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ロアジスジャパン株式会社|日本初オーガニック・ナチュラル商品専門のペットブランドで、すべての生き物が輝ける社会へ

ロアジスジャパン株式会社 代表 岡田さんインタビュー

岡田雅子

カナダ留学後、在メキシコ日本人補習校にて教員となる。その後世界を歴訪。帰国後は教師や通訳者となる。2003年、教育関連の会社を設立。女性起業家としての苦難に幾度も遭遇し、経営や起業家について研究するため2009年早稲田大学大学院に入学する。2010年7月に大学院の友人とロアジスジャパン株式会社を設立。2011年大学院(MBA)を卒業。2011年4月、震災の影響が多大な中、ロアジス自由が丘店本店オープン。宮城県石巻にて保護犬活動にも微力ながらスタッフと共に参加。2020年10月新型コロナウィルス蔓延を機にロアジス自由が丘本店を長野県に移転することを決意。2022年、ロアジスの森(八ヶ岳)オープンに向けて、現在、犬たちとともに駆け回っています! 家族(ペット含む)や友人たちと過ごしている時がしあわせ。趣味は犬たちとおそろいの洋服作り。 共感できる仲間たちと、いのちが輝くような仕事をし続けたいと思っている。

introduction

日本初のオーガニック・ナチュラル商品専門のペットブランドであるロアジスジャパン株式会社。動物、人、自然のすべての生き物と「ともに生きるしあわせを創造する」ことをミッションに掲げ事業を展開しています。

今回、ロアジスジャパン株式会社の代表岡田雅子さんに、事業を立ち上げた背景や商品に込められた思いなどを伺ってきました。

人、動物、環境に優しい商品を世に広げる

まずは事業内容を教えてください。

岡田さん:

ロアジスジャパンは2010年に設立した、ペット向けのオーガニック・ナチュラル商品の企画・製造・販売を手がける会社です。動物の安全はもちろん、飼い主や自然にも配慮したものを厳選しています。

ペット向けのオーガニック・ナチュラル商品は珍しいですよね。事業を立ち上げたきっかけをお聞かせいただけますか?

愛犬との別れで、ペットの健康を考え始める

岡田さん:

まず私自身が動物好きである、ということが根幹にあります。その中でオーガニックを取り扱うようになった大きなきっかけは2つあります。

1つ目は、動物が安心して口にできる食べ物が少ないという現状に気が付いたことです。私は小さい頃から犬と暮らしていました。嬉しい時も悲しい時もいつも支えてくれて。ペットではなく、もはや家族と言える存在でしたね。でも、ある時、犬がガンになってしまったんです。「何が悪かったんだろう…」と必死に考えて、いきついたのがドッグフードでした。

人も動物も健康には食が関係していますね。

岡田さん:

そこからドッグフードについて詳しく調べていきました。するとオーガニックのドックフードがあることや、安心安全かつ環境にも良さそうであるということが分かりました。どこで買えるのかすぐにリサーチしましたが、当時の日本にはなくて。そこで範囲を世界に広げてみたところ、ドイツでみつけたんです。

ドイツはオーガニックの分野の研究や国民全体の理解も進んでいましたし、私自身オーガニックについての知識がほとんどなかったこともあり、商品の取り扱いをきっかけに、思い切ってドイツに留学して学んでみることにしました。

非常に素晴らしい行動力ですね!

保護犬との出会いで、1つの命を大切にしたいという想いが高まる

岡田さん:

2つ目が保護犬との出会いです。

15年前、虐待やペットショップで売れ残った動物を保護している団体から「ちょこ吉」と「みゅう」を引き取りました。ちょこ吉は本当にガリガリ、障害もある、散歩もしたことがないといった状態でした。みゅうちゃんは、まっすぐ歩けないことが理由でペットショップで売れ残ってしまった犬だったんです。

この子たちとの出会いをきっかけに、保護犬についても調べるようになりました。すると、動物に関する法律が整備されていないことが分かり、疑問を持つようになったんです。動物もそれぞれに違った個性を持つ大切な命です。1つでも多くの命を輝かせる社会にしなければならない、と強く感じ自分ができることをしよう!と心に決めました。

この2つの経験から、「ともに生きるしあわせを創造する」を大切にオーガニックペットフードを世に広める事業を始められたのですね。

素材に徹底的にこだわり、安全性と機能性を両立

では、その想いが詰まったオーガニック・ナチュラルペット用品をご紹介いただけますでしょうか?

岡田さん:

ボディケア用品「ロアジススパ」、屋久島の鹿から作った「やく鹿スティック」、ヤクと牛のミルクで作られたおやつ「ヒマラヤチーズスティック®」を紹介しますね。

自然由来の素材で優しく汚れを落とす「ロアジススパ」

まずは弊社で一番初めに取り扱った思い出の商品「ロアジススパ」をご紹介します。こちらは、厳選したオーガニックハーブを使ったシャンプー、コンディショナー、ブラッシングスプレーです。

動物の汚れは落ちにくいため、一般的な商品には化学的な薬品が使われているケースが多く見受けられます。対して「ロアジススパ」は、自然由来の素材を使用しているため、体に優しい商品です。

自然由来の成分は、洗浄力が落ちるイメージがあります。

岡田さん:

そうですね。汚れをきちんと落とすことのできる自然由来の素材を見つけるまではかなり苦労しました。そんな時、馬用シャンプーを取り扱っている企業さんから、「オーガニックココナッツ由来の界面活性剤が良い」というお話を聞き、採用しました。

徹底したこだわりが詰まっているんですね。

岡田さん:

この商品は、「材料の生産時に農薬を使っていない」「製造過程で化学的なものを使っていない」ことで、動物はもちろん生産者やユーザー、環境にも配慮したものとなっています。生産から消費までのすべての流れにおいて、私たちは責任を持つことが大事だと考えているため、徹底してこだわっています。

添加物ゼロの犬用おやつ「やく鹿スティック」

「やく鹿スティック」は、屋久島の鹿赤肉100%の犬用おやつで、添加物は一切含まれていません。また、調理工程で余分な脂肪分も取り除いているため、安心して食べさせられます。

なぜ屋久島の鹿を使った商品を開発されたのでしょうか?

岡田さん:

この背景には、屋久島の鹿が増えすぎたことが挙げられます。鹿が増えると周囲の生態系を壊してしまうため、現在、害獣に指定されているんです。これまで、駆除された鹿は森の中にある廃棄エリアに埋められるか、そのままだったようで、この命を活かせないか屋久島の猟師の会社から相談を受け開発をスタートしました。

まさに命をつなぐ商品といえますね。

岡田さん:

そうですね。今は、屋久島の鹿と私たちが作っている山梨産の有機米、福島産の有機玄米を合わせた鹿肉玄米リゾットも開発中です。

ロアジスジャパンの大ヒット商品 社会課題の解決にも貢献する「ヒマラヤチーズスティック®」

「ヒマラヤチーズスティック®」は、ヤクと牛のミルクを混ぜた犬用のおやつです。ネパールで食べられているチーズから塩分を抜き愛犬用にアレンジした商品です。年間約5万本も売れる弊社で一番のヒット商品です。

この商品が生まれた背景を教えてください。

岡田さん:

きっかけは、アメリカで出会ったネパール人にヤクと牛のミルクを混ぜたチーズの存在を教えてもらったことです。これは動物にとっても美味しく、体にも良いのではないかと思いすぐにネパールに飛びました。そこで現地の人に日本の愛犬用を作って欲しいと交渉したんです。

すぐに理解を得られたのですか?

岡田さん:

いえ、愛犬用ということをなかなか理解してもらえませんでした。それでも諦めずに何度も現地に足を運んで交渉を続け、ようやく一緒に開発を進めることになりました。

その後も衛生面の確保のため道具をこちらが用意したり、人間関係の構築に四苦八苦したりと苦労の連続でした。認知されるまで約3年かかりましたね。

その結果、大ヒット商品にもなる「ヒマラヤチーズスティック®」が完成したんですね。

岡田さん:

商品化はしていますが、まだ完成したとは思っていません。

動物も飼い主にとってもさらに安心安全に使用いただける商品にすべく、現在でも改良を重ねています。ヒマラヤチーズスティック®の品質向上はもちろん、現地の支援にもつなげたいという気持ちの表れでもあります。

それはどういうことでしょうか?

岡田さん:

ヒマラヤチーズスティック®を作るにあたり、適正な金額を現地の生産者にお支払いしています。いわゆるフェアトレード商品と呼ばれるものですね。

改良を重ねさらに多くの犬に食べてもらえる商品にしていくことができれば、それだけ現地の方々の生活は潤います。これは我々の使命でもありますね。

社会課題の解決にもつながる事業なんですね。

岡田さん:

現在、「ヒマラヤチーズ®」シリーズ以外にもフェルト地の犬猫用ハウスの制作もネパールの方々にお願いしています。これを作るのにだいたい1ヶ月ほどかかりますが、現地で暮らす方々に十分な収入をお渡しできるようにしています。

「ともに生きるしあわせを創造する」ため、一歩ずつ歩みを進める

ここまでロアジスジャパンの事業の背景にある想いを伺ってきました。今後の展望を教えていただけますか?

岡田さん:

私たちがミッションとして掲げる「ともに生きるしあわせを創造する」の実現を目指して、フェアトレード、オーガニックという分野の取り組みをさらに活発化させていきます。同時に社員の働き方や女性の生き方を充実させられるような社内変革も行っている最中です。

とはいえ、事業として利益を産まなければ持続可能とは言えません。

理想と現実の間の橋渡しは、なかなか難しい部分ですよね。

岡田さん:

そうですね。

例えばフェアトレードをさらに推進するためには、コスト面での折り合いをつける必要があります。先程の犬猫用ハウスでいうと、適正な賃金のほかに輸送費を加えて販売するとなると、1万円を超えてきます。正直これでは、頻繁に売れません。私たちが売上を出し、発注しなければ現地の方々は収入を得られませんので本末転倒になりかねません。

この現状を改善し、事業として成り立たせるための工夫が必要です。

新規事業のようなものにも取り組まれるのでしょうか?

岡田さん:

私たちにできることはどんどん進めていこうと思います。現在長野県八ヶ岳に動物と自然を楽しめる「ロアジスの森」を建設中です。自然の中で動物と人が集まって、いろんなことを語ったり学んだりできるような場所にしたいと考えています。

こういった1つ1つの仕事や課題と向き合い、積み重ねていくことでサステナブルな社会が実現すると思います。ロアジスも成長しながら1歩1歩歩みを進めていきたいですね。

本日はありがとうございました。

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