#インタビュー

ソーシャルグッドリンク|社会問題の解決を目指す人たちをWeb上でつなぐ

ソーシャルグッドリンク

ソーシャルグッドリンク 寿倉 歩さん インタビュー

寿倉 歩

1982年大阪生まれ。メディアや証券、保育など様々な業界を経験後、アフィリエイトASPを運営する株式会社ウェブシャーク(現Yogibo)初期に参画、株式会社マイスタースタジオ設立、株式会社テミスホールディングス(現ラッコ)のメディア事業を管掌、同社取締役を経て、社会を良くする商品・サービスを広げることを目的とした成果報酬型の広告プラットフォーム ソーシャルグッドリンクを創業、同社代表を務める。経歴・実績
ソーシャルグッドリンク代表 https://socialgood.link/
株式会社マイスタースタジオ創業 https://www.meisterstudio.jp/
ボーダレスアカデミー実践家講義講師 https://academy.borderless-japan.com/
現場のプロがやさしく書いた-Webサイト運営・プロデュースの教科書(マイナビ出版)  https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=22960

introduction

社会を良くする広告主とメディア・団体など、社会課題の解決に取り組む人たちをつなぐ役割を担うソーシャルグッドリンク。

代表の寿倉歩さんは、大学在籍時より証券、保育、webメディアなど幅広い業界を経験して培った知見を事業に活かしています。

今回、寿倉さんに事業内容やソーシャルビジネスをはじめた経緯、ASPとしての広告主やメディアとの関わり方、抱えている課題などについて詳しくお話を伺いました。

広告主とメディア、団体をつなぐ方法とは?

–まずは、事業内容について教えてください。

寿倉さん:

私たちは、ソーシャルビジネスに特化したアフィリエイトASP※です。ソーシャルビジネスとは、環境や格差、食糧、教育といったさまざまな社会問題に対して、ビジネスで解決を目指すことです。

今、このソーシャルビジネスや、それらの事業や商品を支援すること、いわゆるソーシャルグッドに興味関心を持つ人が増えています。ただ、そこには課題もあると感じています。

私は、ソーシャルグッドに取り組む方々をとても尊敬しているのですが、その一方で、ふつうの人が入りにくくなっている部分もあるんじゃないかと。たとえば、商品の宣伝をブロガーさんにお願いするときに完全に先方のご厚意だけに頼ると、1〜2回の協力はできてもブロガーさんも活動資金なしには成立しないので徐々に協力できなくなってくる。こちらもまたお願いしづらくなってくる。そのため、薄謝ではあってもお支払いすることで持続可能なかたちにすることが必要だと思い、「社会を良くする広告主」と「社会を良くするメディア」「社会を良くする団体」をつなぐ役割を担う事業を展開しています。

アフィリエイトASP

アフィリエイト(成果報酬型の広告)の広告主とメディアをマッチングするためのシステム、マッチングのプラットホーム

どのようにつないでいるかというと、例えば、広告主にバングラディッシュの支援をされている革財布のJOGGOさんがいます。JOGGOさんの革財布をできる限り多くの方々に知っていただくために、私たちのプラットフォームに登録しているメディアで紹介するんです。長財布専門メディア「長財布マニア」のような専門サイトはもちろんですが、個人ブログ、YouTubeといった幅広いメディアでJOGGOさんの革財布を取り上げます。これにより消費者に広く知られるようになり、ご購入いただくという流れです。そして、購入に至った場合、経由したメディアに広告費をお支払いしています。

次に、企業と団体をつなぐ方法をお話します。

団体というと、具体的にはNPO法人が挙げられます。なかでも、福祉施設で作られたものを販売するNPO法人PIPPOさんや、不登校や発達障害の親子を支援するNPO法人Reframeさん、ハンディキャップのある子を育てる保護者を支援するiStepさんなど、障害者支援団体が多くご登録いただいています。

その中から、PIPPOさんを例に挙げると、まずPIPPOさんの「応援ページ」を弊社のサイト内に作成します。応援ページの下部には、PIPPOさんの活動内容を知って「スポンサーになるよ!」と手を挙げてくださった企業のスポンサーリンクを並べています。リンクからスポンサーの商品を購入していただくと協賛広告費として、PIPPOさんにも収益が入る仕組みとなっています。

さまざまな要因が重なり合って立ち上げに至ったソーシャルグッドなビジネス

–続いては、事業を始めた背景を教えてください。

寿倉さん:

私は大学時代、子どもが好きだったこともあり、認可外保育園で働きながら学生生活を送っていました。ただ、それだけでは生活が厳しかったため、株式投資の予想サイトを運営していて広告収入を得ていたんです。

大学卒業後は、大和証券に入社したのですが、自分にあった仕事ではなく悶々としていました。ちょうどその頃、アフィリエイトASPの電脳卸(2020年サービス終了)と出会い、とても興味が出てきたのでその会社に転職しました。

そこで色々と学んだ後に独立して、様々なwebメディアを立ち上げるなどの事業を行ってきました。

ただ、ある時、オーバーワークでメニエール病を発症したり、心臓に不調が出たりなど、身体にガタがきてしまいまして。このような状況になった際にふと、「一生懸命稼ごうとしてたけど、身体を壊したら意味がないよね。」「今までやってきたことで本当に社会を良くしていけるのだろうか」と思ったんです。

するとそのタイミングで、ソーシャルビジネスを展開する「ボーダレスジャパン」の田口さんの話がテレビで流れてきました。それを見て、今までやってきたWebメディアの運営のスキルやSEO、アフィリエイトの知識を活かして社会を良くできるんだったらいいな、と思ったのがソーシャルグッドな事業を意識したきっかけになりました。

また、身近なところに障害者支援があったことも大きく、障害者の家族、親子の支援がしたいという思いもありました。ご家族と接する中でみえてきた低賃金問題がソーシャルビジネスの業界と構図がすごく似ているなと思ったんです。

障害者就労施設が収入をあげるためには自社プロダクトを売っていく必要があり、そのためにはマーケティングや広告などの投資が必要です。ただ、資金がないために、下請け仕事しかできずに低賃金になってしまう。ならば成果報酬型の広告がいいのではないか!ソーシャルビジネス専門のアフィリエイトASPをやろう!という話になりました。

広告主の商品・サービスについて深部まで理解することが何より大切

–ここからは、メディアや広告主について詳しく教えていただきたいのですが、それぞれ選定はどのように行われているのでしょうか。

寿倉さん:

参加しているメディアですが、連携の速さでいえば、みん評の記事メディア「みん評チョイス」さんや、社会課題の解決を目的とした就職活動を支援するメディア「COCOCOLOR EARTH(ココカラアース)」さんなどが先に挙げられますが、私たちのプラットフォームに登録してくださっている多くはブロガーさんなどの個人メディアになります。現在は数百名の登録者がおり、みなさん実力のある素敵な方ばかりが集まっているため、特に私がメディアを選定するようなことはしていません。

対して、広告主や団体の選定は慎重に行なっています。

というのも、メディアで取り上げていただくためには、「この企業さんを応援したい!」「この商品を広めたい!」などのように、広告主への共感が大切だからです。そのため、私自身が、商品の良さや社会的意義をリサーチすることはもちろんのこと、実際に広告主にお会いし対話を重ね、代表者の生身の言葉を聞き逃さないようにしています。

その結果、広告主は、バングラディッシュの雇用問題に取り組む革財布のJOGGOさんや100%自然エネルギーのハチドリ電力さん、ボーダレスジャパンさんのカンパニオ(参加企業)など、どこも社会課題の解決に積極的に取り組まれている企業ばかりとなっています。

ソーシャルグッドな商品・サービスの認知拡大が目標

–事業を進める上で、課題に感じていることはありますか。

寿倉さん:

ソーシャルビジネスは利益が上げづらいと、身をもって感じています。

これは現状、ソーシャルグッド界隈という狭い世界でしか経済が回っていないからです。

今後は、良いことをしていくからこそ採算性を重視していかなくてはならないと思っています。

そのためには、ソーシャルグッドな商品・サービスを、一般消費者の方の商品選びの選択肢にいれてもらうことが大切だと考えています。「意外と一般で売られているものよりも全然いいじゃん!」という商品がたくさんあるので、認知さえしてもらえればニーズとマッチしていくはずです。

その一例として、障害者の就労施設でつくられたお菓子。このお菓子は無添加で体に優しいので、子育て中のお母さんにニーズがあります。「無添加のお菓子を食べさせたいけどスーパーにない」「多少高くても無添加がいい」ぜひ、こうしたニーズとソーシャルビジネスをつなげていきたいですね。

アフィリエイトを通じて、一般のユーザーさんにまず存在を知ってもらうことを目指していきたいです。

–最後に、今後の展望を教えてください。

寿倉さん:

多くの方に参加いただけるプラットフォームを目指したいですね。

今は、社会を良くする商品・サービスを持つ広告主とそれを広げられるメディアを持つ方が弊社のサービスの対象となっているのですが、この仕事をしていると「商品を持っていないけれど社会を良くする活動をされている方」や「メディアを持っていないけれど、なにかやれることがあるのではと思っている方」がたくさんいらっしゃることに気付かされます。今後はそういった方々も私たちのプラットフォームに参加できるような新たな仕組みを考えていきたいです。

–今後どのように発展されていくか楽しみです!本日は貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

ソーシャルグッドリンク https://socialgood.link/

ハチドリ電力 https://hachidori-denryoku.jp/

JOGGO https://joggo.jp/

istep https://istep-ch.com/

PIPPO https://www.pippoec.com/

みん評チョイス https://minhyo.jp/choice/

長財布マニア https://www.nagazaifu-mania.com/

reframe https://reframe-npo.jp/