#インタビュー

三井物産|脱炭素へのアクションを後押しするソリューションを、すべての人に

三井物産株式会社

三井物産株式会社 鈴木次郎さん インタビュー

三井物産株式会社 鈴木様

鈴木 次郎

三井物産株式会社 デジタル総合戦略部 部長補佐 鈴木 次郎(すずき じろう)

1991年三井物産入社。情報産業本部や米Silicon Valley駐在などを経て、2020年4月からデジタル総合戦略部。現在、MBK Wellness Holdings株式会社および株式会社T2(自動運転トラック事業)の社外取締役。

introduction

2023年3月15〜17日、東京ビッグサイトにて脱炭素経営実現に向けた日本最大の専門展「脱炭素EXPO」が開催されました。ゼロカーボンコンサル、GHG排出量の見える化、コーポレートPPA、省エネソリューションなど、あらゆる脱炭素ソリューションが集結する中で、そのハードルを下げ、”誰もができるアクション”を重視する脱炭素ソリューションの提案を行っていたのが三井物産です。

今回は、そんな三井物産の出展内容の紹介に加え、デジタル総合戦略部 部長補佐 鈴木さんに、三井物産が脱炭素ソリューションに取り組む意義や役割を伺いました。

脱炭素ソリューション紹介メディア「Green&Circular」と「e-dash」「LCA Plus」「Earth hacks」の3つのソリューションを出展

三井物産では脱炭素社会の実現に向けて、数値を正確に算出・分析する可視化領域に注力しています。今回は、「企業」「製品」「生活者」の「3つの視点」を軸に、CO2排出量の削減に向けた3つのソリューション、「e-dash」「LCA Plus」「Earth hacks」と三井物産の脱炭素ソリューションを紹介するメディア「Green&Circular」を出展しました。

三井物産

「e-dash」は、エネルギーコストの低減からCO2の削減まで、脱炭素を総合的にサポートする、自治体や企業向けのクラウドサービスです。

脱炭素に取り組むにあたり、企業がまず躓きやすいのが自社のCO2排出量の算出です。「どのように算出するのか」「何をもとに計算すればいいのか」がわからないケースも見受けられます。

「e-dash」は、電気やガスなどの請求書をアップロードするだけで、そのCO2排出量を算出でき、さらにはエネルギー使用量、コストなどもデータ化してくれます。これらの可視化により、エネルギーコストの低減を含めた目標設定数値の算出・分析に役立ちます。

また、省エネ法定期報告書の作成も可能で、脱炭素に取り組む第一歩として最適なサービスとなっています。

「LCA Plus」

「LCA Plus」は、国内唯一のカーボンフットプリント認証機関「SuMPO」と共同開発した、日本初の製品LCA算定プラットフォームです。CO2排出量算出と同様に、「LCAの算定方法がわからない」「算出しても正確な数値なのか不安」といった悩みを抱える企業の担当者は多くいます。

「LCA Plus」は、そのような悩みを解消する画期的なサービスといえます。シンプルな設計でありながらISO規格に基づいた算定品質を実現。直感的に使いやすいインターフェースから必要項目を入力するだけで、資源発掘から素材/部材の生産、物流や廃棄・リサイクルといったライフサイクル全体のCO2排出量を簡単に算出できます。加えて、サプライチェーンのGHG情報の収集、製品販売先への報告、自社内でのGHG排出削減に向けたシミュレーションや進捗管理などもワンストップで行えます。

「Earth hacks」

「Earth hacks」は、三井物産と博報堂が共同開発した、生活者が”楽しみながら、”わかりやすく”脱炭素に貢献できる仕組みを促進する共創型プラットフォームです。

脱炭素というと企業や自治体の取り組みとして捉えられがちで、一個人としては自分ごと化しにくい現状があります。そんな中、「Earth hacks」では、誰もが楽しみながら脱炭素アクションを起こせるプラットフォームとして機能しています。

例えばCO2削減インパクトを「デカボスコア」として可視化し、自分の生活にも取り入れたいと思えるライフスタイル「デカボチョイス」の提案や、学生と企業の新しい共創の場づくり「デカボチャレンジ」を推進するなどです。

また、地球に優しいアクションのアイデアや脱炭素に取り組む方へのインタビュー記事など、脱炭素をより身近に感じられるマガジンも魅力的です。

「Green&Circular」

「Green&Circular」は、2022年6月に立ち上げられた脱炭素ソリューションサイトで、CO2排出量削減のためのアクションを検討する顧客に向けたメディアです。先述の「e-dash」「LCA Plus」「Earth hacks」などの可視化ソリューションをはじめ、再生可能エネルギー発電や水素・EVの実用化など、31のソリューションを集約しています。

インタビュー記事も充実しており、それぞれのソリューションに込められた想いやストーリーを知れる点もポイント。

脱炭素のススメ

最近では、脱炭素について理解を深められる「脱炭素のススメ」も掲載されています。

総合商社の強みを活かし、脱炭素アクションを身近なものに

このような脱炭素社会実現に向けた幅広いサービスを提供している三井物産で、デジタル戦略を担当されているデジタル総合戦略部 部長補佐 鈴木さんにお話を伺います。

ーまずは三井物産の脱炭素ソリューション事業の特徴について教えてください。

鈴木さん:

弊社は総合商社として、エネルギー部門をはじめ金属資源、モビリティ、化学品など複合的かつ横断的な事業を展開しています。「環境と調和する社会をつくる」をミッションに掲げ、次世代電力やエネルギー、スマートシティなど、脱炭素化に向けたソリューションの提供と新事業の創出に挑戦しています。

弊社のサービスでは、企業から個人まで、多くの方に脱炭素を身近に感じていただき、ステップを踏みながら取り組めるプラットフォームを目指しています。

「わかりやすい」「取り組みやすい」を意識したプラットフォームの構築

三井物産

ー三井物産が脱炭素ソリューション事業に取り組む意義を教えてください。

鈴木さん:

脱炭素への潮流は不可逆であり、世界的な要請として社会全体で取り組まなければいけません。弊社の多岐に渡る領域での事業展開とグローバルネットワークは、細かな編み目となってマーケットのニーズをすくいとれるという点で大きな強みだといえます。

一方、脱炭素は業種を問わず必要なものですが、数値の見える化が最も難しい部分でもあります。私たちの提案するソリューションは、脱炭素へのハードルを下げ、取り組みへのアクションを後押しするものです。

加えて、脱炭素アクションの裾野を広げることを目指して、多様な切り口でアプローチしていけることは、総合商社ならではの意義があると感じています。

例えば、自治体や企業向けのクラウドサービス「e-dash」は、拠点数にもよりますが、月額1万円(税抜)から利用できます。これにより、エントリーの間口が広がるだけでなく、その後も長く使っていただくことが可能です。このサービスを通して現状を「見える化」しデータを蓄積することで、個々にフィットした分析につなげられると考えています。

カーボンニュートラルを実現するためには、一つ一つの企業に合った様々な道程を描く必要があります。例えば、太陽光発電を導入することで「環境に優しい」ということを表明するだけでなく、カーボンクレジット※やカーボンオフセット※といった制度と組み合わせながら、全体での最適解を模索するなどです。

これらのサポートも我々のサービスで担うことができますので、脱炭素社会の実現に向けた動きが加速していくはずです。

カーボンクレジットとは

CO2など温室効果ガスの排出削減量を、主に企業間で売買可能にする仕組みのこと。航空業界やエネルギー業界など、業種自体が温室効果ガスの排出量を削減するのが難しい場合、カーボンクレジットを購入することで排出量と削減量を相殺する。

カーボンオフセットとは.

CO2をはじめとする温室効果ガスの削減努力をした上で、やむを得ず排出してしまう温室効果ガスを埋め合わせるため、他の場所で排出削減や吸収の取り組みをしたり、そのような事業に出資したりすること

今後は、総合商社だからこそできる多角的な事業を横串でつなぎ合わせるアプローチが必要になると強く感じています。特に脱炭素ソリューションにおいては、私たち商社が挑戦していくべき社会課題だと捉えています。

ー企業だけでなく消費者目線でも、実践的で具体的な取り組みができると感じました。脱炭素を身近に感じてもらうことを意識したプラットフォーム設計をされているのでしょうか?

鈴木さん:

なるべくわかりやすく、さらに楽しみながらというのは一つのスタンスとして意識しています。ポイントを貯める、スコア化していく、など親しみやすい切り口を最初に持ってきて、長期的に取り組んでもらうためのインターフェースを整えています。

たプラットフォーム設計

脱炭素ソリューションサイトの「Green&Circular」は、まだスタートして間もないサービスですが、日々改修しながらアップデートを重ねています。読み手のニーズに合わせた内容にして、様々なユーザーにアプローチできるよう、また、そういった層からフィードバックをもらいながら、消費者の視点に沿った形で運営しています。

というのも、やはり若い世代に興味を持ってもらいたいという思いがあるからです。テキストコンテンツ以外にも、漫画や動画、Web3、NFTなど、さまざまな切り口で、脱炭素の概念や重要性を理解できるような、役に立つツールを開発していきたいですね。

「脱炭素は企業に求められているもの」ではなく、また「環境問題に興味がある一部の消費者」だけが取り組むものでもありません。私たちのような一般の生活者のアクションが社会問題の解決につながっているという考えを広め、私たちのサービスが、脱炭素アクションのハードルを下げるものであれば嬉しいです。

三井物産が目指す未来:カーボンニュートラル実現のベストパートナーとして

ー最後に、三井物産が目指す今後の展望や未来を教えてください。

2050年の脱炭素社会実現に向けて、消費者のニーズに向き合い、ともに考え、解決に導いていける存在でありたいですね。市場調査とフィードバックを重ね、サービス自体を改善していくことはもちろん、新規事業の創出も積極的に取り組んでいきたいです。アイディアソンやZ世代発の事業作り、プロダクト開発、そのプロセスのコンテンツ化など、生活者と一緒に取り組みを拡張し、社会へインパクトをもたらす脱炭素の取り組みへと成長させていきます。

脱炭素社会実現に向けた道のりを伴走するベストパートナーとして選んでいただけるよう、お客様と長く寄り添いながら取り組みをサポートしていきます。

ー本日はありがとうございました!

関連リンク

・三井物産株式会社:https://www.mitsui.com/jp/ja/

・e-dash:https://e-dash.io/

・LCA Plus:https://lp.lcaplus-pf.com/

・Earth hacks:https://earthhacks.jp/

・Green&Circular:https://www.mitsui.com/solution/