#SDGsを知る

ローフードとは?体に悪いとされている危険性・ダイエット効果を解説

ローフードとは?体に悪いとされている危険性・ダイエット効果を解説

近年、健康や環境保護を理由に、ベジタリアンやヴィーガンといった植物性食品中心の食スタイルが注目されるようになりました。

そうした状況の中、さらに健康な身体を目指す人たちの間で話題となっているのが「ローフード」です。

ローフードという言葉を初めて聞いた人はもちろん、聞いたことはあるけれどもっと知りたい!という人に向けて、ローフードとは何か?どのように取り入れたらよいのか?を分かりやすくご紹介します。

ローフードとは

ローフード(Raw Food)とは、主に生のままの野菜や果物・ナッツ類といった食材を取り入れる食のスタイルのことです。

加熱しない植物性の食材をそのまま摂り入れることで、体内の消化・代謝機能を上げ、健康や美容の向上が期待されると言われています。

生の状態以外にも、酵素や栄養素が破壊されないとされる48度以下の熱を加えて調理されたものも、ローフードに含まれます。

また広義では、加熱しない卵や乳製品・生の魚介類と肉類が含まれる場合もあります。

ローフードってどんな食品?

一般的にローフードといわれる食品には、次のような特徴があります。

  • 生のまま、もしくは48度以下の加熱調理をした植物性食品(野菜、果物、ナッツなど)
  • ドライフルーツ、非加熱ナッツなど加熱せず乾燥させた食品
  • 製造・加工の段階で過熱を含まない調味料(Ex: 植物性バター、ナッツ由来のミルク、岩塩など)
  • コールドプレス(低温搾取)のオイルやジュース
  • 発酵食品(キムチ、ザワークラウトなど)
  • 海藻 など

※食べるために加熱が必要な穀物類は基本的に使用しない(パスタやパン・お米はローフードに含まれない)

ローフードを厳格に実践するには、調味料やオイルのような、複雑な製造過程を経た食材にも配慮して材料を選ぶことがポイントです。

ローフードの歴史

イメージ画像

ローフードについて詳しく観る前に、まずはその歴史について簡単に観ておきましょう。

ローフードは古代ギリシャが起源

ローフードの歴史をさかのぼると、なんと古代ギリシャの時代が起源とされる説があるほど、古くから存在していました。医学の父・ヒポクラテスが遺した言葉「汝の食は汝の薬(Let food be your medicine)」は有名ですが、彼は植物性のローフードのみを食するロー・ヴィーガンだったといわれています。

現代のローフードの考え方は「ナチュラル・ハイジーン」に由来

現代におけるローフード運動の高まりは、1900年代にアメリカで誕生した「ナチュラル・ハイジーン(Natural Hygine)」の思想に由来します。

ナチュラル・ハイジーンとは、日本語に訳すると「自然健康法」といえるメソッドです。当時のアメリカでは、すでにさまざまな健康法・医療が存在していました。そうした状況下で、人工的なものによる治療・食事法ではなく、できるだけ自然な食べ物や環境を取り入れて健康な身体を取り戻すことを目的に、学術的に体系化された分野です。

ナチュラル・ハイジーンでは「新鮮な空気と水」「運動」など多様な範囲を20の原則で示していますが、その中で、できるだけ生の野菜・果物を摂る「ローフード」を推奨しています。

この時代には、科学的な実験・研究によるローフードの効果を証明する学者も現れました。そうした人たちの論文・書籍が発表されるようになり、徐々に世界へ広まっていったのです。

ローフードの重要ポイントである酵素

イメージ画像

ローフードを取り入れる主な目的は「野菜や果物が本来持つ酵素を体内に取り入れ、健康な身体を目指すこと」にあります。ここでは、酵素について踏み込んで見ていきましょう。

2種類の酵素

人間の身体に必要な酵素とは、

  • 消化酵素
  • 代謝酵素

の2種類に分けられます。

ここで大切なポイントは、人間の身体が1日に使える酵素の量には限りがあるということです。

つまり、1日に使用可能な酵素の量全体が500mlの容器に入っているとするならば、この中から消化と代謝に振り分けなければなりません。

現代に暮らすわたしたちの食生活は、肉や乳製品・加工食品のように、体内での消化に多大なエネルギーを必要とする食材が多く含まれています。

しかしここで問題なのは、そのような食事の場合、1日に使える酵素のうち消化酵素に大きな割合を割かなければならない点です。

すると、代謝酵素の分泌量は必然的に少なくなり、体内に溜まった毒素・排泄物を大概に送り出すことができません。その結果、身体の代謝機能が下がり、疲れやだるさのような不調、ひいては病気の元になってしまうのです。

酵素を効率よく摂取するためにローフードが注目されている

そこで、酵素を効率よく摂取するために注目されているのが、ローフードです。

ローフードとして使われる野菜や果物には、多くの栄養素や酵素が含まれています。ただし48度以上に加熱してしまうと一部の栄養素が壊れてしまうため、生でいただくことによって成分を効率よく摂取することが可能です。

果物ならそのまま食べたり、複数の野菜と組みあわせてサラダにしたり。ほかにも、工夫を凝らしたパスタ風の料理やスムージー・スイーツまで幅広いレシピが存在します。

生の植物性食材には、多くの酵素が含まれています。そのため、わたしたちの身体が持つ有限の酵素タンクとは別に、食材が自らの酵素を使って体内で消化できるのです。

これにより、わたしたちの身体はローフードの食生活をすることで代謝酵素により多くの割合を割けるようになり、結果として体内の代謝を上げることが可能になります。

とはいえここで注意したいのは、ローフードの食生活スタイルが、必ずしも全員にとって最適というわけではないということです。無理をして食事のすべてをローフードに切り替える必要はなく、1度の食事にサラダやスムージー、生のフルーツを増やしてみるだけでもよいでしょう。

ローフードのメリット

では、実際にローフードを取り入れることで見込まれるメリットについて見てみましょう。

食べ物の栄養素・酵素を壊すことなく摂取できる

ローフードはほとんど熱を使わずに調理するため、食材が本来持つ栄養や酵素をたっぷり摂取できます。

先述したように、食べ物に含まれる一部の酵素・栄養素は、48度以上の熱によって壊されてしまいます。例えばトマトに含まれるビタミンCは、たった2分の過熱で10%も失われてしまうのです。

野菜・果物が蓄えている栄養分を効率よく摂るためには、過熱をしないローフードがおすすめです。

自然と加工食品の摂取を抑えられる

イメージ画像

ローフードを取り入れるメリットとして、必然的にシンプルな材料でできた食材をたくさん取り入れることができ、加工食品の量を減らせる点が挙げられます。

わたしたちがよく目にする惣菜や加工食品・お菓子類に、たくさんの塩分と砂糖が含まれていることは、みなさんご存知だと思います。中には身体に有害とされる添加物が含まれる場合もあり、国によっては禁止されている物質を知らず知らずのうちに体内に取り込んでしまうリスクまであります。

対してローフードの場合、ほとんどの食材を生もしくは低温で調理するため、加工の過程が非常に少なく、シンプルな材料で出来ています。おかげで自然と加工食品を減らすことに繋がり、わたしたちの健康を維持しやすくなるのはうれしいポイントです。

代謝UPによる健康効果が期待できる!

ローフードを取り入れることで、野菜や果物の持つ食物酵素が体内での消化を助けてくれます。すると、1日に使える酵素のうち、体内の毒素を排泄する機能を持つ代謝酵素の割合が増えるのです。

そのおかげで、わたしたちの身体は普段よりも代謝に酵素を使えるようになり、身体の排泄機能がUPします。よって体重の減少や体調改善に繋がる可能性もあるでしょう。

ローフードのデメリット

続いて、ローフードがもたらすデメリット・問題点についてもチェックしてみましょう。

動物性なら食中毒のリスクがある

普段、わたしたちは多くの食事を加熱して取り入れていますが、中には卵かけごはん、刺身やユッケのように、生のまま動物性食材を口にする機会もあります。

しかし食材によっては、生のまま食べると食中毒や体調不良を引き起こすリスクが含まれています。

動物性の食材を生で口にする際には、食材の品質管理を怠らず、安全な環境を整えましょう。

植物性でも危険を伴うことがある!

一部の野菜や果物の中にも、扱い方を誤ると食中毒を引き起こす恐れがあります。

たとえば、カイワレ大根のようなスプラウト類は、品質によってサルモネラなど人体に有害な菌類を寄せ付けることがあり、保管・調理の際には注意が必要です。

ローフードに関するよくある質問

イメージ画像

ローフードのメリット・デメリットについて理解が深まったところで、さらに気になるポイントを抑えておきましょう。

ローフードは危険で効果がないって本当?

どの食事法にもいえる話ですが、ローフードもまた適切に取り入れることで、さまざまな恩恵を受けることができます。先ほど紹介した酵素による代謝の向上と、それに伴うダイエット・美肌効果はまさに一例といえるでしょう。

しかし、ローフードが誰にとってもベストな選択肢か?というのは別の問題です。その人の体質によって適切な食事方法は変わってきます。これまでの食事からいきなり100%ローフードに切り替えるといったことはせず、少しずつ取り入れて自分にとって最適なやり方を見つけてみて下さい。

ローフードは老化が進む?

ローフードに切り替えると、十分な栄養が取れず老化が進むのでは?と思う人もいるかもしれません。

たしかに栄養素の中には、ビタミンB12や鉄分のように、動物性食材に特に豊富なものや、トマトを加熱することで得られるリコピンといったものも存在します。

また、2005年にJAMA International Medicineに掲載された、ローフードを長期で続ける人々の骨密度を調べた研究では、平均よりも低い数値を示していることが分かっています。

さまざまな食生活を実践する際に大切なのは、自分にとって適切なバランスを見つけることです。もしどうしても食事内容をすべてローフードにしたい場合は、一部の栄養素を効率よく摂るためにサプリメントを検討してみるのもおすすめです。

刺身はローフード?

過熱をしていないという意味では、刺身や生肉・生卵もローフードだということができます。

ただし多くの場合、ローフードは植物性の食材が持つ酵素に注目した食スタイルのため、狭義において、刺身はローフードに含まれないことを留意しておきましょう。

もし周囲にローフードを実践している人がいる場合、どの範囲までなら食べてもOKなのかを聞いておくと、一緒に食事をする際にお互い気持ちよくいられるはずです。

ローフードのおすすめレシピ

イメージ画像

これまでローフードについてお伝えしてきましたが、ここでは具体的なレシピを2つ挙げてみました。ぜひ毎日の食事に取り入れて、たのしくローフードを実践してみましょう。

ズッキーニのローフードパスタ

小麦などで作られたパスタはお湯でゆでる必要があるため、ローフードには適していません。その代わり、ズッキーニを細くスライスすると、見た目も華やかなパスタに返信します。

今回はイタリア料理で定番のマリナーラソースを紹介していますが、好きな野菜や具と組み合わせて、お気に入りのローフードパスタを作ってみて下さいね。

<材料(2人分)>

  • ズッキーニ 1と1/2本
  • トマト缶(ホール)1/2個
  • 赤パプリカ 1/2個
  • にんにく 3かけ
  • 玉ねぎ 小1/4個
  • バジル 大さじ½
  • オレガノ 小さじ1/4
  • 黒こしょう 少々
  • 塩 少々

<作り方>

  1. ズッキーニはピーラーを使い、薄くスライスする。好みによってリボン状か、さらに細く切ってもよい。
  2. 残りの材料をブレンダーにかけてソースにする。皿にパスタを盛り、上からソースをかけて完成。

甘いものが欲しいときに!エナジーボール

次に、スイーツのレシピを紹介します。欧米ではカフェなどでもよく見かけるスイーツ・エナジーボールは、焼かずに短時間で作れるお手軽おやつとしても親しまれるようになってきました。

ナッツとココアを使ったエナジーボールのレシピは、デーツの自然な甘味を楽しめ、小腹が空いたときにぴったりの1品です。

<材料>

  • 非加熱アーモンド 1/2カップ
  • 非加熱くるみ 1/2カップ
  • オートミール 1カップ
  • カカオパウダー 大さじ2
  • 塩 ひとつまみ
  • ドライデーツ(みじん切り) 3/4カップ
  • 水 大さじ1~2

<作り方>

  1. アーモンド、くるみ、オートミール、カカオパウダー、塩をフードプロセッサーにかける。全体がスムーズになるまで、もしくは好みで少しナッツの粒が残るくらいで止めてもOK。
  2. デーツと水を加え、なめらかになるまで更にフードプロセッサーにかける。
  3. 天板にベーキングシートを敷き、ゴルフボール程度の大きさに丸めた生地を並べる。冷蔵庫に入れて1時間以上置き、固まったら完成。保存は冷蔵庫もしくは冷凍庫で。

パウダーやナッツの種類を変えると、バリエーション豊かなエナジーボールを楽しめます。ぜひ気分によって異なるフレーバーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ローフードとSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」との関係

最後に、ローフードがSDGsとどのように関係しているのかを抑えておきましょう。

SDGs目標3では、世界中の誰もが健康でいられる環境づくりや、医療へのアクセスを向上することを掲げています。

ローフードは住んでいる国や地域に関係なく、その地で採れた植物性食品を中心に実践できる食事法です。特に現代病のリスクを下げることが複数の研究で報告されていることから、健康な身体で毎日を過ごすための第一歩として取り入れるとよいでしょう。

まとめ

今回は、生の野菜・果実を中心とした食事法「ローフード」について、基礎知識からレシピまで、幅広くお伝えしました。

近年、植物性食品を中心とした「ベジタリアン」や「ヴィーガン」「プラントベース」「マクロビオティック」といった多様な食スタイルがある中、ローフードは1品からでも気軽に取り入れやすいのではないでしょうか。

今みなさんが食べている献立を少し変えるだけで、身体に変化が訪れるかもしれません。まずはサラダや生のフルーツ・スムージーといった挑戦しやすいものから取り入れてみてはいかがでしょうか。

<参考リスト>
What is a raw food diet? | BBC Good Food
The raw food diet: Types, benefits, and risks
ローフードとは?|ローライフ
ローフードとは – 日本ローフード協会
ANHS/NHA History – National Health Association
The History of the Raw Foods Movement From The Counntry To The Cities
Guide to Natural Hygiene
Low Bone Mass in Subjects on a Long-term Raw Vegetarian Diet | Geriatrics | JAMA Internal Medicine | JAMA Network
3.すべての人に健康と福祉を | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)