草川 研二
リクシルウォーターテクノロジージャパン デザイン新技術統括部兼SCO
新規事業PJにて、水まわり製品サービスのイノベーション創出活動を担当(2024年2月取材当時)。LIXILでの業務以外に複数の副業もしており、ライフワークバランスを取りながら両立している。
木下 有理
コミュニケーションズ部門のPMOとして、部門全体のサポートおよびチームビルディング研修等を含む育成に努めている。23年10月に1年の育児休暇から復帰し、現在子育てと仕事を両立中。
introduction
トイレやお風呂、窓やドア、エクステリアなど、私達の住まいに欠かせない製品やサービスを提供する株式会社LIXIL。
「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を実現するために、日々の暮らしの課題解決に取り組み、より良い暮らしに貢献しています。それを実現に導くのはLIXILの社員。活動の中枢を担う社員がその能力を最大限に発揮できるように、多様性・柔軟性に富んだ働き方を推進しています。
今回は、LIXILウォーターテクノロジージャパン事業企画部の草川さんと、コミュニケーションズ部門の木下さんに、会社の制度や文化、働き方などについてお話を伺いました。
人生をより豊かにする本業と副業の相乗効果 支えるのは社内制度
–では早速ですが、最初に草川さんにお話を伺います。所属と、業務を教えていただけますか。
草川さん:
私は、弊社の水まわり担当部門、LIXILウォーターテクノロジージャパン事業企画部(取材当時)で、新規事業プロジェクトの企画を担当しています。
主な業務は、水まわり製品・サービスのイノベーション創出です。
私が手掛け、最近発売されたのが「SHIN-ON」という新しいタイプのシャワーです。
U字型のシャワーヘッドから出るお湯が360度体を包み込み、上半身を効率よく温めます。シャワーを浴びた後も、従来のハンドシャワーよりも、ぬくもりが持続するんです。
このシャワーは、コロナ禍がきっかけで生まれました。
コロナ以前は、リフレッシュしたいとき、温泉や銭湯に行くという選択ができました。しかしコロナ禍では、仕事も生活もずっと家の中という状況が続きましたよね。そんな中でオン・オフの切り替えが難しくなったと感じ、おうち時間の中でもリラックス・リフレッシュができる体験を多くの方に持っていただきたいという想いから、「SHIN-ON」を創り出しました。
—「SHIN-ON」は、気持ちよくリフレッシュできそうですね。
では、副業はどのようなことをされているのでしょうか。
草川さん:
弊社は申請すれば副業できる決まりになっています。
私は、空き家を買い取り、リノベーションして貸し出す「空き家再生」、そしてバイオリニストとして活動もしています。
バイオリンは4歳からはじめ、趣味で続ける延長線上で、最近では時々お仕事の機会をいただくこともあり、オーケストラ、室内楽などのコンサート活動に加えて、音楽×AIや音楽×D&Iなどちょっと変わった面白いワークショップやイベントの開催などを行っています。先日、LIXILの入社式でも新入社員のみなさんの前で演奏の機会をいただきました。
–どのように御社の業務と副業を両立されているのでしょうか。
草川さん:
基本的な仕事の仕方は、平日の就業時間内はLIXILの社員として働き、夜や休日にバイオリンの練習や副業活動を行っています。月に1〜2回のペースで、オーケストラや室内楽などの本番演奏をしています。
このような働き方ができるのは、スーパーフレックス制度と、『LIXIL BEHAVIORS(3つの行動)』という行動指針があるからだと思います。
まず、2020年に導入されたスーパーフレックス制度は、必ず勤務しなければならないコアタイムをなくし、朝5時から夜10時までの間で、各自が自由に働く時間を決められる制度です。基本的には事前の連絡も必要ありません。業務に支障がなければ、長く働いた日の時間調整で別の日にお休みを取得することも可能です。
コンサートやイベントは夜遅くまでかかることも多いので、翌日は遅めの時間から仕事を始めることや、就業中でも用事のある時は途中で抜けて、夕方から業務を再開することもできます。このような柔軟な働き方ができることが、副業との両立に非常に重要だと思います。
もう一つの『LIXIL BEHAVIORS(3つの行動)』ですが、これは「DO THE RIGHT THING(正しいことをする)」「WORK WITH RESPECT(敬意を持って働く)」「EXPERIMENT AND LEARN(実験し、学ぶ)」この3つの行動を日々実践し、弊社の存在意義の実現に繋げていくという行動指針です。
私が日々働く中で、「敬意を持って働く」ことが非常に尊重されている会社だと実感しています。各人の持つ個性やどんな生活スタイルなのかを理解して、大事にしてくれる企業文化があり、浸透しています。
自由に働ける制度があっても、それを利用しづらい社内の雰囲気であれば、積極的に活用しようとはなりませんよね。私の所属部署でも周りへの理解は重視されていますから、とても働きやすい環境です。
–周りの方と信頼関係があり、制度をうまく活用しての仕事の仕方ということですね。
では、今後どのようにライフスタイルを構築していきたいか、展望をお聞かせください。
草川さん:
LIXILの社員としては、まず日本で「SHIN-ON」を定番商品としてしっかり普及拡大し、ゆくゆくは世界で愛される製品に育てていきたいですね。そして、いろいろな角度からイノベーションに携わり、世界的に活躍できるプロダクトイノベーションのプロになりたいと思っています。
バイオリニストとしては、腕を磨くのは一生の楽しみであり課題でもありますが、そのほかに既存の領域を超えてコラボレーションしたり、いろいろな人が集まるような演奏会を開催したいと考えています。
いくつかの活動を同時にするようになったのはここ2〜3年ですが、それぞれの活動の相乗効果で人生がとても豊かになっていると感じます。
プロダクトイノベーションの新しいことを生み出す力が、演奏に活きてきたり、逆に音楽活動で得た人脈が仕事に還元されたり、魅力的な生き方ができていると実感しています。
–ありがとうございます。多方面でのますますのご活躍が楽しみですね。
家事・子育て・仕事 会社の制度をフルに使いうまく調整
—続きまして、木下さんにお話をお聞きいたします。所属部署と業務内容を教えていただけますか。
木下さん:
コミュニケーションズ部門でPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)業務をしています。
PMOの業務は、部門の全体的なサポートで、予算の管理・各種ミーティングの計画から運営・チームビルディングの研修など、部門に所属する社員全員をサポートし、仕事のスムーズな進捗を担う仕事です。
現在、子どもが二人おりまして、ちょうど産休・育休を終えて復帰したところです。
–お二人のお子さんがいらっしゃるとのことですが、妊娠中の仕事や、産休・育休などについてお聞かせいただけますか。
木下さん:
妊娠中は体調が安定していたこともあり、産休直前まで積極的に働いていました。
実は、安定期に入ってから、自分から行きたいと希望し、海外出張にも行きました。当時取り組んでいた業務を中途半端なままにして産休に入りたくなかったですし、とてもやりがいを感じて真剣に取り組んでいました。
その一方、やはり周りの方々に心配はかけたくないと思っていましたので、きちんと働けるように自分でも心がけていましたし、上司や周りの方々にサポートしていただきながら通常勤務していました。
産休・育休に関しては、周りに経験された先輩方もいましたので、大きな心配をすることなく、約1年間お休みしました。
ただ、復帰後仕事があるのだろうかなど、産休・育休をとることに不安を感じている社員もいると思うので、そのような不安を取り除くような働きかけは必要だと思います。
また、弊社は10日間の「配偶者出産・育児休暇(ぱぱの子育て休暇)」という有給休暇が、一般の有給休暇以外に設けられています。
夫もLIXILの社員でして、この休暇をフルに活用しました。
–お仕事に復帰された後は、基本的にはどのように働いていらっしゃるのでしょうか。
木下さん:
復帰後はフルタイムで産休前と同じ業務についています。
弊社は基本的にリモートワークを推奨しており、私もスーパーフレックスを活用しながら仕事をしています。
夫婦ともに極力、定時で仕事を終えることを目標にしていますが、残業になる場合は、子どもたちの保育園の送迎時間までに夫婦間で情報共有しています。基本的に子育てはできる方ができることをするのが日課です。
二人ともリモートワークなので、家事の分担も半々になるよう心がけています。子どもが病気になったり、大事な会議で仕事を外せなかったりするときは必ず二人で事前に調整し、家事と育児を分担します。
弊社では、妊娠・出産を機に離職する女性の比率は極めて低いと思います。
リモートワーク・スーパーフレックス制度があるからこそですね。
より良い環境は信頼関係の積み重ね 自分からの発信も大事
–では、あらためて御社の制度や社風について、どのようにお考えでしょうか。
木下さん:
弊社の制度や社風・文化に大変助けられていますし、とても感謝しています。
今の働き方ができるのは、理解ある上司や同僚、そして環境に恵まれているからだと思っています。
その環境は「何が大変で、何に困っているのか」を、隠さずに自ら周りに伝え、信頼関係を構築してこそ実現するのではないかと実感しています。
しかし、相手に気持ちを伝えにくい状況であれば、それは難しいでしょう。
私の所属部署では、いちいち身構えて報告しなくても日常の会話の中で、日々の困りごとなどを相談できる雰囲気があります。
会議中に「実は今日子どもが熱で休んでいて…」などという会話をよく聞きますし。
「プライベートを出してはいけないんじゃないか」と考えたこともありました。でも、皆さん色々な事情がある中で、一緒に仕事をするのであれば、自分が置かれている状況を共有して相手に伝えることで、察してもらうだけでなく、逆の立場になった時は自然と察してあげて相手を助けることが出来ます。現在は、皆で気軽に情報共有できる環境になってきたと感じています。
弊社は制度が整っていますので、これまで通り働きたいという意志があれば、女性だから、子育て中だから、ということを気にせずに働くことが可能です。常に新しい取り組みにも挑戦している会社で、これからもっと働きやすくなっていくと思います。
–最後に今後の展望をお聞かせください。
木下さん:
LIXILで働く全従業員がより生き生きと、そして楽しく働けるように様々な施策に関わっていきたいと考えています。
入社してから、たくさんの人に助けられ、今の自分があります。
先輩方からは仕事だけでなく、育児や家事との両立の話も共有してもらい、今の自分の働き方に繋がっています。
良い経験や事例は、周りにも積極的に共有・発信し広めていくことで浸透していくのではないでしょうか。私からも様々な情報を共有できたらよいと考えています。
また、どんなところを改善すればもっと働きやすい職場になるのか、周りの人達の話に耳を傾け、少しでも改善のお手伝いができればと思います。
–いきいきと話してくださる木下さんの様子から、充実した毎日が感じられました。
草川さん、木下さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
LIXILについて
「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」をPurpose(存在意義)として掲げ、急速に変化する世界において、人々の日々の暮らしを支える製品を開発、提供している。
主な事業は、トイレ・お風呂・キッチンなどの水まわり製品を提供する「ウォーターテクノロジー事業」と、窓や玄関ドア・エクステリア製品・インテリア建材などを手がける「ハウジングテクノロジー事業」。日本のみならず、150か国以上で事業を展開している。
インパクト戦略について
LIXILでは、今日と未来の世界にインパクト(良い影響)を生み出す取り組みと革新的な製品やサービスを通じて、Purposeの実現を目指している。
「インパクト戦略」では、社会課題の中でも緊急性が高く、弊社の専門性がより大きなインパクトを生み出せる分野として『グローバルな衛生課題の解決』『水の保全と環境保護』『多様性の尊重』を3つの優先取り組み分野として定めており、それぞれがSDGsの目標に関連している。
その中でも、社員が最高のパフォーマンスを発揮できるように、インクルーシブ(年齢、性別、国籍、障がいの有無などに関係なく、違いを認め合い、共生していくこと)な職場環境の整備に注力。
SDGs達成に向けた幅広い取り組みを展開
LIXILでは「インパクト戦略」のみならず、幅広いサステナビリティへの取り組みを展開。LIXILのSDGsに関する活動を多くの方に知ってもらうため、2020年12月から、サッカー元日本代表の内田篤人さんをLIXIL SDGsアンバサダーに迎え、「LIXIL × SDGs NEXT STAGE」プロジェクトをスタートさせている。イベントやコンテンツを通じてさまざまな情報を発信し、社会課題やSDGsについての理解や関心、アクションを社会に広める活動を進めている。
株式会社LIXIL公式ホームページ : https://www.lixil.com/jp/
LIXIL × SDGs NEXT STAGE : https://www.lixil.co.jp/corporate/sustainability/