SDGs推進円卓会議が開催されました。この会議はSDGsの達成に向けて意見交換を行う場となっており、年に2回行われています。

会議のメンバー構成もSDGsの考え方に沿ったものとなりますが、どのような点に留意されたでしょうか。

さまざまな団体が参加

総理大臣を本部長として設置されたSDGs推進本部ですが、政治家のみの構成で進めると偏った取り組み内容になる可能性があります。SDGsは多くの人が協力して取り組むことに重きを置いているため、政治家以外にもさまざまな専門家に意見を聞くことが必要です。

そのため、多くの意見が聞けるようにSDGs推進本部の下には

  • 行政
  • NGO・NPO
  • 有識者
  • 民間センター
  • 国際機関
  • 各種団体

などといった団体や機関を集結。

その後、2016年5月20日に「SDGs推進円卓会議」が開催され、始めに日本が目標を達成するために、着手しなければならない取り組みの方向性を示す「SDGs実施指針の策定」が行われました。

【2016年12月】 SDGs実施指針決定

その後、12月に行われた2回目の会議で、SDGs実施指針は正式に決定。

実施指針は以下の、

⑴普遍性

⑵包摂性

⑶参画性

⑷統合性

⑸透明性と説明責任

の5つの主要原則から成り立っています。

5つの主要原則

(1)普遍性

目標を達成するための取り組みは国内だけでなく、国際協力の両方を意識することが大切です。SDGsは「だれ一人取り残さない」世界を目指しているので、互いに助け合うことも重要と考えられています。さらにこの2つは、日本にとって以下の意味を持ちます。

  • 国内での取り組み:国際的な目標達成への貢献
  • 国際協力:支援国だけでなく日本にも有意義な意味を持つ

両方を意識して取り組むとメリットがあることが分かりますね。

(2)包摂性

包摂性では、弱い立場の人々に焦点を当てています。

ここでの立場の弱い人とは

  • 女性
  • 子ども
  • 若者
  • 障害者
  • HIV/エイズと共に生きる人
  • 高齢者
  • 先住民や移民
  • 難民や国内避難民

などです。

SDGsでは「平和の持続」と「持続可能な開発」は深く関わっていると考えられています。誰一人取り残さない平和な世界にするためには、弱い立場にある人の保護と能力強化が重要な鍵となってくるのです。

また包摂性には、ジェンダー平等やジェンダー視点の主流化が含まれています。ジェンダーの課題はSDGsと深く関わっており、避けては通れません。解決策として、あらゆる男女別データの把握が重要となってきます。

(3)参画性

SDGsの目標達成には、全員が協力することが大切です。一定の人が頑張るだけでは、大きな成果は得られません。日本に暮らす国民1人ひとりが当事者だという自覚を持ち、行動へ移す必要があります。

そのため主要原則の普遍性には、SDGsを全員参加型の取り組みにすることを目的とした、下記の考え方が含まれています。

  • 目標達成を拒む障壁を取り除く
  • すべてのステークホルダーや当事者の参画を重視
  • 当事者の視点や思考を、施策に反映させる手段を考え実行する

包摂性でお伝えしたような立場の弱い人も含め、誰一人として取り残さない持続可能な社会の実現に欠かせない考え方です。

(4)統合性

「環境」「社会」「経済」の課題すべてを関連付けて見ることを意識し、相互の関連性と相乗効果を重視しなければなりません。そのためにも掲げられたすべての目標とターゲットを統合して考え取り組むことが重要です。

1つの目標を重視する一方で、他方の目標へ悪影響を及ぼしてしまえばSDGsの達成が遠のいてしまいますよね。そのため、すべての目標との関係性を意識して取り組むことが求められています。

(5)透明性と説明責任

政府は国民に対して、取り組み内容や状況の透明性と説明責任を果たさなければなりません。ゴールだけを伝えても、現在どういった状況で、ゴールまでどの位あるのか分からないと国民も不審を抱くかもしれません。

そういったトラブルを防ぐためにも、政府は取り組みの実施状況を定期的に評価・公表し、説明責任を果たすことになっています。なお、新しい取り組みの立案や修正に関しては、公表した評価の結果を踏まえて行う決まりです。

5つのPと関連させ、8つの優先課題を設定

SDGs実施指針では、上記の5つの主要原則に加えて、解決すべき優先課題を8つ設定しています。この8つの優先課題は「2030アジェンダ」が掲げる5つのPと関連付けて8つの優先課題を設定しました。

2030アジェンダとは

SDGsの前身であるMDGsの課題を受けて設定された指針のようなもの。

「2030アジェンダ」は、ミレニアム開発目標(MDGs)が達成できなかった事業に取り組む一方で、三つの側面、すなわち経済、社会および環境における持続可能な開発をバランスの取れた、統合された方法で達成することを目指す。

国連広報センター「2030アジェンダ」

つまり、SDGsはこの2030アジェンダの方針に沿って進めていくものになります。

ここに掲げられた5つのPとは、

  • 人間:People
  • 繁栄:Prosperity
  • 地球:planet
  • 平和:peace
  • パートナーシップ:partnership

です。

この5つのPと日本の8つの課題との関連性は下記の通りになります。

【8つの優先課題】

People 人間1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2 健康・長寿の達成
Prosperity 繁栄3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
Planet 地球5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
Peace 平和7 平和と安全・安心社会の実現
Partnership パートナーシップ8 SDGs 実施推進の体制と手段

その他にも、下記の内容が書かれています。

  • モニタリングやフォローアップ、レビュー
  • 協働・連携の推進
  • 広報・普及啓発活動の実施

また、項目ごとに関連するステークホルダーとの意見交換の際に利用する関連施策リストも作成しました。

具体性に欠けるとの指摘も

このリストは日本全体でSDGsを推進するために作成されたものですが、「関連した取り組みを並べているだけで具体性に欠ける」との指摘もありました。これはSDGsが、課題を総合的に取り上げていることが理由です。

さらに実施指針では、取り組み同士の整合性の保ち方や不整合な部分の対応方法にも触れていません。曖昧な部分を残し始まった日本のSDGsへの取り組みですが、翌年の推進会議から具体的に2つの取り組みが発表されます。それが「ジャパンSDGsアワード」と「アクションプラン」です。

この2つの取り組みは、今後日本がSDGsを進めていく上で、重要な役割を果たします。次の章ではそれぞれが、どのような内容か見ていきましょう。

【2017年6月】ジャパンSDGsアワード創設

2017年の6月には「ジャパンSDGsアワード」が創設されました。2015年のSDGs採択以降、少しずつSDGsに取り組む団体や自治体、民間企業が現れ、なかには素晴らしい取り組みを行っている所もあります。そういった団体を表彰し、周りの参考になるようにという思いから始まりました。

この考え自体はSDGs推進円卓会議の初期から出ていましたが、実現したのは第3回の推進本部の時です。ジャパンSDGsアワード創設後は、毎年年末になると素晴らしい取り組みを行った団体が発表されています。選定における評価基準、SDGs実施指針で登場した「5つの主要原則」です。

受賞内容として、

  • SDGs推進本部長賞(内閣総理大臣賞)
  • SDGs推進副本部長賞(内閣官房長官賞・外務大臣賞)
  • SDGsパートナーシップ賞

が用意されました。そして、記念すべき第一回SDGs推進本部長賞を受賞したのは、北海道下川町になります。

では、北海道下川町がどのようなSDGsの取り組みを行っているのか見ていきましょう。

北海道下川町の取り組み

引用元:下川町


第一回「ジャパンSDGsアワード」にて総理大臣賞を受賞した北海道下川町は、人口約3,400人、高齢比率39%の小規模過疎地域になります。また、子どもも少なく少子高齢化が進んでいる地域です。

「下川町自治基本条例」と呼ばれる独自の条例をもとに「持続可能な地域社会の実現」を目指し、以下の3つに取り組みました。

  • 経済:森林産業の構築
  • 環境:地域エネルギー自給と低炭素化
  • 社会:超高齢化対応社会の創造

町の9割を森が占めている下川町では、昔から林業や森林産業が盛んに行われてきました。それを活かし持続可能な森林経営を中心に、

  • 適正な木材
  • 木製品の生産と供給
  • 森林の健康や教育への活用
  • 未利用森林資源の再エネ活用
  • 再エネ熱供給システムを中心としたコンパクトタウン

などを推進しています。

上記のような取り組みを進めていくことで、下川町は「誰もが活躍の場を持ちながら、良質な生活を送ることのできる持続可能な地域社会」を実現しました。現在では少しずつ移住してくる人も増え、過疎化に歯止めがかかりつつあります。

続いては、SDGsアクションプラン2018の決定について確認しましょう。

【2017年12月】SDGsアクションプラン2018決定

ここまで見てきたように、SDGs実施指針で日本の全体的な方針と8つの解決すべき課題が決まりました。次に必要なのは具体的な施策です。

そこで2017年のSDGs推進本部会合では、「SDGsアクションプラン」が発表されました。SDGsアクションプランは、政府にとって中心となる計画であり、具体的な施策が示されたものになります。

【2018年のSDGsアクションプランの決定事項】
  • SDGsと連動する「Society 5.0」の推進
  • SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
  • SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

この3つを柱として、さまざまな活動に取り組んでいきます。ではもう少し踏み込んで、3つの柱の内容について見ていきましょう。

SDGsと連動する「Society 5.0」の推進

1つ目の柱である、「SDGsと連動する『Society5.0』の推進」は、主に経済界と科学技術イノベーションの強化を目的としています。さらに、企業が実践、守るべき項目である経団連「企業行動憲章」の改定を指示し、民間企業の取り組みを強く後押ししました。

そのほかにも、

  • ベンチャー企業への支援を含む「SDGs経営推進イニシアティブ」
  • 投資促進の仕組みづくり
  • SDGsのための科学技術イノベーション
  • 推進に関する国際ロードマップ作成
  • Society 5.0を支えるICT分野の研究開発の推進

なども検討されました。また、この柱では「破壊的イノベーション」という言葉がよく見られますが、これは「従来の市場競争の基準を壊し、新しい基準をもたらすイノベーション」という意味です。

SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり

2つ目の柱は「各自治体のニーズや強みを活かして、SDGsに取り組んでいこう」という内容です。これまで日本は、首都圏への一極集中による地方の衰退化が課題として挙げられていました。そこで歯止めをかけるべく、2014年に地方の活性化を目指した「地方創生」と呼ばれる政策が立ち上げられます。

そして2015年にSDGsが採択されたことで、「地方創生」にSDGsの手法を加え、より大きな効果をもたらそうとしたのです。つまり、日本全体を活力あるものにするために、この柱が掲げられています。

また、当時、東京オリンピックやパラリンピックを控えており、

  • 環境問題
  • 人権
  • 労働
  • 公正な事業慣行
  • 情報発信

などに取り組み、持続可能に配慮した大会運営をしていこう、といった方針が定められました。運営を通じて持続可能性を重視する姿勢を社会に定着するように促すことが狙いです。

SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメント

3つ目の柱は「次世代と女性」に注目して立てられました。しかし、「働き方改革や女性の活躍促進を着実に実施していこう」と言ったものの、国内政策の目玉となる取り組みはこの時点では出ていません。

国際的な面では、ユニバーサル・ヘルス・ガバレッジ(UHC)の推進へ向けて、今後約29億ドルの支援を行うことが発表されました。UHCとは「全世界の人々が経済的な問題で、保健医療のサービスを受けられないことがないようにしましょう」という内容の目標です。

しかし、国内のUHCの課題と直結していることは、2017年時点では示されることはありませんでした。

そのほかの取り組みは、以下のものがあります。

  • 働き方改革によるテレワークの推進
  • 女性の活躍推進のための、なでしこ銘柄やえるぼしマークの表示
  • 途上国における女性起業家の支援
  • SDGsの達成に資する人材育成の強化

などが挙げられます。

さまざまな取り組みが挙げられていますが、その中でも注目なのが「なでしこ銘柄」「えるぼし認定マーク」です。

なでしこ銘柄

「なでしこ銘柄」とは、政府が東京証券取引所と協力し、女性活躍推進に力を入れている企業を「中長期の成長力」のある優良銘柄として、投資家に紹介する取り組みです。以下のような表示がされています。

このように女性活躍推進に力を入れていることを表すマークは多く、なでしこ銘柄のほかにも「えるぼし認定マーク」が存在します。

えるぼし認定マーク

えるぼし認定マークは、女性が活躍しやすい職場づくりのために、決められた基準をクリアし、活躍促進の状況が優れた企業が認定されます。

評価は4段階に分かれており、より優れた取り組みを行っている企業には「プラチナえるぼし認定」が贈られます。(プラチナえるぼし認定マークは、令和2年6月から始まりました)

国内施策の目玉となる取り組みは2017年時点では発表されていませんが、さまざまな工夫をし取り組んでいることは事実です。

SDGsアクションプランはその後毎年策定されるように

2017年から開始したSDGsアクションプラン2018は、その後毎年策定されるようになります。

翌年に行われたSDGsアクションプラン2019では、前年の内容をベースに第1の柱である「SDGsと連動する『Society 5.0』の推進」に含まれている「中小企業におけるSDGsの取り組み強化」を強調。これまでの取り組みによって、大企業や業界団体にはSDGsが浸透してきたため、次のターゲットとして中小企業に焦点が当てられたのです。

また、科学技術イノベーションの中には、国際的なリーダーシップの発揮を目指す方向も示されています。

さらに、第2の柱には「海洋プラスチックごみ対策を含む持続可能な海洋環境の構築」が新たに仲間入りしました。

SDGsアクションプラン2020では、副題を「2030年の目標達成に向けた『行動の10年』の始まり」と設定。これもアクションプラン2018をベースに「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、

  • 個々の能力強化や保護
  • 環境問題
  • 地方創生

などに取り組む内容となっています。

このようにアクションプランが設定されたことで、目的や達成方法が明確になったことで取り組みの土台ができ、自治体や団体、民間企業が取り組みやすくなりました。

特に自治体は「SDGsアクションプラン2018」に「SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり」が掲げられた事で、地域独自の事業を展開しています。

具体的には次で説明する、SDGs未来都市が関連するので詳しく見ていきましょう。

【2018年6月】SDGs未来都市選定

「SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり」と言われても、具体的な事例が少ないため、各自治体がどのように進めていけば良いのかわからないということが懸念されました。

そこで立ち上げられたのがこの「SDGs未来都市」です。

SDGs未来都市とは?

SDGs未来都市と

SDGsの取り組みを行っている地方自治体のなかでも、より先進的な事業を展開している都市を選定する制度。

毎年約30団体が選定されています。

SDGs未来都市に選定されると、有識者からアドバイスをもらいながら取り組みを進められるメリットがあります。

さらに、SDGs未来都市の中でも特に優れた取り組み内容の10都市は「自治体SDGsモデル事業」に選ばれ、支援として補助金を受け取れます。その補助金を利用してモデル事業を行うことで、取り組みを加速させられるのです。

SDGs未来都市が与える効果

人口減少や地域経済の縮小は多くの自治体が抱える課題ではありますが、「山間部」「海沿い」など、地域の特色によって取り組み方は異なります。

そのため、複数のSDGs未来都市が選定される事で、似た立地や環境で取り組みを進める自治体が参考にしやすくなるのです。

2018年の初回は、以下の自治体がSDGs未来都市に選ばれました。

【全国のSDGs未来都市】

青がSDGs未来都市、緑が自治体SDGsモデル事業を含む未来都市です。全国各地で取り組んでいるのがわかります。さらには毎年50を超える自治体から応募があり、全国的な関心の高まりが伺えます。

SDGs未来都市は、すべての人や自治体に良い影響を与え、好循環な社会が育ってゆくのです。

ここまでは、日本の取り組みを時系列に沿ってお伝えしてきました。一度に理解するのは難しいかもしれませんが、おおまかな流れがわかったところで、次は日本が目標ごとに、どのように取り組んでいるのか見ていきます。

日本の目標ごとの取り組み

日本はSDGsの目標を達成するために、下記の5つに力を入れています。

  • 教育
  • 保健
  • 女性
  • 防災
  • 海洋環境

どれも各目標と密接に関り、見逃すことのできない項目です。また、この5つは、日本が今まで体験して得たデータや技術が活かされる目標でもあります。培った技術を利用し、世界の国々を助ける、又は目標達成に向けて協力することも可能です。

では、1つずつ具体的な内容を見ていきましょう。

教育

SDGs実施指針には「弱い立場にある人の保護と能力強化」も含まれています。能力強化の一環としても、教育を受けることは大切です。日本政府が2015年に発表した「平和と成長のための学び戦略」にも、教育の重要性とすべての人が受けることのできる基本的な権利と示されています。

国民1人ひとりの能力向上のために、日本が取り組むべき課題として、

  • 無償の初等・中等教育の普及
  • 男女の平等な教育機会の確保
  • 質の高い技術教育・職業訓練および大学を含む高等教育への平等なアクセス
  • 持続可能な開発のための教育
  • 学習環境の改善
  • 読み書き能力および基本的計算能力の向上
  • 教員の質の向上
  • 奨学金の普及
  • 障がい者や少数民族・子どもを含む脆弱な人々への配慮など

が挙げられました。

課題解決の方法の1つとして、日本では「学び合いを通じた質の高い教育の実現」を目指します。

また、日本以外の人も平等に教育が受けられるように、教育分野において中心的な役割を果たすUNESCOや国連児童基金(UNICEF)などといった、国際機関との連携も強化しています。とくに開発途上国の教育問題は複雑化しており、協力体制が課題解決の鍵となるのです。

保健

SDGsの中でも、とくに主要な目標として位置づけられている保健。平和でより良い暮らしを送るためには外せない分野です。それは、日本のみならず世界にも共通します。日本と世界の保健問題に向き合うべく、日本は2015年に「平和と健康のための基本指針」を発表しました。

内容としては「日本の保健・医療分野における知識を使い、世界と連携してUHCを達成しよう」という意味になります。これまで日本は、数々の保健問題を解決してきた課題解決の先進国です。その時々で培った知見や技術を活かし、課題を抱える世界の国々を支援できます。

以上のことから日本は、「平和と健康のための基本指針」をもとに国際機関と協力し、誰一人取り残されない世界の実現を目指します。

女性

世界的課題として度々取り上げられているジェンダー平等や女性の権利。SDGs目標5にも定められており、すべての目標を達成するためにも必要不可欠だと言われています。そして、先進国の中でもジェンダー・ギャップ指数が最下位の日本は、とくに真剣に取り組まなければならない課題と言えるでしょう。

課題解決のために発表された「女性の活躍推進のための開発戦略」の基本原則は、

  • 権利の尊重:女性の基本的な権利の確保と脆弱な状況・立場の改善
  • 能力発揮のための基盤の整理:いかなる環境下において、女性にも多様な選択肢があり、自分で選択する自由がある。その選択によって、より良い暮らしができるように支援
  • リーダーシップ:社会のあらゆる場面で女性が意思決定に参画し、さまざまな意思決定や政策立案の場で反映されるように支援

上記3つが柱となっています。

【女性の活躍推進のための開発戦略の基本原則】

国内でも、女性のライフサイクルを通じた継続的な生活支援や女性にやさしいインフラ整備など、市民社会と協力して取り組んでいます。また、国際的にも重要な目標の1つとされているため、国際協力の一環として開発途上国での職業訓練支援や女子教育の強化なども行われています。

防災

日本は、世界的にも自然災害の多い国と言われています。これまでも、東日本大震災など数々の自然災害を経験してきましたが、その度に全員で協力し立て直しています。災害で得た経験は知識として蓄えられ、防災対策や技術の向上にもつながりました。

過去の災害から学んだ日本は、防災・援助・災害復旧の技術を国際協力に活かし、災害に負けない強靭な社会づくりを目指します。

2015年に行われた第3回国連防災世界会議では日本がホストとなり「仙台防災枠組み2015-2030」を共同議長国として取りまとめました。この時日本は、独自の取り組みとして「仙台防災協力イニシアティブ」を表明します。これは2015-2018年の間に、4万人の人材育成と40億ドルの資金協力を行うという内容です。

さらに2019年には「仙台防災イニシアティブ(フェーズ2)」を発表。以下のような取り組みを発表しました。

2019-2020年までに達成・80ヶ国の防災計画策定
・改定を支援
・行政官や地方リーダー計4万8千人の人材育成
・防災教育
2019-2022年までに達成途上国の500万人以上に対する支援を実施

防災先進国として、今までの経験を活かした内容です。日本は独自の取り組みを掲げ「誰もが安心して暮らせる災害に強い世界の強靭化」に貢献していきます。

海洋環境

島国である日本は、古くから海の恩恵を受けて生活してきました。しかし、最近では海洋環境の悪化が深刻な問題となっています。代表的なものが「海洋プラスチックごみ」の問題です。また、この問題は日本だけでなく世界全体で考えなければならない問題とも言えます。

2019年に大阪で開かれたG20では海洋プラスチックごみ問題に触れ、各国の首相に協力を呼びかけました。また、このサミットでは「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」をG20首相とて支持すると同時に「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の共有も行われています。

これはプラスチックの役割を認識しつつ、管理の誤ったプラスチックごみの流出を防ぎ、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染を0にすることを目指すビジョンです。

ビジョン実現のため日本政府は、

  • 廃棄物管理
  • 海洋ごみの回収
  • イノベーションの推進
  • 途上国の能力強化

上記の内容を支援していく「マリーン・イニシアティブ」が立ち上げられました。また、サミットでは安倍総理(当時)が「2025年までに、廃棄物管理人材を1万人育成する」と約束しています。現在も日本では、G20で決定した内容をベースに、海洋環境改善へ向けてさまざまな取り組みが行われています。

SDGsの達成には官民連携が鍵

ここまで政府が主体となって進めてきた取り組みを見てきました。どの取り組みもSDGsには大切なものであることがわかりますが、抱える問題の規模が大きいため、国だけの力では解決されないことも明らかです。自治体も同様に、どれだけ素晴らしい事業計画を立てたとしても、実行するにはさまざまな団体や企業と協力する必要があります。

そこでSDGsで求められているのが、企業や団体、教育機関さらには個人まで、みんなで協力し合う「官民連携」の姿勢です。

とはいえ、これまで官民連携はスムーズに行えないなどの課題もありました。そこで、連携しやすいような施策が開始されますが、そのなかでも地方創生を促進するための画期的なプラットフォームが登場したので紹介します。

地方創生SDGs官民連携プラットフォームの登場

地方創生SDGs官民連携プラットフォームは「挑戦したい取り組みがある」「自治体の課題を解決したい」など困っている会員と、その悩みに対して力になれる会員をつなぐマッチングサービスになります。

このプラットフォームには、下記の3つのメリットがあります。

普及促進活動

プラットフォームに登録している会員が、主催するイベントの情報をメールで受信・発信できます。気になる会員が、どのような解決策やノウハウを持っているのか確認する方法として最適です。手助けする側は、どういったことができるかアピールになります。

マッチング支援

地方創生SDGs官民連携プラットフォームについて

プラットフォームのデータベースに、

  • 会員が実現したいこと
  • 抱える課題
  • 会員が持つノウハウ

がまとめられており、自由に閲覧できます。

入会時のアンケートやマッチングシートを利用した、マッチングのサポートも可能です。また、プラットフォーム主催のマッチングイベントにも参加できます。

分科会開催

会員同士で集まり、共通の分野または異分野についての意見交換を行えます。会員の分科会設置や参加は自由です。話し合うことで、取り組みへの具体化や異分野連携、官民連携等が起こります。これにより、地方創生に向けて新しい取り組みが誕生するでしょう。

手厚いサポートが用意された地方創生SDGs官民連携プラットフォームは、官民のつながりの強化や取り組みの促進、SDGsに取り組む自治体の増加に繋がることが分かりました。では、実際にプラットフォームでマッチングした、自治体の取り組み事例を見ていきましょう。

【取り組み事例】一般社団法人こども食堂支援機構

埼玉県の一般社団法人こども食堂支援機構では、非常食を購入すると寄付ができる企画を立ち上げました。それを埼玉県が一般企業に宣伝することによって、企業の購入を促進。企業が購入すると、災害時に非常食を被災者へ配るため街の防災強化にもなります。

また、味自体もおいしく作られており、賞味期限が近い非常食は子ども食堂に寄付されました。これにより、廃棄コストやフードロス、プラスチックごみの削減にもつながっています。

そして、今回の取り組みによってSDGsの以下の目標を達成しました。

こども食堂支援機構は、団体の強みである”食”を活かしてSDGsに取り組みました。さらに、自治体や企業と連携し取り組んだ結果、環境・社会・経済の改善に成功しています。これからSDGsに取り組むのであれば、得意分野を活かし、周囲とパートナーシップを結ぶことが目標達成の鍵ではないでしょうか。

まとめ

SDGsは、現在抱えている「環境」「社会」「経済」の問題に、世界全体で向き合う方法として誕生しました。日本も目標を達成するために、数々の取り組みを行っています。みんなが協力して目標を達成するためにはリーダーが必要だと考え、最初にSDGs推進本部を設置しました。

その後、取り組み内容を示すSDGs実施指針が決定。総理大臣や閣僚で編成された推進本部と国際機関や有識者などが集まり、SDGs推進円卓会議で意見交換が行われました。円卓会議では、2つの発表がされるようになります。素敵な取り組みを行った自治体を発表するジャパンSDGsアワードと、取り組みの方向性を示すSDGsアクションプランです。

さらに国民全員で協力し目標達成を目指すために、地方自治体にも焦点が当てられます。地方創生とSDGsに取り組む自治体の増加を狙ったSDGs未来都市の選定と、自治体SDGsモデル事業も始まりました。第1回の内閣総理大臣賞には、北海道下川町が選ばれています。

SDGs推進本部(政府)が方向性を決め、国民と協力しながら進めてゆく。SDGsの目標を達成するには、官民の連携が重要となってきます。一方だけの力では達成できません。

2021年現在、日本のSDGsの達成度は、193の加盟国中18位です。前年の17位から1つ順位を落としてしまいました。さらに、目標15「陸の豊かさも守ろう」に関しては、状態が悪化しています。さらには、目標未達成である14つを2030年までに達成しなければなりません。

今まで以上に、みんなが協力しなければ達成は難しいでしょう。特定の誰かが大きな取り組みを行うのではなく、1人ひとりが小さな取り組みをしましょう。私たちの行動1つで、未来は変わります。次の世代のためにも、できることから始めてみませんか。

参考文献
Sustainable Development Report
外務省「JAPAN SDGs Action Platform」
外務省「G7伊勢志摩サミット」
首相官邸「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」
蟹江憲史著「SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書」
外務省「第1回ジャパンSDGsアワードの結果 北海道下川町」
SDGs推進本部「SDGsアクションプラン2018~2019年に日本の「SDGsモデル」の発信を目指して~」
jica「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」
しょくばらぼ『女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」』
地方創生「地方創生SDGs・「環境未来都市」構想」
外務省「平和と成長のための学びの戦略~学び合いを通じた質の高い教育の実現~」
外務省「平和と健康のための基本方針」
外務省「女性の活躍推進のための開発戦略」
外務省「SDGs主要課題におけるG20議長国・日本のリーダーシップ<防災:仙台防災イニシアティブ(フェーズ2)>」
外務省「ODAと地球規模の課題」
外務省「G20大阪サミットにおける海洋プラスチックごみ対策に関する成果」

地方創生SDGs官民連携プラットフォーム「一般社団法人 こども食堂支援機構」