だれもが知っている有名ファストファッションブランド、H&M(ヘンネスアンドマウリッツ)はスウェーデン発祥です。1990年代から世界規模で台頭してきたファストファッションですが、今ファッション業界にはあらたな持続可能な商品の模索や、開発への大きな課題があります。
それではスウェーデン人が考える、持続可能なファッションとは一体どういうものなのでしょうか。たとえば物価の高い北欧の国々では、ものをリサイクルする考え方が一般に根付いています。また、リサイクルだけでは補えない、新しいビジネスの展開や考えかたも注目されているのです。
スウェーデンのファッション業界から見る、持続可能な経済と消費活動についてご紹介していきます。
ファストファッション終焉の時代?
低価格帯で若い年代にも手に取りやすく、なおかつ流行の最先端を積極的に取り入れているファストファッション。世界的な規模で生産されることから価格を抑えられる反面、商品の入れ替えが早く、流行に左右されるために商品としてのサイクルが短いのが欠点です。
1990年代から世界中の若者を中心に注目を集めてきたファストファッションですが、現在スウェーデンでは衣類を長持ちさせるための解決策の一環として、新しいビジネスモデルが模索されています。
ファストファッションとは?簡単に解説

ファッションはいつも時代とともに変化し、常に人々の生み出す新しいデザインへの欲求によって定義され、形作られています。しかしながらトレンドによって生み出される環境汚染は見逃すことのできない問題です。
また、多くのファストファッションの製品はリサイクルされずに破棄されているのが現状です。サイズの極端に小さいものや大きいものは売れ残りやすく、無駄も出ます。ファストファッションの製品は低価格で購入するため、捨てるときの罪悪感も少ないのです。
このような問題点を多く抱えるファストファッションブランドは、たとえば有名なデザイナーとのコラボレーションによる企画や、高品質な素材を積極的に取り入れ、安くても質のよい製品を生み出す方向へとシフトチェンジが始まっています。
長く着ることで不要なゴミを増やさない企業努力は売上にも反映しており、ファストファッション業界全体では年々売上が伸びているのも事実です。
ものを買うときの考え方や購入の仕方を今一度考え直し、マインドセットが必要なのかもしれませんね。
ファストファッションが安い理由
ファストファッションが驚くほど安価で手に入る背景には、主に「SPA(製造小売一貫体制)」と「人件費の安い国での大量生産」という2つの大きな理由があります。
たとえば多くのファストファッションブランドの製品は、賃金の安い発展途上国や貧困国で縫製されています。ノンストップで稼働する工場で働く最低賃金を下回る労働環境や、未成年者の就労は、世界規模で改善していく必要があります。
また、企画から生産・販売までを自社で一貫して管理するシステム(SPA)により、従来のアパレル業界では、デザインや生産、流通、販売など多くの工程で異なる企業が関わっていましたが、ファストファッションブランドはこれらを自社で完結させることで、仲介コストや物流コストを大幅に削減し、効率的に商品を大量生産・販売できる仕組みを確立できているのです。
このようなビジネスモデルにより、最新のトレンドを素早く、しかも低価格で消費者に届けることができるのがファストファッションの最大の特徴です。
ファストファッション大国のスウェーデン
2008年にスウェーデン発のファッションブランドH&Mが日本進出を果たし、今や誰もが知るファストファッションブランドとなりました。
ほかにもGina Tricot(ギーナ・トリコット)やKappohl(カッポール)など、スウェーデン発のファッションブランドは実に数多くあります。街なかには必ず店舗を構えているばかりか、どのショッピングモールに行っても敷地面積が広いのはファストファッションブランドです。
実際に有名デザイナーとのコラボ商品が発表されると、スウェーデンではめずらしく、開店前から店舗に行列ができることも多くあります。店内では試着室の順番を待てない人々が、その場で服を脱いで着替え始めるなど、日本ではありえない光景が繰り広げられます。
ファストファッションとは?ブランド例を紹介
ファストファッションとは、最新のトレンドを取り入れた衣料品を低価格で大量生産し、短いサイクルで販売するビジネスモデルを指します。
代表的なファストファッションブランドには、スウェーデン発の「H&M」やスペイン発の「ZARA」、イギリス発の「Primark」などが挙げられます。これらのブランドは、世界中の都市で店舗を展開し、グローバルに流行を発信しています
スウェーデンのスローファッションブランドの取り組み
ファストファッションの対局にあるのが、スローファッションという考えかたです。
スウェーデンの多くのファッションブランドは、地球環境や人・生き物・社会福祉などの人間の権利を守るために、ファストファッションに代わる安価な代替品を提供しています。
スウェーデンでは衣類に関しても持続可能であると考える人が増えています。どのような条件下で縫製されたとしても、衣類はしょせん消耗品にほかなりません。しかしながら自分にとって長く着続けられる洋服を選ぶことや、愛着の持てる服を選ぶことは、さほど難しいことでもありません。
スローファッションは、サスティナブルファッションやエシカルファッションとも呼ばれるとおり、今ではファッション界のトレンド感すらあります。
農薬や肥料を使わないオーガニック素材や天然素材を使えば、環境に優しいだけでなくリサイクルが可能です。きちんと縫製された衣類は洗濯にも強く、長く着続けられます。毛皮や革製品など動物性の素材を使わなければ、乱獲も防げます。
自分の暮らす地域に近い原産国でつくられる製品を選んだり、地元の製品を積極的に利用したりすることで輸出入を減らし、物流にともなう二酸化炭素の排出量が減らせますし、自国の経済に貢献できます。
サーキュラーファッションという考え方
現在企業は衣類を長持ちさせるためにさまざまな新しい方法を見つけ、積極的に取り組んでいます。解決策をより早く実現させるため、多くのブランドが実際に協力しあい、知識を共有し始めています。
そのひとつがサーキュラーファッション(循環型のファッション)という考え方です。たとえば天然の再利用できる素材の利用・長く使えるデザインや耐久性・汚染や廃棄物を生み出さない生産方法などがサーキュラーファッションの基本概念です。
クレードテーケット(Klädoteket)は図書館で本を借りるように洋服を借りるという、サーキュラーファッションのビジネスモデルのひとつです。衣服を借りるには図書館で図書カードを作るように無料会員になる必要がありますが、洋服を借りる費用はかかりません。
プロムや結婚式など特別な日やイベントのために、その日にしか使わない高級な衣類も購入せずにレンタルできるので環境にも家計にも優しいです。
ファストファッションの問題点
ファストファッションは、最新のトレンドを手軽な価格で素早く楽しめるというメリットがある一方で、深刻な社会的・環境的問題を抱えています。
労働環境の悪化が指摘されているのはご存知でしょうか?多くのファストファッションブランドは、コスト削減のために生産拠点を人件費の安いアジア諸国などに移し、現地の工場労働者は低賃金かつ長時間労働を強いられています。
安全性が確保されていない作業環境も多く、2013年のバングラデシュ・ラナプラザビル崩壊事故のような大規模な労働災害も発生しています。さらに、児童労働や生活賃金を下回る賃金の問題も根強く残っています。
また、ファストファッションのビジネスモデルは衣服の寿命が短くなりがちです。
ファストファッションは一見便利で身近な存在ですが、その裏側には「人」と「地球」に大きな負担をかける構造的な問題が潜んでいます。
ファストファッションは環境問題にも影響を及ぼす
ファストファッションがもたらす最大の環境問題は、大量生産・大量消費・大量廃棄による資源とエネルギーの浪費、そして環境汚染です。
衣類の生産には膨大な水資源とエネルギーが必要で、例えばTシャツ1枚を作るのに約2,700リットルもの水が消費されます。ファッション業界全体でみると、世界のCO2排出量の約10%を占めており、これは国際航空便と海運業を合わせた排出量より多いとされています。
染色や加工の過程で使用される有害な化学物質は、河川や土壌の汚染を引き起こし、合成繊維からは洗濯時にマイクロプラスチックが流出し海洋汚染の原因にも。
短期間で廃棄される衣類が増えることで、焼却や埋め立て処分時に温室効果ガスが発生し、地球温暖化にも拍車をかけています。
ファストファッションのメリット
ファストファッションのメリットについて紹介します。
低価格で最新トレンドを楽しめる
ファストファッション最大の魅力は、やはりその「価格の安さ」です。一般的なアパレルブランドと比べて、ファストファッションは1/2以下の値段で商品を購入できることもあります。
低価格設定により、学生や若年層、家計を気にする人でも気軽に最新のファッションを楽しむことができます。
「安さ」と「トレンド性」の両立が、ファストファッションの大きなメリットです。
商品バリエーションが豊富
ファストファッションは大量生産・大量販売を前提としたビジネスモデルのため、商品点数が非常に多く、選ぶ楽しさがあります。
1つの店舗に行くだけで、トップスからボトムス、アウター、シューズ、小物まで全身のコーディネートを揃えることができるのも魅力の一つです。
ベーシックな定番アイテムから、個性的なトレンドアイテムまで幅広く取り扱っているため、年齢や性別を問わず多くの人が利用しやすい点もメリットです。
流行の反映が早く、旬のアイテムに出会える
「流行の素早い反映力」も魅力です。世界的なトレンドやストリートの流行を、数週間という短期間で商品化し、店頭に並べることができます。
常に新しい商品が入荷することで店舗に足を運ぶたびにワクワク感があり、購買意欲を刺激する点もファストファッションならではのメリットです。
ファストファッションのデメリット
ファストファッションはメリットばかりではなくデメリットもあります。
環境への悪影響
ファストファッションは、最新トレンドを取り入れた衣料品を短期間で大量生産・販売するビジネスモデル。
この大量生産・大量消費の仕組みは、深刻な環境問題を引き起こしています。衣服の製造過程では膨大な資源とエネルギーが消費されています。染色工程では有害な化学物質が河川などに流出し、水質汚染や水資源の枯渇を招く恐れもあります。
また、化学繊維の製造時には多くの化学薬品や有害物質が大気中に放出され、大気汚染の原因にもなっています。
ファストファッションは資源の浪費や環境汚染、廃棄物の増加など、地球環境に大きな負荷を与えているのです。
労働環境の悪化
ファストファッションの低価格と短納期を実現するために、多くの工場では、労働者が長時間労働を余儀なくされており、休憩や睡眠時間が十分に確保されていないケースも少なくありません。
これにより、労働者の健康リスクや精神的ストレスが増大し、労働意欲の低下や離職率の上昇につながることもあります。
また、発展途上国の工場では児童労働や強制労働といった深刻な人権問題も報告されています。
ファストファッションの裏側には、このような労働搾取が存在しており、消費者が安価な衣服を手に入れる一方で、多くの人々が犠牲になっている現実があります。
消費者の価値観や社会的影響
ファストファッションは「安くて早い」という手軽さから、消費者の購買意欲を刺激し、必要以上の衣類購入を促す傾向があります。その結果、「着捨て文化」が広がり、衣類を長く大切に使う意識が薄れてしまいます。
これは、物を大切にする価値観やサステナビリティへの意識低下を招き、社会全体の消費行動にも悪影響を及ぼします。また、短期間で流行が移り変わるため、常に新しい服を求める消費スタイルが定着し、結果として大量の廃棄や資源の浪費につながります。
消費者一人ひとりが自分の購買行動を見直し、より持続可能な選択をすることが、今後ますます求められています。
日用品リサイクル市場の拡大
スウェーデンではLoppis(ロッピス)と呼ばれる蚤の市や、リサイクルショップが盛んです。リサイクルショップは大手の経営のものありますし、陶器や家具など専門の個人店もたくさんあります。
日本で北欧ブームが起こったとき、家具や北欧デザインのヴィンテージも商品を買い集める日本人バイヤーもたくさんいました。
公園や教会などを会場にして、夏の期間や週末だけ執り行われる子供用品のリサイクルショップもあれば、毎週末決まった日時に広場で開催される蚤の市などもあります。
スウェーデンでよく知られている、リサイクルショップやオンラインショップの一部をご紹介していきます。
増え続けるリサイクルショップ
スウェーデンではどの街に行っても必ず、リサイクルショップや古物市場を見つけられます。街の小道に一歩入れば、おじいさんが経営している小さなヴィンテージの日用品を売る店や、若者向けのおしゃれな古着屋さんがあります。大型のショッピングモール内には、おしゃれで洗練されたブティックのような内装のリサイクルショップも見られます。
ReTuna(リトゥーナ)
ReTunaはストックホルム市内から車で約2時間ほど走った、エスキルストゥーナ(Eskilstuna)にあるショッピングモールです。さまざまなメディアでも取り上げられ、一躍有名になった理由はモール内のすべてのショップがリサイクルショップという、今までになかったコンセプト。
モール内には誰もが自由に不用品を持ち込める集積所があります。例えば新しいものを買ったので使わなくなった電化製品や、子供の成長で不要になった子供服など、家庭には不用品があふれています。それらを分類して捨てると、各ショップ定員が各自のセンスで売れるものを引き取り、ショップ内で販売するという仕組みです。
モール内の各テナントは集積所に捨てられたものを自由に引き取り、リメイクしたりメンテナンスを施したりしたのちに、販売しています。元は不用品の山ですが、宝探しのようにわくわくする空間です。
Myrorna (ミーロナ)
ミーロナは蚤の市ならず、アリの市という名前のリサイクルショップ。スウェーデン全土で店舗を展開しているので、大きな街には必ずあります。衣類をはじめ靴や鞄・陶磁器やガラス製品・家具・絵画・電気製品など、日常生活のほとんどの不用品を回収販売しています。
おもちゃに限っては、2007年以前に製造されたプラスチック製品は除外されるなど一部の規制はありますが、遺品整理も行っています。回収方法は不用品を店舗にある収集場所に持っていくだけ。ストックホルムやヨーテボリなどの大都市では自宅へのピックアップもしてくれます。
このようにスウェーデンのリサイクルショップは、日本のような買い取り方式ではなく、不用品を無料で回収し販売するシステムが一般的です。
Erikshjälpen(エリクスイェルペン)
エリクスイェルペンは南スウェーデンを中心に展開している非営利のセカンドハンドショップです。ほかのリサイクルショップ同様に、一般の市民が不用品を持ち込み店舗販売がされています。
不用品を回収できる店舗や回収時間は限られていますが、店舗裏には倉庫があり、決められた時間内であればどのような不用品も基本的に寄付という形で持ち込みができます。
エリクスイェルペンは子供の権利団体が運営しています。世界の貧困国の子どもたちの健康や教育のための援助・支援のために活動が主です。店舗の売上金は地域だけでなく、世界の16カ国の子どもたちのために役立っています。
オンライン上のリサイクルショップ
スウェーデンでは日本のメルカリのように、オンライン上のリサイクルショップでの売買も盛んに行われています。スウェーデンでよく知られているオンラインリサイクルショップのそれぞれの特色をご紹介します。
blocket(ブロッケット)
ブロッケットはスウェーデン最大手の古参リサイクルショップです。スウェーデンではもし何かが欲しい場合に、まずチェックするサイトと言ってもよいでしょう。個人でも企業でも出品ができ、金額も自分で自由に決められます。
家電から日用品・家具など、どんなものでもほぼ手に入ります。個人間の売買なのでやりとりも手軽です。サイトリニューアルにともない、きちんと個人のIDで認証を取り、アカウントを作らなければサイト自体が利用できなくなっていますので、安心できます。
大きいものでは車や住宅、期間限定の相部屋や引越しサービスなど、ありとあらゆるものが取引されています。また、ペットなど動物の売買も可能※です。
※スウェーデンでは犬猫をはじめとするペットは、ブリーダーからのみ購入が可能です。サイト上に出ているペットもブリーダーの広告がメインとなります。
Tradera (トラディエラ)
トラディエラは大手のオークションサイトです。売り手は商品の開始価格を設定し、最高入札者へ販売します。また、「今すぐ購入」の機能もあり、固定価格を設定すると入札せずに直接購入できます。
売り手の出品商品が売れた場合に限り、商品の10%を手数料としてトラディエラ側に支払います。商品が売れずに残った場合には課金されませんが、オプションのアドオン機能を使ったり、1ヶ月に100件以上出品したりすると課金の対象になります。
Sellpy (セルピー)
セルピーはオンラインのセカンドハンドショップです。個人で不要なものを専用の袋に入れて送ると、会社側が上記で紹介したブロッケットやトラディエラなどのサイトに出品してくれるという、時間のない現代人の需要に合致した取引方法となっています。
まずはサイトに登録をして専用の袋を購入する必要がありますが、袋に入る大きさのものであればどんなものでも送れます(ただし50クローナ以下の商品の取引はできません)。不用品を詰めた袋は、自分で最寄りの郵便局へ持ち込んでもいいですし、数が多い場合は自宅まで引き取りにきれくれるサービスもあります。
家に不用品があっても、ひとつずつの商品の写真を撮ってアプリに上げるのは、結構な手間です。セルピーを使えば時間の短縮になり、面倒な作業から開放されます。
日本のファストファッション脱却のために利用できるリサイクルショップ
ファストファッションによる大量生産・大量消費から脱却し、循環型経済を実現するためには、リサイクルショップの活用が有効です。ここでは、日本国内で利用しやすい代表的なリサイクルショップを紹介します。
セカンドストリート
セカンドストリートは全国に800店舗以上を展開する大手リユースショップです。
洋服やバッグ、靴など幅広いファッションアイテムを取り扱っており、不要になった衣類を手軽に持ち込んで買い取ってもらうことができます。店頭にはブランド品からノーブランドまで多様な商品が並び、掘り出し物を探す楽しみもあります。
買取方法は店頭買取だけでなく、宅配買取や出張買取にも対応しているため、忙しい方や大量に処分したい方にも便利です。
セカンドストリートは、ファストファッションからの脱却を目指す人にとって、身近で実践しやすい選択肢となっています。
トレジャーファクトリー
トレジャーファクトリーは関東を中心に全国展開している総合リサイクルショップで、衣類だけでなく家具や家電、雑貨なども幅広く取り扱っています。
ファッション部門「トレファクスタイル」では、カジュアルからハイブランドまで多彩なラインナップが揃い、若者からファミリー層まで幅広い世代に支持されています。
買取はシーズンやトレンドを考慮して査定されるため、状態の良いアイテムや人気ブランドは高価買取が期待できます。
また、公式オンラインストアも充実しており、店舗に足を運ばなくても自宅から商品の購入や買取依頼が可能です。
キングファミリー
キングファミリーは、衣類専門のリサイクルショップとして全国に店舗を展開しています。最大の特徴は「重さで買取・販売」するシステムで、ブランドや状態に関わらずまとめて持ち込むことができるため、クローゼットの整理や大量処分に最適です。
買い取られた衣類は、国内外で再利用・リサイクルされるほか、状態の悪いものは工業用ウエスなどに再生されるなど、無駄なく資源が活用されます。キングファミリーでは、誰でも気軽にリユース活動に参加でき、衣類廃棄による環境負荷の軽減に貢献できます。
ファストファッションの大量廃棄問題を意識し始めた方にとって、身近で実践しやすいリサイクルショップです。
スローファッション・エシカルファッション人気ブランドランキング
ファストファッションの環境問題が注目される中、スウェーデンをはじめとする北欧諸国では、持続可能性や倫理性を重視したスローファッション・エシカルファッションブランドが人気を集めています。ここでは、注目のブランド3つを詳しくご紹介します。気ブランドランキングを紹介します。
Nudie Jeans(ヌーディージーンズ)
Nudie Jeansはスウェーデン発のデニムブランドで、サステナビリティとエシカルな取り組みの先駆者として高い評価を受けています。
最大の特徴は「リペア(修理)」サービスで、購入したジーンズは無料で何度でも修理してもらえる点です。これにより、消費者は一着のジーンズを長く愛用でき、廃棄物の削減に大きく貢献しています。
また、オーガニックコットンを100%使用し、染色や仕上げの工程でも有害化学物質の使用を極力避けているため、環境負荷の低減にも。不要になったジーンズは回収・再販される循環型のビジネスモデルを採用しており、まさに循環経済の実践例と言えるでしょう。
Filippa K(フィリッパ ケイ)
Filippa Kは、ミニマルでタイムレスなデザインが特徴のスウェーデン発ブランドです。「長く着られる服」をコンセプトに掲げ、流行に左右されないシンプルなアイテムを展開しています。
製品は高品質な天然素材やリサイクル素材を積極的に取り入れ、製造工程でも環境への配慮を徹底。さらに、ブランド独自のリサイクルプログラムやレンタルサービスを導入し、消費者が不要になった衣類を回収して再利用する仕組みを整えています。
エシカルファッションの先進国スウェーデンらしい、持続可能な価値観を体現するブランドです。
ARKET(アーケット)
ARKETは、H&Mグループが展開する新しいライフスタイルブランドで、サステナビリティと機能美を両立した商品づくりが特徴です。
全商品にトレーサビリティ(生産履歴の追跡)を導入し、素材の調達から製造、販売までのプロセスを透明化。オーガニックコットンやリサイクルポリエステルなど環境負荷の少ない素材を積極的に採用しています。
また、長く使えるベーシックなデザインを重視し、消費サイクルのスローダウンを促進。店舗では不要になった衣類の回収サービスも提供し、循環型社会の実現に向けた取り組みを進めています。
手の届きやすい価格帯と高い倫理性を両立したブランドとして、幅広い層から支持を集めています。
消費者意識の改革と循環経済
「ゆりかごから墓場まで」は、第二次世界大戦後にイギリスの労働党が掲げた、おもに医療保険サービスに関するスローガンです。
スウェーデンでは今、エネルギーだけでなく衣類など工業製品を生産するために、自然の素材を積極的に利用しています。そして100%リサイクル可能なバイオエコノミーを提唱することで、まさに循環経済における「ゆりかごから墓場まで」を実現しようとしています。
捨てるものはなにもないという考え方
不用品ばかりを集めたショッピングモールに人気が集まるように、スウェーデンでは基本的に「捨てるものはなにもない」という考え方が一般に強く根付いています。
たとえばスウェーデン人の友人に引越しの手伝いを頼むと、処分しようと考えていた衣類や日用品を持ち帰ってくれることがよくあります。後日たまたま街で友人のお母さんと行きあった際に、そのお母さんが私が捨てようとしていた洋服を着ていて驚くということもありました。
一般のアパートに必ずあるゴミ集積所でも、元の持ち主が「うちでは不要だけどまだ使えるから誰かもらってくれないかな」と感じるものは、コンテナ内に破棄せずに別に置いてあります。新品の靴やまだ使える家具、植木鉢や食器類などの雑貨がほとんどですが、しばらくするとなくなっていることもあるので、誰か持ち帰る人がいるのでしょう。
必要なのは消費者の意識改革
スウェーデンでは、どんなものでもリサイクルできることは知られていますが、リサイクルをするかどうかは消費者の行動にゆだねられます。不必要なものは廃棄する必要がありますし、決定するのは消費者の行動の問題です。
スウェーデンでのリサイクル活動に見られるサーキュラーエコノミーは、ものごとをより環境に優しくするだけではありません。持続可能な経済や消費活動は、まさに私たち消費者にゆだねられていることを誰もが知る必要があります。
消費活動を循環型の経済に移行するためには、まず消費者意識の改革が必要です。たとえばリサイクルではなく”アップサイクル”の活動が盛んに提唱されるように、持続可能な経済活動を循環させるためには、消費者のニーズや多様性を満たしながらも、新たな消費モデルを見直したり、提案したりする必要が出てくるのです。
ファストファッションに関するよくある質問
ファストファッションに関するよくある質問をご紹介します。
ファストファッションが環境に与える影響は?
ファストファッションは、最新のトレンドを低価格かつ短いサイクルで大量生産・販売する仕組みが特徴です。しかし、その裏側で深刻な環境問題が生じています。まず、服一着の製造には大量の水やエネルギーが必要です。
服一着を作る際に排出されるCO2はペットボトル約255本分に相当し、浴槽約11杯分の水が使われます。また、染色工程では有害な化学物質が河川に流出し、水質汚染や水資源の枯渇を引き起こす原因となっています。さらに、化学繊維の製造時には有害物質が大気中に放出され、大気汚染にもつながります。
消費者が手軽に服を買い替えることで大量の衣類廃棄が発生し、焼却や埋め立て処分による資源の無駄や環境負荷が増大しています。
ファストファッションのリサイクルは進んでいる?
ファストファッション業界ではリサイクルの取り組みが進められていますが、現状では十分とは言えません。多くのファストファッション製品はリサイクルされずに破棄されており、特にサイズが極端に小さい・大きいものは売れ残りやすく無駄が出やすい傾向があります。
スウェーデンではリサイクル意識が高く、消費者の行動にリサイクルが委ねられていますが、実際には廃棄される衣類が多いのが現状です。企業側も高品質な素材の採用や長く着られる製品の開発など、リサイクルを促進する努力を始めていますが、消費者自身がリユースやリサイクルに積極的に参加することが不可欠です。
私たち消費者にできることは何?
ファストファッションによる環境問題を解決するには、消費者一人ひとりの意識改革が重要です。まず、必要以上に服を買いすぎず、長く大切に着ることを心がけましょう。
また、着なくなった服はリユースやリサイクルに回すことで、廃棄物を減らすことができます。購入時には環境に配慮した認証マークやラベルが付いた商品を選ぶのも効果的です。
スウェーデンでは、消費者の行動が循環型経済の実現に大きく影響すると考えられており、リサイクルやアップサイクルの活動が積極的に提唱されています。
ファストファッションとSDGs
ファストファッションは、最新トレンドの衣類を安価かつ大量に生産し、短期間で販売するビジネスモデルです。消費者にとっては手軽におしゃれを楽しめる一方で、環境や社会に大きな負荷をかけていることが国際的に問題視されています。
ファストファッションは大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とするため、衣類の生産過程で大量の原材料や水、エネルギーが消費されます。また、廃棄される衣類の多くはリサイクルやリユースされず、焼却や埋め立て処分されており、大きな問題となっています。
SDGs(持続可能な開発目標)は、環境保全や人権尊重、資源の循環利用など、ファッション産業が直面する課題を解決するための国際的な指針です。アパレル業界では、以下のようなSDGsへの取り組みが求められています。
- 適量生産・適量購入・循環利用の推進
- 持続可能な素材の活用
- 労働環境の改善
- 廃棄物削減と資源の有効活用
まとめ
サスティナブルなファッションはこれまで以上に求められていて、持続可能な消費のために私たちが考えられることはたくさんあります。
たとえば、洋服一枚を買うにも、その洋服の原材料は何なのか?誰が作っているのか?どの国や地域で生産されているのか?を常に考えるのは大切です。ひとりひとりが少しずつ自分の消費活動に意識を向けるだけでも、多くの持続可能性のポイントを見つけられます。
スウェーデンが求める新しい生活と新たな消費活動の時代は、個人の考えかたひとつで大きく変化する可能性があるのです。
今までは使い捨てが一般的だった日常の消費の分野においても、今後はただ「消費」するだけではなく、全く新しい「循環モデル」が生まれてくるのではないでしょうか。