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ビーチクリーン活動に参加しよう|参加方法や服装・持ち物、取り組み団体も紹介

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海岸でゴミ袋とトングを片手にごみを拾う「ビーチクリーン」。近年、年間800万トンのプラスチックのごみが海に流出し、それに伴うマイクロプラスチック問題などの海洋汚染がメディアで頻繁に取り上げられるようになり、ビーチクリーンへの注目が高まっています。きれいな海を守るためにビーチクリーンをしてみたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ビーチクリーンの概要や参加方法、当日の服装・持ち物、取り組み団体をご紹介します。

海をきれいにしていくことは、そこに住む生態系を守ることにも繋がります。ぜひビーチクリーンへ参加する時の参考にしてください!

ビーチクリーンとは

ビーチクリーンとは、日本語では「海辺の清掃」という意味です。その名の通り、海辺で、トングやゴミ袋を持ちながら清掃活動を行います。ただごみを拾うだけではなく、ビーチクリーンには目的があります。

ビーチクリーンの目的|なぜやる必要がある?

ビーチクリーンは、

  • 美しい海や砂浜を守る
  • 海洋の生態系を守る
  • 清掃活動を通じて、参加者自身や周りにごみ問題を啓発する

といった目的に加え、ごみのデータを集計するケースもあります。集計したデータからごみの発生源を特定することなどにも役立つためです。

ビーチクリーンの歴史

最近になって頻繁に耳にするようになったビーチクリーンですが、世界的にみると、1985年にサンフランシスコを本部にする、海洋自然保護センターが実施したことが始まりです。毎年9月22日が「国際ビーチクリーンアップデー」に指定されており、この日は、世界各地で同時開催でビーチクリーンが実施されます。日本では、1991年に海洋自然保護センターの働きかけでクリーンアップ全国事務局(JEAN)が参画しました。このように日本のビーチクリーンの歴史は、すでに30年以上続いています。

ビーチクリーンのメリット

ここまで読むとビーチクリーンは、海岸の景観改善や海洋の生態系保全につながることがお分かりいただけたと思いますが、参加者自身へのメリットもあります。

ごみ問題の当事者意識が生まれる

実際に拾っていくことで、そもそもごみを出さないようにする意識が芽生えます。海岸に落ちているごみは、漁業活動で発生したものばかりではありません。私たちの日常生活から出るお菓子のパッケージ・空き缶・ペットボトルなどのごみが適切に処理されなかった場合、側溝・河川を通して海に流れつきます。

ビーチクリーンを行うと、このようなごみが散乱している状況を目の当たりにするのです。いかにして日々の生活ごみの発生を抑えることが、大切な海を守ることに繋がると気づかされるでしょう。

マイクロプラスチックの現状を知れる

ビーチクリーンでは、細かく小さなごみがあちこちに落ちていることに気づきます。

マイクロプラスチックゴミ

この細かなごみの正体はプラスチックです。海に流出したプラスチックごみが、波の力と紫外線によってバラバラに砕けて小さくなります。このプラスチックゴミをマイクロプラスチックと呼びます。近年では、マイクロプラスチックを海の生物が餌だと勘違いして食べてしまうという問題が発生しています。そして、その魚を食べた人間の体内からも確認されているのです。

ビーチクリーンに参加することで、マイクロプラスチックが大量に落ちていることに気づき、より一層環境への配慮の意識が高まるでしょう。

ビーチクリーンに参加して感じた感想やポイント

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ここでは、筆者が実際にビーチクリーンに参加した際に感じたことを簡単にまとめます。

人が集まる場所には大きなごみは落ちていない

私が参加したのは、神奈川県の海岸で開催されたビーチクリーンです。海水浴場であるこの場所には、ペットボトルやレジ袋などの大きなごみはほとんど落ちていませんでした。

後に知ったのが、人が集まる海水浴場は、自治体や地域の団体などから依頼される清掃業者が、景観を保つために定期的に清掃を行っているということです。そのため、今回のビーチクリーンで拾うごみは、主にマイクロプラスチックなどの小さなごみ。

参加時は、手で触ると砕けてしまうほどのごみであるマイクロプラスチックを拾うとは予想しておらず、余計な砂もゴミ袋へ入れて、ごみ袋がどんどん重くなり、運ぶのに苦労しました。

マイクロプラスチックと砂を分けるための”ふるい”を持参しておけば、余計な砂を持ち運ばずに済んだと実感した出来事でした。

ビーチクリーンは、参加して初めて知ることがたくさんあります。そこで次では、筆者が実際にビーチクリーンに参加した経験をもとに、「事前に知っておけばよかった」ポイントを説明します。

ビーチクリーンに参加するにはどうすればいい?

まず、ビーチクリーンに参加する方法を確認しましょう。主な方法は3つ挙げられます。

①プラットフォームを利用する

最もメジャーな方法は、全国のビーチクリーン開催情報が掲載されているプラットフォームを活用することです。以下では、3つのプラットフォームを紹介します。

  • BLUE SHIP

    きれいな海を目指すBLUE SHIPは、ゴミ拾いや環境活動を簡単に探せるサイトです。サイト設立は、ゴミ拾い・環境イベントの団体運営者とイベントに参加したい人の”ハブ”となることを目指して制作されました。北海道から沖縄まで全国津々浦々のイベントや団体が検索できます。
  • プラスチック・スマート

    環境省によるスマートなプラスチックの取り組みを推進・拡大する「プラスチック・スマート」略してプラスマ。プラスマアクションとして登録されたビーチクリーンの情報を検索できるプラットフォームとして機能しています。
  • 海と日本PROJECT

    日本財団・総合海洋政策本部・国土交通省の共同運営の日本財団「海と日本プロジェクト」。全国の海のイベント情報を発信しています。当プロジェクトは、ビーチクリーンに留まらず、未来へ引き継ぐ海のために5つのアクションを推進。「海を学ぼう!」「海をキレイにしよう!」「海を味わおう!」「海を体験しよう!」「海を表現しよう!というアクションを促進しています。

②ビーチクリーンを主催する団体のまとめサイトを利用する

ビーチクリーンを主催する団体は全国各地に存在します。そのような団体をまとめたサイトなどを活用して、参加してみたいビーチクリーンを探すこともおすすめです。

例えば、「プラスチックを減らす・なるべく使わない生活」について発信する『プラなし生活』内の、「今すぐ行動できる!知っておきたい日本のビーチクリーンアップ団体と参加方法まとめ | プラなし生活」や、『素潜りとエシカルな暮らし』というブログ内、「ビーチクリーンとは?気軽に参加できるビーチクリーンイベント・団体のまとめ」など、このようなまとめサイトは、具体的な活動内容を知れることに加えて、イベントの確認方法や参加手順なども取り上げているため、手軽に利用できるメリットがあります。

③SNSでキーワード検索する

①②で掲載されていない団体も数多く存在するので、この場合はSNSで検索する方法が便利です。例えば、Instagramで「ビーチクリーン」と検索すると、学生団体や個人でビーチクリーンを行うアカウントがヒットします。「ビーチクリーン+(自分が参加してみたい海岸名や地名)」と検索すれば、ビーチクリーン参加の選択肢が増える可能性もあります。

ビーチクリーンをするための服装は?

続いて服装についても確認しておきましょう。

ビーチクリーンに参加するための服装は特に決まりがありません。自身が作業しやすい服装で参加しましょう。海での開催となるのでサンダルで参加する人もいます。バッグは、両手が開いてゴミ拾いしやすいように、ショルダーバッグやリュックサックがベストです。

ビーチクリーンに必要な持ち物は?

ここでは、必須な持ち物から、あった方がなお良いと思う持ち物までご紹介します。

タオル・飲み物・軍手

参加時期に寄らず必須アイテムは、タオル・飲み物・軍手です。砂浜には、ガラスの破片や刺激性のあるクラゲなどがおり、素手で触ると怪我をしてしまう場合も考えられます。特に軍手は必ず持参しましょう。

帽子・日焼け止め

夏場など日差しが強い場合には、帽子、日焼け止めもあるとなお良いでしょう。従来の日焼け止めの成分が海洋汚染に繋がってしまう場合もあるので、自然由来100%のものを使用しましょう。

ふるい

先に述べたようにふるいがあると、マイクロプラスチックを効率よく拾うことができます。せっかく海をきれいにする活動に参加したのであれば、できる限り多くのごみを回収したいものです。

その他

ごみ袋やトングは、主催団体が用意するケースが多く見受けられます。とはいえ団体によって対応が異なるので、参加前にはサイトや主催者へ質問するなどして、確認をしてみてください。また、砂浜を歩くことになるので、潮や砂まみれになるとなることもあります。替えの服装があった方が気持ちよく帰宅することができます。

ビーチクリーンに取り組む団体

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最後に、ビーチクリーンに取り組む団体を6つピックアップしました。 在住地域から近い場所で活動していたり、掲げる理念などに共感できる団体があったりすれば、ぜひ参加してみてください。

かながわ海岸美化財団

日本で唯一のビーチクリーン・海ごみ問題の専門団体である「かながわ海岸美化財団」は、1991年に設立されました。神奈川県横須賀市から湯河原町150kmの海岸清掃に取り組んでおり、ビーチクリーン(海岸清掃)ボランティアを常時募集中。ごみ袋の提供とごみの回収は無償となっています。ビーチクリーンをしたい日時や海岸を自分で決めて、自主的なビーチクリーンを実施できます。

>>美化財団ホームページ

>>Twitter

Honda

Hondaは国・都道府県・市区町村の自治体と連携をして、ビーチクリーン活動をしています。2006年から始まった活動で、これまで全国300ヵ所以上で実施。現在は、年間7千人を超える人が関わる活動に拡大しています。ビーチクリーンでは、HONDA独自で開発されたサンドスクリーンを牽引した全地形走行車(ATV)を走らせます。砂とごみを分け効率よくごみ回収を行います。毎年4〜10月にかけて、自治体からHONDAに申請後に開催されており、手拾いのボランティアに参加を希望する場合は、主催者である地域の自治体へ確認が必要です。

>>ホンダのビーチクリーン活動

>>Twitter

学生団体SEA HOPE ビーチクリーン

関東圏の学生によって運営されている「SEA HOPE ビーチクリーン」。「我々が海の希望でありたい」という理念のもと、ビーチクリーンを中心とした環境問題改善に取り組んでいます。主に逗子海岸で定期的なビーチクリーン開催やコラボイベントを実施。最新情報はInstagramからチェックしてみてください。

>>SEA HOPE Twitter

>>Instagram

沖ロコ ビーチクリーン事務局

沖縄県北部でビーチクリーンに取り組むコミュニティです。沖縄は、台風による漂流ごみが流れつく地域。2023年5月30日(ごみ0の日)に向けて、仕事やプライベートの合間を縫って地道に活動が続いています。ボランティアスタッフを常時募集中で、軍手・ゴミ袋・道具を準備してくれます。参加はInstagramのDMからの受付です。沖縄の海を守る思いのこもったPV動画をぜひご覧ください。

>>沖ロコ ホームページ

>>Instagram

>>Youtube

NPO法人 海さくら

NPO法人 海さくらは、神奈川県江ノ島を拠点に「日本一楽しいゴミ拾い!」を目指しています。その通り、ビーチクリーンに一捻り加えて活動を実施。7月の第3月曜日「海の日」には、”青い”サンタクロースになり子供から大人までビーチクリーンを行います。また、日本プロサッカークラブ「湘南ベルマーレ」の選手やその社員のコラボイベントなど、Jリーグやプロ野球、Bリーグ、相撲部屋とのコラボビーチクリーンも全国で実施しています。

このようなイベント以外にも、毎月1回、江ノ島にて「海さくらゴミ拾い」を開催中です。トングやゴミ袋、軍手などは全て無料で貸出しなので、気軽に参加ができます。申し込みは、海さくら公式HPより可能です。

>>海さくらホームページ

>>Twtitter

一般社団法人JEAN

一般社団法人JEANは、毎年、春と秋にクリーンアップキャンペーンを実施しています。春は、4月22日「アースデイ」や6月5日「世界環境デー」に合わせて開催。一方、秋の国際海岸クリーンアップは、ごみを拾うだけでなく、ICCというアメリカの環境NGO Ocean Conservancyに基づくごみ情報を集積します。この時期には、世界中でも同じようにビーチクリーン、ごみ情報の集積を行います。これら集めたごみ情報は、ICCデータとして、海洋汚染の根本原因となるごみ排出を抑えるために利活用されます。

また、全国クリーンアップ情報から全国の直近で行われるビーチクリーンの情報を閲覧できます。一般参加については、各主催者によって異なりますので合わせてみてください。

>>JEANホームページ

まとめ

この記事では、ビーチクリーンについて詳しく紹介しました。

きれいな海を守るために、海辺に落ちている漂流ごみやポイ捨てごみを拾う取り組み「ビーチクリーン」。海や砂浜をきれいにすることは海洋の生態系を守ることにも繋がります。

まずは、NPOや企業などの主催するイベントに参加してみましょう。軍手やゴミ袋、トングの無料貸出しをしている団体もあり、気軽な参加もできますよ。

<参考文献>
クリーンアップキャンペーン | 活動 | 一般社団法人 JEAN
かながわ海岸美化財団