【個人ができること5選】目標3「すべての人に健康と福祉を」

人間が人間らしく生きていくために、社会に求められていることというと、”平等”や”教育”などが挙げられますが、それらの前提として何より大切なのが”健康”と”福祉”ではないでしょうか。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は、持続可能な社会をつくっていく上で、欠かせない目標です。

  • なんだか壮大な目標だな
  • 国際機関や大企業に期待するしかないな
  • 医療先進国の日本で暮らしているから、自分にはあまり関係ない

などと感じてしまいがちですが、目標達成のために私たち個人ができるアクションはたくさんあります。

今回はそのヒントとなるよう、個人でできることを5つピックアップしました。一人一人がアクションを起こすことがやがて大きな力となり、目標の達成につながります。ぜひご自身にできる無理のない範囲で、トライしてみてください!

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」の現状と取り組み事例、私たちにできること
この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

【途上国に気持ちを届ける】支援団体への寄付

医療や福祉に課題のある開発途上国。個人としてボランティアに行くのは難しくても、金銭的な支援を行うことは出来ます。一人の寄付金は僅かでも、多くの人が協力することで、やがて大きな力となります。

支援団体への募金とは?

世界には、途上国などへの医療・福祉の支援を行う団体が数多くあります。

個人で寄付する場合、振込やクレジットカードなどで簡単に少額から支払えるので、自宅に居ながらでもできる、もっとも簡単なアクションです。

ちなみに、寄付先の団体によっては「寄附金控除」を受けることが出来ます。寄附金控除とは、確定申告をすることによって、住民税や所得税が控除される制度です。詳しくは国税庁のサイトやお近くの税務署で確認してくださいね。

どこに寄付すればよい?

とはいえ「支援団体が多すぎて迷ってしまう。」という方に向けて、ここでは筆者のおすすめ団体をいくつかピックアップしてご紹介します。これらの団体はいずれも、支援の実績や運営の透明性がしっかりしているので安心して寄付できることもポイントです。

国境なき医師団

創立から50年近くになる「国境なき医師団」。世界各地に事務局のある大規模な団体なので、ニュースなどで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

国境なき医師団は、

  • 紛争や災害の被害地
  • 難民キャンプ

など、医療が緊急に求められている地域に医師や看護師、スタッフが赴いて無償で医療を提供してる団体です。

国境なき医師団の活動は、97%以上が民間からの寄付で成り立っています。

寄付には、

  • 毎月定額を寄付する方法
  • その都度寄付する方法

があります。現金での寄付以外にも、クレジットカードのポイントでの寄付も可能です。使い忘れて失効してしまう前に、そのポイント、寄付してみませんか?

ジャパンハート

2004年に日本で創立された、国際医療NGO「ジャパンハート」。

  • アジアの途上国への医療支援
  • ミャンマーでの社会福祉制度支援
  • 医療従事者の育成

などを行っています。また海外に限らず、日本国内でも離島などの医療が届きにくい地域での支援も行うなど、世界規模で支援を行っています。

ジャパンハートへの寄付は、現金はもちろんのこと、様々な支援方法を用意。特におすすめなのが”古本で寄付”です。

ブックオフと提携しており、古本の売上をそのまま寄付することができます。筆者も先日、部屋の整理をした際にこのサービスを利用して寄付してみました。

店舗に重い古本を持ち込む手間もなく、団体への支援もできて一石二鳥なので、不要な本がある場合は試してみてはいかがでしょうか。

ピープルズ・ホープ・ジャパン

カンボジアやミャンマーで、主に母子保健分野の支援活動を行う「ピープルズ・ホープ・ジャパン」。

SDGsターゲット3.1にある、

2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。

の達成に向けて、医療支援のほか、妊産婦への正しい知識の教育といった活動も行っています。

毎月決まった額を寄付する”こんにちは!お母さん募金”では、月々500円からの支援が可能。カフェでのコーヒー1杯分の値段と考えると、自分にも協力できそうな気がしてきませんか?

どのようにSDGsの達成につながるの?

支援団体ごとに、目標3の様々なターゲットにつながる活動を行っていることが分かったと思います。とりわけ

3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。

3.2 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。

3.8 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

などについては、支援団体による活動が大きな影響力を持つため、活動を支える個人からの募金が不可欠です。

【着なくなった服がワクチンに】「古着deワクチン」に参加

  • サイズが合わなくなった
  • 飽きてしまった

などの理由で服を捨てようとしている方、ちょっと待ってください!その古着、「古着deワクチン」に寄付することで開発途上国の子どもたちを救うことができるのです。

「古着deワクチン」とは?

日本リユースシステム株式会社が運営する「古着deワクチン」。その名のとおり、古着を寄付することによって途上国のワクチン支援ができるサービスです。

サービスを利用するときの流れは、

  1. ”専用回収キット”(税込3,300円)を購入する
  2. 専用の回収袋に、着なくなった服やバッグ、アクセサリーなどを入れる
  3. 集荷に来てもらい、寄付完了

となります。

回収キットの購入が必要ですが、集荷に来てくれるので手間要らず。ゴミ捨て場に出したり、古着屋さんに持っていくよりも、負担が少ないのも嬉しいポイントです。

寄付された古着は開発途上国に送られ、現地で選別・販売されており、この売上の一部が、ワクチン寄付に使われています。また、これとは別に、利用者の回収1口につき5人分のワクチンにあたる額が、「認定NPO法人 世界の子供にワクチンを日本委員会」に寄付されます。

「古着deワクチン」をもっと詳しく

「古着deワクチン」で寄付されるのは、「ポリオ」のワクチン。

ポリオとは

ウィルス性の感染症で、手足の麻痺などの症状が出たり、最悪の場合、命を落とす危険があります。

日本では乳幼児へのポリオワクチン接種が徹底されているので、40年以上感染者は発生していません。しかし一部の途上国ではワクチン接種が徹底されていないため、いまだポリオで命を落とす人々がいるのです。

「古着deワクチン」を利用することで、

  • バヌアツ
  • ブータン
  • ミャンマー
  • ラオス

の子どもたちへポリオワクチン接種が届けられ命を救うことができます。

さらに、「古着deワクチン」は雇用の産出にも貢献しています。

サービス利用者がまずはじめに購入する”専用回収キット”。この製造や発送などは福祉作業所で、障がいを持った方々が行っているのです。”だれ一人取り残さない”を原則とするSDGsの観点からも、障がい者の雇用を生み出すことは重要です。

そして寄付された古着類は、途上国に送られてから分類や販売が行われるため、現地の雇用も産まれているなど、多角的な支援につながっています。

どのようにSDGsの達成につながるの?

途上国へワクチン寄付は、目標3の以下のターゲット達成につながります。

3.2 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。

3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.8 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

また雇用の産出にもつながっているため、目標8「働きがいも経済成長も」の、

8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。

8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

にも貢献しています。

なお「古着deワクチン」の運営会社(日本リユースシステム株式会社)は2019年に、第3回ジャパンSDGsアワードの特別賞を受賞しています。

【誰にでもできる政治参加】健康・福祉を重視する候補者に投票

ここまで、開発途上国への支援プランをご紹介してきました。では、私たちの住む日本では目標3は完全に達成出来ているのでしょうか。

日本国内では達成できている?

日本は開発途上国と比べると、医療や福祉サービスの提供は大きく進んでいます。しかし、

3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。

3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。

3.a 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。

などに関しては、まだまだ課題が残るのが現状です。こうした課題の解決に対して大きな力を持つのが「政治」です。

選挙に行こう!

では政治に対して、私たちが個人としてできることはあるのでしょうか?

もっとも基本的な手段が「選挙での投票」です。選挙で投票する権利は、満18歳以上の日本国民であれば平等に与えられている、私たちの大切な”権利”です。

国会議員や都道府県・市区町村の議員を選ぶための「選挙」。私たちの一票で選ばれた議会議員が、国や自治体のお金の使い道などを決めます。選挙があってもあまり興味がないという人でも、まずは実際に投票に行ってみることが大切です。

投票する候補者や政党を決める時には、様々な観点から検討することとなります。その観点のひとつに「SDGsの達成に繋がる政策を提示しているか」を加えてみるのはいかがでしょうか。

どのようにSDGsに繋がるの?

直近の国政選挙は、2019年5月に行われた参議院議員選挙。(2021年8月時点)この時の政党ごとの政策を見ると、

  • 予防医療や難病医療の充実
  • 感染症対策の推進
  • 国民の健康づくり推進
  • 受動喫煙対策

などが掲げられています。これはそれぞれ、「すべての人に健康と福祉を」の達成にに繋がります。

次の選挙のときには、投票先を決める基準の一つにSDGsの観点も取り入れてみてくださいね。

【まずは自分の健康から】自分や家族の健康管理を行う

自分や家族の健康状態について考え、正しく管理をすることも、目標3の達成に繋がります。

どんなことから始めれば良い?

一口に健康管理と言っても、何から始めればいいのか分からない方もいると思います。そこで、まずは、自身の生活習慣や健康状態を見直してみましょう。

  • 食事の回数、量、バランスは適切ですか?
  • 睡眠時間は足りていますか?また眠りの質はどうですか?
  • ストレスを貯めこみ過ぎていませんか?
  • お酒をたくさん飲んだり、たばこを吸いすぎたりしていませんか?

“出来ていないこと”が分かれば、これから取り組むべき内容が分かるはずです。もちろん現時点で出来ていることは、その調子で続けるようにしましょう。

どのようにする?

では具体的な方法を課題別に見ていきましょう。

食事に課題のある方

忙しい現代、理想的な食生活を送るのは簡単なことではありません。”完璧”を目指さず、まずは出来ることから始めてみましょう。

厚生労働省も紹介している「栄養3・3運動」は、手軽に健康的な食生活を送るのに示された運動で、初心者にもわかりやすい内容です。「栄養3・3運動」のポイントは、

  • 1日3食、それぞれ3色食品群の食べ物を摂る
  • 赤の食品…肉、魚、卵、乳、豆など 血や肉をつくる
  • 黄の食品…米、麦、芋、油、糖など エネルギーになる
  • 緑の食品…野菜、果物、海藻など 体の調子を整える

例えば「朝食でトースト(黄の食品)に加えて、ゆで卵(赤の食品)、フルーツ(緑の食品)を食べる」などで、これにより3色食品群すべての食材を食べることができます。ぜひ日頃から意識してみてください。

睡眠に課題のある方

睡眠不足は、うつ病や生活習慣病を引き起こす原因にもなります。また、注意力が低下することにより、交通事故などを引き起こす可能性も。

まずは生活リズムを見直し、十分な睡眠の時間を確保しましょう。加えて、睡眠の”質”をあげることも大切です。睡眠の質が良くないと感じる人には、

  • 自分に合った寝具を選ぶ
  • 寝る前に液晶画面を見ない
  • 睡眠障害が疑われる場合、専門医を受診する

などの対策法があります。

ストレスを感じている方

過度なストレスは、様々な病気の原因となります。精神疾患に限らず、呼吸器や消化器、血圧などにも症状が出ることも。”ストレスで胃が痛い…”といった症状は、経験したことがある方もいるのではないでしょうか。

社会生活を送るうえで、ストレスは避けては通れないものです。極力溜め込まない生活を心掛けてみましょう。

  • 自分に合ったストレス解消法を見つける
  • 毎日の生活にリラックスタイムを取り入れる
  • 考え方を変えてみる、他の人に悩みを話してみる

など、手軽にできるストレス対策を実践してみてはいかがでしょうか。

お酒・たばこの習慣がある方

お酒を飲むことや、たばこを吸うことがストレスの解消法になっている方もいますが、過度な摂取は、心身に悪影響を与えてしまいます。また依存症になりやすいことも忘れてはいけません。

とはいえすぐに飲酒や喫煙をやめるのは難しいもの。適量を楽しむようにして、別のストレス解消法も見つけておくと良いでしょう。

ほかにも…

  • 定期的に運動する習慣をつくる
  • 健康診断や人間ドックを受診する
  • 新型コロナ・インフルエンザ・風邪に有効な感染症対策を行う

といった行動で、自らの健康管理をより一層深めることができるでしょう。

どのようにSDGsにつながるの?

一人一人が健康管理をしっかりとすることで、

3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

を始め、多くのターゲットの達成につながります。

【世界を変える原動力は”あなた”】積極的に情報発信を行う

大切な家族や友人が、あなたに何かを訴えかけてきたとき、きっと真剣に話を聞き、そして大きな影響を受けることでしょう。身近な人からの情報発信は、テレビ番組やネット記事よりも、より”自分ごと”として心に刺さるものです。

そこでSDGs目標3を達成するために、ぜひ積極的な情報発信をしてみましょう。

どんなアクションをすればよいの?

簡単なようで難しい情報発信。いざ改まって発信するとなると、どのように行えばいいのか分からなくなってしまうこともありますよね。

うまく言葉がまとまらなくても、大勢の前でスピーチをするわけではないので気負う必要はありません。SDGs達成の必要性や自分たちが今できることを、丁寧に説明するようにしてみましょう。

情報発信の方法にも、色々あります。

  • 伝えたい相手に、ストレートに話す
  • TwitterやFacebookなどのSNSに投稿する
  • 情報のまとまったパンフレット類を見せて、会話のネタにする
  • 支援団体の商品をプレゼントする

など。「SNSで投稿するのはハードルが高い…」という方は、リツイートや記事のシェアなどから始めてみるのもOK。できることから始めてみましょう。

学ぶことも大切

情報発信するからには、まず自分が正しい情報を知る必要があります。情報源としては、当サイトの記事はもちろんですが、書籍を読むこともおすすめです。

最近では書店や図書館に行くと、SDGsに関連する本がたくさん並んでいて迷ってしまうほど。そこで、筆者のおすすめを2冊ほどご紹介します。

中公新書「SDGs(持続可能な開発目標)」蟹江憲史 著
引用元:Amazon

SDGsの全貌、17の目標それぞれの内容や、実践的な取り組みが紹介されている一冊。はじめてSDGsのことについて学ぶ方におすすめです。

岩波新書「SDGs-危機の時代の羅針盤」南博・稲場雅紀 著
引用元:Amazon

日本政府の交渉官としてSDGs成立に携わった南博さんと、政府”SDGs推進円卓会議”メンバーの稲場雅紀さんによる共著。SDGsの国連での交渉過程は、読み物としても楽しめる一冊です。

どちらも幅広い世代で読める内容となっているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

どのようにSDGsに繋がるの?

  • SDGsという言葉は聞いたことはあるけど、実はよくわかっていない
  • SDGsに関心はあるけど、個人で取り組めることはあまりない

と思っている人も、まだまだたくさんいるのが現状です。

SDGsの情報や、個人としてできるアクションについて情報発信することで、より多くの人が知識を身につけることができます。それがきっかけでアクションを起こす人が増える可能性もあり、目標3の達成に一歩ずつ近づいていくのです。

あなたが情報発信した相手が、また別の人へ発信する…というように、人から人へと情報は広がっていきます。SDGsの輪を広げるため、一歩踏み出してみましょう。

まとめ

「すべての人に健康と福祉を」。SDGsの掲げるこの目標は、世界の現状を知ると達成までの道のりが果てしないもののように思えてきます。それでも、私たち一人一人が問題を認識し、行動する必要があるのです。

ボランティアのような大きな支援が出来なくても、個人でできるアクションはたくさんありました。最初の一歩を踏み出すのは大変かもしれませんが、持続可能な社会を築くためにも、出来ることから始めてみましょう。