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くるみん認定企業とは?メリットや認定条件、取り組み事例も

くるみん認定

多くの企業にとって、人材の確保は大きな課題です。こうした中、仕事と育児の両立を図る取り組みを認定する「くるみん認定」を受ける企業が増えています。調査によると、くるみん認定企業の半数以上が「学生に対するイメージアップの効果があった」と回答していることが分かりました。くるみん認定は、採用活動に一定の効果をもたらしているのです。

この記事では、くるみん認定企業とは何か、えるぼし認定企業との違い、注目されている理由、メリット、認定されるための条件、現状、取り組み事例、SDGsとの関係について解説します。

目次

くるみん認定企業とは

くるみん認定企業とは、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けた事業主を言います。事業主は、次世代育成支援対策推進法に基づき、労働者の仕事と子育ての両立を図るための計画を策定して「一般事業主行動計画」(以下「行動計画」)にまとめ、都道府県労働局に届け出ます(常時雇用する労働者が101人以上の事業主は「義務」。100以下は「努力義務」)。そのうち、厚生労働省の定める基準に適合する事業主は自ら申請することにより、くるみん認定を受けることができます

くるみん認定の種類

くるみん認定には、「くるみん認定」「トライくるみん認定」「プラチナくるみん認定」と、これらの認定に付加する「プラス認定」があります。「くるみん認定」「トライくるみん認定」は10の認定基準、「プラチナくるみん認定」は12の特例認定基準を満たすことが必要です。「プラス認定」とは、不妊治療と仕事の両立を支援する企業を認定する制度です。くるみん認定とは別に設けられたプラス認定基準を満たすことにより、追加して取得できます。

なお、「くるみん」という愛称は、赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」や、「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で子どもの育成に取り組む、子どもが優しく「くるまれている」という意味が込められています。

くるみん認定を受けるための手順を示したのが、厚生労働省より発行されているパンフレットです。認定取得のための進め方が掲載されているので、詳しい内容について確認できます。パンフレット「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!!!」

くるみんマークについて

くるみんマークは、くるみん認定を受けると付与されるマークです。くるみん認定基準1~10を満たすことで付与されます。

くるみん認定

くるみん認定基準1~10を満たす

※くるみんマークは、くるみんの愛称の由来である「おくるみ」や、子どもが優しく「くるまれている」の意味を込めたデザインされています。

「くるみんマーク」をはじめ、「トライくるみんマーク」「プラチナくるみんマーク」とプラス認定マークは、共通して次のものに使用できます。

  • 商品、役務
  • 公告
  • 商品または役務の取引に用いる書類・通信
  • 営業所、事務所その他事業場
  • インターネットを利用した方法により公衆の閲覧に供する情報
  • 労働者の募集の用に供する広告または文書

上記のように社外でマークを使用することにより、子育てサポート企業であることをアピールすることが可能です。

トライくるみんマークについて

トライくるみんマークは、トライくるみん認定基準1~10を満たす企業に与えられるマークです。トライくるみん認定基準は、令和4年4月1日に改正された認定制度以前と同じ基準に設定され、現在のくるみん認定の一部の基準よりも緩やかに設定されています。

トライくるみん認定

トライくるみん認定基準1~10を満たす
※くるみん認定基準との違いは次の通り。カッコ内はくるみん認定基準。
・男性の育児休業等取得率が7%以上であること(10%以上)
・男性の育児休業等・育児目的休暇取得率15%以上であること(20%以上)
・男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表する必要はない(必要がある)

プラチナくるみんマークについて

プラチナくるみんマークは、くるみん認定より高い水準の取り組みを行っている企業が受けられるマークです。プラチナくるみん認定基準1~12を満たす必要があります。

プラチナくるみん

プラチナくるみん認定基準1~12を満たす
※くるみん認定基準との違いは次の通り。カッコ内はくるみん認定基準。
・男性労働者の育児休業等取得率が30%以上であること(10%以上)
・男性の育児休業等・育児目的休暇取得率50%以上であること(20%以上)
・男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することは不要(公表すること)
・子1歳まで継続して在職している者の割合が90%以上であること、もしくは子を出産した女性労働者および子を出産する予定であったが退職した女性労働者の合計数のうち、子の1歳誕生日まで継続して在職している者の割合が70%以上であること(くるみん認定にはない)
・育児休業等をし、または育児を行う女性労働者が就業を継続し、活躍できるような能力の向上またはキャリア形成の支援のための取組にかかる計画を策定し、実施していること(くるみん認定にはない)

プラス認定マークについて

プラス認定は、「くるみん認定」「トライくるみん認定」「プラチナくるみん認定」に付加して受けることのできる認定です。それぞれのくるみん認定基準に加えて、プラス認定基準を満たす必要があります。プラス認定を受けると、くるみん認定マークに追加して「プラス認定マーク」が付与されます。

くるみんプラス認定

トライくるみんプラス認定
プラス認定基準1~4を満たしている
プラチナくるみんプラス認定
特例プラス認定基準1~15を満たしている

くるみん認定企業とえるぼし認定企業との違い

くるみん認定企業とよく比較されるものに「えるぼし認定企業」があります。えるぼし認定企業とは、女性の活躍を推進する取り組みの状況が優良であると厚生労働大臣より認定された企業のことです。くるみんと同様に、行動計画を都道府県労働局に届け出た上で、一定の基準に適合する事業主は、自ら申請することにより認定を受けることができます。くるみん認定企業とえるぼし認定企業との違いは次の表の通りです。

■「くるみん認定企業」と「えるぼし認定企業」との比較

 くるみん認定企業えるぼし認定企業
認定対象企業子育てをサポートしている企業女性の活躍を推進する取り組みを実施している企業
根拠となる法律次世代育成支援対策推進法女性活躍推進法
目的次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される社会を形成すること女性の職業生活における活躍を推進することに加え、少子高齢化をはじめとした社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現すること
認定基準の一例「男性労働者の育児休業取得率の基準を満たしていること」ほか「男女別の採用における競争倍率が同程度であること」ほか
一般事業主行動計画の公表媒体両立支援のひろば女性の活躍推進企業データベース

くるみん認定企業は「子育てサポート」、えるぼし認定企業は「女性の活躍」と内容は異なりますが、いずれも働きやすい企業であることを示すことができる点では共通しています。

【関連記事】えるぼしとは?認定基準やメリット、申請方法をわかりやすく!

なぜくるみん認定企業が注目されているのか

くるみん認定企業が注目されている背景には、⑴少子化が急速に進む日本の現状と、その対策として⑵次世代育成支援対策推進法が制定されたことがあります。企業は、次世代育成支援対策推進法に定められた義務(努力義務)を守ることで、子どもの出生や育成の環境を整える責任を果たすことが求められています。

背景⑴少子化が進む日本

日本の総人口は、2021年10月1日時点で1億2,550万人です。そのうち15〜64歳までの生産年齢人口の割合は59.4%(7,450万人)と、世界の65.2%を大きく下回っています。さらに出生数は、第2次ベビーブーム(1971〜74年)から減少し、2020年には最低の84万835人を記録しました。[i]

■出生数およ合計特殊出生率の年次推移

(引用元:内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」第1章2)

また、1人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子ども数に相当する「合計特殊出生率」は1.33と、フランスの1.82、アメリカの1.64に比べて低いのが現状です。日本は急速な少子化を迎え、その対策が喫緊の課題となっています。

背景⑵次世代育成支援対策推進法の制定

少子化が進行している現状から、次世代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図る「次世代育成支援対策推進法」が制定されました。この法律には、次世代育成支援対策についての基本理念と、国による行動計画策定指針、地方公共団体、事業主による行動計画の策定などの対応策を推進することが定められています。

くるみん認定は、この次世代育成支援対策推進法に基づいて設立された制度です。次世代育成支援をより着実に、そして強固にしていくために、くるみん認定制度は大きな役割を果たしていると言えます。

企業の社会的責任を果たす

次世代育成支援対策推進法には、保護者が子育てについての第一義的な責任を有するという基本的な認識があります。これを実現するために企業に求められていることは、仕事と子育ての両立をサポートすることです。くるみん認定企業に選定された企業は、従業員に子育てをしやすい環境を提供し、社会的責任を果たすことができます。また、自社の取り組みを社外に発信して、信用できる企業として評価されるでしょう。くるみん認定企業は、法令遵守と社会的責任を果たしていることを分かりやすく示す1つの目印になります。

それでは、くるみん企業に選定されるとどのようなメリットがあるのでしょうか。次に見ていきましょう。

くるみん認定企業に選定されるメリット

くるみん認定企業に選定されるメリットは、主に4つあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構が2020年に実施した「次世代育成支援対策推進法の施行状況に関する調査」※の結果から分かるメリットと、政府が提供している助成金と優遇措置の制度を取り上げます。

※くるみん認定企業およびプラチナくるみん認定企業を対象にした調査(1,762件回収)

学生に対するイメージアップ

1つ目は、学生に対するイメージアップです。前述の調査で、くるみん認定の取得効果を聞いた結果、「学生に対するイメージアップ」が最も多く51.5%でした

■「くるみん」認定取得効果(n=1,762 MA)

(引用元:独立行政法人労働政策研究・研修機構「次世代育成支援対策推進法の施行状況に関する調査」)

また、「優秀な女性従業員の採用・確保ができるようになった」と答えた企業は26.6%と、3番目に多い回答となりました。くるみん認定は、新卒や女性従業員へのアピールポイントになり、採用を有利に進める材料になることがうかがえます。

顧客に対するイメージアップ

2つ目は「顧客に対するイメージアップ」です。先の調査では25.5%と、4番目に回答の多かった項目です。企業のイメージは、求人広告などの採用や社外取引などの場面に関わっていると考えられます。くるみんが、対外的な関係に効果を発揮している実態が浮かび上がります。

くるみん助成金を受けられる

3つ目は、「くるみん認定」「くるみんプラス認定」「プラチナくるみん認定」(プラチナくるみんプラス認定)を受けた中小企業(常時雇用する労働者が300人以下)は、「くるみん助成金(中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」を受けられることです。従業員の仕事と家庭の両立を図るために必要な雇用環境の整備に使う目的で、50万円を上限に助成金が支給されます。助成金の具体的な使用目的は次の通りです。

  1. 1労働者の育児休業等の取得を促進するための取り組み
  2. 労働者の子育てを支援するための取り組み
  3. 労働者の業務負担の軽減や所定外労働の削減などを図るための取り組み
  4. その他労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な取り組み

詳しくは、「くるみん助成金ポータルサイト」にて確認できます。

公共調達において加点評価が受けられる

4つ目は、各府省の総合評価落札方式や企画競争による公共調達において、「くるみん認定企業」「プラチナくるみん認定企業」「トライくるみん認定企業」は加点評価を受けられることです。

加点評価の具体的な内容については、各府省の調達情報を確認してください。

くるみん認定企業に認定されるための条件

くるみん認定企業になるためには、策定した行動計画の目標を達成するなどの一定の要件を満たした上で、必要書類を添えて申請する必要があります。またその過程で、各種のくるみん認定に応じた認定基準を満たさなくてはなりません。くるみん認定取得に必要な7つのステップを確認していきましょう。

ステップ1:自社の現状や従業員のニーズを把握する

仕事と子育ての両立に際して、障害になる事項や従業員のニーズを把握します。「妊娠・出産を機に退職する従業員の人数」「子育て中の従業員の数」などの現状を把握するとともに、「現在の支援制度に対する満足度」「仕事と子育ての両立で苦労している点」などを聞き出します。

ステップ2:行動計画を策定する

行動計画を策定し、⑴計画期間、⑵目標、⑶実施時期、⑷目標を達成するための対策とその実施時期を決めます。このときに、各種くるみん認定に定められた認定基準を満たすことが必要です。くるみん認定には、次の10項目の基準が設けられています。

■くるみん認定基準

認定基準1.雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと
認定基準2.行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること
認定基準3.策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと
認定基準4.策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること
認定基準5.計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率が10%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していることもしくは、計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて20%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること
認定基準6.計画期間における、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること
認定基準7.3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること
認定基準8.計画期間の終了日の属する事業年度において、フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること、月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと
認定基準9.次の①~③のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること①    所定外労働の削減のための措置②    年次有給休暇の取得の促進のための措置③    短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
認定基準10.法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと

策定方法の詳細やモデル行動計画については、厚生労働省「一般事業主行動計画の策定・届出等について」に公表されています。

ステップ3:行動計画を公表し従業員への周知する

行動計画を策定したら、策定日からおおむね3カ月以内に一般に公表します。公表方法は、厚生労働省が運営する女性の活躍・両立支援総合サイト「両立支援のひろば」や自社のホームページへの掲載などです。従業員には、掲示や配布、電子メールでの送付などにより周知します。

ステップ4:行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出る

行動計画を策定したら、策定日からおおむね3カ月以内に「一般事業主行動計画策定・変更届(様式第一号)」を郵送、持参、電子申請(https://shinsei.e-gov.go.jp/)のいずれかのにより、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に届け出ます。行動計画の添付は必要ありません。

ステップ5:行動計画を実施する

行動計画に掲げた目標を達成するために、対策を実施します。

ステップ6:計画期間終了後、都道府県労働局へ認定を申請する

計画期間が終了したら、「基準適合一般事業主認定申請書(様式第二号)」に必要書類を添付して、郵送、持参、電子申請のいずれかにより、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請します。必要書類には、策定・実施した一般事業主行動計画も含まれています。

ステップ7:「くるみん認定」「くるみんマーク」の取得

子育てサポート企業として認定を受け、くるみんマークを付与されます。

くるみん認定企業の現状

くるみん認定企業は、制度が始まって6カ月が経過した2007年9月時点で366社でしたが、2011年には1,219社、2014年には2,011社と数を増やしています。そして2023年9月末現在は、くるみん認定4,302社、プラチナくるみん認定589社、トライくるみん認定2社と、認定の取得が広がっています。※

少子化が進む日本では、企業の人材確保は大きな問題です。こうした状況の中で、企業がくるみん認定を取得すれば、学生や優秀な人材に自社の取り組みを知ってもらえる1つのきっかけになります。採用を有利に進め、従業員の定着を図る企業の武器として、くるみん認定を取得する企業は今後も増えていくでしょう。

※最新の状況は、厚生労働省「くるみん認定、プラチナくるみん認定及びトライくるみん認定企業名都道府県別一覧」で確認できます。

くるみん認定企業の取り組み事例

では、くるみん認定企業は、実際にどのようにしての取り組みを行っているのでしょうか。「女性の活躍推進や両立支援に積極的に取り組む企業の事例集」のデータベースから、2つの事例を取り上げます。

SCSK北海道株式会社(情報通信業)

北海道札幌市のSCSK北海道株式会社は、コンピューター・ソフトウェアの開発、販売を行う従業員数160名の企業です。2018年に「くるみん認定」を受けました。(2021年度取材時)

仕事と育児の両立支援に取り組むきっかけは、ライブイベントを機に退職する従業員が多かったことでした。最初は女性従業員が出産後も働き続けられる環境を目指してスタートしましたが、全従業員にとっても働きやすい職場づくりが実現できたと言います。

具体的には、年次有給休暇を100%取得できるように、バックアップ休暇(年5日)の未使用分を50日まで積み立て、介護や不妊治療、妊娠中の体調不良などに利用できる制度を作りました。また、資料の簡素化やIT化、会議の見直しなどを行っています。こうした働き方改革が進んだことにより、仕事と家庭の両立は当たり前になり、男性従業員も短くて数カ月の育児休業を取得しています

有限会社COCO-LO(医療、福祉)

群馬県桐生市の有限会社COCO-LOは、介護サービス事業、訪問看護ステーション、通所介護などを展開する従業員数97人の企業で、「くるみん認定」「プラチナくるみん認定」を受けています。(2020年度取材時)

仕事と育児の両立に取り組むきっかけは、採用面接時に「子どもが熱を出したときに休めますか?」とよく聞かれたことです。子どもが病気になったとき仕事を休むのは妻であり、女性の負担の大きさに驚いたと言います。家庭を一番に考えて仕事でも結果を残せる組織を作りたいと、さまざまな取り組みを行いました。

具体的には、勤務時間を柔軟にして、短時間でも働ける制度を作ったことです。また従業員のニーズに応えて、「保育参観休暇」「授業参観休暇」を増やし、有給休暇を充実させました。現在は離職率10%程度で推移し、応募者の質も高くなったと言います。

くるみん認定企業とSDGs

最後に、くるみん認定企業とSDGsの関係について確認していきます。くるみん認定企業は、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標8「働きがいも経済成長も」に関係があります。

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、家庭内での責任分担において、育児や介護、家事労働を認識し評価することが掲げられています。

くるみん認定企業は、育児休業などの取得を女性だけでなく男性にも広げて推進することが求められています。こうした育児の分担は、女性に偏りがちな負担を平等にすることが可能です。くるみん認定企業は、目標5の実現に貢献します。

目標8「働きがいも経済成長も」

目標8「働きがいも経済成長も」は、働きがいのある仕事を創出し、持続可能な経済成長を遂げることを目標にしています。

くるみん認定企業は、仕事と育児・家庭の両立を推進しています。従業員は子育てや家事をしながら安心して働くことができるため、仕事のモチベーションの向上にもつながります。働きがいがあれば応募する人も増え、企業の成長も見込めるでしょう。

まとめ

くるみん認定企業とは、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けた企業のことです。日本では、少子高齢化が急速に進んでいます。こうした状況の中、子どもが育成される環境の整備を図る次世代育成支援対策推進法が制定されました。くるみん認定制度は、この法律を根拠として作られた制度です。

くるみん認定企業の数は現在4,000社を超え、年々増加している状況です。調査によると、学生や顧客に対するイメージアップの効果があったと回答したくるみん認定企業の割合は多く、今後も取得企業は増えていくと予想されます。企業の社会的責任を果たす点からも、くるみん認定企業に選定されることは一定のメリットがあるでしょう。

※[i] 内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」第1章1