私たちの健康だけでなく、社会や自然環境とも密接なかかわりを持つオーガニック。
最近耳にするようになったSDGsとも深い関係があり、サスティナブルな社会の実現を目指すためにオーガニックは欠かせないものです!
今回は、オーガニックとは何か?に始まり、オーガニックを取り入れる目的や、SDGsとの関係をひも解いていきます!
オーガニックについて学び、日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?
目次
オーガニックとは?
オーガニック(Organic)とは、英語で「有機体の」という意味を持つ言葉です。
私たちが耳にする「オーガニック」は基本的に農業の分野で使われるもので、土壌の生物や菌類といった生態系を利用し、環境に配慮した農法で作られた作物を指します。
現代の農業は化学農薬・肥料を使った慣行農法が大半を占めています。その一方で、化学農薬・肥料に頼らず、土・水・空気といった自然の力を使った農法が「オーガニック」と呼ばれるのです。
オーガニック食品・オーガニック商品とはどのようなものを指す?
オーガニック職人、オーガニック商品は、その名の通りオーガニック農法によって作られたもので、
- 野菜や果実・畜産物の食べ物
- コットンのような繊維
- 化粧品などに用いられるハーブ
まで、さまざまなものが対象となっています!
また、オーガニックな栽培方法によって育てられた作物だけでなく、加工の段階で化学物質・添加物を用いない商品も「オーガニック」に含まれます。
ひとつ注意したい点が、環境に配慮した農法で作られた作物すべてがオーガニックと呼ばれるわけではないことです。オーガニックと名乗るためには、定められた基準をクリアしなければなりません。
オーガニックの定義
では、オーガニックの定義はどのようなものなのでしょうか。
日本のオーガニック規定を例に
オーガニックの規定は国や認証機関によって多少の違いはあるため、ここでは日本の規定を例ピックアップしました。
- 2年以上、農薬・化学肥料を使用していない農地で栽培していること
- 条件を満たした原料を使い、添加物を入れずに加工すること
- 畜産の場合、農薬・化学肥料不使用の飼料を家畜に与え、抗生剤・ホルモン剤は用いないこと
これらの基準をクリアして初めてオーガニックということができるのです。
オーガニックと有機との違いはある?
オーガニックについて調べていると、「有機」という言葉をよく目にすると思いますが、何が違うのでしょうか。
答えは「同じ」です。
英語のオーガニックを日本語に言い換えたものが、有機となります。
どちらかを使わなければならないという決まりはないため、日本では「有機」「オーガニック」の両方の表示が見られます!
オーガニックとボタニカルの違いは?
ボタニカルという言葉も近年よく耳にするようになりました。
混同されることも多い2つの言葉には明確な違いがあります。
オーガニックとはオーガニック規程の基準をクリアしたものです。
そして、ボタニカルとは有機であるかどうかにかかわらず植物由来の成分が使用されたもののことを指します。
つまりボタニカル製品の製造に使われた植物がオーガニック規程をクリアしていた場合、オーガニック製品とも言えるようになります。
オーガニック・サスティナブル・エシカルはなにが違うの?
オーガニック・サスティナブル・エシカルの3つの言葉はどれも「環境にやさしい」というイメージと結びつくため違いがわかりにくいという方も多いです。
エシカル(Ethical)とは、「倫理的な」や「道徳的上の」という意味のある言葉です。
人や社会、環境や地域などに配慮した良識的な考え方や取り組みに対して使われます。
例えばエシカルファッションは、環境と人にやさしい素材をつかったファッションを指します。
そしてサスティナブル(Sustainable)とは「持続可能な」という意味の言葉です。
未来につなげていくために、資源の使いすぎなどの行動を自制したり3Rによって廃棄を減らしたりすることをサスティナブルな暮らしといいます。
持続可能な社会の実現のためにはオーガニックやエシカル商品を利用したり日々の生活の中でサスティナブルな考え方をすることが必要です。
オーガニックとナチュラルとの違いは?
もうひとつ、オーガニックと混同しやすい言葉が「ナチュラル」です。
ナチュラル(Natural)とは、自然であること、または自然な状態を指します。
対するオーガニック(Organic)は、人の手を入れて土壌を整え、種をまき、作物を育てて収穫する行為のことです。
例えば、畑の周辺に自生する野草や果実は「ナチュラル」といえますが、畑で育てたオーガニック野菜は「ナチュラル」とはいえません。
このように、ナチュラルとオーガニックは「人の手が入っているかどうか」によって、区別することができます。
ここまで簡単にオーガニックについて概要を確認しましたが、次ではさらに踏み込んで、オーガニックの目的を見ていきましょう!
オーガニックの目的|4つのオーガニックの原理
オーガニックで生産をする目的はとてもシンプルで、「人と自然との調和を図ること」です。
私たち人間が生きるために必要な農産物を作りつつ、周辺の自然環境や生態系に配慮をしながら、無理なく行うのがオーガニック農法であるため、まさに、持続可能な社会を目指すための重要なカギとなるのです。
とはいえ、抽象的でわかりにくい印象を持つ方もいると思います。そこで、IFOAM(国際有機農業運動連盟)が掲げる、
の4つの「オーガニックの原理」をもとに、より具体的に目的を確認しましょう。
Health(健康)
オーガニックの目的といえば、私たち消費者がオーガニック製品を口にしたり、肌に身につけたりすることによる「健康の維持」をイメージする人も多いでしょう。
しかしここでの「健康」は、消費者だけに対する言葉ではありません。
- 生産者の健康
- 田畑の土壌(微生物や虫も含む)の健康
- 育てる作物の健康
- 家畜の健康
- オーガニック生産地周辺の自然環境の健康
というように、生産に関わる全ての対象が健康な状態であって、はじめて「オーガニックである」と言えます。
現在、化学農薬や肥料・除草剤を使用する生産者の中には、含有成分の影響によって健康被害を訴えているケースもあり、世界中で訴訟に発展している現状があります。生産者も同じ人間であり、彼らの健康も等しく尊重されるべきなのです。
また、育てている作物や家畜の土台となる土壌の健康状態が悪ければ、何も作ることができません。さらには、農地と周辺の環境は、地平で繋がっているため、自分たちの土地の健康だけでなく、周りの自然や生物の健康状態にも気を使う必要があります。
このようにオーガニックは、人と自然、両方の健康を目指しています。
Ecology(自然との調和)
本来、Ecologyとは「生態学」を指す言葉ですが、オーガニックにおいては、広く「自然との調和」を意味し、特に生態系のバランスを保つことが求められています。
生態系のバランス
陸上の動物が生きるためには、水や空気のほか、草食動物なら植物、肉食動物なら別の動物というように、餌となる生き物の存在が必要です。
餌となる植物が育つには、適切な土壌環境と水・空気はもちろんのこと、受粉をするために、ハチやハエのような媒介者の存在が不可欠です。
また、動物が飲み水を得るために、川や湖がなくてはなりません。そしてそこにも、水辺・水中で暮らす生き物たちが、それぞれの役割を果たしながら存在しています。
このように、すべての生態系は相互に関係を持ちながら生きていますが、どれかひとつ欠けるだけでもバランスが崩れてしまうのです。
生態系には人間も含まれており、私たちはすべての生き物に配慮し、バランスを保てるよう努力しなければなりません。
この「自然との調和」を目指すためにもオーガニックが重要な役割を果たすと言えるでしょう。
Fairness(公正)
オーガニックを取り入れる目的として「公正さ」も大切なポイントです。
ひとつの商品ができるまでには、
- 生産
- 加工
- 梱包
- 輸送
- 卸売
- 販売
- 消費
のように、実にさまざまな工程があり、すべてに人が関わっています。そして、そのどれもが欠けてはなりません。この工程のなかで、例えば強制労働のような問題があっては公正とは言えないでしょう。
つまりオーガニックは、自然環境だけでなく、人間の働く環境や待遇にも配慮することが必要なのです。
Care(次世代への思いやり)
最後の目的は、次世代に健康な社会をつなぐための思いやりです。
オーガニックは人類の長い歴史の中で、周りの自然や生物・人々への思いやりと敬意を持ち、次の世代へ健康な地球環境を繋いできました。
対する化学農法は、効率を優先した人間中心の考え方であると言えます。化学農法は生産性を向上させるために画期的な方法ではありましたが、その結果、深刻な気候変動を引き起こし、多くの健康被害や自然環境の破壊を生んでしまったのです。
また、大量生産が可能になったことにより、消費への意識も変わり、多くの食糧ロスが発生。他にも飢餓や貧富の差が激しくなっています。
もちろん、技術の発展による恩恵もありますが、やはり長い目で見れば、こうした手法は思いやりのある、持続可能な形態とはいえません。
オーガニックを取り入れることは、私たち自身だけでなく、これからの世代にとって暮らしやすい環境を引き継ぐための責任ある行為、とも言えるのです。
【補足】地産地消
IFOAMの定義では掲げられていませんが、もうひとつオーガニックを取り入れる目的として挙げるべき項目が「地産地消」の考え方です。
グローバリズムが進み、世界中の食物を食べられるようになりましたが、が、私たちの身体は、住んでいる土地の気候・風土に適応していると言われています。
そのため普段から口にするものや身に着けるものは、出来るだけ住んでいる場所から近い範囲で取り入れるのが、本来は自然なのです。
ここまで見てきたようにオーガニックは、私たち人間の暮らしだけでなく、地球に住むすべての生き物や自然環境との共存を実現することを目的としています。
オーガニックのメリット
では次に、主に消費者の視点から「オーガニックを取り入れるメリット」について考えてみましょう!
メリット①栄養価が高い、旬の野菜・果実を食べられる
食品、特に野菜や果実・穀物といった農作物には、生育に適した時期があります。
そのため、品目によって「〇月が旬」とあるように、最も栄養価が高くおいしい、ベストシーズンがあるのです。
現代の暮らしでは、スーパーに行けばほとんどの商品が1年中手に入ります。しかしそれは、化学農薬・肥料をはじめ、進歩した技術あってこそです。
一方、オーガニック農法で育てる場合、それぞれの季節に合った適切な栽培を行なうため、必然的に本来の旬に沿って収穫できます。
一般的に、旬の野菜とそうでない野菜の栄養価には大きな違いがあります。栄養価が高いということは、うま味も増すということなのです。
例として、厚生労働省の資料を見てみましょう!以下の図は「収穫時期によるほうれん草のビタミンC含有量の違い」を示しています。
冬が旬といわれるほうれん草ですが、12月が最も高く、夏は1/5まで減少していることが分かります。
オーガニック栽培の作物を選べば、必然的に旬の食べ物をいただくことができ、より多くの栄養価が摂取できるのです。
メリット②化学成分を使わない、安全性の高いもの選べる
オーガニック栽培の場合、認可された農薬・肥料以外を使用することはできません。
そのため、化学的に処理された成分を含まないという意味で、オーガニック食材は安心して口にすることができます。
また、衣服や化粧品といったアイテムも、栽培の規定はほとんど同じです。そして加工の際も厳しい条件が設けられているので、消費者は、肌に身に着けても安心な商品を選べます。
メリット③生産者・生産環境をサポートできる
オーガニックの原理「公正」にあるように、オーガニック商品を購入することは、生産者のサポートにもつながります。
オーガニック生産は、化学肥料を使用しない分、とても手間のかかる仕事です。出来上がった商品が通常に比べて少し割高なのも、多くの場合は労力をかけているためです。
消費者である私たちは、オーガニック商品の購入を通して、生産者がこれからも自然との調和を図りながら、栽培・加工を続けるための支援に参加できるのです。
メリット④エネルギーの節約になる
最後に挙げるメリットは「エネルギーの節約」です。
店舗やインターネットを通して、私たちは欲しいものを自由に購入できますが、加工・販売の過程で輸送エネルギーがかかっていることを忘れてはなりません。
そこで、地産地消の観点でオーガニックを考えたとき、購入の際の優先順位として「できるだけ住んでいる地域・国のオーガニック商品を選択する」ことも大切です。
すべての商品が自分たちの近くで作られていることが理想ではありますが、できる範囲で地産地消を実践してみて下さい!
ここまでがオーガニックの大まかな内容になります。次では、より実践的にオーガニックを生活に取り入れるポイントとして、認証マークについて紹介します。
オーガニックの認証マークについて
日々の暮らしに取り入れるポイントとして挙げられるのは、どの製品がオーガニックなのか判断できるようになることです。
そのために最も簡単なのが、認証マークを確認することです。
なぜなら、日本では「有機」「オーガニック」と商品に記載するためには、認証マークを取得する必要があるからです。
ここでは、
- 食品
- 衣服
- 化粧品
の分野で、よく見かける認証マークを紹介します。
食品は有機JASマークで判断
有機JAS認証は、2001年にできた制度。生態系や自然環境にできるだけ負荷をかけない形で生産された農畜産物と、それらを原料とした加工品について、書類と現地調査を経て合格した商品にのみ記載できるマークです。
現在、有機JAS認証マークを付けられるのは、以下のカテゴリーです。
- 有機農産物(野菜や果物・穀物など)
- 有機加工食品(ジャム・調味料など)
- 有機畜産物(食肉・乳製品など)
- 有機飼料(家畜が食べる干草や藁・ペレットなど)
また、認証を受けるための審査対象は、生産者だけでなく、小分け事業者、輸入業者も含まれます。
有機JAS認証を取得した一部の商品は、アメリカのUSDAや、欧州のEUオーガニック認証のような、ほかの国・地域で流通している有機認証マークと同水準とされています。
有機JAS認証マークの付いた商品は、自然食品店だけでなく、スーパーなどで見かける機会も増えてきたので、まずは身近なアイテムから試してみてはいかがでしょうか。
オーガニック野菜と無農薬野菜の違いも知っておこう
有機・オーガニックについて注意すべき点は「オーガニック=無農薬」ではない、ということです。
そもそも「無農薬」という表示は、消費者に誤解を与える表現だといわれているため、農林水産省のガイドラインで禁止されています。有機JAS認証で認可された農薬・肥料は、基本的に天然成分由来か、化学処理をしていない成分によってつくられていますが、散布回数に上限がないのも事実です。
また、加工品に関しては、オーガニック栽培の材料100%でなくても「有機」「オーガニック」と表示できる点にも注意する必要があります。
もちろん、中には農薬や肥料すら使用しない生産者もいます。しかし「オーガニック=無農薬」という意識は、必ずしも当てはまらないことは知っておくべきでしょう。
とはいえ、有機JAS認証マークの商品を選ぶことは、今後の農業のあり方を支援するという意味でも、非常に有効な手段です。
【関連記事】おすすめオーガニックお菓子25選!元パティシエが紹介!
衣服はGOTS認証・フェアトレード認証で判断
衣類を選ぶときには、
- GOTS認証
- フェアトレード認証
のチェックがおすすめです。
GOTS認証
コットンをはじめ、ウールなどの天然繊維を使用した、糸や生地・衣類を対象としています。
これは世界基準の認証制度で、生産者だけでなく縫製や加工・卸売りのような場面に関わる業者も審査対象となります。そのため、自然はもちろん、労働者への配慮・公正さをクリアしなくてはなりません。
日本でも、年々GOTS認証ラベル付きのファッションアイテムや生地が増えていますので、見かけたらぜひ手に取ってみて下さい。
【関連記事】オーガニックコットンとは?特徴やメリット・デメリット、通常のコットンとの違いも
国際フェアトレード認証
1997年にスタートした国際フェアトレード認証ラベル(FAIRTRADE Mark)は、発展途上国を中心に、生産者や加工者の人権を守り、適切な労働環境と取引価格を保証することを示すラベルです。
衣服の分野では、主にオーガニックコットン製品に貼られているケースを多く見かけます。ほかにも
- カカオ
- コーヒー
- 砂糖
のような食品に付いていることがあります。
フェアトレード認証を受けたアイテムは、生産者の健康や周辺環境を守る観点から、基本的に化学肥料や農薬・遺伝子組み換え技術は使われていません。
化粧品は海外のラベル認証で判断
現時点で、日本では化粧品についての明確な基準がありませんが、以下のような認証マークを参考にするのがおすすめです。
認証機関によって多少の差はありますが、厳しい基準を満たしているアイテムにのみ「オーガニック」と表記できる仕組みです。
なお、フランスを拠点とするECOERT(エコサート)認証の場合、日本の有機JAS認証では対象外の酒類・蜂蜜のような品目にも適用されます。
化粧品や日焼け止めは、毎日素肌に付けるものだからこそ、健康にも環境にもやさしいアイテムを選びたいですよね。
お買い物の前にさまざまな認証ラベルを知っておき、参考にしてみてはいかがでしょうか。
【関連記事】おすすめオーガニックスキンケア17選!メリット・デメリット、ナチュラルスキンケアとの違いも
おすすめのオーガニック取り扱いサイト3選
ここまで、オーガニックについての魅力をお伝えしてきましたが、実際に購入したい!と思っても、気軽にオーガニック製品を求められる場所はそう多くないのが現状です。
そこでここでは、日本全国どこでも購入できる、オーガニック製品の取扱いサイトを3つご紹介します。
【日本の食を楽しむなら】OHSAWA JAPAN
OHSAWA JAPAN(オーサワ・ジャパン)は、1945年に創業し、桜沢如一氏を創始者とするマクロビオティックにもとづいた食品・身のまわりアイテムを販売しています。
和食にあう食材を中心にセレクトし、米や雑穀類はもちろん、基礎調味料・乾物といったラインナップが揃います。
有機商品だけでなく、伝統製法を重視した国産の食品も豊富です。
シンプルで滋味深い和食中心の生活は、日本人の心と身体を元気にしてくれます。
【新鮮&おいしい食品をお届け!】らでぃっしゅぼーや
らでぃっしゅぼーやは、野菜や果実・乳製品といった生鮮食品を中心に、自宅へ直接届けてくれるサービスで、独自のRADIX基準を設け、高品質なアイテムを取り扱っています。
いくつかのコースの中から、世帯人数や頻度によって選択でき、定期便の中身を自分で選べるものも。中には、洗剤や化粧品類まであり、生活必需品をまとめて購入できる点もメリットです。
【フェアトレードのファッションアイテムを探すなら】sisam design
シサム工房(sisam deign)は、1999年に京都で生まれたフェアトレードショップです。
インドやネパール・フィリピンといった国で働く人々を、お金の寄付ではなく仕事を提供して支援し、公正な取引を実現しています。
シサム工房で取り扱うアイテムは、レディースだけでなくメンズもあり、自分用はもちろん、誰かに贈りたくなるアクセサリー・ホームアイテムまで揃っています。素材のよさに加えて、人の手によってつくられたアイテムには、あたたかさも感じられます。
SDGsとオーガニックの関係性
最後に、オーガニックとSDGsの関係についても触れておきます。
オーガニックは、SDGsのほとんどの目標達成に貢献できる面を持っているのが面白い点です。ここではその中でも代表的な目標との関わりをピックアップしてみました。
SDGs目標2「飢餓をゼロに」
SDGs目標2「飢餓をゼロに」は、誰もが十分な量と質の高い食事を得られるようになる社会を目指す内容です。
オーガニックはその中の、ターゲット2.1と、2.3に大きく関係しています。
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
オーガニックの生産地が自分の住んでいる地域で増えれば、ただ食糧を確保できるだけでなく、
- 旬の食材を収穫することで栄養をとれる
- 地元の生産者も潤う
などのメリットがあります。
SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」
世界の誰もが健康な暮らしを送れる社会を目指すのが、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」です。
特に、ターゲット3.9にある、
3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
は、化学農薬や肥料を使用しない生産方法の実践によって、達成できる項目だといえます。
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」
持続可能な生産~消費~廃棄までの過程を見直し、循環型社会の実現を目指すSDGs目標12「つくる責任、つかう責任」では、
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
と特に関係します。
環境に配慮したオーガニックを選択することで、結果として化学物質・有害廃棄物の量を大幅に減らすことができるのです。
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」では、陸の生態系を守り、森林の管理や砂漠化の阻止にも言及しています。
農地だけでなく、周辺の自然環境との調和を図ることで、生態系のバランスを崩さないように配慮する手法がオーガニックです。
同じように、海の生態系に配慮する点で、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にも関わりがあるといえるでしょう。
このように、オーガニックを意識した生産方法と、消費者が積極的に選択することで、持続可能な社会の実現につながるのです。
まとめ
今回は、オーガニックの定義と目的をはじめ、SDGs目標との関係まで幅広く取り上げました。
なんとなく「高級」で「健康によい」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際は自然環境や人権のような、誰もに関係のある要素を持つのがオーガニックです。
生産者の努力に加え、私たちが消費者として関心を持ち、すこしずつ取り入れていくことが、地球に暮らす人とすべての生き物にとってよりよい社会を築くカギとなります。
まずは無理のない範囲で、身近なアイテムをオーガニックに切り替えるところからはじめてみましょう!
参考文献
コトバンク「オーガニックとは」
農林水産省「有機農産物の日本農林規格」
コトバンク「有機農業とは」
JONA(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会)「オーガニック、有機の意味、無農薬との違い、有機農法、有機肥料」
コトバンク「ナチュラルとは」
IFOAM「The Four Principles of Organic Agriculture」
長周新聞「バイエル(モンサント)が10万件の訴訟に1兆円で和解 ラウンドアップに発がん性」
AFPBB News「除草剤で末期がんに、米裁判 モンサントに約320億円の支払い命じる陪審評決」
E-ヘルスネット(厚生労働省)「旬を取り入れた食生活(秋・冬)」
農林水産省「有機JAS制度について」
農林水産省「2020年7月16日から有機の畜産食品にはJASマークが必要です!」
農林水産省「有機食品の検査認証制度」
一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会
有機農業認証協会「有機JASについて」
FBC Sustainable Solutions「USDA オーガニック」
APSP(一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会)「EU 有機(オーガニック)認証」
農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドラインQ&A」
GLOBAL ORGANIC TEXTILE STANDARD
フェアトレードジャパン
オーガニックシャンプー・コスメ|amasia organic store「オーガニック世界統一基準、COSMOS(コスモス)認証とは?」
エコサート・ジャパン (ECOCERT JAPAN)「有機加工食品の製造・小分け・輸入」