スローファッションとは?注目された背景やおすすめブランドも紹介

近年、SDGsやミニマリズム・サスティナビリティといったキーワードを見るようになりましたが、ファッション分野においては「スローファッション」に注目が集まっています。

私たちはいつでも好きな時に好きなデザインのアイテムを選べますが、環境や労働者に配慮せずに購入することは、あまりサスティナブルとは言えません。

そこで、持続可能な社会の実現に取り組むスローファッションについて、なぜそれが必要なのか?私たちが消費者としてどのように関われるのか?を見ていきましょう。

スローファッションとは

スローファッションとは、人権環境動物配慮して作られたファッションアイテムのことです。さらに、消費者がほんとうに必要なものだけを厳選して長く愛用する取り組みを指します。

できるだけ自然素材・リサイクル素材を原料とし、消費者がひとつのアイテムを長く使えるように工夫を凝らしているため、環境にやさしい点が特徴です。

また、スローファッションの商品を作るには、職人や生産者へ正当な賃金を支払い、適切な環境・待遇のもとで働けるように配慮するのも大切なポイントといえます。

そうしてできたアイテムを私たち消費者ができるだけ長く使い、生産スピードを減らし環境への負担を減らす取り組みも、スローファッションの定義に含まれます。

ファストファッションとの違い

スローファッションは、2000年代から台頭しはじめた「ファストファッション」に対抗する形で登場しました。

ファストファッションとは、質より量を重視した製造形態で作られるファッションアイテムのこと。

さまざまなデザインの衣服やアクセサリーを大量に生産するので価格が安く、新商品が頻繁に入れ替わる点が特徴です。そのため、流行に敏感な若者を中心に人気が高まっていきました。

では、なぜ今スローファッションへの注目が高まっているのでしょうか。

なぜスローファッションが注目を集めているのか

スローファッションが注目を集める理由を、

  • エシカル
  • 環境破壊
  • 人権と労働

の3つに分けて説明します。

エシカルへの注目の高まり

近年よく目にするようになった「エシカル(ethical)」は、倫理を意味する言葉です。

法律のような明確なルールとは異なり「人として、社会の一員として”正しい”と思うこと」といった意味を指します。

スローファッションにおける「エシカル」は、たとえば以下のようなファッション業界の実態に対し、NOを掲げています。

  • 動物の命を奪ってまで毛皮やレザーを使用する
  • 化粧品などの開発のために動物実験を行う
  • 働く人の人権を無視した労働搾取

ファストファッションが流行する裏では、特にこうした実態がたびたび報告されています。

そこで、より倫理観に沿ったアイテムづくりをし、生産・消費活動につなげようとする動きとして、スローファッションへの注目が高まっているのです。

大量生産・大量消費・大量廃棄による環境破壊

18世紀のイギリスで産業革命が起きて以降、ファッション業界でも機械による生産が盛んになりました。

そこで起きた大きな弊害のひとつが、環境破壊です。

生産過程で大量の化学農薬や肥料・化学染料を含む排水を流した結果、周囲の生態系を壊すことに。毎年、20%の汚水がファッション業界から出ている事実から、素材の栽培や生産が環境に多大な影響を与えていることが分かります。

また、さまざまな素材や商品の流通を行う上でたくさんの二酸化炭素を排出し、地球の温暖化に発展しています。

化学繊維の開発によって安価なアイテムが登場してからは、人々が1着に袖を通す期間が短くなり、今では平均3年以内に捨てられるようになりました。その結果、せっかく出来た衣服がゴミになるスピードが速くなり、大量廃棄も問題となっています。

また、化学繊維に含まれるマイクロプラスチックは大きな環境破壊を引き起こします。土や水に混じって流れ出し、生き物の口に入って命を奪ってしまったり、土壌・海を汚染してしまうのです。

このように、大量生産・大量消費・大量廃棄は、今もさまざまな環境問題を引き起こしています。

これ以上の環境破壊を止めるためにも、できるだけ生産量を減らし、消費・廃棄のスピードをゆるめるスローファッションの動きが注目されているのです。

人権を無視した労働環境

大量生産・大量消費の流れは、ファストファッションの台頭とともに広がっていきました。

同時に問題となったのは「人権を無視した労働」です。

以下の図をご覧ください。こちらはデラウェア大学のチームがまとめた「縫製工場の労働者が得る最低賃金の国別比較(2019年)」です。

上位には、日本を含む先進国が並び、下へ行くにつれ、貧困層を多く抱える途上国が名を連ねているのが分かります。

ファストファッションは、インドやバングラデシュ・中国で多く生産されています。その多くは最低賃金の給料しかもらえていません。中には、生活に必要なコストの5分の1にも満たないお金で暮らしている人もいます。

問題なのはお金だけではありません。たとえば縫製を担当するスタッフは、1日14~16時間の労働を週7日行なっているケースがあります。繁忙期は夜中の3時まで働かされる場合もあり、ファストファッションの世界では、まさに労働搾取が横行しているのです。

これでは、もし過労によって体調を崩しても、お金がないので医療へのアクセスが難しく、十分な栄養のある食事をとることもできません。

こうした実態をなくすためにも、人権に配慮したスローファッションが求められています。

スローファッションの特徴・メリット

では、スローファッションの主な特徴について見ていきましょう。

特徴①環境にやさしい

第一に、ものづくりを行うファッション業界において「環境への配慮」はマストです。

そのため、

  • できるだけ動物の命を奪わない植物素材を中心に使用
  • 素材の栽培時には農薬や肥料を最小限にする(中にはオーガニック農法で育てたものも)

といった素材が使用されています。

加工時は、自然由来や環境への負担を考慮した染料を使い、水・電気といったエネルギーを無駄にしないのがポイントです。

また、すでに着古したアイテムをそのまま誰かに譲るのも、スローファッションの一部です。資源を無駄にせず、すでにあるものを循環させる取り組みも環境への配慮といえます。

ほかにも、リサイクルして新たな繊維を取り出し、生地そのものを使ったアップサイクルを行なうのも、環境への配慮に貢献できるやり方のひとつです。

特徴②長く使える

スローファッションを打ち出すブランドの多くは、デザインにも工夫を凝らしています。

流行を追うのではなく、シンプルかつ耐久性を重視したデザインを展開し、性別や世代を超えて愛されるアイテムが人気です。

また、職人の手仕事を大切にする側面を持ったブランドの場合、機械生産では難しい細かなディティールを施したデザインも多く、作り手が培った長年の技が光ります。

ほかにも、ほつれたり穴が開いたりした自社アイテムを直す(リペア)サービスを受け付けている企業も。さまざまなアプローチから、できるだけ1着を長く使ってもらえるように努めるのがスローファッションです。

特徴③ローカルメイド

次に挙げるのは「ローカルメイド」、つまり自分の住んでいる地域・国で作られたアイテムです。

スローファッションの元となるアイディアは、スローフード(Slow Food)です。

1980年代のイタリアで始まったスローフード・ムーブメントでは、

  • Good(質が良く、おいしくて健康的である)
  • Clean(環境に配慮し、土地のものをいただく)
  • Fair(公正でクリーンな生産と販売・消費を尊重する)

を掲げ、土地の伝統食や文化を大切にするための運動を展開しました。

それにならって生まれたスローファッションでも、食で言うところの「地産地消」のように、できるだけ住んでいる地域から近い場所で作られたアイテムを購入するようすすめています。

日本ではかつて、麻や木綿・絹といった素材を用いて、各家庭もしくは集落単位で自分たちが着る分の衣服を繕っていました。

しかし今では、日本で売られているファッションアイテムのほとんどが、外国からの輸入に頼っています。

環境省によると、日本で売られている衣服の約98%は、海外から輸入されているのです。

輸入を行なうと、輸送による二酸化炭素の排出量が多くなります。

また、地域で伝統的に受け継がれていた職人の技は、グローバル化に起因する賃金・質の低下や、より高い報酬を求めて労働者が都市部へ流出することによって、途絶えるリスクが高まります。

そこでスローファッションでは、自国生産を意識した服作りも積極的に行われています。

皆さんもアイテムを購入する際は、どこで作られたものかを意識してみてくださいね。

特徴④量より質

スローファッションでは、作る量を減らす代わりに、1品の質を高める点が特徴です。

作る量を減らせば、過剰在庫を抱える心配がなく廃棄の量が減少します。環境面への負担を大幅に抑えられるのです。

最小ロットで作るほか、限られた材料だけで1点ものを販売する取り組みや、受注生産で素材の無駄をなくす試みも行われています。

また量や素材はもちろん、ひとつのアイテムを丁寧に仕上げ、世代を超えて長く使えるようなデザインを取り入れています。

例えば、大人だけでなく子ども服も、兄弟姉妹に関係なく着やすいデザインだったり、ネームタグが2つ以上あったりと、ブランドによってさまざまな工夫を凝らしているのです。

このように、できるだけ作る量を減らし、ひとつのアイテムにコミットして質を上げることを優先しているのも、スローファッションの大きな特徴です。

特徴⑤人権に配慮した生産

最後に挙げるのは「人権」にコミットしたアイテム作りです。

グローバル化した現在のファッション業界では、

  1. 素材の調達・栽培
  2. 生地の加工
  3. 縫製
  4. 販売
  5. 消費

の過程を、いくつもの国・地域で行なっているのが現状です。

その裏には、少しでも安い人件費で人々を働かせ、多くの利益を吸い取ろうとする企業の存在があります。

2015年に公開された映画『The True Cost ファストファッション 真の代償』では、バングラデシュをはじめ発展途上国を中心とした労働搾取の実態や、企業が人権を無視した結果、健康被害や貧困に発展する様子が描かれました。

このように、今も世界では1着の服を作るために安い賃金で働かされている人々がいるのです。

スローファッションでは、こうした労働形態を変えるために、生産者・労働者の人権を尊重したものづくりに努めています。

ブランドによってはウェブサイトで工場の様子・製造の過程を細かく公開しているので、私たちは消費者として生産者を支援するつもりでアイテム選びをするのが大切です。

このように、スローファッションは環境や耐久性・人権といった様々なポイントに気を配って生まれたアイテムが豊富です。

では次に、私たちがファッションアイテムを購入する際のポイントについてご紹介します。

スローファッションを選ぶポイント⓪買う量を減らすために

スローファッションを購入する前の準備として、ひとつやるべきことがあります。

それは「今ある手持ちの服を整理し、自分が長く着たいと思えるスタイルは何かを考える」ことです。

いくら気に入ったからといって「何着も買って結局あまり着なかった……」というアイテムはありませんか?

まずは手持ちの服を整理してみましょう。その上で本当に必要なものだけを買うのが、スローファッションへの第一歩。

自分のスタイルを見直して、アクセサリーやヘア小物といった、服以外の要素でテイストを変える楽しさを学ぶのも良いアイディアです。

これから新しいアイテムを選ぶ際は、ひとつのものを長く使うことを前提に購入し、買う量を減らしていきましょう。

筆者は最近、手持ちのアイテムを順番にローテーションし、その日着る服(上:カットソーorワンピース、下:パンツ)を決めるほど、どの組みあわせになっても大丈夫なラインナップになってきました。

筆者のタンスにある、1年分の衣服。このほかにワンピースと上着が数着ずつあります

自分が「好き」と思える服だけを厳選すれば、自然とテイストや色のバランスが取れるようになってくるものです。

スローファッションを選ぶポイント①素材

ここからは、アイテムを購入する際に注目したいポイントを見ていきましょう。

まずは「素材」です。地球環境への負担をかけず、動物搾取にも加担しない素材を選ぶようにしましょう。

スローファッションでよく用いられる素材を5つご紹介します。

オーガニックコットン

コットンは、木綿とも言われる植物からできる、わた状の繊維を使ってできたものです。

保温性が高く、摩擦や水に強い特性から、私たちの暮らしの中で衣服やタオル・バッグといった様々なアイテムに利用されています。

中でもオーガニックコットンは、農薬・化学肥料を用いない方法で育てられた、環境にやさしい素材のひとつです。

現在、多くの市場で見かけるコットン製アイテムは、近現代の農薬・化学肥料を使ったコットン栽培によるもの。化学成分の入った散布は、環境に大きな負担がかかるだけでなく、生産者の健康にも悪影響を及ぼします。

ただし、1枚のコットンTシャツを作るには2,720リットルもの水が使われている事実から分かるように、たとえオーガニックコットンでも頻繁に購入するのは控えたいところ。

だからこそ、ひとつのアイテムを厳選し、長く使うことがスローファッションなのです。

オーガニックコットンは肌ざわりがよいため、Tシャツはもちろん肌着や靴下選びにおすすめです。

ブランドによっては、GOTSのように世界基準の認証を取得した生地を使用しているので、購入前に商品タグやウェブサイトをよく見るようにしましょう。

リネン(亜麻)

リネンは紀元前から利用されてきた素材のひとつ。亜麻という植物から繊維をとり、速乾性・抗菌性の高さから、衣服はもちろんベッドリネンや、古代エジプトのミイラに巻く布としても使われてきました。

リネンは基本的に農薬がなくても育つため、環境にやさしい素材といえます。摩擦には弱いものの水に強く、洗うたびに繊維が強くなるので長く使える点が魅力です。

他の繊維に比べて乾きが早いため、湿度の高い日本でも扱いやすい繊維ではないでしょうか。しかし国内で亜麻を栽培している場所は少なく、中国や欧州からの輸入が大半であるため、輸送の課題は残します。

とはいえ、リネンは夏ならさらりと1枚で、冬は他のアイテムと重ね着すればあたたかい。とても便利でエコな素材として人気を集めています。

ヘンプ(大麻)

ヘンプは、日本で古来より重宝されてきた植物繊維です。主に茎を使って糸を作り、衣服だけでなく注連縄などの神具や、暮らしの道具として幅広く利用されてきました。

繊維の特性はリネンによく似ていて、日本でも栃木県など一部の地域で生産が続いています。そのため、国産ヘンプのファッションアイテムをみつけることが可能です。

またヘンプは、生育する過程で土壌環境を整える効果があり、生育環境にも幅広く対応できるのがポイント。

過去にウクライナ・チェルノブイリ地域で原発事故が発生した際は、周辺土壌にヘンプを植えて除染効果が見られたとの報告もあるほど。そのため、農地や耕作放棄地といった場所に植えて土壌の回復にも利用できる優れものです。

ファッションアイテムとしての利便性はもちろん、環境のためにも注目したい繊維といえます。

ヴィーガンレザー

次に紹介する「ヴィーガンレザー」は、種類によっては環境にやさしい素材とはいえないかもしれません。

なぜかというと、これまで主流だった「合皮」の原材料はプラスチックだったからです。

しかし近年は技術が進み、りんごを主原料としたアップルレザーや、パイナップルからできたパインレザーのような植物性レザーが登場しました。

倫理面や動物愛護を理由にレザーを避ける人たちにも、本物のレザーとほとんど同じ質感のカバンや靴を楽しめる素材として、ヴィーガンレザーが注目を浴びています。

スローファッションの一環としてヴィーガンレザーを購入する際は、商品タグやウェブサイトの説明をよくみて、どんな素材で作られているかをチェックしましょう。

リサイクル素材

最後は「リサイクル素材」です。

環境省によると、日本の家庭から手放される衣服は年間75万トン。そのうち、資源としてもう一度再利用されるのは、たったの5%です。

この現状を受けて取り組まれているのが、リサイクル繊維の開発・利用です。

  • ペットボトルを繊維にリサイクルしたジャケット
  • 海洋ゴミプラスチックを靴底にリユースしたサンダル
  • 回収したセーターを色別に繊維化し、もう一度セーターとして蘇らせたアイテム

のように、ブランドによって異なるアプローチを行い、すでにある資源の再利用に取り組んだリサイクル素材・製品が増えています。

ものを大切に、循環させる」の意識を持って、リサイクル素材を使ったアイテム選びも、スローファッションの大切なポイントです。

スローファッションを選ぶポイント②アイテムのストーリーに注目

次にあげるポイントは「そのアイテムがどこで・どうやってつくられているのか?」に目を向けることです。

環境や人権といった側面に配慮したものづくりの裏には、膨大な努力と物語があるもの。

そこに注目すると、アイテムのデザイン性だけでなく、職人の手技による機能性の高さに気軽いたり、環境への良いインパクトを実感できたりと、ストーリーを通して見えてくるものがあるはずです。

野菜や果物の栽培には必ず生産者がいるように、ファッションアイテムひとつ取っても、生産者の工夫や思いがあります。

ぜひ彼らのストーリーに想いを馳せ、想いがたっぷり詰まった1着を選んでみてください。きっと袖を通すたびにそのことを思い出し、長く大切に使おうと思えるでしょう。

スローファッションを選ぶポイント③長く使えるかどうか?

できるだけ長い付き合いをしたいアイテムだからこそ、耐久性は大切なポイントです。

特にインナーやカットソー・パンツなど、ベーシックなものほどたくさん使うし、長く愛したいもの。

流行にとらわれず、縫製の丁寧さや作りが丈夫かどうかにも目を配り、ずっと一緒にいたい!と思えるアイテムを選びましょう。

とはいえ、長く使える=シンプルなデザインとは限らないもの。ただシンプルなら何でもいい、というわけでもありません。自分の好みにあったデザインなら何年でも着られるものです。

実際に試着してみて、動きやすさや他の手持ちの服との合わせやすさをチェックするのがおすすめです。

スローファッションの手入れ・保管方法

ここまで、スローファッションの特徴や選び方についてお話ししましたが、実際に購入したアイテムをどのように扱うべきか、迷う人も多いのではないでしょうか。

ここでは主に衣服(カバン・靴も含む)について、手入れのポイントをご紹介します。

使ったあとは、軽くブラッシング

1日中着た後の衣服には、繊維の毛流れが変わってゴミがつきやすい状態になっています。

そのため、着終わったら1日の終わりに、衣服用のブラシを使って軽く繊維を整えるのがおすすめです。

服の上部から下部に向かって、優しくなでるようにブラッシングしましょう。

ひとつの服を長く大切に扱うためには、日頃のケアが肝心です。

ウールやカシミヤといった繊維には、普段のブラッシングでは取りきれない毛玉ができることがあります。そんな時は毛玉取りブラシを使用してみましょう。あまりこすりすぎると生地が薄くなってしまうので注意が必要です。

カバンはブラシか布で、靴は定期的に靴用ブラシで軽く汚れを取り除きましょう。

洗うときのポイント

洗濯は、素材やアイテムによって異なる場合があります。

普段着であればほとんどが洗濯機OKですが、下着や繊細なパーツがある服は、洗濯タグをよくみて、書かれている指示に従ってください。

型崩れや色移りが心配なら、別々で洗うか洗濯ネットを使用しましょう。

リサイクル素材などプラスチックを含むアイテムをあらう時は、マイクロプラスチックが水に流れ出るのを防ぐために、Patagoniaが販売するグッピーフレンド・ウォッシング・バッグを使うのもいいアイディアです。

ウールやカシミアのような伸びやすい素材、草木染めのように繊細なアイテムは、手洗いが最適です。30度くらいのぬるま湯を張った洗濯容器にごく少量の洗剤を入れ、優しく押し洗いします。伸びやすい素材なら、畳んだ状態で洗うのがベスト。

干すときは直射日光を避け、セーター類は伸びないように平面にセットして干しましょう。

洗濯に使用する洗剤は、化学成分の入ったものを極力避け、植物性成分がメインのものや、木の実の一種・ソープナッツを使うのもおすすめです。

保管のポイント

最後は保管時のポイントです。匂いや虫食いを避けつつ、出来るだけプラスチック・化学成分を使わないように保管したい人には、以下のアイテムがぴったりです。

  • ハーブのサシェ
    防虫・抗菌成分の強いローズマリーやスペアミント・ティーツリーを乾燥させて布袋に入れ、保管場所にセット。
  • コーヒーかす
    乾燥させたコーヒーかすを布袋へ。
  • 重曹
    ハーブやコーヒーかすに混ぜて、衣類の湿気を吸収。

畳んで保管するのが難しいコート類は、ハンガーにかけて上からカバーをかけ、クローゼットのポール部分にサシェや布袋をかけておきましょう。

なお、天然染料である藍を使った衣服には、強い抗菌・防虫成分があります。かつて日本では大切なものを藍染の風呂敷に包んで保存し、虫食いを防いでいました。

もし手持ちの服に藍染めのアイテムがあれば、たくさん防虫剤を用意しなくても自然と効果を発揮してくれます。

また衣替えの前後には、晴れの日を狙って半日または1日天日干しするのも良いでしょう。太陽は、服の表面についた虫や卵を消毒してくれる天然の防虫剤です。

おすすめスローファッションブランド3選

ここでは、実際にスローファッションの取り組みを行っている国内外のブランドを3つ紹介します。

【手仕事のぬくもり溢れる衣服】Usaato(うさと)

参考:うさと

Usaatoは、日本人デザイナー・さとううさぶろう氏によって設立されたブランドです。

タイとラオスの農村で、手紡ぎ・手織り・草木染めによってつくられた生地を使用。綿と麻・絹を使って必要以上につくらず、目の前にある生地だけで衣服を繕います。

あたたかな色あいと、シンプルな中にエスニックなテイストを感じられるデザインは、普段着はもちろん少し特別な場所にも着ていきたいものが多く揃います。

1点ものが多く、サイズはバラバラ。そのため老若男女問わず選べる点が魅力です。

【エコな素材・ヘンプを使用!】Saana ja Olli(サーナ・ヤ・オッリ)

参考:Saana ja Olli

フィンランドのデザイナーカップルが立ち上げたブランド「Saana ja Olli」は、環境にやさしく強い素材のヘンプを使用したアイテムを扱っています。

欧州ではすでに栄養価の高い食品として注目を集めるヘンプですが、2人は繊維の汎用性の高さと、ヘンプの根が持つ除染作用に着目。農薬を必要としないヘンプは、栽培の段階で環境の改善に貢献できるうえ、繊維の加工〜製品づくりをフィンランド国内の工場で行うことで雇用の創出にも取り組んでいます。

シンプルでスタイリッシュなアイテムは、若者から中高年まで幅広く楽しめるデザインが豊富。最近は衣服だけでなくカーペットや、アーティストのポスターの扱いもスタートし、フィンランドの手仕事・アートの発信にも努めているブランドです。

ヘンプとは?自然素材として注目される背景やSDGsとの関係も

【地球にやさしい靴づくり】Natural World(ナチュラル・ワールド)

参考:Natural World

スペイン発のシューズブランド・Natural Worldは、GOTS認証を取得したオーガニックコットンを使用した靴を豊富に取り揃えています。

靴底には天然ゴムやジュート(黄麻)といった自然由来の素材を使用。ヴィーガンの人に安心なラインナップが並ぶナチュラルワールドは、スペインの小さな工場でひとつずつ丁寧な製造を行っています。

また、製造段階で切り落とされた素材の一部は、次の商品づくりに再利用されます。資源を無駄にせず、できる限りリサイクルしているのは大切なポイントです。

レディーズ・メンズのほか子供用の靴もあり、毎日のお供としてぜひ選びたいブランドです。

まとめ

今回はスローファッションについて、基本的な知識・特徴と、私たちが消費者としてできる行動のヒントをお伝えしました。

安く買える現状が当たり前になっているファッションアイテムですが、その裏にはたくさんの人が関わっており、地球から資源をいただいてできています。

SDGsの目標達成を掲げ、持続可能な社会に向かう現在だからこそ、ひとりひとりが暮らしに深く関わる「服」について、再度見直す必要があるのではないでしょうか。

ぜひ、これから衣服を購入する際は、そのアイテムが持つストーリーに着目してみてください。そして、とっておきの1着を大切に長く使うことを意識しましょう。

<参考文献>
エシカルとは –  一般社団法人エシカル協会
Environmental Impacts of the Fashion Industry – SustainYourStyle
Minimum Wage Level for Garment Workers in the World (Updated in December 2020) – FASH455 Global Apparel & Textile Trade and Sourcing
Fashion & Environment — SustainYourStyle
スローフードとは –  日本スローフード協会
環境省 – サステナブルファッション
映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』 – 華やかなファッション業界の裏側の知られざる真実とは?
What is Slow Fashion (vs Ethical & Sustainable Fashion)? – Sloww
コットンって環境に悪い?サステナブルファッション視点でのコットンの生産と利用 – WWFジャパン
リネンと人の関わりは「紀元前」。亜麻(リネン)の歴史を遡る – 株式会社テラモト
How Industrial Hemp Cleans up Nuclear Radiation and Toxic Soil
Hemp “Eats” Chernobyl Waste, Offers Hope For Hanford – Rediscover
Hemp

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)