佐々木 顕
1976年12月6日、大阪市生まれ。近畿大学を卒業後、TV製作会社にて有名番組の制作スタッフとして携わるも、“本当のエンターテイメントとは何かを探す”為、渡米。帰国後音楽業界へ身を投じ、担当アーティストをオリコンインディーズCD売上ランキング1位に育て上げた。
2006年に(株)アルデナイデを設立。全国各地のイベント企画等を手掛ける傍ら、アメリカ合衆国西海岸初となるたこ焼き屋「蛸拳」を出店。地元メディアから多数の取材を受け、話題の日本食文化として取り上げられた。
型に捉われない事業体として、後にミリオンセラーとなるクレンジング化粧品の企画販売や、アットコスメ殿堂入りメーカーの販売代理店等を担当。2012年にはアルデナイデの子会社として(株)ユメバンクを設立し、アイライナーやマスカラなどのブランドを立ち上げる。
また貿易事業としては、国内の雑貨・アパレルメーカーの北米総代理店も務め、キグルミ(KIGURUMI)をUSA市場へ広める一翼も担った。
2020年にはSDGsへの取り組みを具現化することを意図した商品、再利用できる開けて閉じるシリコンストロー【SUTENAI】をプロデュースするなど、多岐に亘る可能性へ挑み続けている。
introduction
イベント運営からコスメ・雑貨の企画卸、貿易業など幅広い分野の事業を展開する株式会社アルデナイデさん。今回は、販売を手掛けるシリコンストロー「SUTENAI」について、代表取締役の佐々木さんにインタビューしました。
人に喜びや夢を与えられる仕事がしたい
–はじめにアルデナイデさんについて教えてください。
佐々木さん:
株式会社アルデナイデは、広告代理店として平成18年4月に設立した会社です。
もともと私はテレビの制作会社に勤めていたのですが、フリーランスとして独立後、本場のエンターテインメントを学ぶためにロサンゼルスに渡りました。帰国後、インディーズバンドのディレクターを務めた後、一念発起してアルデナイデを立ち上げました。
エンターテインメントを中心に様々な仕事に従事してきましたが、一貫しているのは「何かを介して人に感動を与えられる仕事をしたい」という思いです。
–「アルデナイデ」という珍しい社名には、どういった意味が込められているのですか?
佐々木さん:
アルデナイデという言葉は、徳島弁で「あるよ」という意味です。例えば「ここにコップがあるよ」という意味で「ここにコップがあるでないで」といった形で使われます。
「ある」というイエスの意味と「ない」というノーの意味を足すとイエスの意味になる、という点に非常に感銘を受けました。
「〇〇したい」という言葉の中には、出来ること出来ないこと様々なレベルの夢や願望が存在しますが、私たちが提供する商品やサービスを通して最終的にすべて実現していきたい、そんな意味を込めています。
–具体的にどういった事業を展開されているのでしょうか?
佐々木さん:
現在は、広告代理店機能に加えてコスメ関係や雑貨の卸売業、貿易業など幅広く行っています。一見全く異なる事業のように思えるかもしれませんが、「お客様に求められているものを提供していく」という思いは共通しています。
過去には、「アメリカに日本のたこ焼きを広めよう!」と、ロサンゼルスにたこ焼き店を作ったこともあります。「寿司・天ぷらの次は粉もんや!」と意気込んでいましたが、そんなに甘くはなかったですね(笑)
洗えるからずっと使えるシリコンストロー「SUTENAI」
–ここからは、再利用可能なストロー「SUTENAI」について教えてください。このストローにはどういった特徴がありますか?
佐々木さん:
「SUTENAI」は縦にパカっと開くことで中を洗うことができるシリコンストローです。繰り返しの使用が可能で、捨てる必要がないことからこの名前を付けました。
–なぜシリコンストローに注目したのですか?
佐々木さん:
2019年に、シリコン製品を製造している中国の工場の社長さんから、再利用可能なシリコン製のストローを製品化したいというお話を聞いたのがきっかけです。
この時、「これはアルデナイデだからこそ取り扱わなければならない商品だ!」と直感で思ったんです。便利グッズとして売れるだろうという考えではなく、社会的意義をもって取り組める商品に巡り会えたと感じた瞬間でした。
–SDGsを知ったのもこの時期ですか?
佐々木さん:
そうですね。商品をどのように広げるか考えていたときに、SDGsというワードを知りました。意味を理解していく中で、これこそまさにSDGsの実現に貢献できる製品であると改めて思いました。このSDGsを切り口とすれば、再利用可能なシリコン製のストローを日本国内に効果的に広げていくことができるんじゃないかと考えたのです。
そこで、「 『私たちの未来』のために、気軽に出来ることを創る」をコンセプトに、SDGsをより身近に感じていただけるような販売戦略を進めてきました。
「エコ偽善者」にならないよう、消費者に寄り添った発信を心がける
–アルデナイデさんが行うSDGsへの取り組みは、どういった特徴がありますか?
佐々木さん:
一番の特徴は、消費者の目線に立った発信を行っている点です。SDGsはとても大切な目標ですが、まだ「難しくて分からない」と言う方が多くいらっしゃるのではないかと感じています。
大手企業はSDGsへの取り組みを大々的に発信されていますが、私たち中小企業ができるのは、SDGsの意味を分かりやすく噛み砕いて「自分たちは何ができるのか」をより近いところで、具体的に伝えていくことなのではないかと感じています。
–たしかに「自分に何ができるか分からない…」と感じている方は多いかもしれないですね。
佐々木さん:
私としては、SDGsの中身を理解するのは後で良いので、「SUTENAIを使うことが、SDGsへの貢献に繋がる」ということが伝わればOKだと思っています。
一番大切なのは、あくまでもSDGsを自然に理解できるような入り口を作ってあげること。これが私たち中小企業の使命なのではないかと考えています。
–「SUTENAI」をきっかけに、SDGsに興味を持つ方を増やしていきたいという思いが根底にあるのですね。
佐々木さん:
そうですね。実は私自身、シリコンストローと出会うまではエコやSDGsに全く興味がない人間だったんです。私と同じような人が世の中にはたくさんいるのではないか?と考えた時に、ただ単に「SDGsに取り組みましょう!」と伝えることはできなかったんですよね。
「佐々木さんはエコ意識が高いですね」と言われることもありますが、全くそんなことはありません(笑)。自分が「エコ偽善者」にならないよう、SDGsをより身近に感じてもらえるよう消費者に寄り添って伝えることが、アルデナイデとしての役目だと考えています。
「SUTENAI」をきっかけにSDGsを知る
–様々なメディアからの取材も受けられており、「SUTENAI」の認知度が上がってきているようですが、実感はありますか?
佐々木さん:
「SUTENAI」をきっかけとして、SDGsを意識される方が日に日に増えていってるのは実感してます。
発売した2年前は、エコに対してアンテナが高い方が購入してくださっている印象でしたが、現在は「SUTENAIを使うことでSDGsについて考えることができた」、「自分も貢献できた!」という声をいただけるようになりました。
まずは、きっかけを作ることが大切だと思うので、焦らず「SUTENAI」に出会っていただけるような発信を続けていきたいです。
–SNSなどで情報を発信する際、大切にされていることはありますか?
佐々木さん:
商品を軸にエコやSDGsを論ずるのではなく、まずは世界で起きている問題をいろいろな視点から切り抜いて、より本質的な情報を伝えることを意識しています。ピンポイントな商品PRではなく、私たちも知らなかったSDGsに関する情報を、一人でも多くの方に知っていただけるよう発信し続けていきたいですね。
正直な発信が新たな行動を生む
–佐々木さんは「自分は全くエコを意識したことがない人間だった」と正直に伝えていらっしゃる点が印象的です。何か理由があるのですか?
佐々木さん:
自分がそうではなかったからこそ、「このストローはSDGsに貢献できる商品ですよ!使ってください!」なんて恐れ多くて言えないんですよ(笑)。だからこそ、お客様と同じ目線で正直に発信することに意味があるのではないかと考えています。
–そういった佐々木さんの思いがあるからこそ、多くの人に「SUTENAI」に込められた思いが伝わっているのですね。
佐々木さん:
そうだと嬉しいです。世の中に完璧な人間がいないのと同じように、エコを完璧にやろうとしてもどこかでしんどくなってしまうと思うんです。急に考え方を180度変えることは難しいと思うので、身近なできること、気付いたことからやっていくことが大切なのではないでしょうか。私自身は、SDGsをそういったものだと理解しています。
–最後に、今後の展望を教えてください。
佐々木さん:
「SUTENAI」は発売してから2年が経ちますが、まずはこの商品が当たり前のように皆さんに使っていただけるアイテムとなるよう、世の中に広げていきたいと考えています。
また、売上の一部をWWFジャパン様を通じて寄付するという活動も継続していきます。「SUTENAI」を使うことで、そういった活動を知るきっかけとなればと思います!